※この作品はR-18です。

波間の向こうを目指して(新・本編)   作:夢枕 七変化

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紳士的※

 いつまでも脱衣場にいても、何も解決しない。そう思って服を脱ぎ、シャワーを浴びに行く。

 頭からお湯を被って、気持ちを落ち着かせる。クロコダイルなら、多分何もせずに終えられるように考えてくれるわよね。

 クロコダイルは、そういう意味で私に興味は持ってなかった筈。なら、とりあえず大丈夫。

 それより、薬を手に入れるツテを持ってないか聞いてみようかな。蛇の道は蛇ってね。

 どうしたって、クロコダイルの人脈とその経験はやはり絶大なもの。甘える資格はないと知っていても、助けてくれた今なら契約的な話なら乗ってもらえる可能性が高いと思える。

 持ち歩いている化粧ポーチからシャンプー等を取り出して汚れを落とせば、気持ちは落ち着く。ベルメールさんの蜜柑の香りがすると、蜜柑や故郷の皆が守ってくれてるような、そんな気がするの。

 気持ちも落ち着いて綺麗になって、いつもの服装になって脱衣所を出ればソファに居たクロコダイルが首だけ振り向き、眉を寄せた。何だろう?

 

 「……喧嘩売ってんのか」

 「へ?」

 「渇かして来い」

 「……頑張ったのに……」

 「それで?」

 

 これだけ髪の毛が多くて長いのだから、雫が落ちるのはもう、諦めるしかないと思うの。そう思って頷いたら、クロコダイルがその場から消えた。

 驚いてたら真後ろに移動されていて、砂だからそういう事も出来るのだと思い出す。そして、その指先が髪に触れたと思ったら舌打ちしつつ渇かしてくれる。

 

 「ありがとう」

 「……本当に、やりにくい女だな」

 「何が?」

 「……気にするな。気にした所で、お前には何もできねェ」

 

 そう言って今度は徒歩でソファに戻るクロコダイルは、途中でワインボトルを手にして居た。ソファでワインボトルを揺らして、グラスを眺めて何かを考えてるから、注ぐかラッパかを悩んでるのだと気付く。

 その様子がなんか可愛く思えて、ワインボトルを受け取るとグラスに注いであげる。ワインはグラスを置いたまま注ぐ時は、ある程度の勢いをもって注がないと周りに垂れるのだけど、勢いが多いと溢れるから難しい。

 なので基本的にはグラスを手にして注ぐのだ。それとも無ければ、それ用の布巾を用意して周りを汚さないようにするのが定石。

 

 「……手馴れてるな」

 「お金持ちの集まる所は、海賊に狙われやすいでしょ?そういう所で、海賊が来るのを待って、海賊が来たらその船に紛れ込んでお金を得て来たの。ドレスだと動きにくいから、給仕をやる事が多かったのよ」

 「目利きなのは、その時の名残か」

 

 目利きというその言葉が妙に優しくて、不思議に思いながらも頷いておく。そんな私に、クロコダイルは何かを訝しむように見詰めてくる。

 何が気になってるんだろう。そう思ったのは、多分当然の事。

 

 「お前は、呑まないのか」

 「え?……ああ、そんな気分になれないだけよ」

 「そうか……。映像電伝虫がどこに繋がってるか分からねェから、下手に始末できずにいる。……少ししたらベッドに入れ」

 「え?……確認する手段は無いの?」

 「音声は届かないタイプだから、俺の影に入れば何が起きてるか分からねェだろう」

 

 その言葉で、ただ眠るつもりなのだと理解してホッとする。すると、グラスを空にしたクロコダイルが突然その腕を伸ばして来た。

 首の後ろに手を置かれたと思った時には、引き寄せらていてそのまま重なる唇。何が起きてるのかと考えるより早く、その巧みなキスに翻弄されそうになる。

 慣れてるのだと、即座に分かる。女を悦くした方が、自分が楽しめるからなのだとしても、これはある意味誇れるレベル。

 本来ならば抵抗するべきなのだろうと分かるけど、映像電伝虫がいる以上下手な事は出来ないし、何よりそういう関係なのだと見せ付ける意味合いもあるのだろう。そう考えたら、ここは私からも求めて行くべきかな。

 でも、見てるのが誰なのかも分からないのにそんな事をして……ルフィを傷付ける可能性を高めたくない。そう思って戸惑っていたら、クロコダイルがキスの途中で笑った。

 

 「この期に及んで、他人の心配か」

 「なんで、分かったの?」

 「保身を計算してる女の反応じゃねェのに、溺れるでもなく戸惑った。誰かを気遣ったと考えるしかできねェだろうが」

 

 言われてみればその通りで、てもそん事まで読み取れるとは思わなかった。そういう事が妙に得意なのは、ゾロとウソップ。

 ルフィは本能で感じ取るタイプだから、表情から読み取るなんて出来ないもの。サンジ君は頭を使ってそれまでの言動から推理してるタイプになるから、表情から全てを読み取るとも少し違う。

 こう考えると、皆随分違うのだと分かる。それでも、ルフィがそんな事をできたらルフィじゃないから、そんなもの求めはしない。

 ただ、ルフィ以外の男とこうしてる事が分かったら……きっと傷付けてしまう。だから、ルフィには知らないでいて欲しいと願ってしまうの。

 

 「……そう、ね」

 「良い表情をするじゃねェか」

 「え?」

 

 どんな顔をしてるというのかな。私は、ただルフィを思い出していただけなのに。

 保身に走ろうと言う情けなさが出てたのかな。……そう思ってクロコダイルを見詰めれば、ニヤリと笑って言葉を紡いだ。

 

 「悲痛で、悲哀を纏ってるが故に、色気がたれ流されてる。慰めるって名目で貪りたくなるような、良い表情だ」

 「何言っ……んっ!」

 

 突然首に吸いつかれて身体が反応する。それと同時に背中を指が這うように動くから、無意識に背を仰け反らせてしまえば胸を自ら押し付けるような形になってしまう。

 こういう事はしないのだと思っていたのに。その為にベッドへ行けと言ったのではないの?

 問いかけるより早くそのままソファで着ていた物を脱がされてしまえば、ヤダと抵抗したのは不可抗力。でも、脱がせながら全身を愛撫されていた私の身体は、恐ろしく敏感になっていて……。

 

 「濡れてなければ、辞めてやってもいい」

 「ひど……い……。私に、興味なんて、ない癖にっ!」

 「……は?」

 

 本気で何言ってるのか分からないという顔をされて、睨んでた筈の私が混乱する。なんで、こんな顔されてるんだろうと思って見つめてる間に、再び重なる唇。

 そのキスで、想っているのだと伝えられてしまえば混乱するばかり。なんで、だって……そんな訳ない。

 そんな素振りなかったわ。それに、私とは敵としてしか会ってないのよ。

 混乱する私から少しだけ唇を離して、クロコダイルは言う。その美声を少しかすれさせながら。

 

 「どうでもいい女を助けたり、宝石や情報をやる程、俺は女に不自由してねェ」

 「クロコダイル……?」

 「まさか、女だから助けた紳士とでも思ってんのか。サーの称号は爵位さえあれば、正式な貴族枠でなくとも持ってるもんだ」

 「え?」

 「……準貴族も、サーの称号は持っているって事だ」

 

 その言葉で確かにそうだったと思う。武士じゃなくてもその家族なら苗字を持っているのと近い感覚で、家のランクが本来貴族ではない準のそれでもサーの称号は与えられる。

 でも、サーを持つ以上は紳士的な振る舞いをするもんなんじゃないのかな。そう思って見詰めたら、伝わったらしい。

 

 「……馬鹿だな。王族や貴族が全員紳士的な振る舞いをするなら、天竜人の振る舞いはどうなる。俺はお前を気に入ってる。……悪いが」

 

 突然言葉を切ったクロコダイルは、ニヤリと笑って全裸に剥かれた私をベッドへと放り投げた。スプリングでバウンドする私の身体を、体勢を整える前に抑え込むようにクロコダイルは覆いかぶさり、両手を頭上で鉤爪で一纏めにしてしまう。

 文字通り見下ろされて、互いの身体の間を冷たい空気が流れる。なのに、その眼差しは、焼けそうな程に熱い。

 

 「……俺は、据え膳してやる気はねェ。歴とした海賊なもんでな」

 「先に、ベッドへ行けって……言ったじゃない。手を出す気は無かったんでしょ!?」

 「気が変わった。……美味そうなご馳走を目の前に用意されて、食わないのもおかしな話だろ」

 

 その言葉と同時に左足を持ち上げられて、秘部へと唇が寄せられる。そんなのは想定してなかったので、叫び声と共に必死に抵抗してみた。

 でも、力では元々敵う筈が無いし、刺激されて力の抜けた私には抵抗してるフリみたいにしかならない。そんな私の様子になのか、別な理由なのかも分からないけど、クロコダイルがニヒルに笑う。

 その顔を見て、海賊だな……と、なんの捻りもない感想を抱くけど、惚けてる間に膣へと侵入する舌。それにはそれまでの悲鳴とは全く違う、艶のある悲鳴が上がる。

 

 「やっ……ぁ……」

 

 断続的な悲鳴が落ち着く頃には、弱々しい己の声が漏れ出て、それが涙に濡れていて情けなくなる。そんな私を憐れに思ったのか舌が離れて行く。

 そうして私を観察するように眺めていたクロコダイルが、私の足を自らの肩に乗せて内腿にそっとキスをする。それに身体が反応して揺れると、クロコダイルが薄く笑った。

 

 「……いい反応だ。このまま俺のモノになるか」

 「いや、よ。私はルフィのモノなの」

 

 強気に睨み付ければ、クロコダイルは何故か満足そうに笑った。けれどもその直後、微かに震えたのが不思議に思える。

 そうして突然私を凝視したと思うと、納得した様子で頷いた。何だと問い掛けるより早く、クロコダイルが言う。

 

 「覇王色か」

 「へ?」

 「覇王色を持つ奴は、なんでこう皆揃って色気の権化なんだかな……。その為に、それを喰らえる時は、狩猟本能を刺激して、征服欲と支配欲を満たしてくれる。……だから、その礼に狂う程に満たしてやるよ」

 「え、遠慮させて頂きます!」

 「拒否権がある訳ねェだろ」

 

 その言葉と同時に押し込まれる男根に、身体は歓喜する。内壁が絡み付いて、もっともっとと貪欲に飲み込んでいくのが分かってしまう。

 思わず腰を振って逃げようとするけど、両足がその肩に乗せられて強制的に開かれてしまってる今、逃げるなんて出来る筈もない。その証拠に逃げる為に動いたそれは、快楽を呼ぶ事にしかならなくて、声を必死で抑えるしか私には許されていないのだ。

 渇きを与える、濡れる事を嫌がる筈の男から汗が伝い落ちる。その汗が肌に落ちると、それがまた新たな快楽を呼ぶ。

 その壮絶な色気を感じながら、覇王色を持つ者が色気の権化ならば、この男も充分それは満たしているだろうし、ミホークだってその筈だと思う。でも、そんな事を考えてるより先に、もうやめて欲しいと必死で伝えるしか私には出来ない。

 

 「もっ……やめ……!」

 「こんな中途半端で辞められたら、互いに辛いだけだろうに……」

 「やだ……!!」

 

 頭の芯が熱を持っているのを自覚してしまう。嫌がって拒もうとする度に、弱い所を狙って突いたり擦ったりしてきて、なのに熱を放出できない程度に動きを緩めたりしてくる陰険さ。

 それでも、イケ無い方がずっと良かった。それなら、まだ耐えられるから……。

 なのに、自分がつらくなってきたのか、クロコダイルの腰の動きが激しさを増すから、苦しくなるの。それに合わせて頭を必死に振って拒絶の意を伝えてるのだけど、何故か辞めてくれない。

 

 「やぁ……も、やだぁ……!!」

 「素直に快楽に流されちまえっ!」

 「やっ……ぁ……こんな、された……ら……っ!いっちゃ……う……っ!!」

 「煽る才能は、天才的だなっ!!」

 

 そんな妙な言葉を聞いたと思った直後、私の中に埋め込まれている熱塊が肥大した。その衝撃で悲鳴が上がれば、クロコダイルからは息を飲むような声が聞こえて来る。

 肥大化した事でそれまでとは違う刺激が与えられ、それも強くなってしまった事で背が弓形に反ろうとするけど、足と手が固定されていてそれさえ上手くいかない。身体が反応して動く事で、また弱い所が刺激されて目の前がチカチカと点滅するような気がしてしまう。

 はっはっと浅く呼吸を繰り返すけど、その合間に抑えきれなかった喘ぎ声が自分の耳に届く。そうしている内に中に熱いモノが放たれれば、漸く終わったかと身体から力が抜ける。

 けれどもその瞬間に最奥を一突きされてしまえば、私の身体も限界に達してしまう。そうして強く締め付ければそれを気に入ったのか、まだイッてる途中なのに中をぐちゃぐちゃに掻き回されて辞めて欲しいと哀願させられる程。

 

 「ぁ……やぁ……!おねが、も、やぁ……だっ!いまっイッ……てるか……らぁっ」

 「ああ、良い締め付けだっ!!」

 「やっ……やだァ……!!」

 「身体は妖艶で淫乱、頭脳は天才、なのに言動は幼く……性格は甘い。こんな都合のいい女、求めない方がどうかしている。何も考えずに、今は快楽に溺れろ……ナミ」

 「きゃぁぁぁ!!」

 

 イッてる途中でまたイかされて、中は痙攣しながらも大喜びでクロコダイルに絡み付き締め付ける。それによりクロコダイルもまた、私の中に己の欲を発射していく。

 接続部分からぐちゃぐちゃと卑猥な音が響いて、抜き差しされるそれに合わせてどちらのものともつかない粘液が溢れ出る。それが後ろの穴を濡らしながらシーツを濡らしていくから、汗だけでは無いそれにより湿る範囲は恐ろしく広がって行くばかり。

 幾度と無く達して、放たれて、もうイキたくないと涙ながらに訴えたけど、クロコダイルは可愛いお強請りだと腰の動きを加速させるばかり。意識を奪わないギリギリの範囲で緩急をつけて、イキっ放しになるそれを経験させてやるなんて嘯く。

 それにイヤイヤと首を横に振るけど、それにより髪が枕を叩く他の効果は見受けられない。苦しくて、泣き出してしまう私にそっと贈られたキスは、紳士然とした様子や態度からは想像もつかなかった激しいもの。

 話してる時の雰囲気がベックと近い気がしていたのに、実際はベックとは全く違う荒れ狂う獣のような男がそこにはいた。壊れるなんて甘いと言う他ない程に、全身の血液が沸騰しそうな衝撃に襲われ続けて、心臓が限界を迎えたのか、血圧が上がりすぎたのか、目の前が暗くなってしまうまで抜かれる事も無く犯され続けてしまう。

 私とクロコダイルのコレは、映像電伝虫を通じて誰かに見られている筈で、その事に羞恥心を抱くべきなんだろうけど、そんな事よりも情けなさが強い。それにより泣きそうになる私は、なんと滑稽なのだろうか。

 なのに、脳裏では明日声出るかなとか、動けるかなとか、そんな事ばかりが過ぎるのだから慣れとは恐ろしいもの。紳士的な様相とは異なる内面に燻る欲望をぶつけられながら、早くルフィの所に帰りたいと願うばかり。

 意識を失う直前に、ルフィの名を呼んだ気がするけど……音にはなっていないだろう。ただ、甘やかすように頭を撫でたその手が誰のものだったのか、それが私には理解できていない。

 こうして終わらない夜は幕を閉じた。結局どれ程の期間、そうして揺さぶられていたのかは不明である。

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