※この作品はR-18です。

波間の向こうを目指して(新・本編)   作:夢枕 七変化

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2手に分かれて

 朝日が顔に当たり、眩しさのあまりに意識を取り戻すと……なんと言うか、シャワーも何も無いから仕方ない事だけど、色々ドロドロで……。でも、何故か動ける体に違和感を覚えた後、薬の効果が切れた恩恵かと思い出す。

 あの薬、効果が切れると体力と言うか筋肉的なダメージの回復してくれるんだったかしら?

 だから、連続して使っても、女が長持ちするからって人気なんだとか……。悪趣味よね、本当に。

 見れば隣でグースカ寝てる恋人がいて、そっとその唇に触れる程度のキスをする。可愛い顔で寝てるわ、本当に。

 とりあえず裸でいるのもあれなので洋服を着ていたら、ルフィの腕が突然絡み付いてきた。起きたのかと思って、笑顔で声をかける。

 

 「ルフィ、おはよう」

 「ん、ナミ?」

 

 まだ寝ぼけてるらしいルフィに、小さく笑いながら着替えを済ませてしまえば、ルフィは少し残念そうに私を見る。何かなと思ったら、ルフィが平然と言った。

 

 「何も着ないで、ずっと繋がってても良いのによ」

 「……ばかかっ!」

 

 真っ赤になってルフィを置いて駆け出した私は、急いで皆の元に戻る。とりあえず、シャワー使いたいから。

 そうよ、恥ずかしかったのを誤魔化してる訳じゃないんだから!シャワーの為に帰りたいのよ!

 皆の所へ戻るとそこではウソップが騒いでいる様子なのが分かり、どうしたのかと思ったらメリーが修理されたのだと言っているのが聞こえてきた。半信半疑のまま、皆が1度メリーを見に行くと言うのでさり気無くそれに混ざって見に行けば、本当に下手くそな、けれども動かすのに支障がないような修理が施されていた。

 

 「メリー……」

 

 思わずその名を呟いてしまうのは、どうか許して欲しい。皆の様子を見れば皆は不思議そうにメリーを見てるけど、そっか、まだ頑張ってくれるんだねと心でメリーに話し掛ける。

 いつもありがとう、メリー。貴方を守れなくて、治せなくて……ごめんね。

 メリーが自分で自分を治したのだなんて、誰も信じないだろう。でも、船長であるルフィの前ではなくて、ウソップの前に姿を見せたメリーの気持ちは、何となくわかる気がした。

 メリーだって生きてるのだから、1番自分を愛してくれる人の前に姿を見せたいわよねと、そう思う。こうなる事が分かってたのに、それを防げなかった自分が悔しい。

 この段階に来ているのならば、メリーを魔改造するなんてそんな選択肢は存在しないんだって分かってる。頭ではメリーとの別れはもう覆せないのだと理解してる。

 なのに、どうにか出来ないだろうかと考えて気持ちが塞ぎ込む。どうにかするにしても、1部を残すにしても、この空島で入手出来る金塊がその為に必要なのだから。

 まぁ、どうやって入手するのかの記憶は無いからアレなんだけどね。何はともあれとりあえず、シャワー使わせて欲しい。

 私が日に何度もお風呂に入るのは周知の事なので、誰にも何も言われる事なくお風呂に入れたのは助かる。ロビンだけが意味ありげに微笑んでいたけど。

 ……隣に居る筈の人間が居なかったら、そりゃわかるか。なんて考えながらも顔は少し赤くなるけど、その辺はロビンも大人だから騒がないだろう事も分かってる。

 私がお風呂を終えて着替えてから表に出ると、朝食の準備が終わった所のようで、チョッパーは医療道具を持って私を見ていて、ロビンがタオルを手に手招いている。逆らえないのは分かっていても、ロビンとチョッパーに近付くのが少し怖かったりする。

 ロビンのそばに行くと、ロビンが髪を楽しそうに拭いてくれて、その間にチョッパーが私の腕とかを触りながら診察してくれる。そこへサンジ君が朝食を運んでくれて、心配そうに私を見ている。

 

 「……俺が近付いても、大丈夫ですか?」

 「今更何言ってるのよ。サンジ君の事は、頼りにしてるわ」

 

 そう言って朝食を受け取ると、サンジ君はそうですかと言って笑ってからメロリンモードに入る。これは空気を重くしない為にやってるのだなとわかり、その優しさに涙腺が緩みかける。

 

 「ナミ、もう大丈夫そうだな。薬が抜けて良かったよ。それと、話は変わるけど空の騎士に飲ませたりする薬については、ちゃんと書いといたから後は任せていいか?」

 「えぇ、ドクター。任せて下さい」

 「ど、ドクターなんて言われても、嬉しくねェぞ!コンニャロー!」

 

 なんでこんなにチョッパーって可愛いのかしら。本気で愛しいわ。

 私の髪を拭き終えたロビンが、私の髪を少し弄ってから今日は下ろしておきなさいなんて笑うから、どうやら首の後ろに跡があるらしいと知る。赤くなった私に、ロビンはクスクスと笑いながら共に朝食を食べ始めた。

 朝食を終えて直ぐに、チョッパーは空の騎士に治療をして薬を飲ませる。私もそのどさくさで、色々な薬を飲んでしまう。

 遅れて帰ってきたルフィが鍋に残ってた物を綺麗に食べ尽くして、大半が毒キノコなお土産をサンジ君に渡して半分はメリーに保管されて残りは処分された。サンジ君、本当にありがとう。

 

 「くそゴム!いいか、これはワライダケの1種で!」

 

 なんて話し声が聞こえてくるのを横目に、私はメリーが降ろされていくのを確認してウソップに声をかける。この先まだ大丈夫そうかの確認をしたくて。

 

 「竜骨が心配なのよ。ここに落とされたから、流石に危ないんじゃないかなって」

 「ちょっと見て来るから、待ってろよ。……でも、ありがとな、言ってくれて」

 「メリーは、ウソップの彼女がくれた大切な仲間だもの。それに、あの音は心配だわ」

 「まだ、付き合ってねェよ!」

 

 ウソップはそう叫んでから深呼吸して、静かに1度頷くとメリーの浮かべられた川に入り、竜骨を確認してくれる。ウソップは戻るのと同時に何かに追われていて、それに気付いたゾロがそれを斬り伏せてくれたので問題は無くなった。

 最終確認をしてからサンジ君のお弁当を手に、ルフィ、ゾロ、チョッパー、ロビンが探索に向かう。敵諸々に気を付けつつ、宝を得て来るのが彼らのミッションである。

 対して私、ウソップ、サンジ君がメリーでの移動組。ウソップはメリーの修理担当で、私は航海士だから、そしてサンジ君が皆の護衛。

 空の騎士とピエールは船で共に移動して貰い、この先どうするかは自己判断になる。今だけ共に行動してるのだというのは、皆が分かってる事だから。

 探索組が出発するのと同時に私達はメリーでの移動を開始したものの、なかなか前には進んでくれない。それの理由は分かり切ってる。

 小舟と呼ぶのも烏滸がましいような、烏丸の動力のみが頼りなのだから仕方ない事だ。ウソップに折角だから今のうちにメリーの竜骨について聞いてみたら、今の所まだ何とかなりそうだとの事で、近いうちに1度ちゃんと修理してもらいたいよなと言うウソップの言葉に対して、私は頷く事で応える。

 それからウソップとサンジ君がじゃれ合ってるのを眺めて、空の騎士に薬を用意する為に船内に入る。チョッパーの指示に従っていたら、とりあえず間違いは無いと思うから。

 薬を手に戻れば、空の騎士は昔語りを始めていて、その重苦しい空気の中でウソップとサンジ君が茶化したりしているのを見て凄いなと素直に思う。この空気読まない感じが、読めないのとは違うからこそ、凄いと思う。

 そんな2人を横目に薬を渡せば、空の騎士は申し訳無さそうにその薬を飲む。守ってもらったのは、こちらなのだから、もう少し堂々としていたらいいのにと思わなくもない。

 そんな話の中で、黄金を空島の人達が知らないと分かり、驚きを隠せない。そんな私達の常識とはまた異なる空島の常識として、空の騎士にダイアルについて教えてもらう。

 空の戦い方はこのダイアルをどれだけ上手く使いこなせるか、相手がなんのダイアルを用いているかを判断し、対応できるかに掛かっている。そう言う意味では、私はこの空島での戦いに向いているかも知れない。

 クリマタクトでの戦いは、それに準ずる所があるから。でも待って、それなら確かにクリマタクトにその力をプラス出来る筈よね。

 ウソップに後で相談してみよう。威力も速度も、いくらあって邪魔にはならない。

 ダイアルの扱い方、種類、それは全てが重要すぎる情報で、私とサンジ君は真面目な顔でそれを聞いていて、途中からウソップも本気で話を聞き始めた。このメンバーじゃなかったら、ここまで必死に空の騎士の話を聞こうとはして無いだろう。

 これらの情報を全て身に付けられるか。いや、身につけなくてはならない。

 そう決意した瞬間、目の前に半裸と言うかほぼ裸の男が姿を見せた。いかにも雷様みたいな姿に、小さく露出狂?なんて呟いたら睨まれてしまった。

 

 「あァ……祭壇から逃げ出し、夜には呑気に喘いでいた女か」

 

 そう言えば、全て聞けるんだったと思い出して、ルフィとのそれが感覚と共に思い出されて、赤くなるのを止められずにいたら、サンジ君が半裸の男、エネルに攻撃を仕掛けた。それに慌てて手を伸ばすけど、サンジ君は瞬間的に黒焦げにされてしまう。

 慌ててサンジ君に駆け寄ると、その体を抱き起こす。それに反応しないから、余程重症なのだと理解出来てしまう。

 これが……雷人間の力。どうしたらいい。

 今、戦うべきか、状況を見るべきか。サンジ君の脈はある。

 呼吸も自発呼吸してるから、即座にどうにかなる事は無い筈。いつも、守られてばかりなんだから、今は……私が守る。

 ウソップも駆け寄って来て、サンジ君が死んだと騒ぐけど、それ右側だから、心臓ないから……!少しの脱力感の中でサンジ君を船内へと移動させようとした時、私の側で騒いでいたウソップが電撃で黒焦げにされてしまった。

 どうしたらいい。今下手に動けば全員揃って戦闘不能に陥る。

 空の騎士がエネルと会話をして、そちらに意識を向けられているのを確認しつつ、その隙に2人を船内に運び込む。ドアを閉めて甲板に戻ると、エネルが目の前に迫っていて、ドアだけは死守してみせるとその場にてクリマタクトを強く握る。

 

 「青海人は皆、お前のような女なのか?」

 「肉体的……体型的な意味なら、少なくないと思うけれど、これだけ可愛い顔してるのは珍しいと思うわよ。それとも戦闘能力について、聞いているの?」

 「気の強い女だ。ヤハハ……!私と来るか?お前なら可愛がってやってもいい」

 「お断りよ!私の男は、未来の海賊王ただ1人!」

 「王……?それは、興味深いな、だが私は、神だ!」

 

 そう言ってエネルは私に手を伸ばす。それに対して動けばサンジ君とウソップが……と思えば、私は避ける事も出来ずにその手を凝視する事となった。

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