言い訳をさせていただきますと、ネタが出なかっただけでなく仕事が多忙でこちらを進めている時間が無かったのです。
食品関係に努めているのですがコロナウイルスによる自粛等で需要が上がり忙しくなり、一部解かれた後も仕事が忙しく時間が中々作れずにいました・・・。
現在、仕事量も(コロナ前の1.5倍ではあるモノの)落ち着いて来て時間を作れるようになってきましたのでこの作品にもしっかりと力を入れて作っていきたいと思います。
重ね重ね、投稿が遅れてしまい申し訳ございませんでした。
テスト当日。
桃知は今まで以上に、それはもう早川や暗視では比べ物にならない程目の前の答案用紙に集中して問題を解いていた。
反省文回避のためにここまでの集中力を発揮できるならそれを常に発揮して欲しいモノである。
黒板の前に座り三人を監視しつつ書類整理をしている間に一時間目が終わる。
二時間目も三時間目も似たり寄ったりで終わっていく。
そうして二次休みになって俺一・二時間目のテスト用紙を採点してゆく。
暗視や早川はいつも通り八〇点以上であるのだが、桃知はその半分以下の三
〇点取れればいい方だった。
なのに、今回は九〇点を超えている。
普段からこれぐらいやってくれればいいのだが、反省文がそんなに嫌なのか。
書きたくないなら問題を起こさなければいいだけの話だろうに。
答案に赤ペンで丸を書いている内に二次休み終了五分前のチャイムが鳴る。
それを聞いてから俺は職員室を後にして教室へと向かった。
その後もテストは進んで行き、採点をするたびに桃知が二人よりも高い点数を取っているとこに頭痛を覚える。
なぜ今までこれをできていなかったのかが強い疑問でしかない。
それでも彼女がこのテストの為にしっかり勉強してきたことが窺えるのでそれを嬉しく感じていたりもする。
多少の凡ミスはあるのだが、それを引いても九〇点を超えているという事は彼女の努力が伺えるというものである。
昼休みの時間になり俺が今回の点数から今後の授業内容をどうしようか考えていると隣から声を掛けられた。
そちらに視線を移すとどこか楽しそうな表情を浮かべる三宅先生がいた。
また何かの誘いか、と思いながらも仕事上話さないといけないので彼女の方へと向き直る。
「なにかありました?」
「いえ、なんだか楽しそうだったので何があったのか気になりまして」
そう言う彼女に俺は手元にあった桃知のテスト用紙を三宅先生へ渡す。
三宅先生はテスト用紙を見ると驚いたような表情になる。
まあ、今までの彼女を知る者ならこのテストの点を見て驚かない事は無いだろう。
「凄いですね。まさかここまで高い点数を取るなんて」
「ええ、まあでも点数が良いのと頭が良いのは別問題ですからね。これが今後も続けば次は机に向かっているだけじゃ学べない事を教えていきたいと思っています」
「それって、夜の補習授業ですか? それだったら最初に私が相手n
「ンな訳ないでしょう。自然に触れさせたり様々な所に見学とかに行ったりして実際に触れさせたいんですよ」
俺の言葉に三宅先生は少し眉を顰める。
「まあ、あそこの授業日程とかは担任教師に一任されますけど、社会見学とかどうやるつもりですか? どこかの会社に行くにしても向こうが許可してくるか・・・」
「ああ、その辺に関してはちょっと知り合いのツテを使おうと思っています」
「ツテ、ですか?」
「昔からの友人に顔の広い奴がいるんで、アイツに頼んでみようかなって・・・」
「女性ですか?」
「・・・・・・なんでそんなこと聞くのですか? どうでもいいでしょう」
ホント、なんでこんな事を聞くんだ。
女性がこういった恋愛系とかが好きであるとアイツはよく言っていたが、そうなのだろうか?
三宅先生の態度とかを見ているとそのように思えてくるが・・・。
「まあ、確か今は女になってるはずです」
「・・・・・・オカマさんなのですか?」
「ある種そうであり、ある種違います」
アイツの事を思い、そんな曖昧な答えしかできない現状少し肩を落とす。
昔から変わり者で取っ掛かりの無いようなヤツだったが、今じゃ昔の面影が(性格も見た目も)全くない状態だからな。
最後に連絡をしたのは元旦のちょっとしたあいさつ程度だが、何事も無ければ元気にしているだろう。
少しスマホに視線を落とし、アイツの事に思考を向けると同時に昼休み終了5分前を知らせるチャイムが鳴った。
俺は三宅先生と会話を止めると職員室を出て教室へと向かった。
▼▼▼▼
教室の扉を開けてすぐに俺は片手を頭に当てて深くため息を吐いた。
今の視界に映っているのは堂々と飴を舐めている三人の姿だ。
別に舐めるなとは言わないし多少の事ならば目を瞑るし今までも瞑ってきた。
だが、今回に関しては別の意味で頭を抱えてしまった。
「・・・お前らは愛知県にでも旅行に行ったのか?」
「ん・・・んちゅ・・・・・・ネットで買った・・・・・・ちゅぼっれろぉ」
「最近の世の中が便利なのは理解したからさっさと舐め終われ。五時間目開始まで後三分を切ったぞ」
俺はそう言いながら教壇近くに設置していた椅子に腰かけるとバッグからテストプリントを取り出す。
その間も三人は飴を舐め続けている。
特徴的な形をしたその飴が何なのかを俺はアイツから(無理矢理)教え込まれた為に知っている。
「ちゅぶ、んぢゅっ、れろぉ、ちゃぷ」
「ぢゅ、ぢゅぶちゅ、じゅぽっじゅ、ぬぷ」
「んぷっ、れろちゃぷ、じゅぱ、じゅるぅ、じゅぷぷ」
三人の舐めている飴。
その正体は―――所謂『子宝飴』である。
別名『授かり飴』。
愛知県小牧市にある田縣神社やその周辺で販売されている飴であり、その形状は男性器を模して作られている。
神社自体も祭りの際に男性器を模した木製オブジェがあっちこっちに投入されておりある種カオスな情景であると聞いたことがある。
そこの飴をわざわざ取り寄せて教室で味わうな。しかもなんでチラチラこっちに視線向けて音を立てながら舐めるんだよ。
勉強とかの為に糖分を取る事は別に止めたりしないがなぜわざわざソレにした。
俺がテストプリントの最終確認をして時間を潰していると授業開始のチャイムが鳴った。
「ほれ、いつまで舐めてるんだ。テスト開始だぞ」
そう言いながらプリントを机に並べると、桃知はつまらなそうな顔をしてから子宝飴を噛み砕いた。
股間辺りがヒュッと冷たくなり軽く冷や汗が出る。
イメージやそれっぽい事を見るだけでも本能的に反応してしまうのは仕方が無いだろう。
三人は各々飴を処理してから鉛筆を持ってプリントに向き合う。
特に詰まる事も無くスラスラと問題を進めて行く。
カンニングをするとは一切疑っていない為監視していなくてもいい気はするのだが、規則で決まっているので怪しい動きが無いかを一応見ている。
見ていると言っても頭の中で今後の予定を整理しているけどな。
多少眉を顰めたりするところはアレど授業開始から三〇分もすれば全問解け終わったらしく最後の見直しに入っている。
・・・・・・桃知以外。
全部終わったらすぐに顔を伏せて寝息を立てている。
午前中もこんな感じでありこのテストに対する自信が溢れているようにも感じるがその慢心で痛い目を見ない事を祈っている。
そうこうしている間に五時間目も終わり、六時間目も似たような感じで終わった。
「それじゃ、今日は特にホームルームはやらないから各自時間までに帰るように」
俺はそう言い残し教室を出ようとした所で後ろから声を掛けられた。
振り向くと少しもじもじしている暗視がすぐ後ろに立っていた。
いつの間に、と思ったがとりあえず腰を落とし視線を同じにしてから言う。
「どうした? 何かあったか?」
「えっと、えっとね、先生。・・・無理、しないでね」
その言葉に俺はキョトンとしてしまった。
だが、すぐに少し前に三宅先生や権藤先生から「疲れているぞ」と忠告を受けたのを思い出す。
表に出さない様にしていたつもりだがどうやら気付かれていたらしい。
これは、教師失格だな。
生徒に心配させてしまうなんて、やはり休んだ方がいいのだろう。
俺は軽く息を吐いてから暗視の頭を撫でる。
「心配してくれてありがとうな。でも、先生は大丈夫だ。これでも体は丈夫なんでな」
「は、はうぅぅ・・・」
暗視はそう言いながら少し顔を赤くして俯く。
彼女の長い前髪で顔が隠れ表情が見えない為どう判断して良いか分からず慌てて手を離す。
「す、すまない。嫌だったか?」
「う、ううん。少し恥ずかしかっただけ。・・・・・・先生、また撫でてくれる?」
「・・・・・・おう、いいぞ。何かあったらいくらでも撫でてやるさ」
「約束、だよ」
暗視はそう言うと左手の小指を立ててこちらに伸ばしてきた。
なるほど、『指切りげんまん』か。
ホント、こういうところは普通の子供なんだよな。
そう思いながら俺も左手を伸ばし彼女の小指にソッと絡める。
「「指切りげんまん、嘘ついたらハリセンボン飲~ます。指切った」」
指を離すと暗視は俺がさっきまで触れていた左手を抱くように右手でそっと抑え、うきうきとしている。
何が嬉しいのかはさっぱり分からないが、それでも満足してもらえるならいいか。
俺は再度、暗視の頭を撫でると今度こそ教室を後にする。
さて、今日ひと踏ん張りして明日から少しずつ休んでいきますか。
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嬉しさを隠すことなく体を揺らしている波奉を茜はジト目で睨む。
普段恥ずかしがり屋でもじもじしている友人が乙女の顔をして笑顔を浮かべていたら流石に変な視線を向けてしまうのは仕方が無いと言えるだろう。
そんなウキウキとしている波奉に優歌は微笑を浮かべながら言う。
「あの先生の事、好きなんですか?」
「ひゃうっ! え、な、なんで・・・・・・」
「流石にバレバレですよ。恋する乙女の顔でニチャニチャしてたら猿でも気付きますよ」
「ニチャニチャ・・・・・・」
波奉は自分の顔を手で触って確認する。
そんな様子を見ながら茜が軽く息を吐いてから言った。
「それで? 先生の事好きなの?」
「う、うん・・・。大好き」
「へ~なんで?」
茜は少しつまらなそうな表情でそう問う。
今まで異性に対してそう言った感情を見せなかった友人の心境の変化が少し引っかかっていたのだろう。
そんな少女の質問に波奉は返す。
「だって、今までの先生と違って私たちの事をしっかり見てくれてるんだもん。優しくて真っ直ぐで・・・気付いたら・・・・・・」
「あ~、それ以上は良いよ。もう胸がいっぱい」
自分から質問をしておいて茜は最後まで聞くことなく話を切った。
ただ、少女が自分の興味のあること以外には無関心で無神経な態度を取る事を理解している二人は特にそれに関して何も言わない。
「それにしても指斬りげんまんで約束するなんてなんか普通だよね」
「そうかな? 最大限私の想いも込めてたんだけど・・・」
「? どゆこと?」
波奉の言葉に茜は小首を傾げる。
指斬りげんまんに最大限の想いを込めた、なんて言葉普通ならそのまま流していただろう。
だが、普段からおとなしくほとんど冗談を言う事の無い少女の口から出たのが引っかかった。
「私さ、左手の小指で指斬りげんまんしたんだよ」
「・・・・・・それで?」
「古来日本では左手の小指は心臓と繋がっているという考えがあったの。心臓
普段のオドオドした様子無くそう話す波奉に茜は少し引いた。
人とは好きなモノに対しては強い集中力や記憶力を持ちソレに対しての話になれば饒舌になる者も多い。
少女がオカルト系の本を読んでいる事は知っていたがまさかここまでとは思っておらず友人の意外な一面を垣間見て脳の処理が追いついていないのだ。
そんな茜を余所に波奉は言う。
「ねえ、優歌ちゃん。
その言葉に優歌は飛び切りの笑顔で答える。
「いいですね。やっぱり少しでも発散させないといけませんからね。茜さんはどうします?」
「ん? ヤるに決まってるじゃん。でもさ、今まで一回もたった様子の無い先生は本当に大丈夫なの?」
「それなら大丈夫ですよ」
優歌は一切の間もなく断言した。
まさかそう返ってくるとは思っていなかった茜はキョトンとした顔になる。
その顔を真っ直ぐ妖艶な笑みを浮かべて見据えながら優歌は言う。
「先生のヒミツ、私知っちゃいましたから」