※この作品はR-18です。

俺がメスガキに負ける訳がない。   作:ゆっくりシン

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ナマコブシ・・・ナマコブシィィイイイ(間違って夢特性の方を逃がしてしまった人)


18話 『じわじわと外堀を埋めていきたい』

 休日、俺はマコトに呼び出され駅前にある喫茶店へと向かっていた。

 少し前に待ち合わせした場所なので特に店内について感想を述べる事は無い。

 前回来た際に対応してくれた店員さんに同じようなセリフを言って店の奥にあるテーブル席に座り鼻歌交じりに本を読んでおるマコトの下へと向かう。

 マコトは読んでいる本に集中しているのか俺が正面の席に座るまでこちらに気付かなかったようで慌てて本をしまう。

 

「すまない。最近私(オレ)好みの小説を発見してね。ついつい読みふけってしまうんだ」

 

「そこら辺は相変わらずだな。それで? そっちから連絡して来るなんて珍しいが・・・何かあったのか?」

 

「君について調べている者がいる」

 

 マコトは前振りなくそれを伝えて来た。

 下手に長い話をされるだけ怠いのでそれ自体はありがたいのだが言葉が足りない。

 

「俺について?」

 

「そう、今月に入って七人もだよ。こっちとしては追い払うのもボランティアだからあまりやりたくないんだけどねぇ。・・・・・・でも、他の誰でもない君に関わる事だから」

 

「そうか、それはすまない」

 

「いいさいいさ。私(オレ)と君との仲だ」

 

 そう言って笑うマコトの言葉に嘘はないのだろう。

 俺の過去を知っている人物の中で、一番その事を気にかけて気を使ってくれているのはコイツなのだ。

 普段から飄々とした態度でどこか掴みどころのないヤツだが、以外に義理堅く責任感も強い。――――たまに信用し辛い時もあるが、それでも頼りにしている。

 

「しっかし、俺について調べるねぇ。・・・・・・心当たりがないと言えない所が悲しい」

 

「君はなんやかんや言って恨みを買っている所が多いからねぇ。恨みじゃないにしても君の抱えている生徒たちは色々と規格外だ」

 

「・・・・・・」

 

「一人は国内有数の大財閥の一人娘、一人は大手企業兼財閥の『三沢財閥』のエリート社員二人の娘、一人は一般家庭だけど両親は共に高い実績を持っている。それぞれが濃い」

 

「生徒たちの家庭に深く追及するつもりは無いんだけどな。・・・・・・家庭の事でトラブルでもない限り」

 

「最後にそれを付け足す辺り君は大分職業病だと思うよ」

 

 マコトはどこか呆れたように笑う。

 ただ、俺自身その自覚がある故に特に言葉を返す事はしない。

 

「それで? 伝えたいことはそれだけか?」

 

「まあこれだけと言えばそうなんだけどさ、君に質問もあるから呼んだのさ」

 

「質問?」

 

 その言葉が少し引っかかった。マコトは気になれば自分で調べて勝手に裏取りをしていくタイプだ。

 質問をする前にはもう答えを得ている為に質問なんてしない。そんな人間だ。

 学生時代も教師が授業を行うときにはもう内容を全部把握して理解していたりとする事なす事確実に一手先に行っているような姿を知っている為、そこがどうにも不思議でならない。

 

「なぁに、質問と言ってもあくまでも確認みたいなものさ」

 

 マコトは少し間を開けてから言葉を続けた。

 

「今年も、墓参りには行くのかい?」

 

「ああ、行くさ」

 

「そうかそうか。なら今年は背後に気を付けるんだね。付けられているという事を前提に動くように」

 

「忠告感謝するよ」

 

 俺はそれだけ言うと店を後にする。

 特に注文することなく出て行く俺を店員さんがジトーっと見て来ていたが、すぐにマコトが注文を始めた為そっちに向かって行った。

 

 

 

 ▼▼▼▼

 

 

 

 金髪の男はカフェから出て歩いて行く月城を見ると入れ違うように店内へと入る。

 店内には楽しそうに注文をするマコトが居り、その姿を見て金髪の男は軽くため息を吐くと他の店員の言葉を無視してマコトの正面にドカッと座る。

 

「よォ、坊主。随分と変わったなぁ」

 

「おっ! 貴方ですか。大分久しぶりですね、最後に会ったのは何時でしたっけ?」

 

「テメェがそんな姿になる前じゃなかったか? 大分昔だなこりゃ」

 

 突然現れたガラの悪い男に店員はオドオドとなるがそれを見たマコトの「知り合いだから気にしないで」という言葉に少し落ち着きを取り戻す。

 

「ご、ごゆっくり~」

 

 少し額に汗を浮かべながらウェイトレスは店の奥へと引っ込んでいく。

 それを横目に金髪の男は静かに口を開く。

 

「あの男はお前の友人だろ?」

 

「・・・・・・なるほど、貴方が次でしたか。私(オレ)としては恩人に対して攻撃はしたくないのですが」

 

「なら、しなければいい。俺とお前、ぶつかったらどっちが勝つかなんて分かりきっているだろ?」

 

「うん。私(オレ)の圧勝だろうね」

 

「クックック。言うようになったじゃねぇか」

 

 金髪の男はそう言って笑うが、事実その通りである。

 方や裏社会に身を置く情報者。

 方や毎日パチンコに勤しむ社会不適合者。

 ぶつかり合えば勝敗がどうなるのか、その後の後処理をどうするかの行動を含めてマコトの方が圧倒的に上である。

 その為、金髪の男の言葉はただのブラフである。

 

「幾ら貰いました? それ以上に出しますのでこの件から手を引いてくれませんか? 私(オレ)としいては彼の古傷を抉って欲しくないので」

 

 マコトは優しい言葉でそう持ち掛ける。

 もしも彼女(かれ)の事を深く知っている者がこの光景を見れば顎の関節が外れるレベルで口を開いていただろう。

 基本的に譲歩なんて事をしようという発想を持たず、自身の利益を優先させる姿勢を変えてまで隠そうとするソレに踏み込んで怒りを買いたい物好きはそうそういない。

 それを理解しながら金髪の男は表情を崩さない。それどころか不敵な笑みを浮かべている。

 

「もう五〇万も受け取っちまってるよ。後は成功報酬だと。それならいくらでも金を引っ張って来れるんだ、これ以上に美味しい話があるか?」

 

「なら、これに好きな数字を書くと良い」

 

 懐から取り出されたのは一枚の小切手。金額は何も書かれておらずそのままではただの紙切れでしかない。

 それを眺めてから金髪の男は呆れたように言う。

 

「俺は現金至上主義だ」

 

「なら後で現金で払おう。幾らが良い?」

 

「残念な事に金額の問題じゃない。俺のなけなしのプライドの問題だ」

 

「なら、―――ここに一〇〇万円がある。そして、彼についての情報が纏めてあるファイルも。これで手を引いてくれないか?」

 

 取り出された札束に金髪の男は眉を顰める。

 力でねじ伏せる事は簡単だろう。それこそ追い返した後に事故に見せかけて殺す事だって可能だろう。

 

「裏取りはするぞ」

 

「ここに書かれている事ならばしてくれて構わない。だから、」

 

「書かれていない事に関しては追及するなってか」

 

 金髪の男はファイルを掴むとペラペラと中身を確認する。

 

「どうせ優歌・・・・・・早川のお嬢ちゃんからの依頼でしょ? ならこれで手を打たせてほしい」

 

「さっきも言ったが、裏取りはする。・・・・・・まあ、金は受け取るんだ。ここに書かれていること以外は伝えねぇよ」

 

 それだけ言うと金髪の男はファイルを持って立ち上がる。

 ただ、マコトはその言葉に違和感と僅かな確信を覚えて慌てたように声を上げる。

 

「伝えないって、追及はする気っ!?」

 

「するさ。その上でファイル内にある情報の何を伝えるかを精査する。・・・・・・ったく、そんな顔をするな。テメェからも金は受け取ったんだ。最低限の約束は守るよ」

 

 金髪の男はそれ以上言う事無く店を後にする。

 ほぼチンピラ同然で過去の栄光なんて完全に失ったパチカスであるが、それでもプロの世界に身を置いていた人物である。金を受け取った以上契約を破る事はしない。

 それを理解しながらもマコトは眉を顰めるしかない。

 約一〇年前に世話になった人間なのだが、それでも一〇〇パーセント信頼できるような人間でもないので最低限疑いの目は持つ。

 金髪の男自身もそれを感じ取りながらも信頼させようという気はない。と、言うよりもそもそも過去に多くの物を投げ捨てて逃げた自分が信頼を得れるとは思ってもいないというのが本音だが・・・。

 

 

 

 ▼▼▼▼

 

 

 

 さて、どうしたものか。

 腕を組んで頭を悩ませるが案は一切浮かんで来ない。ただ、頭だけを動かしていても状況が好転しないのは分かっているのでまずは行動をしてみる。

 

「お~い、大丈夫か?」

 

 俺が声を掛けたのは公園のベンチにうつ伏せになって動かない少女だ。

 身長からして中高生くらいだろうか。

 ただ寝ているだけなら特に何も思わず放置するが、日除けのないベンチに寝転んでピクリとも動かない姿を見ると流石に放っておけない。

 今はまだ六月にも入ってはいないのだが、それでも日差しは暑い。

 放置していたら熱中症になる恐れだってあるのだ。

 

 ただし触れない。

 最近のご時世では挨拶をしただけでも通報された例があるのだ。下手に手を出す訳にもいかない。

 何度か呼びかけていると突然ガバッと顔を上げた。

 

「うぅ~、フラれたぁ~」

 

「・・・」

 

「私なんて、私なんてぇぇえええ~~~~」

 

 職業病と言うか何と言うか、子どもが困っているのを放置できず相談に乗る事になった。

 麻里(まり)と名乗ったピンク色の髪をした少女の話を聞いた事を整理すると、

 

一.好きな幼馴染とデートをした

二.何度もアピールしたけど全部スルーされた

三.そのまま解散になって落ち込んでいた

 

 との事だ。

 何と言えばいいのか腕を組んで頭を悩ませてしまう。

 恋愛系の出来事に関しての知識は極端に欠けているせいでどう言葉を書ければいいのかが分からないのだ。

 

「抱き着いたりさぁ、上手にパンチラしたりさぁ、関節キッッッッッスしたりさぁ、」

 

「『キス』の間にそんなに『ッ』を入れる必要はない気がするよ」

 

「キッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッス」

 

「増えてる増えてる増えてる」

 

「うぅ~、もう立ってられるかァ! もっと飲み物持ってこいやぁ!!」

 

「今その手にあるのはコカ・コーラだ」

 

 酒みたいに言われても困る。

 やれやれと思いながらも相槌を打って麻里の口から流れる愚痴等を聞いていた。

 そうして話初めて一時時間ほど経過したところで麻里は飲んでいたコカ・コーラのペットボトル(これで一〇本目)を投げて見事ゴミ箱に入れた。

 

「んっ。よし、決めた。アイツの方から振り向くまで徹底的にやるよ。・・・話聞いてくれてなんかスッキリした。ありがとう」

 

「気にしなくていいよ。職業柄放っておけなかっただけだから」

 

「ん? どっかの相談員か何かなの?」

 

「教師」

 

「ほ~ん、全く見えなかった。・・・まぁ、いいや。それじゃ、もう行くね」

 

 麻里は大きく手を振って去っていく。

 その姿をどこかで見た覚えがあり少しモヤッとした引っかかりがある。

 つい最近にも見た記憶があるんだが・・・・・・。

 そんな事を考えている内に麻里は行ってしまい、この疑問が解消されることは無かった。

 




へっ、へへへ。
最近はポケモンで心が折れてモンハンやってます。
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