ゾロを解放して欲しければショーに出ろとテゾーロは言っていたから、その件かな。実際、ショーだと言うなら2~3曲は演奏披露した方が良いのか、それとも1曲でいいのかも気になる。
演奏はして貰えるのか、自分で演奏するべきなのか。とか、どちらにしても私も演奏する必要があるのかなどを含め、用意してもらえると楽器の種類や希望する曲調やら気になる事は多い。
「クロコダイル、ありがとう」
「俺は仲介しただけだ」
「あら、そっちじゃないわ」
ルフィなら、殴りかかっていた。シャンクスやミホークなら切っていただろう。
ドフィなら操り、弄んだだろうと思う。ベックはスマートに私を引き剥がして庇った可能性が高いわ。
でも、意味が本気で分からないらしいクロコダイルは珍しく素直に首を傾げる。そんな様子がなんだか可愛く見えた時点で、海賊達に毒されてると思うのよね。
「ん?」
「目の前で手を出した男なのに、始末しないでいてくれたでしよ?」
撓垂れ掛かるようにしてクロコダイルに言葉を向ければ、テゾーロの方へと視線を向けてからにんまりと笑う。そして、当然のように私を抱き寄せて触れる程度のキスをして来るから本当に慣れてるわーと内心で思いながら、少し不満そうに見詰めておく。
「経験値上げるのに使えるかと思ったが……不満だったか」
「あの猫は、大き過ぎて飼うには向かないもの。私……ペットは、可愛い方がいいの」
「なるほど、ならもう少し遊んでいても許してやる」
「そういうところ、好きよ」
正直こんな返答、ナミちゃんの肉体で無ければできない。でも、今回の長くなってきた人生においてはこれが役立つ。
元のスペックを考えれば、これくらい出来なければ寧ろ不味い。たから妖艶な笑みを浮かべて、そのままクロコダイルから距離を取る。
自衛もできる上に、お預けしたように装える。ありがとう、レイリー先生の指導が活きてます!
そんな事を思いながら、先程からクロコダイルが呑んでいたボトルを奪い取り口にする。その様子にクロコダイルは何かを納得したのか、酒を数本とグラス、そして氷を注文した。
それを眺めていたら、届けられたグラスに氷を交互に入れると同じ瓶の酒をそれぞれに注ぎ、私にグラスを選ぶように顎で示す。その行動で、私がクロコダイルの口にしたものでなければ危険と判断してるのだとバレたらしい事に気付く。
どうしてこの世界の男達は、無駄に勘が良いのだろう。そんな事を思いながらもグラスを手に取れば、クロコダイルは残りを手にして、軽くグラスを触れ合わせて鳴らした後でそれを先に口にした。
「それで、なんの用で来た」
疑問符すら付けずに、グラスの用意も酒を勧める事さえ無しに、クロコダイルは足を組み偉そうにふんぞり返った状態で問い掛ける。この男……色々な意味で強い。
立場としては、客ではあるが……。世界政府を味方にしている男であり、億万長者様相手にと考えると異様ではあるだろう。
「わかっていると思うが、俺の能力では貴様の能力は無意味だ。寧ろ……俺を殺せるのも、従えられるのも、ナミだけだ」
そう言って演技続行中のクロコダイルは、当然のように私の髪を手にしてキスをする。本当に扱いに困る男だわ。
そんなクロコダイルにテゾーロは分かっていますとばかりに頷いて、人を指先ひとつで呼び、鞄から書類を取り出した。どうやら、本気でビジネスの話をするらしい。
そのまま当然のように、ステージに関する話が進められていく。ライトの数、向き、ステージの気温。
伴奏等をしてくれるスタッフの必要性や、必要な曲目に関する注意点。そして、ステージ衣装の話になった時に突如、それ迄沈黙を保っていたクロコダイルが口を開いた。
「品位を疑う様なものにはしてくれるなよ。コレは、世界各地の名だたる海賊達と海軍将校が求める女だ。……一斉砲火は浴びたくねェだろう」
「……勿論でございますよ。その証人として、お客人もいらしてますから」
「客?」
「不思議な事に、サーの女ではないと言って、乗り込んで来たのですよ。有名な海賊団の方々が」
その言葉で、嫌な予感がした。だって、あの時新聞で騒いだ面々の中で〝海賊団〟と呼べたのは二人だけ。
その片方は現在投獄中なのだから、残るのは……シャンクス達だけ。どうしたら良いの?
あの時騒がなかったメンバーとして考えても、それは白髭海賊団に属している訳だから、解散した今彼等を有名な海賊団とは呼ばないだろう。だとするなら、間違いなくシャンクス達と言う事になる。
「その言い分を簡単に聞き入れる事はできない為に、彼等には昨夜のお二人の様子を見て頂いておりました」
思考が、止まる。これは、見ていたのがルフィ達じゃなくて良かったと思うべきか、それともどうなのか。
嫌な汗が流れた気がした。ベックはこういう時、抑える側に回ってくれるのか微妙であるのもまた、怖い理由かも知れない。
それでも、この件に関して弱味として見せるのは得策じゃない。ならば、強気に笑ってみせるわ。
「彼等は私にしてみたら兄でしかないわ。全く、過保護過ぎて困っちゃう」
「左様でございましたか。その海賊団の船長から、スパンコールドレスにするよう指示は受けておりますので、品位を落とす事にはならないかと」
「そう……。ところで、私が所属してる海賊団のメンバーはどうしてるの?」
「景品たる〝ロロノア・ゾロ〟を除きましては、皆様街の見学に行かれたりと自由にお過ごしです。カジノで勝ったそれがございますので、お引き留めする理由は無いかと」
自由に遊べと言われて、ルフィは皆に誘われるまま遊び、大人組が思考を巡らせてるのだろう。あまり落ち込みすぎないように、取り戻そうと突っ込むのを防ぎながら、解決策を模索してるのは想像にかたくない。
ロビンと早く連絡を取り合いたいけど、今は無理ね。下手な事をしたら、皆が危険に晒されてしまうもの。
ならば、ショーについて話を進めるべき。必要ならばそのショーを理由に会えばいい。
「……私はゲストになるのよね」
「さようです」
「なら、彼等はゲストの招待客として席を用意して」
「……かしこまりました。それでは、告知やチケットの販売期間も必要ですので、三日後……お迎えに伺います。それまではどうぞ、お客様の所へ」
その言葉と同時に開かれた扉。視線を向ければ心配そうなベックとヤソップ、怒ってる様子のシャンクスを押さえ付けているモンスターとルーが見えた。
思わず駆け出して、迷わずライムジュースに抱きつけばサングラスで隠れた目元が緩んだのを感じた。見えなくても、抱き締めてくれる腕と、頭を撫でてくれる掌が全てを伝えてくれる。
慈しむような撫で方が、見た筈の彼から齎されている事に対する奇跡を痛感させられる。それくらい分かりやすく、ライムジュースは私を甘やかしてくれていた。
だからこそ私も全力で甘えてしまう。それに頬を緩ませて甘受してくれるライムジュースは、相変わらず優しい。
「会いたかった……」
「ナミ、無事で良かった。お頭は放置していいから、俺達に用意された部屋に行くぞ」
「うんっ!」
思いっきり子供に返って言った私の言葉に、無言のまま拒絶しているかのように引き剥がして自分の腕に閉じ込めたのはガブだった。その容姿故に怖がられやすいけど、シャンクスがしつこい時に匿ってくれたりする優しい人なのだ。
前に皆に会った時は、シャンクスに閉じ込められてたようなもので、皆に会えなかったから……本当に嬉しい。甘えるようにそのお腹辺りにグリグリと頭を擦り付けると、抱き締めてる腕が少しだけ震えた。
「……擽ったい?」
嫌だったかなと思って慌てて顔をあげたら、頭を撫でながら笑ってくれるガブに許されたのだと理解して頭を預け直す。そんな穏やかな時間は、シャンクスが騒ぐ事で長くは続かなかったけど。
「俺にっ!飛びつけよっ!なんでナミはいつも、俺にだけは飛びつかないんだ!?」
「……そのまま、監禁されそうな気がするから」
「違いねェな」
私の言葉に耐えきれないとばかりに笑いだしたのはホンゴウで、シャンクスはそれを気に入らないとばかりに睨むけどモンスターにベシベシと殴られて意識がそちらに向く。そんな皆の変わらない様子にホッとしたら、膝が笑い出す。
その衝動に耐えきれず、その場で崩れ落ちそうになった私を即座にガブが抱えてくれて、そのまま歩き出すからその胸に身体を預けてしまった。少ししてからクロコダイルに別れの挨拶してないと気付いたけど、もうどうにもならない。
部屋に到着したら、そこはリビングのような場所らしく、その奥にいくつかの部屋へと通じる扉があるのだと分かった。つまり、フロアで借りてるらしい。
でも、幹部じゃない皆の姿が無い。部屋にいるのかな?
「幹部以下は適当に遊びに行ってる。部屋は俺達の分だけだ。……昨夜のそれを見てたのもな」
スネイクの言葉で肩がびくりと揺れる。そんな私を庇うようにガブが抱く腕に力を込めてくれて、でも、甘えてばかりも居られない事は分かってるのよ。
無駄な心配をかけてしまったのだろう。そうじゃないなら、彼等が約束もあるのにここにいる筈はない。
「心配かけて、ごめんなさい」
「嵌められたみたいだな」
「うん。でも、私が身体で返せば良いって事で話は纏まったのよ」
言葉を口にした瞬間に、皆が息を飲み凍り付いた。そして、幹部の皆の制止を無視してシャンクスは私を奪い取るようにして奥にある部屋へと連れて行く。
シャンクスが何を怒ってるのか分からず、謝罪に何か変な所があったかと考えるけど答えは見えない。慌てて声をかけようにも、覇王色の覇気とは違うその雰囲気に呑まれて声が出せないでいる。
慌てて皆の方を振り向くけど、無言でシャンクスを見送る体勢に入ってるのを確認してしまえば、自分でどうにかするしかないんだなぁと思い知らされるばかり。どうしたって彼等は、シャンクスのクルーなのだからそこは仕方無い。
それにしても……本当に、なんで突然怒ってるんだろう。シャンクスは小魚料理嫌いじゃない筈なのに、カルシウム不足なのかしら。
部屋に入ってドアが締められると、途端に不安になる。ベッドに捨てられるように落とされると、不安を隠せずに見上げてしまうけど、その瞬間シャンクスが息を飲んだ。
「……ナミ」
「なぁに?」
「その、不安そうな、幼い顔は……計算か」
「ほぇ?」
重苦しい空気と声で、なんか変な事言われた。無駄にカッコいいのは何なのか。
あれか、尾田っちマジックなのかな。でも、設定とかは彼が作ったのだとしても、この世界で生きてるのはシャンクス自身なのだからそれもまた違うのかも知れない。
「……兄貴に戻されそうになる。ナミお前、それは狡いだろ」
「何が?……というか、なんで怒ってたの?」
「……身体で返すって……言ったよな」
「うん。三日後にステージで「ステージで!?あの金ピカ野郎今すぐもぎ取ってやる!」などの三曲を披露する予定なの」
途中シャンクスの言葉と重なってしまったけど、シャンクス何言ってたんだろう?
シャンクスも私を見て、何言ってんだって顔になってる。どうやら、双方よく聞こえてなかったらしい。
「ステージで、何するって?」
「だから、歌うのよ。三曲」
「……誰が」
「私に決まってるでしょ」
「何を」
「一応候補は出して二曲は決めてもらうように話したけど……一曲は嫌味込めて歌う予定なのよね。……ケケケ」
原作ならばしないであろう笑い方をしてみれば、シャンクスが気の抜けたような顔をしてからその場でどかりと腰を下ろした。怒りも霧散した様子で、本当に良かったわ。
頭をかいて少し困った様子で、深々と落とす溜息にどうしたのかなとは思うけど、よくわかないけど怒りが落ち着いたなら良かったと思う。そのまま当然の事として、ベッドを降りようとしたらそのまま背後を取られる形で、ベッドに押し潰されてしまった。
何がしたいのかとシャンクスの方へと顔を向けようとしたけど、それよりも早く首に唇が触れれば動けなくなる。身体が、ビクリと反応してしえばシャンクスが後ろで笑ったのが分かってしまう。
振り向くのを断念して逃げようとするけど、男相手ってだけでどうにもならないのに、シャンクスが相手では勝ち目も何もある筈がない。器用に着ていた物を脱がせながら、肩に、背中にとキスが落とされて行く。
ヤダヤダと腕を前に伸ばして逃げようとするけど、そうすることで開いた脇に手が来て擽られてしまえば、ヒャッと言って腕を戻したのも当然の行動。そうしてる間にも、背中の所でビキニの紐が解かれてしまう。
「やっ……ぁ……だめっ!」
「普通は、身体で払うってのは、こういう意味だ」
「違ったんだから、良いじゃないっ!」
身体中に落とされるキス。その刺激に耐えながら睨み付けた私に、シャンクスが揶揄うような声と視線を向けて来た。
辞める気は無いのだと告げられた気がして、私の頭は妙に冷えていく。冷たい視線で怒りを抑え込む形で必死で感情的にならないようにするけど、シャンクスは意に介さない。
「俺達への交通費だ」
「……なに、赤髪の皆に抱かれろって言いたいの?」
低く問かければ、シャンクスが笑う。その間も背中や腰に指や唇が触れて、刺激を与える事を辞めてはくれないけど。
ここでもし、頷いてくれたら嫌いに慣れるのに。シャンクスが私の言葉に頷く事は無かった。
「まさか……代表者の俺にだけ支払えばいい。それと、お仕置だ」
「なんっ……やだっ……ぁ……!」
何のお仕置だと言いたいのかと言おうとしたのに、背後から割れ目にそって侵入して来た指が、敏感な突起に触れる。途中で湿っていたそれを指に纏わせてたから、ただ快楽だけが突然襲って来た形になってしまう。
「腰を上げろ。……できるな」
「やっ……!」
「なら、俺が持ち上げるしかないな」
そう言って紐を解いて産まれたままの姿にしたと思うと、両手で私の身体を持ち上げて、舌で唇で、私の敏感なその芽を吸い上げるようにして舐める。そんな刺激に耐えられる筈もなく、悲鳴のような喘ぎが唇から飛び出してしまう。
腰を降ろせばもっとと強請ってるようになってしまうし、自力で浮かせればシャンクスが舐めたり弄ったりをしやすくなる。どちらに転んでも、いい事がない。
「やっ……やぁだっ!あっ……あぁ……!!」
「ナミが、素直に腰をあげなかったから、手が使えない分口しかねェのは当然だろ。自業自得だ」
「やめ、て……!!も、やだぁ!!」
「なら、仕方ねェな」
そう言って顔を離してくれたのは、私が達する直前。それをわかって離れたとしか思えないタイミング。
けれども、解放された事で少し力が抜けてホッと息を吐いたら、背後で衣擦れの音が聞こえて来た。女の穴がひくつくのを感じながら、それでも距離を取ろうとしつつシャンクスを見ればちょうど脱いだところらしい肉体美が姿を見せている。
こうなっては制止なんて聞いてくれる筈も無い。でも、無意味に搾取されるなんて嫌なの。
「……ねぇ、シャンクス」
「ん?」
「お風呂、入って来たい。……他の男の臭い、残ってたら嫌でしょ」
シャンクスは独占欲が強い。それをわかっていて問い掛ける。
どうしたら逃げられるかなんて事より、とりあえず時間を稼ぐ事に専念してみる。私は、ルフィの元へ早く戻らなければならないのだから。
そんな私の思考を知らず、シャンクスは溜息と共に言葉を向けて来る。それは、私の意思を尊重してくれる言葉。
「…………仕方ねェな。急げよ」
「嫌よ。ゆっくり楽しんでくるわ」
そう言って笑いながらお風呂場へと逃げる。勿論全裸でどこかへ逃げるのは無理だけど、次にシャンクスが入る時に隙見て赤髪の皆がいる所へ逃げるくらいならできるんじゃないかな。
そう思ったら気が楽になって、私は常備でお湯が張られてるらしい浴槽を見詰めてから、シャワーへと手を伸ばした。折角入れるなら、楽しまなくちゃとそんな事を思いながら。