※この作品はR-18です。

波間の向こうを目指して(新・本編)   作:夢枕 七変化

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好きの違い

 そうしてチョッパーが落ち着いた頃に、メリーは私達4人を乗せて祭壇のような所に投げ落とされる。その衝撃でメリーがメキリと嫌な音をたてたのがわかり……背筋が冷たくなる。

 これの……せいだったのかと。そして、止められなかった、何も出来なかった自分に腹が立つ。

 メリー、今ならまだ、何とかならないかな?

 メリーを何とか、直せないかな?

 メリーが破壊されるのを可能な限り防いで来たつもりだけど、どうしても駄目なのかな……。私は、メリーを喪いたくない。

 そう思って可能な限り中からチェックしてみるけど、中から確認出来る範囲では特に問題が無くて……。と言うよりも、私の知識でわかる範囲には問題が見受けられなくて、ウソップなら何か異変に気付けるのだろうか……。

 後で皆が戻ってからメリーを雲に下ろしてもらって、それから確認して見るのが良いかな。そうしたら水の中からなら船の下を確認出来る。

 竜骨の状態を確認出来るもの。竜骨がこれでダメになるのか、それとも空島からの帰りでダメになるのか、はたまた私の記憶にない何かでダメになるのかは分からないけど、竜骨がダメになってしまって、治せなかったのだと記憶してる。

 ……本来ならメリーは船だから、直すの筈なのに、どうしてかしらね。メリーは治すが正しい気がするのよ。

 そっとメリーに触れて、いつもありがとうと呟く。メリー、私はせめて少しでも良いからあなたを残したいと思ってるのよ。

 どうしたって遠くない未来に、メリーとの別れが来るのは分かってる。メリーを魔改造して飛べるようにしても、それこそ竜骨が持たないからフランキーが仲間になってもどうにもならないだろうって事も、理解してる。

 だからと言って飛べない船では、この先には進めない。だから……別れは来る。

 それでも、例えば無事な柱を竜骨としてミニメリーにして貰うとか、そんな形でも良いからメリーを残したい。それくらいの我儘なら、許されないかな?

 メリーも、共にこの先にと願う事は、許されないかな?

 

 「メリー……。あなたは、どうしたい?」

 

 静かに眠りたいかな。それとも、小さくなっても船として共に行きたいかな。

 

 「ナミ?帰って来ないけど、何かあった?」

 「何も。嫌な音だったから壊れてたりしないか見に来てみたんだけど、異常が見付からなくて……」

 「そうだったの。今ね、剣士さんが少し調べに行くって雲に飛び込んだ所よ」

 「あら、ならタオルとか用意しなきゃね」

 

 ロビンとそんな会話をしながら甲板に戻ると、ゾロの姿は本当に無くて……とりあえずタオルよねと用意しに向かい、そのついでに簡単なスープを作る。いくらゾロでも水に濡れたなら温かい物を取らせる位した方がいいと思うし、温かいものは気持ちを落ち着かせる効果があるからチョッパーも少しは楽になるんじゃないかなと思ったのだ。

 コンソメはコンソメの素が無いと作るのが異様に面倒なので、今回はトマトスープにした。コンソメの素とかだしの素が無いのに、あんなに美味しい物を作れるサンジ君はそれこそ神の領域だと思うのよね。

 トマト、豆、ベーコンで作る簡単な野菜スープだけど、水を使わないから腐りにくいし、トマトの栄養価は恐ろしく高い。その上トマトは暖かい物を摂取した時、体温を上げる効果の高い食材なのだ。

 このトマトの不思議なところは、冷たいトマトを摂取すると体を冷やす効果にそれが変化するところにある。即ち、夏でも冬でもあれば助かる食材なのよね。

 そんな訳で、最近プランターでトマトを育てる計画してます。何処かに苗とか無いかな、流石に種からってのは発芽率の問題もあるから難しいと思うのよ。

 4人分のスープを器に入れて、トレーに乗せる。腕にタオルを掛けてからトレーを手に甲板に戻れば、ゾロが謎の生物と戯れているのが見えた。

 

 「あら、なんか生き生きしてるわね」

 「ナミって時々本当に強いよな。って、なんだそれ?」

 「トマトスープよ。飲むというか、食べると言うか、まぁ、好きにして」

 

 言いながらガーデニングセットの所にトレーを置いて、チョッパーに器とスプーンを差し出せば、嬉しそうに受け取ってくれる。それを食べつつチョッパーはゾロに視線を向けて、俺も強くなるんだと呟くから期待してるわと笑いかけてからロビンを呼ぶ。

 ロビンは手にしていた本に栞を挟み、ゆったりとした足取りで近付いてくるから、同じように差し出そうとして躊躇う。警戒されたり、するかなと。

 でもそんな私にロビンは小さく笑うと、ロビンは私の行動を気にせずに自分でスープを取って椅子に座った。それから優しい笑顔を向けてくれる。

 

 「ナミは、気を遣いすぎよ。……世界中の誰が何をしたとしても、ナミだけは私を故意に害さない。それだけは分かってるし、信じてるわ」

 

 ……きっとロビンは分かってて、その言葉を使ったのだろう。信頼のこもった眼差しが真っ直ぐに私に注がれて、私は少なくともここにいる事を望んで貰えているのだと理解出来た。

 甘やかされてるなと、苦笑した時ゾロが帰って来た。それにタオルを投げ渡して、スープを差し出せば何故か可笑しそうに笑われた。

 

 「どうかしたの?」

 「ナミが作った物を食うの、久々だなと思ってな」

 「サンジ君がいるなら、私の作った物食べる必要無いじゃない。ルフィは壊滅的に料理出来ないし、ゾロはただ焼くしか出来ない。ウソップは……出来る筈よね、1人で暮らしてたんだから」

 「あの食堂で食ってた可能性もあるから、1概に言えねェだろ」

 「毎日外食!?そんな贅沢許されるの!?」

 

 自分で作れば1人1食100ベリー位に押さえるのだって問題ないけど……あ、ルフィはこの場合計算から外してるけどね、外食ならそうはいかないのよ。ウソップって、どうやって稼いでたの?

 子供だからって村の人が養ってたの?

 ……今度聞いてみよう。と、明らかに貧乏な世帯を支える主婦の視点で物事を見てから、ゾロに情報を聞く。

 スープを食べながら呑気に会話をしていたけど、どうやら目新しい情報は無さそう。空になったそれを重ねながら、ゾロが探検に行くと言うのに同行すると口にする。

 ロビンも興味を持ってるから、なら3人で行こうとの話になり、チョッパーに片付けを頼みながら他の皆がここに来るかも知れないからと船の守りを任せる。チョッパーはそれを嬉しそうに受けてくれて、ロビンに視線を向ければ瞳が少女のように煌めいているのがわかり、あぁ、考古学者として疼くのねとわかる。

 私も目新しい本とか見付けるとなるからよく分かる。そういう意味では、私とロビンは同類だと思う。

 ゾロが蔦に掴まりながら、無駄に叫んで移動するのを見て、やっぱり男の子なのねぇと変なところで感心する。そんな私より先にロビンが出発したので、その後私も蔦を手にする。

 

 「チョッパー、危なくなったら笛を使ってね。行ってくるわ」

 「ナミから聞いた飲んだ量なら、多分今夜寝る頃か寝てからか位には落ち着くから、それまで無理するなよ」

 「今夜……分かったわ。ありがとう」

 

 蔦で2人の待つ所へ向えば、私が着地したのを見たロビンにやっぱり普通の村娘じゃないわよねと、楽しそうに笑われてしまった。でも、私は多分まだまだ皆に比べたら、村娘の領域内だと思うのよね。

 呑気にそんな事を考えつつ、3人で歩き出す。

 時折立ち止まって木々を見て、花を見て見解を述べつつロビンはメモを活用する。ゾロはさりげなく歩きやすいように草を切り裂いて道を作ってくれて、そのついでに色々と避けてくれる。

 私は途中野草とかを見付けるとそれを摘みながら、歩いて行く。細い道で足を滑らせた私をゾロが即座に支えてくれて、お礼を言えば微妙な顔をされた。

 

 「咄嗟に掴んだが、ナミは空飛べたよな?」

 「誤解を招く言い方しないで、あれは空気を蹴って1時的に浮いてるだけよ!」

 「その脚力なら蹴れば威力あるんじゃねェのか?」

 「私の骨が持たないから無理よ。硬いものは蹴れません。足首を痛めるか、骨が折れるわ」

 

 それに対してゾロは舌打ちすると、軟弱だなと言い捨てるけど……私はだから村娘Aなんだってば!

 そんなこんなで先に進み、ロビンが何か気になるものを見つけた様子で少し離れて行く。はぐれてもあれなので、この場で少し待機すると決まり私は近くの木に寄り掛かりつつ、ここ迄で得た情報をメモに纏めていく。

 ただ、歩くだけでも体を動かすから少し、薬の効果でキツイ。休める時に休まないと持ちそうもないわね。

 

 「ナミ、大丈夫か?」

 「大丈夫よ」

 「……襲われた方も、か?」

 

 ゾロの声に視線を向ける。心配そうに見ているその視線が、その気持ちが少し痛い。

 

 「……慣れてるもの、平気よ。何ともないわ」

 

 そう言って笑顔を作る。心配ばっかり、掛けたくないから。

 でもその瞬間ゾロが1歩足を前に出して、私の腕を掴んだと思ったら、そのまま抱き締められてその動きで声が出そうになって耐える。その隙をつくように、ゾロの唇が私の唇と重なった。

 

 「っ……っんぅ……っ!」

 

 抵抗しようにも力が上手く入らない。体が……熱い。

 それでも、理由も何も分からず、何が起きてるのかもイマイチ分からず、私は必死で頭を振って逃げようと試みるけどゾロはそれを許さないと言うように、腰を抱く腕に力を込める。それに体が反応する。

 

 「……嫌がってるってより、求められてる感じだな」

 「や、だ。ゾロ、何を……」

 「男に犯される事に慣れてて、大した事ねェって言うなら、俺も相手しろよ」

 「ゾロ!?」

 

 ゾロは驚いて叫ぶ私の唇を奪い尽くすように貪る。巨木に押さえつけられていて、頭を動かす事も出来ない。

 いや、私はルフィじゃなきゃ……嫌なのに!

 どうして、ゾロ……?

 奪い尽くすようなそれの合間に、ゾロは私の足に手を這わせる。それに体がビクビクと反応すれば、ゾロの動きが止まった。

 

 「……何、使われた。この反応は、普通じゃねェだろ」

 「っ!もう、辞めて!私はルフィの「何を使われたのか聞いてんだよ。ンなことは分かってて襲ってんだ、答えろ」」

 

 ゾロが低く唸るように言うから、私はビクリと肩を揺らしてしまう。ゾロを見れば、その瞳は何故か怒りと哀しみの色があって、何が起きてるのか全く分からない。

 その時答えない私に業を煮やしたのか、ゾロが下着の中に手を入れて来た事による直接的な刺激に、声を押さえる以前に体から力が抜けて抵抗が出来なくなる。やだ……ルフィ……!

 

 「ぁっ……んァ、やぁっ!」

 「体は悦んでるみてェだがな?」

 「あっァ!辞め、アッ……やァ……っ!」

 

 必死に逃げようと試みるけど、体は既に言う事を聞かない。ゾロの指の動きに反応して、体が悦ぶ。

 でも、そんなのは嫌で、私は……!私は、ルフィのっ!

 

 「……くすり、こたえ、んっ!から、やめ……!」

 

 その瞬間、指の動きが止まった。どうやら素直に答えれば良いらしい。

 荒い呼吸の中でゾロを見上げて、でもゾロは手をその場で固定させている。何を考えているのか、全くもって理解できない。

 

 「……媚薬、無理矢理飲まされたのよ。元々効果の阿呆高いやつでね、それを適量の2.5倍程。でも、薬にこの体慣れてるから……今夜には落ち着く筈よ。チョッパーもそう言ってたわ」

 

 これで満足かと視線で問いかければ、ゾロが呆れたような顔をして来た。それに首を傾げると、何故か再び唇を重ねられる。

 今度は先程と違い優しいものだけど、そうじゃない!

 

 「……っ!……ゃぁ……」

 

 抵抗してみても力で元々かなう筈も無くて、でも、更に今は抵抗力が少なくて……。なんなのよとその舌を噛もうとしたら、ゾロはそれに気付いたようで何故か更に深く口付けられる。

 苦しくて、なのに体は悦び求めるように震える。悲しくて、なのに体は受け入れようと熱くなる。

 唇を離された時、キッと睨み付けるとゾロの指が下着の中で動き出す。

 

 「ふぁっ……!やっ、ゾロ、やめっ……ァ!」

 「……ナミにとってこれは〝大した事無い〟行為なんだろ。さっき〝慣れてる〟から平気だと言ったよな?」

 「やだっ!あァっ!」

 

 体が痙攣する。膝から力が抜けて、崩れ落ちそうになった時ゾロがそれを支えてくれたけど、指の動きは止まる事がない。目の前が白く染まり、意識まで飛びそうになるのに、それでもゾロは動きを止めてくれないから、悲鳴のような声を発する事しか出来ない。

 指だけで何度もイかされて、意識が朦朧としてる私にゾロが苦しそうな顔を向けて来る。それから、低い声で問い掛けてきた。

 

 「もう1度だけ聞いてやる。……犯された事は、大丈夫だったのか?」

 

 その問いに、私は声を出す事が出来ない。大丈夫な筈、無い。

 もうやだ。どうして……ゾロは、こんな事。

 

 「……ルフィッ!」

 

 無意識で縋るようにルフィの名を呼ぶと、ゾロの指が漸く私から離れて行く。それから深呼吸して、空を見上げた状態でゾロが言う。

 

 「なら、強がるな。せめてルフィには素直に吐き出せ!……いざって時に頼れねェ男が恋人とか、何の価値があるんだ!」

 

 ゾロの大声にビクリと体が震える。ゾロは、何を……?

 

 「……ルフィだから、俺は見守る事にしたんだ。ナミの相手が、惚れてるのがルフィだから!なのに、頼る事も出来ねェって言うなら……俺にしとけよ。俺は、ナミの事が好きなんだよ」

 「…………私も、ゾロの事、好きよ?」

 「……違ェ!意味が違ェんだよ!あァクソ!」

 

 1人で叫び出したゾロは私から背を向けて、私は悪戯された為に無駄に熱い体を持て余して、互いに無言でその場を動けずにいる。でも、ゾロは何か私に話とかがあるらしい事はわかるので、私は呼吸を整えながらそれを待とうと決める。

 ロビンは、まだ捜索中なのかな……?

 帰ってこないロビンに、先程のそれを見られなくて良かったと、思う。震えそうになる体を必死で抑えながら、ゾロの謎の行動の答えを静かに待つ事しか、動けない私に選択肢は無かった。




ゾロが不憫ってよく言われます。
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