※この作品はR-18です。

波間の向こうを目指して(新・本編)   作:夢枕 七変化

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個別行動※

 眼前に迫り来るような広大な山々と、密林としか呼べないような木々が生い茂る平地。それがリトルガーデンを表す言葉ではないだろうか。

 それぞれが喜んだり驚いたりしている中でも、サンジ君の言葉はある意味深刻なものだ。食料の補給をしなくてはならないと言うのだから。

 勿論魚を毎日獲っているし、可能な範囲で保存できるよう加工もしている。けれどもウィスキーピークでは買い物は出来なかったし、双子岬でも出来てない。

 それに加えて人間が1人とカルガモが1羽仲間に増えてる訳で、そうなると当然消費する食料はどうしたって増えているのに、1度も補充出来ないでここまで来ているのだ。最近魚がメインなのはそれが理由だったりするけど、夜勝手に取れる魚だけで賄えるような食事では無い。

 特にルフィは空腹が1番の敵で、1回100kgの食事を1日に5回必要とする。それで通常モードとなり、それより少ないと戦闘力が恐ろしく下がる。

 それが分かってて放置も出来ないと溜息を落として、私は目の前に広がる光景に視線と意識を向ける。明らかに買い物ができる島ではなく、けれども食料の補給と言う面においては、問題なく可能だろうとわかる。

 色々な本や図鑑を見てきた筈の私ですら、初めて見る植物達。それはまさに原種。

 これらの特性を調べて本にしたいと思う程に、充実した植物達に深く感謝しつつ、ここで米やバナナを見つけても食べられないわねと、改良された物で慣れてる自分の不甲斐なさを痛感する。バナナの原種っぽいのは見えるんだけど、バナナの原種で間違いないなら種は阿呆みたいに大きいし、種多いし、甘くないのよね……。

 既にバナナと呼んでいいのか分からないくらい、知ってるそれとは異なるのだ。米だってこの勢いならあっても白米では無い事は確実で、原種なんぞ品種改良された美味しい物になれた私には、食べられる筈もない。

 

 「クェー!」

 

 聞いた事もない声を聞いて私が悲鳴をあげても、サンジ君以外はそれぞれが自分の世界にいて、それどころではない。辺りを見れば、鳥と呼ぶ事が許されないようなものが飛んでいたりする。

 あれって明らかに恐竜系よね。そっち詳しくないから、名前までは分からないけど……。

 今度は下の方から低い唸り声が聞こえて視線を向ければ、血塗れで倒れる虎。虎が、血塗れで倒れる、島……。

 ここは危険だ。私の本能がそう告げる。

 ここについての知識は私には本のみである。思い出せないけど、この偉大なる航路前半の海(パラダイス)に長い事いるクロコダイルが、アラバスタまでの進路を知らない筈もない。

 そうなれば当然敵はこちらの動きを簡単に予測できる訳だから、ルフィ、ゾロ、ビビを確実に消しに来るだろうと分かる。それなのに記憶が1切戻らないとはどういう事なのか。

 ワクワクしながら肉だけの弁当を頼むルフィと、それに着いて行くと言うビビ。それに巻き込まれて嫌だと言えずに、固まりつつも共に行く事を決めたカルー。

 そうして食料調達の為にと、狩り勝負を始める仲良しなサンジ君とゾロ。残されたのは戦う事の出来ない私とウソップの2人。

 私は落ち込むウソップに言う。軽い絶望を込めて。

 

 「この島の事、本で読んだのよね、つい最近」

 「なんて、書いてあったんだ?」

 

 ウソップは緊張した様子で聞いてくる。なので私は本にあった1節を声に出した。

 

 「<あの住人達>にとって……まるでこの島は〝小さな庭〟のようだ。<巨人島〝リトルガーデン〟>この土地をそう呼ぶ事にしよう」

 

 その瞬間ウソップは固まり、私はそそくさと船内に逃げ込んだのは言うまでもない。甲板にウソップが残っているのは、自己判断で私に責任なんて無い。

 心を落ち着けようと私が海図を描いていたその時、表からウソップの情けない悲鳴が聞こえて外に顔を出すと、そこでウソップが巨人相手に腰を抜かしていた。けれど、私に気付くと現実逃避をしたかったのか、とりあえずクリマタクトを返してくれた。

 

 「構造は理解したから、1度返しておく。とりあえず、後で色々落ち着いたら何か考えてやるから、今は助けてくれ」

 「どうやって助けろと……?」

 

 呆れを隠せずに言いながら、巨人の言葉に従いお酒を用意して、ウソップと共にその巨人にもてなされる事になった。私は、差し出された巨大な肉を前に、どう手を付けたものか考えて、とりあえず足から短剣を取り出す。

 それで切り分けながら、何とか巨大なそれを口にする形で食事にありつく。けれど、ウソップは食欲がわかないらしい。

 今後の事を考えたら、食べておいた方が良いと思うのよね。手荷物から紫蘇の醤油漬けを取り出して肉を巻いて食べれば、これがまた美味しい。

 ウソップに差し出したらそれは食べたけど、何故か変なものを見るような目で私を見たウソップは、呆れを隠さない。小さいからあれだけど、とりあえず巨人にも紫蘇の醤油漬けで肉を巻いたのを渡せば、美味いなと喜ばれた。

 ルフィといるとどうしても肉を焼いただけの物が食事になりがちだから、味噌玉とか、紫蘇の醤油漬けとか、ローズマリーの岩塩とかは作って持参してるのだ。味付けされずに焼かれただけの肉って、それも扱いはジビエな訳で……中々普通に食べるのは困難なのだ。

 私が肉と戦うように食事を続けている間に、巨人の話を聞いたウソップが、巨人になりたいとか言い出したので、変わってるわねと言いながら眺めていたら、何故か怒られた。……理不尽だわ。

 巨人が戦う姿を見て感動する姿に、私は呑気に新たな肉を頬張った。うん、コッチの肉は意外と美味しい。

 しっかりと血抜きしてあるのと、新鮮だからだろうけど。あ……これ、肉じゃなくて臓物だわ。

 戦いが区切りを迎えた時、図鑑で見た事のある植物を見付けて私がジャングルへと姿を消すと、暫くしてからウソップの悲鳴が聞こえてきた。でも、か弱く戦えない自分では状況を知った所で意味が無いだろうと無視を決め込んで、食料として草や木の実を調達して行く。

 色々と調達してから戻ると、巨人も含めて誰もいない事に気付いて、私は嫌な予感に苛まれる。記憶を思い出さなくても、明らかに怪しいこの島。

 今はBWとの戦いの最中である事を考えたら、命を狙われている3人だけが危険かと踏んでたけど、もし、その現場にウソップがいたならば先程の悲鳴もよく分かる。それでも相手は1応この世界のプロだから、指定されてない[[rb:仕事>殺害等]]はしないだろうと思う。

 それならばウソップは無事の筈で……。さて、どうしたものかしら。

 セットで移動しているビビとルフィ、そして単独行動のゾロ。彼等を罠に嵌めるのは、素直なメンバーだから苦労も無いだろう。

 困った事に、こんな状態になっても記憶は戻らない。昔書き出していた覚えてる範囲の事を書いた紙を見ても、巨人のいる島でBWと戦闘になるとしか書かれてはいなかった。

 これでは全くもって役に立たない。その程度の事ならば、現状から普通に推察できるのだから。

 必要なのは敵に関する資料、情報だ。でも、無いものは無い。

 私は大きな音が聞こえる方へ足を向けて、ジャングルの中を突き進む。その途中でサンジ君を見かけたので、情報共有をして、また別行動にと思った時に突然問い掛けられた。

 

 「ナミさんは、俺達の事を仲間以外で表現するなら、どんなふうに思ってるんですか?」

 「……ビビは可愛い、カルーは愛らしい」

 

 咄嗟に答えれば成程とサンジ君は笑う、それからなら他は?なんて聞いてくるから少し悩ましいなと思う。そう言われてみると、どう表現したらいいのか分からなくなる。

 

 「そうね、ウソップはいい子で、ゾロは真面目、サンジ君は優しい。……ってとこかしらね」

 「優しい……か」

 

 そう呟いたサンジ君は、私との距離を無造作に詰めるとそのまま腰を強く抱いて来る。何かあったかとサンジ君の顔を見上げれば、困ったように笑われてしまう。

 

 「ナミさんは無防備ですね」

 

 そう言ってサンジ君は私の体を片腕で押さえ込んだままで、平然とスカートの中に手を入れてくる。それにより慌ててサンジ君の体を押して逃げようとするけど、腰を抱くその腕の力が強まるだけで解放してくれる気配は無い。

 

 「や……だ!サンジ君!?」

 

 当然のように下着に手をかけて、平気で脱がせて来るから、サンジ君を蹴って抵抗しようとしたら片足をあげた瞬間にその場で押し倒された。驚いている間に、私の腰から流星錘(りゅうせいすい)を取り外して簡単に私の両腕を縛ると、流れるような動作で近くの木にその先を結びつけてしまう。

 

 「サンジ君、何考えて……」

 「優しい人のままだと多分、永遠に俺を意識してもらえないので、今から泣かれても抱こうと思います」

 「は!?」

 「ナミさん、俺の想い本気にしてないみたいですし、1度抱くくらいしないと通じないでしょう」

 「いや、待って!解った!通じたから!サンジ君は私を好きなのよね!?」

 「惜しい……」

 

 そう言ってサンジ君は私の下着を脱がせて、敏感なソコに食らいついてくる。それに悲鳴を上げた私を1瞬見てから、サンジ君はそのまま弄ぶように敏感な所に刺激を与え続けてくる。

 嫌だと言っても、無理矢理割開かれた足の間でサンジ君は私の体を無理に受け入れ態勢に持って行こうとする。それに首を振って、辞めてと言う事しか出来ない無力さ。

 

 「やだァ!ルフィ……」

 

 無意識で呼んだその名が、サンジ君の動きを止めた。辞めてくれる気になったのかとサンジ君に視線を向けると、暗い笑みを讃えていた。

 

 「……ほら、ナミさんは分かっていない。俺は、本気でナミさんが欲しい。ナミさんを愛しています」

 「なら、辞めて!私は、ルフィの恋人なの!ルフィを裏切るような事は……!」

 「……大丈夫、ナミさんは裏切っていません。俺に無理矢理抱かれるのは、裏切りじゃない」

 「愛されてるって、わかったから、辞めて……いや、なのよ。お願い、サンジ君」

 

 泣きそうになりながら頼んだけど、サンジ君は薄く笑みを浮かべると無言で私の中に侵入してきた。先に与えられていた刺激の為に、嫌だと思っても体は痛み以外の物を感じ取ってしまう。

 辞めてと、抜いてと頼むのに、サンジ君はしっかりと奥まで繋がって、私の頬に唇を落とした。

 

 「……泣いて、良いんですよ。これは立派な強姦だ」

 「サンジ君、どうして……?」

 「こんな状態でもナミさんは俺を気遣うんですね。その甘さが、ナミさんを傷つけている」

 

 何を言ってるのだろう。私を傷付けているとしたら、私では無くこの場合サンジ君だと思う。

 それに今は、私を傷付けてるようでサンジ君は自分を傷付けてる。触れて来るその指先が、優しさと気遣いに溢れている。

 強姦だと認めて、私に非が無いと言葉を口にしながら、私の心が壊れない様に想ってくれている。……確かに、認めたくないけど、抱かれてる事で伝わってしまった所は大きい。

 だからと言って許せるものでもないけど、怒りは恐らくそれほど持続できないし、憎しみだって抱けはしない。よく皆に私は甘いと言われるけど、今心から思うのは甘いのはむしろサンジ君だと言う事。

 

 「……泣かないで、サンジ君。泣くくらいなら、無理に抱かなければ良かったのよ。許せない事をされてるのは確かだけど、今は慰めてもあげられないんだから」

 

 腕は使えないから、抱きしめる事も、撫でる事も出来ないし、抵抗する事も出来ない。私の全ての行動を封じたのは、それを選んだのはサンジ君なのよ。

 私の言葉を聞いて、漸く自分が泣いてると気付いたらしいサンジ君は、小さく謝ってから動きを再開した。その刺激に反応してしまう体を疎ましく思いながら、苦しいと泣き叫ぶようなそれをどうする事も出来ずに、私はただそれを受け止める。

 恐らくはこうしていた時間は長くはなかったと思うのに、私には永遠にも近く思える程に長く感じた。苦しい、切ない、愛しい、寂しい……誰か助けて、誰か愛して。

 サンジ君から伝わるその感情に、私は翻弄される。孤独という闇の中で、蹲って泣いている子供の姿が見えた気がした。

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