そうして子供達からこの船にまつわる闇の部分について話しを聞いて、やるせない気持ちを抱えたまま別れを告げる。花が売れた事であの子達の立場や生活が多少なりともマシになるのか、それとも焼け石に水なのかを私には判断できない。
気持ちを落ち着ける為に息を吐き出して、それから青雉に身体ごと視線を向ける。本当に背が高いわよね、この世界の男達って……首が痛いわ。
「ご馳走様。話が聞けて良かったわ」
「それにしてもよく、一味のメンバーは宝玉であるナミちゃんを1人にしたな」
「あら、1人じゃないわよ。……ね、ロビン」
私の言葉に合わせてロビンの手が私の肩に生えて、ミニチュアのロビンが姿を見せる。その様子を見て、やれやれと肩を竦めた青雉は突然私を抱き抱えて歩き出す。
何をするのかと抵抗を試みるけど、腕力差で全く歯が立たないでいる。だけど、荷物のように小脇に抱えられて、それを良しとは思える筈も無い。
「離しなさいよっ!」
「食い逃げする気か?」
「男が女と食事して、食事代出すのなんて当然でしょ!?そもそも今回のメンバーの中では、アンタが1番年長者でしょうが!!」
「古臭い考えだな……宝玉が1番稼いでるでしょーよ」
「アンタが誘ったんでしょ!?」
騒いでる間に連れ込まれたのは、恐らく中間程度のランクの部屋。元のホテルレベルが高過ぎて最高級に思えるけど、ドフィが使ってた部屋に比べると多少見劣りするからそうだと思う。
……1泊いくらなのかなんて、聞きたくもないわ。ドフィの使用する部屋は勿論、ここ、八星ホテル様も。
そんな事を思った時、突然ベッドに投げ落とされる。これはマズイと身構えたけど、私を放置して珈琲を入れ始めるのだから何なんだと思ったのも当然。
聞きもせずに二人分入れて、ほらよと差し出されたそれはロビンが好きそうな香りを放ってる。でも、飲む気にはならない。
いや、本当に美味しそうなのよ。でも、そんな気分にはなれないのよね。
「前にも言ったでしょ。私、珈琲無理なの。ロビンを誘って」
「あらら……そーいや、言われたな。なら返しなさいな。後で俺が飲むから」
「ごめんね」
「……変に素直だな。本質が素直なんだろうけど」
そう言って笑う顔に、悪意や邪気は無い。……黙ってれば、良い男なのに。
流石は、優作さんをモデルにしただけの事はあると言いたい。モデルになった人は若くして他界されたけど、青雉はどうなるんだろう。
「宝玉としては、今回何か目的があってきたのか?それとも、遊びに?」
「それを私が教えるメリットは?」
「あらら……それ言われちまうと……。答え、聞いたようなもんじゃない」
「は?」
思わず冷たい声を出してしまう。でも、青雉はそんな私の態度を気にしないのか、普通に言葉を続けた。
「遊びに来たのなら、警戒する必要も無ェでしょうよ。それを答えるメリットなんて言い出すなら、目的を持って来たと考えるのが普通でしょうが」
「名推理ね、と……言いたいところだけど、どちらにも取れるわよ。含みを持たせて、警戒させる為に答えない可能性と、青雉の言ってた通り目的がある場合が考えられるもの」
「やりにくいな。本当に、麦藁の一味は女達がブレーンとして働き過ぎだろ」
「船長達がまだ歳若い少年達だもの」
彼らはまだ、守られているべき年齢である。江戸時代とか、昭和初期に生まれた人達は違うだろうけど、昭和中期から後期、もしくは平成に産まれた人達は高校進学率が98パーセントであり、その先に進学する人も半数を超えていて、これは年々割合が増え続けていると聞いていた。
つまり、中卒で就職するのは全体の1パーセントに満たず、高卒でさえ40パーセントに欠ける現代において考えたならば、ルフィは19歳なのだから普通に学生である可能性が高い。それもルフィが苦学生やってるなんて想像は出来ない事を考えたら、普通にやっていてアルバイトが精々な所だろう。
そこまで考えた時、あちらで学生を終えていた私と、こちらで考古学者の資格を得たロビンが幼いクルーを知識面でカバーするのは当然と言えると思った。なので私は、青雉が何を言いたいのかが分からない。
「自分の男を甘やかして、何も出来ないねんねにするのが趣味か?」
「失礼ね。ルフィは船長として1番大切な軸をしっかりと持ってるし、間違いなく良い男よ。できないところがあるのは人間である以上誰でも当然なんだから、支え合うのは当たり前の事だわ」
「……なら、どうして今、この場にいないんだろうな?」
その言葉に答えるより早く、青雉が私をベッドに押さえ込んだ。それも、氷で。
口の中に氷が差し込まれて、話す事を封じられてしまえば厄介としか言えない。しかも、何も無い空間から氷を出すのではなく、何かしら元があって氷にしているのを知ってるから、下手に噛み砕く事さえできないでいる。
「賢いな。口に入れてある氷の芯は、錠剤型の媚薬だ。下手に噛み砕くと楽しい事になる」
最低である。つまりそれは、このまま溶けるのを待っていても、溶ける時にはその成分が取り込まれる事を意味しているのも間違いない。
「ミニスカートだから、すぐ下着に触れられるな」
「んんぅ!?」
嫌がって身悶えようにも、氷とは案外強度を自在に変えられるので、下手な金属より強い事もある。それを用いて、ベッドに固定してるのだから厄介としか言えない。
常人では考えられない程に怪力なこの身体も、流石にベッドを四肢のひとつで破壊するには至らない。どうしたらいいんだろう。
冷たいと言うより痛い。これ、早くどうにかしないと、凍傷になるんじゃないかな。
「この期に及んで冷静な判断能力を残してる辺りが、可愛くねェな。……ニコ・ロビン仕込みか?と、いつまでも騙されてはいねェが……ニコ・ロビンの執着は本物だから判断に困る」
そりゃ、ロビンと私は大親友だもの。当然でしょと思う。
思うけど、口は開いたまま動かせないので黙ってる。そんな私を眺めてから、青雉はギシッとスプリングを軋ませて私の上に覆い被さるようにしたかと思うと、着ていたワンピースを剥ぎ取った。
首の後ろで紐を結ぶタイプのワンピースだったから、解かれて身体を起こされれば脱げてしまう。身体で1番胴回りの太い部分が胸だから、胸を抜ければ自然と落下する。
下着姿にされてしまえば、その先は何をしようとしてるのかなんて、聞くまでもない。でも、ロビンが皆に報せてくれる筈。
「このグラン・テゾーロは黄金の能力者が作った金でできている。悪魔の実の能力が覚醒している相手だから、金に攻撃を仕掛けると自動的に地下牢行きになる」
突然語り出す青雉を見詰めれば、手首の氷がスっと消えた。代わりに、今まで着ていたワンピースが巻き付けられてしまう。
これでは、下手に抵抗できない。服が無くなれば、流石に表に飛び出す事は出来なくなるもの。
「それをニコ・ロビンは分かっている。その上、どの部屋にいるのかは金が妨害して分からない。これは、見聞色の覇気を阻害するように作られているからな」
理解できてしまった。つまり、私に助けは来ないと言う事。
でも、そんなの、困る……!!
自力で逃げろと言われるかも知れないけど、それは物理的に不可能。通常の男女でも女が男を倒して逃げるのは基本的には、不可能なのだから。
筋肉でも、戦闘能力でも、私が青雉に勝てるとは到底思えない。頭だけなら勝てる可能性もあるけど、でも……。
「……この二年で、随分と成長したじゃない。いい女には、優しくするよ」
その視線が明らかに胸を見ていて、成長って胸の事!?と内心で叫びそうになる。そんな状態でも、氷によりくぐもった声が出るばかり。
自分の情けなさに、泣きたくなって来た。そんな自分が恥ずかしくて、羞恥に身体が火照る。
「泣くのは、弱さじゃねェぞ」
突然の言葉に唖然となる。嫌悪感をどれ程抱いていても、気が付いた時には手に巻き付けてあるワンピースの他は全て剥かれていて……抵抗の仕方も誘惑する余裕もない。
乱暴に己の衣服を脱ぎ捨てた青雉は、露になった私の両足を強引に広げ、閉じられないようにか自分の身体を捩じ込んでくる。せめて口にある氷を吐き捨てられたらと思うのに、この氷……歯に張り付けられてて……首を動かしても無駄。
勝手に溶けた液体は出せるだけ出してるけど、味的に見ても媚薬の効果がちゃんとあるから、吐き出せた量と摂取した量は多分同じくらいある。氷という冷やす要素を使っていて効果は出にくくなってる筈だけど、少しずつ投与されるそれは身体が一番吸収しやすい事も意味してるのよね。
「そろそろ薬も効いてきたでしょ。……まァ、これ迄に相手した男の数とサイズ考えたらいらねェ心配かもだけど……ナミは、恋人以外は受け入れたくないってタイプだから仕方ねェでしょう」
その言葉により、氷で媚薬を入れてたのはちゃんと確信犯だと理解する。溶けた水を捨てる為に首を横に向けようとしたのに、その顎を抑えられてしまう。
氷の溶けた水が氷に触れる事で、氷を速度を早めて溶かす。刻一刻と、口内に媚薬の水が溜まって行く。
「いい子に飲みなさいな。それでも、体格差考えたらデカいんだから」
嫌だと暴れようとしたら小首を傾げた青雉。そう言えば……この人、今、何してんの?
海兵では無くなったなら、もしや、海賊?
ゾワッと全身の毛が逆立つのを感じた。自分も海賊なのに、海賊が相手だと思うとどうしても嫌悪感が出てしまう。
これまでにも何人もに性的に触れられて来て、その大半は望んでない相手だった。だけど仲間や家族相手なら、こうはならないのに……!
そうして考えてみれば、ルフィも、エースは元々弟枠だったし、白髭海賊団の人達はエースの家族。ゾロとサンジ君は仲間だわ。
ロシーとローちゃんは最初覚えてなかったけど、でも、やっぱり何処かで弟枠だった。ドフィの時は本当に覚えてなくて、だから、嫌だったのよね。
でも、ミホークはその前に少し仲良くなってたから海賊だからって言う嫌悪感は無かった。レイリーはルフィの師匠だし……そう考えると、海賊だからって嫌だと思ったのは……シキと、クロコダイルで、でもどちらも犯しては来てない。
シャンクスとベックは、兄であり師匠で……だから、嫌悪感より哀しみが強かった。勝手に裏切られたように感じてたわ。
なら、青雉は?
元々は正義を掲げる、海軍に所属していたし……その中においては、まともな部類の海兵だと思ってた。なのになんで、こんなに嫌なの。
きっと、見え隠れする海賊らしい要素と、何かを企むというか決意しちゃってる空気。目的の為なら何を犠牲にする事も厭わない、過去の私を彷彿とさせる空気感もあるわね。
何より、私が嫌いな海賊の気配を感じてしまう。そこが問題で、鳥肌とサブイボが出てるんだとしか考えられない。
「あらら……俺、女の子にこんな反応されたの初めてよ?そんなに、嫌?」
当然でしょ!?と叫びそうになり口内の水分が気管に入りかける。身体が生存本能でそれを飲み込み、それでも咳き込めばあらら……なんて他人事な声が聞こえて来た。
そうして私の呼吸が落ち着くのを待って、青雉は私の秘部に指を押し込んで来る。ピリッと痺れのような波紋が爪先から頭まで伝播して、仰け反った喉に掠れた悲鳴が絡む。
最初は不快でしか無かったヒヤリとしたその指が、攪拌するような動きの中で暖まり、身体が反応を始めてしまう。隠微な水の音が奏でられれば、己の舌を噛みちぎりたくなるのに氷が邪魔でそれさえできない。
羞恥と屈辱に目を閉じれば、ルフィの顔が浮かんだ。瞬間的に身のうちに今朝までしていたルフィのそれを思い出し、快感との再会を悦ぶように綻んでいく。
「や……ぅ……だぁ……」
「諦めなさいな。暴れられない場所で俺が何も出来ないと油断した……ナミと仲間達が悪い」
上手く喋る事もできないで、せめてもの抵抗で首を振る。髪が枕を叩くけど、それは何の解決にもならない。
官能の味を知ってる身体は、二本目、三本目の指を易々と呑み込んでしまう。中でバラバラに蠢くそれらに、奥にある弱い一点を揉み立てられると腰が抜けたようになって下肢の力が抜けてしまった。
「や……ぁぅ……!」
「漸く、ちゃんと刻めるな。いつも、中途半端と言う可哀想な俺の事少しは考えてくれても良いでしょうに」
可哀想なんかじゃない。やだ、やだっ!
モゲちやえばいいのよ!嫌がる民間人を襲う海兵なんか、滅びろー!!
声にして出せないその言葉の代わりに、脳内で嫌がり続ける。そんな私の口にある氷に青雉が触れたと思ったら、それは何故か水に戻って……。
顎を抑えられれば、顔を傾ける事もできない。飲み込まなければ、窒息死すると分かり身体が勝手にそれを必死に飲み込む。
全て飲み込んだのを確認して顎から手を離した青雉は、1人で納得したような顔をする。本当に、憎たらしい。
「ど、して……突然、水に……」
「ん?能力を解除しただけだ。それより……いい子に飲めたな」
揶揄するようなそれに、泣きたくなる。それは、私の弱さ。
……ルフィ、助けて。ルフィ……。
小刻みに震える身体に反して、内部は熱くなっていく。快楽を望まない心とは裏腹に、早く楽にしてと、中に熱をと求めて疼き始めているのを感じてしまう。
「泣きたければ、泣け。辞めてはやらねェけど、美女の泣き顔は……唆られるもんだな」
その言葉の直後、送られたのは口付け。熱い舌と、太い指で、肌をまさぐるだけではなく内部まで蹂躙される。そして、キスをやめたと思ったら、私の胸に浮き出している小さな尖りへと唇を押し付ける。そのままカリッと甘噛みされた瞬間、内部の脆い部分への同時攻撃をされてしまう。
そうなれば、咥えこんでる指ごと腰が跳ねたのも当然。愉悦と言うには、凄まじ過ぎる刺激が全身を満たしていく。
ついでとばかりに、もう片方を指で摘まれ、あらゆる性感帯が連動して反応しているような鮮烈な感覚に、思考力が吹っ飛んでしまう。何かを言われてる気はするけど、それを認識する余裕が無い。
誘うような低音を乗せた吐息が、首筋を掠めていくだけで悪寒では無い痺れに肌がざわりと粟立って行く。薄目で様子を伺えば、冷静に弄んでると思っていた男が、壮絶なまでの男の色香を発散させ、私への愛撫を続けていた。
埋め込まれた指先は、快感を与え続けて思考を続ける事を許さない。乳首を執拗に弄られるから、考えなきゃいけない事が沢山あるのに声を出さないように耐えるので精一杯。
浮いた腰の為に触れてしまった、氷男とは思えない熱いモノ。巧みな愛撫が施されていくと、逃れられない現実が苦しくて、眦から零れ落ちる滴が止められない。
「あらら……予想より、クルな。こんな、幼い泣き方するんだなァ。……だが、やめねェよ。遅れしか無い俺が、つなぎ止められるとしたら、身体しかないでしょうが」
くっと自嘲するように笑い、青雉は埋め込んでいた指を引き抜くとまるで合わさる視線を恐れるかのように、私の身体を俯せる。結果的に獣のポーズを取らされて、素直に驚いてしまう。
「この方が体格差もあるから、悦くなりやすい」
その言葉と同時に、弛緩と緊張を繰り返すその場所に青雉の切先が触れる。何度となく、こうした熱を幾度となく味わった筈の身体なのに、強ばって門を閉ざそうとしているのも、何となく理解していた。
充分に解された筈だし、身体は薬の影響もあって興奮と期待をしている。なのに、ルフィじゃなきゃ嫌だと騒ぐ私の心に合わせるように、締まる入り口。
「あらら……ヴァージン並だな」
先端だけでグリグリとそこを掻き回し、青雉がちょっとだけ困ったように呟いた。でも、既に心を決めている男は私の腰を片手で易々と抑え、ジリっと挿入を開始する。