巨大な異物が肉の隙間に入り込んで来る感覚は、否応なしに圧迫感を伴う。体格差もあるけど、何より受け入れたくない相手だからだろうと分かる程に、身体が拒んでいる。
ギリッと唇を噛み締めて声を抑えれば、突然青雉の指が強引に唇を割って押し入ってきた。それは、我慢する事に慣れている私から声を引き出す為の行為。
「声を聞かせなさいな。……それと、俺の事は名前で呼べと言ってんのに、なんで賢い筈の宝玉先生が覚えないかね?」
その言葉が苛立ちを呼び起こして、私は無骨な指に歯を立てる。口の中に錆びた鉄のような味が広がっても、それは引いていく気配を見せない。
寧ろクチュクチュと蠢き、敏感な口腔内の粘膜を擽って私の身体を弛緩させようとする。内部への挿入は恐ろしく緩慢で、いっそ痛みだけ与えてくれた方がマシだと思う程に焦れったい。
喜ぶべきか悲しむべきか、私の身体はアーロン達から加えられていた拷問と呼ばれる暴力のせいで、痛みを意識から切り離す事に慣れている。だから、既に身体は勝手に蠢きながら強烈な刺激の中から快感だけを拾い上げようとしていた。
このままジワジワと陶酔の中へと引き込まれてしまうのは、嫌。もっと酷くされて、耐えられなくて泣くならまだしも、望まない相手からの刺激で悦くなるのは耐え難いのだ。
指から逃げる為に顔を動かして、逃げられないなら酷くされようと言葉を紡ぐ。コレで大概動きが激しくなると、レイリーは言っていたもの。
「……この程度の粗チンで、私を満足させられると本気で思ってるの?……奥まで届いてないじゃない」
その瞬間、氷男の名を返上しろと言いたくなる程に熱くなった猛りが、一気に再奥までの距離を詰めて打ち込まれる。刹那、シーツをキツく握った私は、腰を高々と差し上げたまま猫のように背中を仰け反らせて、獣じみた嬌声を放っていた。
「ひっ……!?っ……あぁぁ……っ!ふっ……あっ……あふっ……!!」
容赦のない背後からの突きに合わせて、はっはっと小刻みな息継ぎをする。その度に口の端から漏れた唾液が、涙と一緒に溺れ落ちて妙に上等なリネンの枕カバーを濡らして行く。
今眦から止めどなく伝い落ちるのは、私の弱さ。熱に浮かされて、欲望に暴かれて、両熟される他の選択肢を持たない私の無力さから来る涙。
溜まって行く涙は、どこにこんなに溜め込まれていたのかと思う程流れ続けている。痛みも、苦しみもあるのに、身体は悦びだけを拾ってしまう。
じっとりと汗ばんだ青雉の皮膚の下で、強靭な筋肉が私を蹂躙する為にうねっているのが伝って来る。深い場所を貫き、感じる場所を抉り、ずんと頭まで突き抜ける程の衝撃を打ち込んだかと思うと、すぐさま暑く爛れた粘膜と共に、ずるりと引き抜いていく。
「ひっ……やっ!いやぁぁあァぁ……!!」
突然の空隙に悲鳴を上げて膣を絞れば、再び奥を穿たれる。ピッタリと挟まった結合部分から、どちらのものとも分からぬ粘液がごぽりと溢れて行く。
レイリーの、嘘つき。酷くなるって、痛みじゃないじゃない……!!
そんな事を心中で叫んでも無駄な事。もし当人が居たとしても、勘違いした私を鼻で笑うだけだろう。
そんな風に思考を止めていたら、青雉の声が聞こえて来た。少しばかりの呆れを含んで。
「相変わらず……敏感だな。だと言うのに、良くもまァ……あんな事を言えたもんだ」
敏感な胸の突起は真っ赤に充血し、乱暴な揺さぶりによりシーツで擦られる度に痛い程の快楽を生み出す。それはすぐにも甘やかな波頭となって下肢に伝播して、中に含んだ男芯を急激な収縮で締め付ける。
その身体の生理的な反応により、青雉は低く、けれども小さく呻く。それからお返しとばかりに、パンパンと肉のぶつかり合う音を響かせながら、更に激しい律動を送り込んで来る。
「出遅れ男には、これの他に差を詰める手法が無いんだよ……」
青雉はまるでそれが宿命だと言わんばかりに、全身全霊でもって犯し続ける。それにより、高まるばかりの鼓動。
疾走する血流は、心臓を壊そうとしてるんじゃないかと思わされる程。抽挿は激しさを増して、受け止める事など容易にはできず、ただ乱れに任せる事しか出来ない。
なのに、負けたくないと……強気に睨んでしまう。背後にいるから、睨むのも一苦労だけど。
その刹那、青雉が僅かにたじろいだ。それは、普通ならば有り得ない事。
だって、どう足掻いても勝ち目の無い女が睨んだ所で、本来何の価値も無いもの。なのに何故……?
そんな戸惑いを隠すように、強気に言葉を放つ。この身体は、ルフィにしか触れさせたくないのだから。
「……っ……!……流石、強姦魔には海賊ってお似合いの職業ね。元々、海軍に向いてなかったんじゃない?」
「あらら……壊されたいなら、素直にそう言いなさいよ」
激しさを増す動きに煽られて、呂律は回らなくなる。吐き出す声は、乱れた息に紛れて覚束なく散っていく。
青雉の動きを追って、あさましくのたうつ腰がもう止められない。充血した内部は、貪欲に埋め込まれたものに纏わりついて、より深い場所で悦楽を得ようと好き放題に蠢いている。
こんな望まない性行為で、淫らに感じる自分が情けなくて、痛みとは無縁な涙がこぼれ落ちていく。そんな私の背後で、くっ、と意地悪な笑い声が響いた。
「あらら……泣かせるつもりは無かったが……悦過ぎたか?そんなに腰を振って、中を掻き回されるのが好きだったとは……知らなかった」
腰を高く掲げられていて、腕は縛られていて、でも逃げようと足掻いた事で行為をねだってるように映ったらしい。もう、何をされているのかも分からない程、縦横無尽に動かされてずうんと痺れるような快感が体内から広がって来た。
私は壊れたように喘ぎ続ける。もう、声を抑えてさえいられない。
「やっ……ああっ!も、やぁ……!」
「今止まれる男はいねェよっ!!」
脆い場所を穿たれる度に、蕩けきった粘膜がその内側に捉えている塊に絡み付き、更なる熱と脈動を得ようと咀嚼し貪る。それに呼応して、青雉の猛りもまた弾ける寸前の痙攣を示し始めた。
「中に……出すぞ……!」
ここに出すのだと示すように、教えるように、深い所を突かれる。じん……と、腰骨の奥が戦慄く。
でも、理性がそれを拒む。だって、何処に愛する男以外からのそれを喜ぶ女がいると言うのか。
仕事してる人達だって、それだけは嫌だと思っているのに。どうして、男達はこうして女の意見を聞かないんだろう。
「やっ……嫌よっ!!そんなっ……なかっやぁぁぁ!!」
速まるばかりの抽挿に応える身体は、これが辱めと呼ばれるものだと理解してないらしい。擦れる肉が齎す、淫らで甘い官能に溺れて行く。
「熱いな……ナミの中は……っ!気に入ったぞ」
言葉と同時に一際敏感な場所を抉られ、びりっと強烈な痺れが頭まで貫く。僅かに残っていた筈の思考力が吹き飛ぶ。
じゅぶじゅぶという擬音語を体現するような卑猥な音が響いて、羞恥だけはしっかりと溶けた思考に蘇る。それにより紡ごうとした呪いのような言葉も、甘ったるい喘ぎの中に紛れて意味を成さない。
まるで官能と言う魔物に、内側から浸食されていくようだ。腰が激しくうねり、息が不規則に乱れる。
どこもかしこも尖ったように敏感になって、それを身体の一点に凝縮されていく。弾けた熱い礫が最奥に打ち付けられ、それにすら感じてあられもない嬌声を上げた。
それにより終わるのかと思ったのに、腰の動きが止まる事は無くて、私も達してる途中だから動かないで欲しいのに、それは叶えて貰えない。私から断続的に掠れた声が漏れるのを聞いている青雉は、揶揄うように笑った。
「本当に、良い声で鳴く女だ」
「……ああっ……!る、ふぃ……」
「っとに……憎らしい程に、素直だよな……」
そんな言葉を聞いた気がするけど、腰の動きが止まらないが故に朦朧としていく意識が、それを認識する事を許さない。意識が沈み、目覚めた時には部屋に1人、残されていた。
少し動くとドロリと溢れるそれにより、犯した男達の中で唯一後処理しないで行ったわねと妙な感想を抱く。正直、ナミちゃんの身体じゃ無ければ、これは持たなかっただろうと思う。
まずはとりあえず、薬を飲まなきゃ。そう思って、毒等の有無を確認してからピッチャーの水を使い薬を飲んでおく。
痛みも、宿る可能性のある生命も、今回の望まぬ熱が私に残したもの。ならば、大切な人が作ってくれた薬でそれを断ち切るのは悪い事では無いと思う。
ベッドからシャワーまでの間が汚れるだろうけど、そんなの気にする余裕もない。痛みは引いても、震えている足で必死にバスルームに向かい、シャワーを浴びてから身支度を整える。
バスルームでした事は、あえて割愛させてもらう。そうして部屋から出て見れば、泣きそうな顔をしたロビンが居て……私はその胸に倒れ込むようにして抱き着いた。
「ナミっ!……ごめんなさい、守れなくて……」
「ロビン、ただいま」
泣きそうな声を震わせて、でも、私を抱き締めるその腕は優しい。だから、大丈夫なのだと主張させて貰うわ。
泣かせたくない。大切な、親友だもの。
ロビンは悪くない。悪いのは青雉だけよ。
「ナミ……」
「私、大丈夫だから……。ただ、今夜は、ルフィと過ごしたいな」
「わかったわ。ルフィと同室で用意して貰うから……明日はゆっくり休んでるのよ」
「うん、ありがとう」
ロビンの指先が震えてる。きっと、ロビンは自分を責めていたんだろうと分かるから、私は大丈夫と言って笑うだけじゃなくて、ワガママをいってみた。
そうする事で、きっとロビンは少し安心してくれるから。ロビンをこれ以上悲しませたくないわ。
ねェ……私は本当に大丈夫よ、こんな事、慣れてるもの。ただ、青雉の考えが全く読めなかったのは変な気分だけど。
肌を触れ合わせれば、大概分かるのに。青雉だけは、よく分からないままだったわね。
ホテルのロビーにあるソファまで、ロビンにお姫様抱っこで運ばれたかと思うと、そこに皆が順番に帰って来た。この様子だと、どうやらロビンは皆には連絡しなかったらしいと気付く。
……そっか、建物を破壊したりしたら不味いから教えなかったのね。ウチの三強は皆、耐えるとかしないで破壊しちゃうから。
「ナミ、何かあったか?」
「ウソップ……あのね」
「おう」
心配そうな様子で聞かれたので、思わず素直に答えそうになる。でも、伝えない方がいい事は分かってるから、騙す事に決めた。
ウソップは優しいから、引き止めなかった事を後悔して傷付く。そして、どこに行ったかも分からない青雉を狙撃しようとか考えるに違いないから。
いくら、世間的には〝
「……勝負下着って、売ってると思う?」
「なんで俺に聞くんだよ!?」
「だって……たまにはルフィを誘惑してみようかと思ったから、つい?」
「ナミが名前呼ぶだけで充分だよンなもん!!」
恐るウソップにワザとヨヨヨ……と泣き真似付きで対応する。これだけやれば疑いの余地はなく、いつもの状態にあると思ってくれる筈。
「ウソップから聞いてきたのに……ヒドイ」
「酷くねェよ。……と、誤魔化されてやりたいけどな。本気でこの俺様を誤魔化したいなら、髪……ちゃんと拭いとけ」
「……あせ、かいたの、よ」
「嘘つきレベルが不足してるぞ。嘘つきの王である俺様が、今度直々に指導してやろうか」
どうして、騙せないんだろう。魔女として生きていた時は、騙せてたのに。
どうして、本当に隠し事をしないといけない時に、大切な人達を守る為に使いたい技術が、役に立たないのかな。もし、本当に習えるなら、習ってみようかな……なんて、半ば本気で考える位には……私も弱ってるらしい。
「……お願い、しようかな」
「ばーか」
ウソップは私の半分本気な軽口に困ったように笑って、そっと頭を撫でて来た。こんな時、本当に、ウソップは私の中で〝友達〟なんだなぁって思わされる。
優しくて、弱くて、信頼してるから、頼れない。でも、本当に何かあった時は最初に駆け付けて守ってくれるし、守るだろうって信じられる相手。
「……今夜は、ルフィと過ごすね」
「おー……なら、部屋は三部屋だな」
「へ?」
「ロビンもフランキーとだろ」
その言葉に私は、皆は個室にしても良いわよと笑った。そんな私に、ウソップは随分贅沢だなと笑顔から曇を消し去ってくれる。
話題を無理に明るいものに変える私に、合わせてくれる。こんな所が、ウソップのいい所だろうと思うの。
「ナミさん、風邪引きますよ」
そう言ってショールを掛けてくれたのはブルックで、本当に暖かいなぁと思う。笑顔でお礼を告げたら、ヨホホと笑ってガヤガヤと騒ぎながら帰って来るルフィ達の方へと向かって歩き出す。
それから何かをルフィに耳打ちして、戻って来る。それに合わせるようにルフィ達もこっちに来て、ルフィが私を凝視した。
「ナミ……縮んだか?」
「縮むか!」
「弱ってんな」
「……何処がよ?」
今できる最高の笑顔で誤魔化そうとしたら、ルフィが抱き締めてくる。その温もりに、太陽みたいな匂いに、力が抜けそうになるのを自覚した。
そんな私とルフィを、ゾロとサンジ君がどんな想いで見ているのかなんて、考える余裕もない。ただ、ルフィの背に自分から腕を回したのは間違いない事実。
今は、この温もりから離れたくない。ルフィに、触れていたいの。
「ルフィ」
「どうした?」
「今夜は、同じ部屋にして貰ったから……」
「……そっか、わかった」
ルフィに甘えるように頭を預けたら、髪を梳くように撫でてくれる。それが気持ち良くて、何だか眠くなってしまう。
安心出来るのは、ルフィだから。そして、周りに信じられる仲間が居るからだわ。
「……寝ていいぞ?」
「でも、ルフィと……」
「大丈夫だから、寝てろ……誰にも、ナミを触らせたりしねェからよ」
「ありがとう」
最後のお礼が、音になっていたかは自分では分からない。でも、そのまま意識は沈んで行く。
そうして次に目覚めた時には、ルフィにしっかりと抱き締められた状態でベッドにいて……。頭を動かせば、もうひとつベッドがあるのは理解できた。
そうなるとどうして、眠ってる私を普通に寝かさなかったのか……っ!その時、私は事実に気付いてしまい、顔が赤くなる。
だって、私がルフィの指を掴んでた。服なら脱げるけど、指は取れない。
……私が、ルフィから離れなかったんだわ。どうしよう。
暗い室内で、ルフィに抱き締められたまま顔を赤く染めるしかできない。その上、ルフィの指を離せないでいる。
でも、モゾモゾしてたからか、ルフィが目を覚ます。少し寝惚けた顔で、少しだけ舌っ足らずに。
「ん……ナミ?まだ、寝てろよ。ちゃんと、離れないでそばにいるからよ」
「うん、ありがとう」
「朝になったら、覚えとけよ」
「ふぇ!?」
どういう意味!?と寝惚けてるルフィを見たら、ルフィがそっと私を抱き締めてくれる腕に力を込めて、覚醒した。
「なんだ、ナミ起きたのか?」
「う、ん」
「そっか、なら……始めるか」
「何を?」
「上書き」
その言葉と同時に首に唇を落とされて、身体がビクリと跳ねる。そんな私にルフィは笑うと、ちゃんと忘れさせてやるなんて男前な言葉を口にした。