※この作品はR-18です。

俺がメスガキに負ける訳がない。   作:ゆっくりシン

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どうもこんにちは。
モンハンライズ:サンブレイク楽しいです。禁伝&幻環境からは逃げています。

そして今回も投稿が遅れてしまい申し訳ありません。
言い訳をしますと、少しプロットを書き直していました。
その関係上、20話の内容を少し変えたりとか、FGOで周回してたりとか、ほんと色々と忙しく、今回もまた一ヶ月以上投稿期間が開いてしまいました・・・。

さて、今回の話はほんの少しだけダークな要素を入れるつもりで書いております。
よく分からない単語が幾つか出てくると思いますが「なんかそんな物」程度のふわっとした感じで特に気にする事なくスルーしてもらえればありがたいです。あくまでも世界観を崩さないための物ですので・・・(基本的に書いてる作品はシェアワールド方式)。

次回辺りには(ほんのちょっとだけ)エッチな要素を入れられそうな気がしないでもないですが、あまり期待はしないでください。


27話 『パーティー開始と不穏な影』

 チャイムが鳴る。

 そろそろか、といつでも出れる準備をしていた事もありその音と同時に玄関へと向かい扉を開ける。

 扉を開くとそこにはパーティードレスを着た早川がいた。パーティードレスは蒼く袖が花をあしらったシースルーレースで出来ており、うっすらと早川の白い肌が見える。

 

「こんばんは。お迎えに来ましたよ」

 

「ありがとう。・・・この格好で良いよな?」

 

「良いんじゃないでしょうか? ごく一般的なスーツみたいですし」

 

「まあ、就職した時に買った物だからな」

 

「それなら安っぽいのは仕方がないですね」

 

「否定はできないな」

 

 三万円ちょいの物だしな。安っぽいと言われたら素直に頷くしかない。

 俺の言葉に早川はクスリと笑うとそっと手を伸ばしてきた。

 

「それじゃあ、行きましょうか」

 

「・・・その手は?」

 

「ドレス姿の私とスーツ姿の先生が手を繋いで歩いている所を写真で撮ってもらう手筈になっているので」

 

「そうする理由が分からないんだが・・・」

 

「茜さんとはっさんへの自慢です」

 

「却下だ」

 

「ちぇ~、少しは乗ってくれてもいいじゃないですかぁ」

 

「断る」

 

 俺はそう答えると早川と一緒にエレベーターで一階まで降りるとエントランスを出てすぐの所で待機していた車に乗り込む。

 運転手は毎日のように顔を合わせる早川専属の世話役(本名:三上守)だった。軽く会釈をすると、向こうも同じように軽く会釈を返してきた。

 シートベルトをすると同時に車が発進する。

 車は安全運転で夜道を進む。向かう先はこの街の中央駅に隣接しているホテル・・・らしい。ホテルの最上階にあるパーティーホールが会場になっているのだとか。

 俺はあまり電車に乗る事はないので数回しかそのホテルを見た事はないが、都心部から少し外れたこの街にしてはかなり高級感を感じられる外観をしており、駅に隣接しているという事もあってか結構利用者は多いと聞く。

 

「今日は良い日になりそうですねぇ」

 

「良い日って・・・もう夕方だぞ」

 

「例え夕方で、今日と言う日が後六時間と少ししかないとしても良い日という事には変わりはありませんよ」

 

 本当に楽しそうにそう言う姿を微笑ましく感じていると、「そう言えば」と言葉が続けられた。

 

「先生は本日、どのようにお過ごしになられていたのですか?」

 

「えっと、参考書を読んだり、宿題プリントや小テストのプリントを作ったりとかだが・・・」

 

「・・・あの・・・、先生は休日にも仕事をされているのですか? お休み、なんですよね?」

 

「休みだが?」

 

「いや・・・何ですかその『何当然な事を』みたいな顔は。休日なのにプリント作成しちゃってるのは仕事している時と変わらないのでは?」

 

「新しく買った参考書で結構面白い式があったから色々と手を加えてみたくなって気づいたら宿題プリントになっていただけなんだが・・・」

 

「それ最早職業病の領域に入っていますよ」

 

「まあ、そうだな・・・」

 

 そう言われると否定できない為、認めるしかない。

 いくら問題を作るのが楽しかったからと言ってそれで休日にも関わらず仕事をしてしまっているのは職業病かもしれない。

 今度の休日はパソコンから離れて外出してみるのもいいだろうか。

 そんな事を考えながら雑談を続けている内にホテルに到着した。車寄せに停まってすぐにドアが開かれた。

 

「お久しぶりです、早川のお嬢様。本日は当ホテルにご来訪いただきありがとうございます」

 

 車から降りた早川にホテルマンらしき男が深々と頭を下げる。

 身なりの良さそうな男は何処か張り付いたような印象を受ける笑顔を向けるホテルマンは俺の姿を見た瞬間、僅かに眉をピクリと動かした。

 

「・・・そちらの方は?」

 

「私の先生です。突然ながら参加していただく事になりましたの」

 

「先生・・・。家庭教師か何かですか? それだったら今回のような場にはふさわしくないのでは・・・?」

 

「いいのです。今日の集まり何て結局は近況報告や顔合わせと言う名の大人の飲み会。私のような子供の相手をしてくれる人間の一人や二人は必要ですので」

 

「そう・・・ですか・・・。っと、このような事で時間を取らせてしまい申し訳ございません。すぐにご案内いたします」

 

 そう言って再度頭を下げたホテルマンは顔を上げた後に俺の方に視線を飛ばし、直ぐに別の来訪者の方へと向かっていった。

 

「・・・知り合いか?」

 

「ええ、ここのホテルは御爺様が昔からよく利用している場所ですので何度か顔を合わせた事のある人です。今では役職も付いていると聞いた覚えがあります。詳細は覚えていませんが」

 

「そうか・・・」

 

 別のホテルマンに連れられてホテル内に足を向けながら先ほどのホテルマンに視線を飛ばす。

 完璧、と言えるほどの笑顔と教科書に載っていそうな程綺麗な姿勢がプロとしての経験値を言外に語っているようにも思えた。

 エレベーターに乗ってパーティーホールのある階まで上がると、そこには一目で高級だと理解できる滑らかな生地でできたスーツを着ている人や眩しく感じるほどの煌びやかさがありつつどこか落ち着いた雰囲気のあるドレスに身を包んだ人等々、俺のような庶民とは明らかに生きる世界が違う人たちが大勢いた。

 あまりの圧に少しグロッキーになりそうになるが、隣にいる早川のお陰か何とか平常を取り繕うことはできた。

 エレベーターから降りた早川は辺りをキョロキョロと見回してから俺の手を引いて歩き出す。

 そうして白いスーツの男性と優歌と同じ蒼いドレスを着た女性の下へ着くと、軽い会釈をした。

 

「お父様、お母様。只今到着しました」

 

「おぉ、待ったぞ。・・・っと、そちらが担任の、」

 

「月城匠です。本日はお招きいただきありがとうござます」

 

「いえいえ、当日に突然お呼びしてしまい申し訳ない。本来ならずっと前にお声かけをすべきだったのですが、仕事が予想以上に早く終わって父さんが参加できる事になり、父さんが月城さんと会いたいと言い出したものですから・・・」

 

「お気遣いありがたいですが、大丈夫ですよ。今日は予定もなかったので」

 

「そう言ってもらえるとありがたいです・・・。っと、紹介が遅れました。私が優歌の父の『早川(はやかわ)和作(かずさ)』で、こっちが」

 

「母の『早川(はやかわ)奏(かなで)』です」

 

 そう言って蒼いドレスの女性はペコリと会釈をした。俺もそれに会釈で返す。

 ざっと二人を観察する。

 早川は母親似のようで、奏さんの印象は『大人になった早川優歌』だった。

 特に三者面談等を行ったりしなかった事もあり、赴任してきて初めて生徒の両親と顔合わせをしたが、二人の落ち着いた雰囲気のお陰か先ほどまでグロッキーになりかけていた気持ちは何処かへ吹き飛んでいた。

 奏さんから普段の学校での様子などを聞かれ、答えられる範囲でお伝えしたり家での様子などを少しだが聞くことができた。

 そうした談笑のお陰か、少しリラックスできた俺の隣で早川が再度周囲を見回している。また人を探しているのかと思い様子を見ていると、少し寂し気な表情で和作さんに質問をした。

 

「“あの人(、、、)”は来ていないのですか?」

 

「・・・あぁ、“彼(、)”からは『用事があって行けない』と連絡がきたよ」

 

「っ・・・。それは、残念ね・・・」

 

 早川は少し俯いた後、一度咳をして気分を切り替えてから、俺の手を掴む。

 

「すみません。少し付き合ってください」

 

「あ、あぁ・・・」

 

「優歌、あまり先生に迷惑をかけるんじゃないぞ。いいな?」

 

「分かっています。それでは、行きましょう」

 

「っと、すみません。お話はまた時間があれば」

 

「はい、学校での様子を聞けて嬉しかったです。また後で時間があれば聞かせてください」

 

 俺は手を引かれるまま、人混みを抜ける。そうして少し離れた所にある廊下に設置されているベンチに早川は座った。

 俺もその隣に座って様子を窺う。

 早川は少し深呼吸をしてから静かに口を開いた。

 

「先生、一つ授業をお願いできますか?」

 

「授業・・・? 内容にもよるが、大丈夫だぞ」

 

「『行けたら行く』と言う人は何で来ないのでしょうね」

 

 難問が来た。

『行けたら行く』と言うのは行くとも行かないとも明言していない為に、実際に来なかったとしても『行く』と明言していないせいで責めるに責められないのだ。

 つまり、『行けたら行く』と言うのは行かなかったとしても雑な言い訳を押し通せる言葉と言う事になる、のだろう。

 っというか、それ以外に言い様がないのでそのままを言葉で伝える。

 

「・・・なるほど。やはりそれが正解に近いのですかね」

 

「多分な。俺自身、そういった経験はないから正確に言える訳じゃないがな」

 

「あら? ドタキャンした事がないのですか?」

 

「ないな。された事はあるが・・・」

 

「された事はあるのですね」

 

 フフフ、と笑みを漏らしてから早川はポツポツと話し始めた。

 

「私には恩人がいるんです。私が酷い目(、、、)に合ってた時に、何の関わりもなかったのに、何の見返りもないのに、突然現れて嵐のように事態を動かして、・・・ずっと優しい笑顔を向けて救い出して下さった恩人が」

 

「ヒーロー、みたいな人だな」

 

「ええ、ヒーローですね。私の中であの人は最高のヒーローなんです」

 

 なのに、と言葉が続けられる。

 

「何で『行けたら行く』で来ないのでしょうねぇ・・・・・・」

 

「あ、来なかったのがそのヒーローなんだ」

 

 深く息を吐く姿にどこか親近感を覚えながら早川の言う『ヒーロー』の姿を思い浮かべる。

 どんな人物かは知らないが、『ヒーロー』というイメージからぴちぴちのスーツを着てマントを靡かせている姿が浮かんできた。実際、そんな恰好をしている人物が居たらただの不審者でしかないが・・・。

 

「ヒーローですからねぇ。きっとどこかで人助けでもしているんでしょうねぇ・・・。見境なく困っている人に手を差し伸べまくってあっちこっちに笑顔を振りまいているんでしょうねぇ。ほんとクソ」

 

「口調崩れてないか?」

 

「おっと、私とした事がはしたないですわねぇ」

 

「めちゃくちゃ白々しいわ」

 

 早川は普段から丁寧な口調でいるが、もしかしたら今のが彼女の素なのかもしれない。

 そう思うと、生徒との関係を縮められた気がする。・・・錯覚ではないといいが。

 そんな会話をしていると、廊下にいた人達が次々にパーティーホールへと入って行く。

 その人の動きに気付き、俺は早川に手を指し伸ばす。

 

「それじゃあ、行こうか」

 

「ええ、そうですね。御爺様に先生を紹介しなければいけませんし・・・」

 

「ホント、何で財閥のトップという大物が俺なんかに興味を持ったんだかな・・・」

 

「さぁ? 何でなのでしょうねぇ。私には分かりません♪」

 

 ニコニコと笑うその姿を訝しく思いながら俺は早川と手を繋ぎ歩幅を合わせながらパーティーホールへと向かう。

 こういった場は初めてだった為、かなり緊張したが、それ以上にどこか心の奥がワクワクする感覚があった。

 

 しかし、この後にあまりにも想定外な事が起こるなんて、俺は微塵も思っていなかった。思える訳が無かった。

 

 

 

 ▼▼▼▼

 

 

 

 少年が闇夜を駆ける。

 額からは汗が垂れ、その表情からは焦りが見て取れた。

 肩で大きく息を整えながらポケットからスマホを取り出すと通話履歴の一番上にある最新の電話番号をタップする。数回のコールの後に相手が出る。

 

「情報は?」

 

『第一声がそれか。調べてたけどこっちの拠点はもぬけの殻よ。残念な事に何一つないわよ』

 

「くっそ。まだ周回遅れを取り戻せそうにねぇな。・・・すまねぇ、次の拠点にも向かってもらえるか? 俺はちょっと別視点で探してみる」

 

『別視点? 「夢ノ薬(ドリームドラッグ)」関係以外に何かあるとでもいうの?』

 

「いやさ、なぁんか変なんだよな。薬を売るだけなら別に隠れてこそこそ売ってりゃいいのに何でか人殺しすらしてるんだぜ。しかも、被害者は薬をやってた形跡なしア~ンド犯人グループたちとの繋がりも見えないまま」

 

 少年の言葉に電話先の相手は頭に疑問符を浮かべる。

 

『何らかの原因で取引現場を見られたとかそんな感じじゃない? 私たち「妖狐」だって口封じくらいしているし、こっちの業界じゃそこまで不思議じゃないわ』

 

「そう。不思議じゃないからこそ逆に不自然なんだよ」

 

『は? ・・・トンチ? アンタ頭いい雰囲気出してるけど普通に馬鹿なんだから頭のいい振りするの止めたら?』

 

「シャラップ厨二病」

 

『厨二じゃないって何度も話してるでしょう!!』

 

「はいはいワロスワロス。んで、テメェの下らねぇ話は置いといて話を戻すがよ、見られたとしてもそこでの売買を止めてしばらく潜伏しときゃいい訳だろ? なんでリスクを取ってまで殺したかって話だよ。しかも結構雑に」

 

『まあ、雑だったわね』

 

「となると犯人たちはそこまで殺し慣れていないって事じゃねぇかな? 流石に素人っぽすぎる。・・・つまり犯人たちはチンピラ上がりの馬鹿集団。しかも行動力だけはある手に負えない厄介なパターンのな」

 

 電話口から返事はない、恐らくは無言で続きを要求している所だろう。

 

「それに、被害者の顔面を剥いで持ち去っている(、、、、、、、、、、、、、)のは流石に露骨すぎるとは思わねぇか?」

 

『残念ね。「覆面使い(デスマスク)」の方はとっくに訪ねたわ。知らぬ存ぜぬだったわよ』

 

「俺が向かう。『覆面使い』の事だ。どうせ何か知ってるさ」

 

『・・・だといいけどね。まあ、そっちも精々頑張りなさい』

 

「おうよ。何かあったらメッセージアプリの方に頼むわ」

 

 そう言って通話を終えると、少年は再度夜道を駆け抜ける。

 少年の頭にあるのは偶然見つけた死体とその死体が握っていた一つのピンバッジ。

 そのバッジのデザインを思い浮かべながら少年は小さく呟いた。

 

「予感、外れてくれるといいなぁ・・・」

 

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