シャワーを浴びに飛び込んで、頭からお湯を被ったつもりが間違えて水を被ってしまった私は、お陰で冷静になれた。……うん、とりあえず、今は普通にシャワー浴びてしまおう。
ルフィが入れないように鍵はしてあるから、そのまま寝ちゃえばいいのよ。鍵を破壊してまでは、ルフィだって入っては来ない筈だもの。
一人で頷いてのんびりとシャワーを楽しむ。そうしている間に溜まったお湯の中へと身を沈めれば、身体の緊張が解けるのを自覚する。
「ほぁー……」
力が抜けるのと同時に変な声が出た。けど、誰に聞かれてるでもなし、気持ちー……と気を抜いて行く。
お風呂で気を抜いて何が悪いと言うのか。身も心も今は自由である。
「いっい、ゆっだーなっ!」
と、鼻歌で歌い出して……誰の何て曲だっけと思う。そして、やっぱりサニーのお風呂には遠く及ばないわねと何も見えない壁に視線を向けるだけで、少し気持ちが落ちて行くのを感じる。
アハハンとか歌ってる場合じゃないわね。そう思って気持ちが落ちすぎないように、蜜柑の皮を浴槽に入れる。
蜜柑の皮から香りもするし、皮に含まれる成分に油分解効果がある為、汗や皮脂汚れを落としてくれるのだ。それにより汗をかきやすくなり、不要な物を排出しやすくなる事で痩せやすくもなると言うスグレモノ。
何より蜜柑の香りはリラックス効果があるのに、化粧品とは違い爽やかな香りである為に体調を崩す人が少ないのだ。ついでに、お風呂で失われる筈のビタミンを補給してくれて、とりあえず必要な成分を身体から失わないでいられる程度の効果はある。
「流石はベルメールさんの蜜柑ね。効果が高いわ」
一人で満足しながら頷き、軋む身体を揉みほぐす。明日、動けないとかってなったら困るのは目に見えてるもの。
当日はルフィとフランキーだけ別行動だけど、私達が無事に目的地に辿り着き……予定通りにできれば……戦えるようになる。今のままだと皆戦いにならないから、まずは戦えるようにしてゾロを助け出さなきゃ。
策戦を実行して、成功してもそこで終わりじゃない。そこから戦いになるのは目に見えてるから、だから……疲れも迷いも、戸惑いだって残してはおけないわ。
やるべき事は多いんだから、確実に……って、そう言えばなんでロブルッチはこの船にいたんだろう。声を掛けたからって瞬間移動ができる訳もなし。
……何か、用事があって来ていたのかな。だとするなら、今のルッチの立ち位置は何だろう。
二年前のあの日……CP9は壊滅した。ロビンを誘拐した結果起きた様々な責任を全て、擦り付けられたと聞いているわ。
なら、彼等が存在を失った部署にいるとは思えない。だからって落ちぶれていたなら、天竜人との繋ぎになれる筈もな……待って、天竜人に直接交渉したりできるのだとするなら、彼等は今……。
「CP0……?」
1~8とは格の違う0であるなら、話は早い。天竜人への奉納金も、確か彼等が集めて持ち帰ってた筈よ。
そうだとするなら、そのお金を集金に来た……と、考えるのが妥当。それを届けるついでに私の求めた物を手に入れて、送って来る可能性が高いわね。
なら、薬が手に入るのにそれ程時間はかからないと思う。何より、直接サニーへと届けて貰えるだろうと分かれば無理にここで待機する理由も無い。
そんな事を考えながらお風呂を出て髪を絞る。私に触れた相手の臭いが全て消えて、ホッと息を吐きつつソファに腰を降ろした。
この先の予定としては、ルフィには知らせてないけど、ルフィが本軸になる。私達は目立ちつつ、目立たないように先へ進む必要があるだけ。
なら、派手な衣装を私達は身に付けて、でも、ルフィには動きやすさ重視でと考えれば今日用意した衣装は最適の筈。内部の地図は無いから、脳内シュミレーションもなかなかに難しい。
HOTELにあるハイパースイートエリア。そこにある黄金の天空ドームに、五千億ベリーがある……と、名目上はなっている。
床、壁、天井の全てが分厚い黄金でできていて、侵入は不可能。破壊しようとすれば、その衝撃は即座に覚醒している能力者であるテゾーロに伝わってしまう。
つまり、眩しいとか、趣味悪いとか思っていたこの船の装飾は全て、自分の能力を最大限に引き出し利用する為の物。それは即ち、嵐の中での海戦にでもならなければ、彼に負けなんてほぼ有り得ないって事になる。
高波が能力を含んだ金を能力の含まれない金へと変える他は、やり方がない。つまり、魚人が相手なら簡単に負ける事がテゾーロの弱みと言えるのだが……今の所、この船は誰かに攻められる事がないように、公的に護られているので無敵。
とりあえず名目的にはお宝のある場所、そこに宝がないのはわかってるけど、そこへ向かうには私達が別れて行動する必要がある。その為にルフィとフランキーが、ホテルの外壁を登って上層階へ行き、時計部分から侵入してコントールルームへと移動。
そこの上にいるホスト電伝虫を操作して、螺旋階段内部の映像だけを一時的に停止する。……と言うのがルフィに伝えてある作戦。
実際はそこの真下にある金の牢獄の中からしか行けない、地下にあるバルブの操作が重要で、海水を噴水のように船全体に降り注がせる事で金を無効化する事が重要。それでもそっちが本命だと気付かせない為にも、そして万が一の時にはゾロを守る為にも、私達も進む必要がある。
その際にルフィが成功する鍵として、全てを理解していて上手くサポートできる人という事で、船の操作や科学的な事に精通してるフランキーの同行が必要。私達の方は、カジノフロアからエレベーターを使いVIPカジノへ向かい、ハイパースイートエリアに侵入する予定。
ここはカリーナに、その全てがかかってると言っても過言じゃ無い。問題はその先、螺旋階段へ向かう道には何か仕掛けがある筈だし、その先には警備がいるわ。
警備の突破はサンジ君がいるから問題無いとしても、その先の一本道を通り、螺旋階段に到着したら……そこからは追っ手の迫る中でそれを駆け上がる必要があるのよね。何も知らないルフィが解決するのに必要な時間と、表向き騙されてるのに必死な私達を演じなければならない。
だから……ただ必死にゾロを取り戻しに行くつもりで動いて貰うしかないのだ。その為にも、今夜から明日のお昼までは自由行動で、少し早めに夜ご飯を食べたら日が沈むと同時に決行する。
時間との勝負となるから、体力と気力の回復が必要不可欠。……ゾロが、それまで精神的には良いとしても、体力的に持つかが心配だわ。
少なくとも今夜、ゾロの生命を奪う事は無い。それをしたらショーが成立しないから。
でも、飲食無しで、戦いの緊張感の中過ごし続けるゾロが、心配になるのは当然。精神的には、何を言われても、何をされても、ゾロは揺らがないと断言できるけど……。
ゾロにとって大切なのは、故郷と私達。故郷に手を出す程の何かはテゾーロになくて、私達に危害が加えられる事のない現状では、ゾロには足枷等無いと言える。
「焦っちゃ、駄目よ……」
自分に言い聞かせるように脳内で繰り返してる言葉が、口から零れ落ちる。焦っても何もならないから、だからせめて明日に備えておかなきゃいけないのに……。
分かっているのに、気ばかり焦る。そんな時聞き慣れた声が私を呼んだ。
「ナミ」
「何、ルフィ……?ルフィ!?」
声を掛けられて返事した時、いる筈のないルフィが部屋にいて驚いてしまう。ルフィはニッと笑うと、幻ではない証明なのか、甘く激しく抱き締められる。
何が起きてるのだろうと、慌てて視線を動かすけど、扉は閉まったまま。当然壁に穴も見受けられない。
「ど……う、やって、入ったの?」
「ん?……窓から」
言われてみれば、窓の鍵はかけてなかったと思い出す。そうなればもう、他に誰も入って来ない部屋の中、恋人が二人きりなのだからやる事はひとつしかない。
触れる唇、濡れた吐息。妖しく蠢く赤い舌。
最初は掠めるだけだったキスが、徐々に熱を帯びてくる。触れては離れ、何度も角度を変えて、一番深く絡み合う場所を探す。
ルフィも私も服を脱ぐ余裕さえなく、夢中で唇を合わせている。もう、我慢なんかしたくない。
望んでいない相手との行為で、すり減った精神がルフィを渇望していた。ルフィもまた、その瞳に嫉妬の色を宿し、それを隠そうともしない。
自らルフィの頬を撫で、髪を掻き回しながら、飽く事無く求める。どれだけ吸っても、舌を絡めても、まだ足りない。
熱い蜜を、吐息を……漏らす事なく味わっても全然足りない。ほんの一瞬でも離れるのが惜しくて、呟きさえも舐め尽くす勢いの私をルフィは喜びと戸惑いの混じった表情で迎えている。
積極的な私が嬉しいのか、それとも、ただ触れ合える事自体が嬉しいのか分からないけど、頬が緩むルフィの顔。けれどもリードを奪われるのは嫌なのか、シャツの中に忍び込んで来たルフィの指が、お仕置とばかりに私の乳首を摘む。
「あっ……」
小さな突起に走った電流のような痺れに弾かれて、私は漸く唇を離した。そうして見えたはだけられている胸元に、戦争の傷跡を見付け、眉根が寄る。
知っていたのに変えられず、その傷を身と心に遺してしまった。私の……罪の証。
「もう、痛くは無い?」
「ああ、もう痛くねェ。痛いのは……ナミを守れない自分の弱さを痛感するからだ」
そっと傷の上に手を重ねて、甘えるように言う。それにルフィは苦笑した。
きっと、私が変な事を言ってると思ってるのだろうと分かる。ルフィは、妙に鋭い所があるのよね。
「今夜は……抱いて欲しい……」
「ナミが望むなら、骨が砕けてても抱いてやる。コレが使い物になるうちはな」
「馬鹿……」
ルフィの言葉に笑いながら言葉を落として、ルフィをベッドに誘導するのと同時にその身体を押し倒す。そのまま悪戯な両手を優しくベッドに縫い付けて、自ら服を脱ぎ始める。
だからと言って全て脱ぐのは恥ずかしくて、下だけ脱いでシャツの裾で前を隠す。それを見てルフィは首を傾げた。
「全部は、見せてくれねェのかよ」
無邪気を装っても、意地悪な海賊の顔が覗いている。それを黙らせる為に馬乗りになれば、ルフィの喉が確かに鳴った。
ルフィのはだけている胸元を見下ろして、首筋から胸へ唇を這わせる。チロリと突起を舌先で嬲ると、微かにルフィが反応した。
……なんか、攻めるのって楽しいかも。なんて、思ってしまう。
「気持ちいいけど、なんかナミに犯されてるみてェだな」
「犯して……あげましょうか?」
レイリーに教えられた中には、男を攻める手段も多くあった。けど、そんな気にならなかったから使い所なんて分からなかったのに……ルフィには、したい。
身を守る為に、少しでも後に響かない為にと使用してきたその技術。愛する男を悦ばせられるなら、全力で試してみても良いのかも知れないと思う。
「アラバスタの時は、して貰ったけど……あの時はナミ、無理てたのに、今は楽しそうだな」
「こういうのは……嫌い?」
「いんや。ただ、恥じらうナミしか見てないから……」
嫌ではないと、身体が教えてくれる。昂りを示しているルフィの男の証をズボンの前から引き出すと、茎を両手で握り、躊躇いもなく咥え込む。
ドクドクとルフィの鼓動が伝わって来て、揶揄うつもりが八割だったのに、いつの間にか夢中になって舌を絡ませていた。ルフィの全てが欲しくて、強く吸い上げながら溢れてくる先走りの蜜を余さず舐めとっていく。
「ふっ……」
「
「悦過ぎて、このままだとナミの口を汚しそうだ」
そう言われても、何だかもう離す気になれない。直に味わうルフィの情熱が嬉しくて、愛しくて、喉の奥までいっぱいに頬張る。
そんな最中に荒い声音と共にルフィの手が髪に絡んで来て、無理矢理に引き剥がされてしまった。見上げる視線が、欲情に潤んだルフィのそれと絡む。
「ナミ……!自分だけ、楽しむなよ」
「ルフィを、楽しませてたつもりだけど?」
「俺は、したい」
「なら、して」
甘えるように身体を擦り寄せ、自らの口腔でたっぷり育てたルフィのモノに跨ろうとする。まだ、なんの準備もされてない入口に、熱い先端が触れただけで、悦楽の予感がゾクゾクと湧き上がって来た。
すぐにでも欲しくて、無理に腰を降ろそうとした私にルフィが待ったをかける。その顔は、少しだけ困ったような顔で。
「ナミを愛したいのに、そのままじゃ痛いだろ。そんなの、俺は楽しくないし望んでねェ」
「でも、私……早くルフィに……」
「うん、だから……お仕置な」
「え?」
その瞬間、ルフィは雄の顔を覗かせる。それが、酷く色気に溢れていて、拒絶を許さない。
ルフィは、私の行動を簡単に縛る。その存在だけで。
「俺が舐めてやるから、自分の指で解せよ」
「なっ……!?」
羞恥の炎で身が焦がされる。でも、こんなルフィが好きなのだから私に救いなんてない。
こんな時だけ意地悪で、傲慢で、挑発的。……海賊の、男。
「ほら、早く」
最速の言葉に逆らえない。全身を恥じらいの色に染めながら、私は身体を反転させ、ルフィの顔を跨いで自らの秘部を曝け出す。
互いに愛撫する為でなく、ただ見せる為にこんな体位をとるなんて。左手を下に移動させて、割れ目を開くと穴に触れる。
自分では、指を一本入れるのさえ辛い。濡れ始めてるのに、身体が上手く動かせないのだ。
「可愛いな、ナミは」
動けない私のその場所へ、ルフィの舌先が触れる。這う。
それだけで、濡れた嬌声が私の喉を震わせる。自分で慰めるなんて、した事もないのに、ルフィの前でそれを経験して……。
入り口を自らの指で広げ、その奥を探る。なのに、いつものような快楽は訪れない。
「ここを、ルフィで、満たして……」
どんないやらしい事をされるより、自分でする方が何倍も恥ずかしい。それでも、ルフィからのこれがお仕置ならば、それで許されるなら、甘んじて受けるしかないのだ。
物干しげに腰を揺らし、粘膜を擽る。期待と快楽で身悶える姿を、ルフィに晒す。
「いいな、次から俺が離れて見てて、ナミが自分でいくまで挿れてやらないっていうお仕置とかもありかな」
「やっ……あ……!」
「嫌がらないなら、お仕置にならねェだろ」
「ルフィっ……!」
「自分の指、三本入れられたら……俺のをやるよ」
屈辱と恥辱に身体を火照らせながら、それでも気持ちいいと感じてしまう身体。そんな自分に気付いて、激しい目眩を覚える。
いつの間にか下から抜け出したルフィが、私をベッドに押し倒して両足を大きく広げて来た。その状態で続けろよなんて命じるから、つい首を横に振ってしまう。
「言ったろ。お仕置だって……。従わないなら、ドアの鍵開けてやっても良いけど、どうする?」
「やだ!ルフィ、お願い」
「なら、続けろ。手伝ってやるから」
そう言って私のシャツを大きくはだけさせ、剥き出しになった肩や首に熱い唇を押し付けてくる。どこもかしこも酷く敏感になっていて、口付けの度に焼きごてを当てられたように身体が弾けた。