※この作品はR-18です。

俺がメスガキに負ける訳がない。   作:ゆっくりシン

33 / 35
どうもお久しぶりです。
気付けばもう三月になり、少しずつ気温も暖かくなってきていますね。

えー、はい。
投稿遅れて申し訳ございませんでした。

言い訳を!言い訳をさせてください!

実は、ずっと使っていた中古のPCが壊れてデータぶっ飛んでしまったのです。
バックアップ取り忘れていたせいでこの小説含め多くの作品がまっさらになり、偶然一年ほど前に使ったSDカードの中に当時のデータが残っていた事からそれを元にデータの復旧をしていたんです・・・。
っと言っても結構な量の作品が書き直しになってちょっと泣いています・・・
(ノД`)・゜・。

今回の話は導入の導入、つまり前座過ぎて大きな意味はない感じになっています。
不思議ですよね。ぶっ飛ぶ前の話とまるっきり違う話になってるんですよ。

残根な事に本番は次回・・・か、さらに次回になると思いますので心優しく器の広い読者の皆様、どうかゆっくりと首を長くして待っていただけると幸いです・・・。


32話 『英雄のヒロイン』

「っと、まあそんなこんなで優歌ちゃんは監禁場所から救出されて表面上は無事に両親の下に送り届けられ、彼・・・『正義の味方(ヒーロー)』の名前がコ(、)ッ(、)チ(、)界(、)隈(、)で頻繁に上がるようになった一件はひとまず幕を下ろしたのさ」

 

 マコトはそう言って話を終わらせる。

 嘘みたいな話だった。嘘だと思いたいような話だった。

 だが、マコトの真剣な瞳が話に嘘がないという事をひしひしと感じさせる。

 

「っ・・・。んだよ、それ・・・」

 

「つい二年ほど前にあった実話さ。・・・今思い返すと、アレ以来『正義の味方(ヒーロー)』のせいで仕事がしづらくなったねぇ」

 

「・・・・・・なぁ、優歌の過去話とお前がイラついてる事に何か関係があるのか? 正直に言って繋がりが分からないんだが・・・」

 

「以前に話しただろう? 君の事を嗅ぎまわっているヤツがいるって」

 

「ん・・・? あぁ、そういえばそんなことを言ってたな」

 

 一ヶ月ほど前だったか。マコトに呼び出されてそんな話をされた。

 今そのことを言われるまですっかり忘れていたが、これを話に挙げるという事はマコトがイラついている事の原因の一つに俺が含まれているという事だろう。

 ヒント自体は少ないが大まかに状況の把握はできた。

 

「・・・探ってるヤツらを追い払っているとか言ってたが、追い返しきれなくて情報を持っていかれたって所か」

 

「まぁ、そんな感じ。・・・さっき私(オレ)が引きずっていた男がいただろ? アレが君の過去を探ってその情報を盗み取っていった上にしばらく雲隠れしていたパチカス」

 

「お仕置きってそう言う事か」

 

「そそ。そゆこと」

 

 マコトはククク、と楽しそうに笑う。

 先ほど、コイツは「あれは自分の趣味じゃない」とか言っていたが正直な感想を言うとこいつの趣味だったのだろう。

 どんな理由があれ、相手を縛り上げて街中を引きずり回す、だけならまだギリギリ目を瞑ってもいいだろうが、残念ながら自らもあんな際どい姿をしている時点で確実に趣味が入っているとしか思えない。

 

「しっかし、俺はただの教師だぞ。そんな俺について調べてるのはどこの物好きだよ」

 

「早川優歌ちゃん」

 

「っぁ~~~~~~~・・・・・・」

 

 声にならない声を上げ、顔を手で押さえながら俯いてしまった。

 頭の中に浮かんだ単語は単純明快、「アイツか」である。

 最近よそよそしい理由、それを『あの一件』が原因だと思っていたが、それにプラスして俺の過去について知られたとなると話が大きく変わってくる。

 

「・・・・・・」

 

「随分と難しそうな表情をしているね」

 

「生徒に気を使わせるなんて、教師失格だな」

 

「う~ん、そっちかぁ。君ってどこかズレてるよねぇ。そこは自分の過去を知られたことに重きを置くべきだと思うよ」

 

 ケラケラと少し小馬鹿にするような口調でそんな事を言ってくるマコトに俺はため息交じりに返答する。

 

「教師が自分優先で生徒に負担賭けてどうするんだ。生徒たちの成長を促すのが仕事で、生徒が潰れないようにサポートして支えるのが役目だ」

 

「・・・・・・それって、『彼女』がそうだったから?」

 

 その返しに俺は無言で意思表示をする。

 答えるまでもない事をいちいち口にする趣味はない。

 

「君の生き方を否定する気はないけど、肯定もできないからね。・・・それで、どうするつもり?」

 

「どうする、って?」

 

「一歩、踏み出す時なんじゃないかな? 君は『教師』だの『生徒』だので線引きをしているだろ? 別にそれを悪い事だとは言わなけど、彼女たちからしたら快くはないんじゃないかな?」

 

「・・・・・・」

 

「まずさ、君が作っている『教師と生徒』という壁をほんの少しだけ低くしてみたらどうかな? 『誘拐事件』・『家族へのコンプレックス』・『家庭内不和』、私(オレ)だって君の事を気にかけて色々と調べたんだぜ。君が『教師』なら『生徒』の問題を取っ払って心の傷を癒すのも仕事じゃないかな? 今の君は目を逸らしていると感じちゃうなぁ」

 

「・・・・・・そう、だな。目を逸らしていたのかもしれない」

 

 マコトに言われた言葉を頭の中で反芻させる。

 確かに「『生徒』の問題を取っ払って心の傷を癒す」のも教師の仕事だろう。

 無論、それを行えない教員がいる事だって分かっているし、全教員がそれをこなすべきだとも思ってはいない。

 ただ、特殊学級かつ受け持っている生徒数が少ない分、俺は他の教職員と比べて仕事量や負担は圧倒的に少ない。

 それなら、その余裕を使って今まで以上に向き合う事に使うべきなのかもしれない。

 

「おっ! 表情が変わったねぇ。・・・これからどうするのかな?」

 

「向き合い方を考えるよ。・・・少しは俺も変わらないと駄目だ」

 

「にっしっし。そういうと思った。よし、ここは君の成長祝いとして私(オレ)が奢ろうじゃあないか」

 

「いや、さすがに割り勘だろ」

 

 頬を膨らましてぶーぶー言っているマコトを無視して俺はメニュー表を手に取る。

 先ほどまで感じていなかった空腹を感じ、自分の胸の中にあった突っかかりが取れた感覚に少し前向きになれた気がした。

 

 

 

 ▼▼▼▼

 

 

 

 グビッ、と缶ジュースを飲み干して空き缶を投げる。

 空中へ放物線を描いた空き缶は見事にゴミ箱のふちへと当たり、近くの芝生に転がる。

 少年は苦虫を嚙みつぶしたような表情を浮かべて溜息を吐くとゆっくりと空き缶の方へと向かって歩く。

 だが、少年が空き缶の下へ着くよりも前に、誰かがその空き缶を拾ってゴミ箱に入れた。

 

「やあ、久しぶり」

 

 空き缶を拾った人物―――マコトはそう言いながらヒラヒラと手を振る。

 

「アンタは・・・えっと、なんだっけ? 確か・・・そう! TS野郎っ!!」

 

「合ってはいるけど私(オレ)の名前は思い出せていないだね・・・。まあ、覚えられるのもあまり良いとは思えないしそれでいいよ。こうして会うのは何時ぶりかな? ・・・『正義の味方(ヒーロー)』」

 

「ハァ・・・。喧嘩売ってるんだとしたら速攻で買うぞゴルァ」

 

「おやおや、何がお気に召さないのか」

 

「俺は『正義の味方(ヒーロー)』じゃない。ただの学生をいい大人が変ちくりんな呼び方すんじゃねぇよ」

 

 ニヤニヤと笑っているマコトを『正義の味方(ヒーロー)』と呼ばれた少年はギッとにらんだ後に深く息を吐く。

 

「それで? 要件はなんだ?」

 

「君ってNTR趣味はある?」

 

「えぬてぃーあーる・・・? え? 何・・・? 俺、一四歳だぞ。未成年に何聞いてんだ・・・・・・」

 

「いや、なぁに。君(、)の(、)ヒ(、)ロ(、)イ(、)ン(、)について色々とあってね。『んっ・・・♡ ごめんな、さいっ・・・♡ 私はもうこの人のモノじゃないとっ♡ ダメなのっっ♡♡』的な展開は好みかい?」

 

「えっと、何言ってんだオマエ・・・? 俺に恋人なんていないし、好きなやつもいないが・・・?」

 

「あっ、ホントに理解してないなこの子」

 

 眉を顰めて体を少し縮め全身からドン引きしている雰囲気を出している少年を見てマコトの口からは自然とそんな言葉が漏れていた。

 

「えっとね、優歌ちゃんに好きな相手ができたの」

 

「ほー、そりゃめでたい事で」

 

「多分肉体関係にもなるよ」

 

「おいおい、アイツはまだガキだろ? ガキに手ェ出すとかどんな物好きだよ」

 

「君も十分ガキだと思うけど・・・。えっと、嫉妬とかはないの?」

 

「・・・・・・? 何で俺が嫉妬する理由があるんだ?」

 

「わぁすっごい。この子ホントに理解してないパターンだ」

 

 キョトンとした顔をしている少年の姿にマコトの口から再度そんな言葉が漏れる。

 困惑するマコトを他所に少年は腕を組んで思考を巡らせていた。だが、数秒で思考を放棄して終わらせる。

 無駄なことを考えない主義―――というよりも考える事が嫌いな少年は余程緊迫した状況でもない限り無駄に脳みそを働かせないのである。

 

「だってアレじゃないか。彼女が誘拐された時に、誘拐犯の本拠地に乗り込んで見事彼女を救い出したのは他でもない君じゃないか! ほら、アニメとか漫画ならここからフラグが立ってヒロインとして関わるようになる鉄板パターn、

 

「フィクションと現実は違ェ」

 

 少年はマコトの言葉をバッサリと切り捨てる。

 後頭部をボリボリと掻いて、首をグルリと回し関節を鳴らしてから少年は言葉を続けた。

 

「くっだらねぇ。そんな事で話しかけて来たんだとしたらお前相当アフォだぞ。助けたからフラグが立つ? 他人を救助したら運命の赤い糸でも繋がるのかよ。だとしたら警察・消防・医療従事者はハーレムでウハウハじゃあねェか。馬鹿な事言ってねェでマトモな職でも探しとけTS野郎」

 

「わー、オブラートって知ってる?」

 

「包んでるが」

 

「だとしたらどんな暴言を吐くつもりだったのかが気になってくるぞぉ」

 

「・・・確かに、俺はアイツを助けたさ。だがな、結局は『助けただけ』なんだよ。それ以上でもそれ以下でもない。そして、アイツの人生に俺が口を出す権利はどこにもない。オレとアイツの人生にはたまたま交わる部分が合ったってだけで、それ以上に強く干渉する意味や理由はこれっぽちとして存在しねェ。好きなヤツができた? よかったじゃねェかよ。むしろ何でソレが“NTR”になるんだ? 俺がモテたくて誰かを助けているとでも思ってんのか? だとしたら人の事を馬鹿にしすぎだ」

 

 少年は刺すような鋭い視線をマコトに向ける。

 

「テメェ、そんなに俺と戦(や)りたいのか?」

 

「いやいや、君と争うつもりはないよ。私(オレ)だって馬鹿じゃない。君と敵対して得られるメリットなんて極僅か、・・・デメリットの方が多いんだからさ」

 

「ハァ。・・・そうかよ」

 

 そう言いながら少年はダラリと全身の力を抜く。

 臨戦態勢であり、いつでもマコトへ攻撃を仕掛けられるようにしているのだ。

 狂犬、そんな言葉が頭に浮かんでくる程に好戦的なその姿、黒く濁った瞳と白い獣のような牙はマコトに冷や汗をかかせるのに十分な迫力を持っている。

 

「・・・・・・うん、君の言った通りだ。君は『正義の味方(ヒーロー)』じゃないね。・・・気に食わない人間をぶちのめす、己の気分だけで盤面を狂わせてしまう・・・・・・狂わせてしまえる理(、)不(、)尽(、)。――――『救いの英雄』っ!!」

 

「その絶妙にダサい呼び方も止めろ。俺にはちゃんとした名前があるんだよ」

 

 少年はそう言うと同時に姿勢を低くして足元にあった石を掴むと全力で投擲する。

 その石はマコトの背後にいた男の顔面ど真ん中を捉え、その意識を簡単に刈り取った。

 

「・・・それで、今回は何をやらかした?」

 

「ハッハー。心当たりが多すぎてわからにゃい」

 

「クソが。優歌の事なんて口実で俺を巻き込む為に接触してきたなこのTS野郎っ!!」

 

 少年が叫ぶと同時に物陰から複数人の男が姿を現す。

 構えを取る二人の周りを男たちは円形に囲むと一気に襲い掛かった。

 

「なーんで、俺はこんな事に巻き込まれなきゃならねェんだぁああああ!!」

 

「私(オレ)を見捨てておけばよかったのにねぇ」

 

「ンな選択肢は最終手段だ。初手から助けられるかもしれない人間を見捨てる程、人間終わってねェわ!」

 

「アッハッハッハ! さっきの撤回を撤回しよう! 君はやっぱり『正義の味方(ヒーロー)』だよ!」

 

「流れ弾でぶん殴られたくなきゃ口閉じとけ!!」

 

 乱闘をしながらもそんな軽口を叩く二人。

 月明かりが照らす公園の一角で喧嘩が行われているのと同時刻。

 

 

 

 

「ちょっと特別自習でも設けて優歌と二人っきりで話し合ってみるか・・・」

 

 何も知らない月城はそんな事を呟いていた。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。