宴が1度始まれば、小規模で終わるなんてある筈も無くて、楽しそうな皆に合わせて私はビンクスの酒も演奏する。それにはロビンもすぐに反応して、初めて聞くチョッパーと、そして……懐かしそうにその瞳を細める空の騎士がいた。
空の騎士は、海賊王が海賊王となる前に、神としてこの国で対峙して居る筈なのだとそこで思い出す。木琴の可愛い音で演奏されるビンクスの酒に、それでもその場は盛り上がる。
騒いだりすれば敵に見つかるんじゃねェのかと怯えるウソップに、私はそれは大丈夫だと断言する。だってね、敵がこの場所に運んだんだから、すでに居場所は割れてるでしょと笑えばそうだったと衝撃を受けるウソップに、つい笑う。
だから、言えなかった。夜に起きる惨劇なんて、見えないからつまらない。
そんな理由で襲って来ないと思うわよなんて、安心させるどころか怯えさせそうで……。多分本当にそんな理由で襲って来ないのだろうと思いながら、言葉を飲み込んでおく。
区切りの良い所で、私とロビンは交代でお風呂に入り、テントに入って寝る事にした。こうして騒がしくも楽しい1日が終わりを告げた。
けれども眠りに落ちようとする脳とは違い、体は素直に眠ろうとはしてくれない。ロビンは小さな物音でも起きてしまうからと、そっとテントから抜け出すとメリーとは逆方向に向かって歩き出す。
誰にも、気付かれる訳にはいかない。チョッパーが、また悲しむから。
皆が、心配するから。今夜が過ぎれば……効果も、切れる筈だもの。
薬が最後に効果を爆発させるかのように、私の体にその影響を出す。体が熱くて……苦しくて、誰にも気付かれる訳には、いかない。
そう思って進むのに、誰かの足音が背後からずっと着いてくる。それに私は小さく問い掛ける。
「……何か、用事?メリーなら、逆よ」
「ナミ」
名を、呼ばれただけ。それだけなのに、泣きそうになる。
そんな私を、そっと抱き締めてくれる腕に、けれども私は首を横に振るしか出来ない。今は、触らないでと。
「お願い、今は……「ナミ、大丈夫だから、逃げるな」」
私が、何から逃げてるって……?
そう思っても、そう思いたくても、逃げてるのだと言う事は、自分が1番よく分かってる。嫌われる事を恐れて、情けない姿を見せたくなくて、でも、怖くて不安で、壊れそうで……。
「ナミ……俺も、半分の家、見てみたいから、案内してくれよ」
ルフィはそう言って私を抱き上げるから、その首に抱き着いて、小さく頷き道案内をする。月明かりが妙に眩しくて、ルフィが暖かくて……幸せなのに、怖いと思う。
到着したクリケットさん達のいた所にあった残り半分の家を見て、ルフィは私を抱いたまま中に入る。ドアは当然の事ながらすでに無くて、でも、ドアがあった所と、階段はしっかりと残されているそれの中で、ルフィは私を床に下ろすと建物の中を物珍しそうに歩く。
「すげェな。おっさん、嘘なんかついてなかったんだな。本当に、あったんだ……」
それからルフィは私に振り返ると、動けずにいる私の前に膝をついた。それからそっと、私の服に指を伸ばす。
「抱くぞ」
「ルフィ?」
「……優しくは、多分出来ねェ。俺は、ナミに関しては特に、我慢とか無理だから」
その言葉に、私は頷いていた。ルフィになら、嫌じゃない。
薬のせいで何をしてしまうか、言ってしまうか分からない事が不安で怖いけど、ルフィに触れられるのは、寧ろ嬉しい。自ら服を脱ぎ始めれば、ルフィは1瞬驚いたような顔で私を見て、それから笑った。
「綺麗だな……ナミは、全てが綺麗だ」
「ばぁか。私は、綺麗じゃないわよ。傷だらけに、しちゃった……。大半の跡は消してもらえてるけど、それでも……ルフィ以外の人につけられた跡だってあるわ」
半分しか無い建物には、月明かりが差し込んでいて、ルフィがよく見える。だから、私の事も同じように見えてるだろうと思う。
その場で立ち上がり、1糸纏わぬ姿を晒せばルフィが僅かに息を飲んだ事がわかる。私は、何度この体を傷付けただろう。
もしかしたらある日突然〝私〟が消えて〝ナミちゃん〟に変わるとも分からないというのに、こんなにも傷付けてしまった。ルフィと言う恋人がいるのに、私は……望まない事とは言えども他の男にも抱かれている。
「ルフィは、本当に私なんかでいいの?ルフィを愛してくれる女の人は、本当に沢山現れる。それなのに……私で「俺は、替えのきく話なんかした事ねェ。誰が俺を好きでもさ、俺が好きなのは……欲しいのはナミなんだよ」」
そう言ってルフィは私の腕を掴むと、自らの上に引き倒す。それに逆らえずにルフィの上に落ちると、その手が私の背を優しく撫でる。
それだけの刺激で、私の体はビクビクと震える。それに対してルフィは小さく舌打ちすると、低い声で言葉を口にする。
「薬使わねェと抱けないなら、ナミに触れるなってんだよな。元々、敏感な方なのに……っ!」
それから何かに耐えるように言葉を飲み込んで、ルフィは私の顔を覗き込んだ。その瞳は優しくて、それでいて欲望を孕んでいて……熱い。
「ナミの性格考えたら、つらいとか言える筈ねェのに……ごめんな、頼られないからっていじけてた。こんな状態で、頼れる訳無かったよな」
そう言うのが早いか、それともルフィが宛てがわれたのが早いか……脈打つルフィを秘部が感じて、体が歓喜に震える。ルフィが欲しいと、叫んでいるのがわかる。
特に何かされた訳じゃないから、普通なら痛みが襲ってくると思うのに、そんな事を考える余裕も無く……ルフィを体が、求めてる。……許されるのかな、こんな、浅ましくても。
「ナミ、今は何も考えなくて良い。俺だけ、感じてろ」
「え?」
「全部、薬のせいだ。ナミは、何も悪くねェ。……それに、言っただろ。何かあったとしたら、悪いのはナミじゃなくて守れなかった俺だって。だから……自分を責めるな」
真剣な顔でルフィはそう言うから、だから私はルフィのそれに呑まれて声も出せない。その隙にルフィが私の中に入って来て、それに対して体と心が、歓喜に震える。
ルフィだと、そう言って悦んでるのを感じてしまう。声が、抑えられない。
「ふぅっンっ!あァっ!まっ……ルフィ!そこっ、やァぁぁ!」
「ここだな、分かった」
そう言って嫌だと言った所を責めてくる辺りで全然分かってないと言いたいのに、それは悲鳴に似た喘ぎに変えられて喘ぎの他はただ、ルフィの名を呼ぶ事しか出来なくて……。そんな私をルフィは容赦無く突き上げ、掻き乱す。
「っ……俺が、搾り取られそうだなっ!」
「はっ!アッ!やあァあアあぁあぁ!」
目の前が白く弾ける。それなのに、明らかに痙攣してる体をルフィは抱き締めて……そのまま動き続ける。
「駄目!ルフィ!そんな、あぁ!こわれ……ちゃうっ!む、り……!おねが……っ!やすま、せ……」
「嫌だ」
「きゃぁぁァぁぁあぁぁァァぁあぁぁぁあ!!」
すでに嬌声では無く悲鳴でしかないそれに、ルフィは満足そうに笑う。乱されているのは、体か……それとも心なのか。
ルフィが中に何度も注がれて、それなのにまだ体は足りないと訴える。心が、離れないでと泣き喚く。
「……ナミ、泣いていいんだ。怖かったら、つらかったら、泣いていいんだよ。その涙も笑顔も、ナミの全てが俺のものだから」
ルフィはそれから、涙を止める事も出来ない私の体を愛おしそうに愛撫しながら高め続ける。思考が溶けて、ルフィ以外の言葉を知らないかのように、ひたすらにルフィと呼び続ける私に、それで良いと言い切る優しい声が聞こえる。
「このまま壊れて、俺しか考えられなくなっても、俺しか見えなくなっても、俺はそれでも構わねェ。俺は……初めからナミしか、見えてねェよ」
嘘つきと、頭のすみで思う。1番は冒険で、次は肉でしょと。
でも、多分嘘じゃない事も分かってる。だってルフィは〝嘘もつけねェ〟と言っていたから。
ルフィの中でそれは、間違いなく真実で、少なくとも今は、本気で私しか見てない。私だけを、感じて、愛してくれてる。
「ルフィッ!」
縋るように、手を伸ばす。そんな私の手を優しく握り締めて、ルフィはそっと指先にキスをすると、自らの手と私の手を合わせてしまう。
恋人繋ぎにされたその手から、離さないと言う意思が伝わって来て、私は笑った。その笑った瞬間に涙が1筋零れたのを、ルフィは唇で拭いそのまま耳に噛み付いてくる。
耳は見えるからヤダと言ってるのに、聞いてくれた試しは無い。ルフィは、見せ付けたいと笑いながらそれを続けるのだ。
「ルフィ……っ!ルフィ」
呼び続ける、何度でも、幾度でも。愛しいその名を飽きる事無く。
「ルフィ……お願、ン!……やめ、ないで……」
「ナミ?」
ルフィの動きが1瞬止まる。驚いた顔で私を見つめて、幻聴かなんて言い出す。
でも、ルフィが言ったのよ。全ては薬のせいだって、だから……。
「ルフィ、お願い、辞めないで。もっと、ルフィをちょうだい」
ルフィが中で有り得ない勢いで膨張した。それに悲鳴をあげるとルフィは分かったと言って、私の腰を抱くと耳元で低く囁いた。
「壊してやる……」
その先私に何が起きたのか、そんなのはよく分からない。それでも全ての感覚も、感触も、何もかもを上書きされて……ルフィの事しか考えられなくなって……。
そうなって初めて、ルフィも不安に揺れてると気付く。他の誰かに私を取られるのではないかと不安に思ってるのだと、わかる。
「私、はっ!ルフィが、いい!ルフィじゃ無きゃ、いや、なのっ!」
「……甘やかすなって……言ってんのに、聞かねェんだからよ……。ナミ、俺の為に、生きろよ。もう何も、棄てるな」
全てを棄てて生きてきた。そんな事誰にも言ってないのに、どうしてルフィはいつも核心をつくのかな。
そんな事を言われたら、本当に何も出来なくなる。どんどん、弱くなる。
ルフィに守られるだけになってしまう。何も失わずに護れるものは、どれ程だろう。
でも、それをルフィが選べと言うなら、全てを諦めずに足掻いてみようと思う。そうしたらきっと、私1人では届かない時にはその手を貸してくれるのだろうから。
そうして、眠る事の許されない長い夜が始まる。どちらかの体力が切れて、意識を取り戻せなくなるその時まで、もしくは朝日が昇るその時まで、私達は互いを離す事なく共に過ごす。
言葉では伝えきれない多くの葛藤と、後悔と、そして愛情を伝え合う為に。ルフィしか……ナミしか……今は見えないから。