宴会は思ったより長引いて、時間だけが過ぎていく。
空はいつしか薄暗くなっていた。
「ほら先輩、どうぞどうぞ。私の代わりにもっと飲んでください」
「うわ、もういいってば……っとと」
先輩はそんなに呑む方じゃない。いつもはちびちびと嗜む程度だ。でも今日は例外、沢山呑んで貰って、たまにはふらつくぐらい酔ってしまうのもいいだろう。
私もお酒は好きだけど妊娠していては呑めないし、他の人が美味しく呑んでいるのを見るだけでも楽しいものだ。姉さんやライダーはもともとけっこう呑む派なので、この日くらいは先輩の番という訳だ。
周囲はこの時間になっても人が引かず、むしろ賑わいを増しているように思える。あちらこちらでお酒が呑まれ、もう花見より宴会の方がメインになってきているようだ。
「桜、お腹大丈夫か。冷えてないか?」
「はい、大丈夫……あ、じゃあ」
「?」
確かに妊婦のお腹を冷やすのはよくない。もう春とはいえ、夜はまだ肌寒いし。
という訳で、
「せっかくです。ほら、先輩が撫でて暖めてください」
「はは、分かったよ」
先輩が私のお腹にぽん、と手のひらを当てる。
温かい手だ。服の上からでも分かるくらい、じんわりと熱が広がる。
「ん……まだ動かないんだな。そろそろ動いてもいい頃合いらしいけど」
「心配しなくても、ちゃんと育ってますよ。すぐにお腹を蹴るくらい元気になってくれますって」
「ああ、そうだな」
目を細めてお腹を撫でる先輩。まさに父親の表情という感じで、学生の頃からは想像も出来ない顔だ。
「先輩、かなり呑みましたね? 顔赤いですし、ちょっとお酒くさいですよ」
「う、すまん。調子に乗りすぎたかな、今までで一番ってくらい呑んじまったよ。ほら、桜がお酌してくれるしさ」
「くすっ、言い訳しちゃ駄目ですよ」
恥ずかしそうに笑う先輩に、私も笑んでしまう。と、目敏く姉さんとライダーがこちらに寄ってきた。
「あっはは、士郎ったら顔真っ赤~っ。ちょっと可愛いかも~」
「ふむ。なかなかそそる表情をしますね、士郎」
「からかうなって……」
こちらも酔っ払いの二人に絡まれる先輩は居心地が悪そう。でも無理やり振り払うような事は出来なくて、済まなそうに私をちらちら見ている。そんな所は、少し可愛い。
美綴先輩は私たちとちょっと離れた所で電話している。遅くなるかも、なんて声が聞こえる。たぶん家に電話しているのだろう。
先輩と二人の問答を聞き流していると、スマホを下ろした美綴先輩が戻ってきた。
「美綴、ご家族はいいのか?」
「今日は作り置きしておいたし大丈夫でしょ。あと藤村先生にも連絡してみたけど、どうも今回は来れそうにないみたい。なんか新しい書類を見付けちゃったとか」
「あー。もうすぐ新年度だからかな。藤ねえ、あれで担任持ってるし」
藤村先生はまだまだ現役で教員を勤めている。たまに突拍子もない言動をする事はあるけど、皆に慕われる先生でもあるのだ。
「残念ですね、藤村先生。楽しみにしてたのに」
「ま、仕方ないだろ。そういうコトもあるさ」
「……でも、ちょっと可哀想。そうだ、写真送ってあげようっと」
昼間に撮った明るい桜並木の写真を貼り付けて送る。お仕事で忙しく見る暇もないのだろう、すぐに既読は付かない。けどまあ、終わった後に見て貰えればそれでいい。
……それと、もうひとつ。違う相手にも返信しておく。
「──ねえねえ桜っ、お腹どんな感じなの!? やっぱり重い!?」
「へっ?」
「私も興味があります。妊娠するとはどういう感覚なのでしょう。『この』私は孕んだ経験はありませんから。やはり幸せなものなのですか?」
「え、ええっと」
姉さんとライダーが興味津々で聞いてくる。ぐい、と乗り出してきて、気圧されてしまった。
「な、なんですか二人とも。そんなコト気になります?」
「あたしからも聞きたいね。桜の率直な感想」
「綾子さんまで……ていうか、綾子さんはお子さんいらっしゃるじゃないですか」
後ろから美綴先輩にまで聞かれてしまう。
私が言い逃れしようとしても三人は包囲網を緩めてくれない。正直に言ってみろ、さあ早く──と迫ってくる。
仕方ない。仕方ないので、口を開く。
「まあ……幸せ、ですよ? 愛している方の赤ちゃんがいるんですから。最近はけっこう重くなってきたんですけど、その重みもこう、愛情が湧いてくる、というか。……妊娠が分かった時は、ちょっと不安にもなったんです。きっと妊婦さんは皆そうなんじゃないかと思うんですけど、ちゃんと育てられるかな、私に務まるかなって。でも私、この子のお父さんとならきっとやっていけるって感じたんです」
三人は何だか神妙に私の話を聞いていて、隣では先輩も恥ずかしそうにぽりぽり頬を掻いてなんかいる。
私も恥ずかしいんだけど、今さら話題を変えられない。一息に言ってしまおう。
「最初は上手く行きませんでしたし、色々と……紆余曲折あって、やっとその、結ばれたっていうか。そういう山あり谷ありな所も今からすれば必要なコトだったんだなって思います。
……それでさっき、先輩に聞いてみたんですよね。昔の約束のコト」
「うぇ……さ、桜っ」
「ふふっ。だけど先輩はちゃあんと言い切って下さいました。それで私、本当の意味で安心できました。
……はい。正直に言うと、まだ不安だったんです。先輩が約束を覚えてくれてるかどうかも、これからのコトも……。でもようやく、これで心の底から安心出来た、って気がします。この子とこの子のお父さんと目一杯幸せになるんだって、その為なら何でもしてやるって気持ちにさせてくれるんです。
この子はただお腹を大きくするだけじゃなくて、そんな素敵な気持ちを私にくれました。
……あは、何だか脱線しちゃいましたね。こんな感じでいいですか? 赤ちゃん、欲しくなりました?」
「欲しいわ」
「欲しいですね」
「うん、欲しい」
私の話を食い入るように聞いていた三人が口早に即答した。あまりに必死過ぎて若干先輩が引いてるくらいだ。
「な、なにさ皆。そんなに子どもが欲しいのか」
「ええ、欲しいわよ~? だって女の子の本懐でしょう?」
「凛のいう通りですね。愛する男性との間に子を儲ける、想像しただけでも昂ります」
「いや待て昂るなっ」
妖しげにいう姉さんとライダーに、先輩が頬を赤らめてまた引く。もしかして自分が狙われているとでも思っているのかもしれない。
たぶん、それは勘違いだと思うけどなあ。
「さて……と。ずっと座ってたからかな、私ちょっと身体が火照っちゃいました。少しお散歩して来ますね」
「あ、俺も行くよ……っとと」
立ち上がる私に先輩が着いてこようとしたけど、慣れないほど飲酒したせいで足元が覚束ないようだ。くらり、とバランスを崩してしまう。
「ふふっ、酔っぱらいさんは座っていてください。大丈夫ですって。ちょっと静かな所で落ち着いてくるだけですから」
「う……すまん。転ばないように気を付けるんだぞ」
「手すりとかに掴まりながら歩くから大丈夫ですよ。それじゃ、少し外しますね」
シートから下りて、靴を履いて。
私は、先輩のもとを後にした。
夜桜の間を過ぎていく。いつの間にか夜景はライトアップされていて、また昼間とは違った顔を見せている。きっと人によってはこちらの方が明るいより好きだったりするだろうし、宴会向きなのは間違いなくこちらだろう。
……夜の桜か。うん。これはこれで、私にはぴったりだ。
そうだな。私も今では、綺麗なばかりの昼の桜より、影を抱いたこちらの桜の方が好きかもしれない。
花見のスポットを抜けて、公園を横断していく。
川沿いの桜は、なにもこの公園にしかない訳じゃない。密集しているのがあそこだというだけで、未遠川の川辺にはぽつぽつと桜が植えてある。勿論端から端までという訳じゃなく冬木大橋のふもとなど、人が集まって土地もしっかり整備されているところ限定ではあるけれど。
「ふ、ぅ……」
ゆっくり、ゆっくり歩いていく。
妊婦に激しい運動は禁物だ。ちょっと早歩きするくらいならいいけれど、それで転んだりしたら大事になりかねない。
このお腹のなかの子は、最早なにより大切なもの。
それを万が一にも傷付けないように、しっかり足を踏み締めて。
やがて、また一つの公園に入った。さっきの下が地面だった自然公園とは違う、アスファルトで固められた小さな公園。
冬木市、海浜公園。
私の心に刻まれている。ここは、先輩が私を抱き締めてくれた場所。
さっき忘れる訳がないと断言してくれた、あの誓いを交わした場所だ。
この街でも有数のデートスポットで、際には欄干が並んでおり、その向こうは護岸工事を施された未遠川。すぐ上には冬木大橋。
けれど、今は時間も遅く、デート目的の人は自然公園でお花見デート中なのでこちらに人はいない。寂しげに立つ街灯が、公園を照らしている。
────いや、違う。
一人だけ、いる。川向きのベンチに座って、公園に一本だけ植えられている、桜を眺めている。
胎児にわるい、なんていう建前がどうでもよくなって、小走りで向かう。
だって、すぐにでも会いたい。隣にいきたい。
私の、本当に愛する人のもとへ。
「は……っ、はっ──」
ベンチはちゃんと片方が空いている。
そこへ自然と腰掛けて、息を整えてから、彼へ笑い掛けた。
「お待たせしました。すいません──お花見が退屈過ぎて、お呼び立てしてしまいました♥️」
別に、暇だったし──と彼が答えてくれて、一安心だった。
♦♦♦♦♦♦♦♦♦
「そうなんですよう。先輩さっさと酔い潰れてお開きにならないかなーってしこたま呑ませたのに、余計な所で根性見せちゃうんですから。あー、やっと解放されたぁ」
むぎゅーっ、と彼に抱き付いて、頬擦り。ああ、とってもあったかい。夜道で身体が冷えたからか、身体も心も暖まる。
今日は本来なら、お花見が終わった後に彼とデートする予定だった。先輩を帰し、美綴先輩とカフェに行ってきますとでも言って家を抜け出すつもりだったのだ。
だっていうのに宴会は無駄に長引いた。いつもならおくびにも出さないのだが、正直今日は始まる前から彼といちゃいちゃするモードに入っていていたので理性が保てなかった。散歩に先輩が着いてくる、って言った時なんて空気読めなさ過ぎて内心プッツンしそうだった程だ。
でも、それも無駄ではなかったかな。だって、こうして彼と見ている夜桜は、たった一本だけだけど、さっきまでの光景の何十倍と心が躍る。
「はいっ、綺麗ですね……。ええ、いいスポットでしょう? ここ昔も何回か来たコトあるんです。その時からここでデートしたいなーって思ってたんですよ」
と言っても、その頃は違う人が相手だったけど。
なんて事は、勿論言わない。彼の機嫌を損ねる事なんて言う気はない。
絡めた腕を更に密着させる。
妊娠した事で私のおっぱいは遂に大台を超えてしまった。現在103センチ。その谷間へ彼の二の腕を深く納める。
私が何を求めているのか、彼はすぐに分かってくれる。
「ん──ちゅ、んむっ……♥️ ぷぁ、むちゅ……♥️」
うっとり瞳を閉じると、すぐに唇が奪われた。おまちかねの彼の粘膜を味わって、味蕾が痺れる。
太い舌を口内に引き込み、ねぶっていく。啜るようにして唾液を吸う。慣れきったオスの味にどうしようもなく安心してしまう。
「ちゅっちゅっ♥️ んん~~っ♥️♥️ んべぇええ……♥️♥️」
一通り舐めたら、次はあちらの番。
今度は私の赤い舌が彼に吸い付かれ、じゅずず、と音を立てて啜られる。こくん、こく、と彼の喉仏が上下するのが、嬉しくなる。
とても身体が熱い。ただ口を重ねているだけだっていうのに、ひどく興奮してしまう。
わたしの身体はもう彼のモノだ。そう示すように手のひらを胸に導く。服を破裂させそうなくらいに張り詰めさせるおっぱい。妊娠して以降、身体にわるいという事で先輩にも指一本触れさせてないおっぱいを、こちらから掴ませてあげる。ぐにぃ、と力を込められ、腰が跳ね上がる。おっぱいを握り潰されただけでアクメするなんてどうかしている。でもそれがとっても幸せだ。それに、今なら跡がついたって先輩には見咎められない。おっぱいに彼の手形が浮かんでいたって誰にも責められないのだ。だったら、付けて貰うしかない。
「ん……ふ、あん……♥️♥️」
片手はそのまま。もう片方は私の背中に通して、後ろからおっぱいへ導く。
そうして、キスしながら両手でしっかり、おっぱいを握って貰う。痛みになる寸前くらいまで強く。
「っぐ──ふぉ、ぉ、おおっっ♥️♥️」
小鼻を膨らましたみっともない顔で喘ぐ。
握るだけじゃない。彼は乳首もぎりっと捻ってきた。こんなのに勝てるはずもない。
ぐう~っ、とベンチの上で背中が反り返る。腰がヘコヘコと前後し、つま先立ちの靴がカリカリとアスファルトを擦る。
ビク、ビクッと断続的に身体が跳ねる。たっぷり数十秒間のアクメに浸って、脱力した。
「はあ……っ、は……♥️♥️ すっご……♥️♥️ ふふ……手形、くっきり付いちゃいました……♥️♥️ これしばらく落ちませんよ、もう……♥️♥️」
嫌だったか? と聞かれて、笑ってしまった。
そんな訳がないと、彼も知っているだろうから。
「ふーっ……♥️♥️ では、次は貴方の番ですね……私だけが絶頂してるなんて不公平ですし……♥️♥️」
視線を落とす。彼の股間は、もう膨らんでいる。
上半身を傾けて、顔を近付ける。
口でジッパーを咥え、ジジジ、と落としていく。下まで下ろして唇でチャックと下着をずらすと、びぃん、とおちんぽが顔を出した。
「くすくすっ♥️♥️ もう元気になっちゃってますね♥️♥️ 私を何度も殺してくれる素敵なおちんぽなのに、こうして見ると可愛いかも……♥️♥️」
すりすりすり、と頬擦りする。私の柔らかいほっぺと、硬い肉棒が押し合う。
尿道が押され、先っぽから先走りが溢れてくる。勿論それも逃げずに、頬を使っておちんぽに広げていく。
私の頬擦りコキで全体に粘液が広がったおちんぽは、黒光りして猛々しい。子宮がきゅっとしてうっとり見詰めてしまった。
「おちんぽさん、今晩は……♥️♥️ お待たせ致しました……♥️♥️ いま、お慰め致しますからね……♥️♥️」
唇をむにぃ、と尖らせて。
「ん……ぶ、むちゅぅうう……♥️♥️」
今度は亀頭に、愛情たっぷりのチンキス。むにゅむにゅ、と柔らかい唇を押し付け、快感を与えてあげる。
「ちゅっ、ぷちゅ♥️♥️ んふっ♥️♥️ ちゅうう~~っ♥️♥️ むちゅ♥️♥️」
恋人にするみたいな甘々キスを繰り返しているとおちんぽが更に勃起し、血管を浮かせていく。それを見計らって、今度は裏筋へ。下から上までなぞるようにキスを浴びせ、吸い付く。
まだ舌が触れてもいない、ただ唇をくっ付けただけ。でもおちんぽはだらだらと涎みたいに先走りを垂らしている。
「ふふ♥️♥️ それじゃあ、咥えますね──♥️♥️」
また、先っぽにキスをして。今度は、口内におちんぽを沈めていく。
軽く半開きにした唇を落とす。おちんぽが唇を押し退け、歯をこじ開けて、ぐぷぐぷと舌の上を擦っていく。
喉の奥に亀頭がぷにっ、と当たる。おちんぽは、すっかり私のなかに隠れてしまった。彼の股間、ズボンをはだけた下腹部に私の顔が密着する。さら、と髪が彼の腰にかかった。
「んっ……ぐ、ぐぶ……っ♥️♥️ ごぼッ♥️♥️ ぐぶぷっ♥️♥️」
そのままぐりぐり、と顔を揺らす。人妻の浮気フェラに包まれて、おちんぽはびくびくと喜んでくれている。
「じゅる……ずずっ♥️♥️ ずるるるるぅぅ……♥️♥️」
おちんぽを引き抜いていく。首を仰け反らせて亀頭が唇に引っ掛かるまで。
「ごぉっ……んぶうううううっ♥️♥️」
抜け落ちる寸前まで出たら、一気に落とす。夜風でおちんぽが寒くなっちゃ可哀想だ。私の、暖かいおくちに戻してあげる。
「ごぶっ♥️♥️ ぶちゅッ♥️♥️ ごッ♥️♥️ ぶぷッ♥️♥️」
夜桜のもとで。髪を振り乱しての濃厚フェラ。
もう腰に抱き付くみたいな体勢になってしまっている。彼が優しくあたまを撫でてくれる。それだけで、心がじんわりして、奉仕に熱が入ってしまう。
唾を飛び散らせながらディープスロートを繰り返す。この世で一番愛しい肉棒を、口内粘膜いっぱいで愛していく。
と────
かつん、と。背後で、誰かの足音。
かつん。
かつん。
かつん。
かつん。
その人は、真っ直ぐこちらに向かってくる。躊躇うでもなく、急ぐでもなく、規則正しい一定のスピード。
かつん。
すぐ後ろ。ベンチの背もたれの背後数センチまで来て足音は止まった。
なんだ、おまえも来たの? と彼が言う。
しばし沈黙して、
「……はあ。やっぱりそうじゃないかと思った」
声だけで分かる。
美綴先輩は呆れたようにそう言った。
「んぐ……ぷはっ。すみません、綾子さん。探させちゃいましたか」
「そりゃ、これだけ待っても帰って来ないもの。他はともかく衛宮は気が気じゃないに決まってる。ていうか桜、あたしだから良かったけどもし衛宮が探しに来てたらどうしてたのよ。たまたまあいつ、酔い過ぎて歩き回れないからあたしが来たけど」
「たまたまじゃないですよ。それ狙ってふらふらになるまで呑ませまくりましたから」
「うげ。……あ、じゃあ藤村先生がいつまでも残業終わらないのも?」
「うふふ」
はー、と美綴先輩がため息をつく。
先輩に呑ませたのは、早く帰りたかったから。でも途中、宴会を抜け出す方向に決めてからは、そういう狙いもある。
藤村先生の方は、こちらはそこまで狙ってない。ただこの前藤村先生のお仕事を手伝った時、忘れられてる書類があったなーというのを、それとなく伝えただけ。藤村先生ってあれで気を配れるし、お酒は強いし、いたら私を探しに来るのはあの人だろうなあ、っていう事で。
「はあ。……あんたもさあ、こんな所で咥えさせてんじゃないよ。……桜から? どうだか……」
そう、眉をひそめながら言って。美綴先輩は、彼と唇を合わせる。
「ん……む、んぅ……♡ れる……♡」
彼の肩に手を添えて、ベンチの後ろから覗き込むようにして。空中で舌と舌を絡ませる。
彼が、ぐい、と美綴先輩を引き寄せる。そうして我が物顔で胸を掴んだ。
「っく……♡ ふん、桜の後じゃ物足りないでしょ……♡」
美綴先輩はそう言うが、大きさに貴賤はないっていうのが彼の嗜好だ。美綴先輩もそれを分かっていて言ってるんだろうけど。
さて、上だけじゃ彼は満足しない。おちんぽも刺激してあげないと。
「ちゅっ♥️ ……そうだ綾子さん、姉さんとライダーは?」
「衛宮といるよ。本当はこっちに来たそうだったけどね。……あの二人、ちゃんと計画通りにやってるみたいね」
「ええ、それぞれ。……ぺろっ♥️ 先輩溜まってるだろうし、いっそどっちかと浮気エッチでもしてくれれば先輩が逆らえなくなる材料が手に入るんですけどね」
つまりはそういう事だ。
美綴先輩も、姉さんも、ライダーも。
美綴先輩は魔術に耐性がなく、姉さんは姉妹だからか私にそっくりで、ライダーはもともと私を墜とした彼に興味津々。
……まあ、思ったより簡単だったとだけ言っておく。
「ふぅ……♡ まったく。あんたも尽くすタイプだね」
「だってとっても幸せにして貰ってますから。そのぶんお返しはしませんと」
だから、別にどちらかが一方的に奉仕する、という関係な訳ではないのだ。
力関係もそう。性交は完全に彼が上手だけど、それ以外ではわりと私がからかったりなんかする。
持ちつ持たれつ、意外とイーブンなのだった。
「私がやってもいいんだけどね……、んっ♡ ……人妻だし、より武器になるでしょ」
「でも綾子さんだと先輩、責任感じすぎちゃいそうですし。姉さんとライダーの方が、丁度いい塩梅で脅せると思うんですよね」
「ま、それもそうか……う♡」
と言っても、これは次善の策、あくまで万が一の為に一応弱味を握っておいた方がいいだろう、というだけ。
実際、とりあえず別れる気はない。とりあえずは。
だって、その方が気持ち良い。私は不貞の味を楽しめるし、彼は寝取りの優越感を得られるのだから。
本当は、三人を堕とした時点で全てが決まっている。
私があの聖杯戦争で学んだ一番大切なこと。
つまり、『仲間は多い方がいい』。
私にも彼を独占したい気持ちはある。そして彼も、私がイヤなら他の連中は要らないとまで言ってくれた。
でも、数は大切なのだ。あの時だって、数と智恵によって、力で勝る私は負けたのだから。
……それに、それぞれと三人で楽しむエッチもあれはあれで良いものだったし。
先輩がいつまでも気付かないにぶちんさんのままなら、思う存分浮気を楽しませて貰えばいい。気付いてしまっても、こちらが弱味を握っていれば黙らせられる。もしも力ずくで彼を害しようなんて思っても、姉さんとライダーがいればどうとでもなるだろう。
それが私の計画。
でも────
でもきっと、そのどれも本当は必要ないんだ。だって、先輩は言ってくれたもの。
桜だけの味方だ、って。あの誓いは生きてる、って。
だったら、私の不貞も許してくれないと。
だって、嘘になっちゃいますよ? 何があっても私の味方をしないと、あの戦争でたくさん人を見捨てて貫いた誓いを裏切っちゃいますよ?
そんなこと出来っこないですよね、先輩────♥️♥️♥️
「ごっぶッ♥️♥️ んぶぶぶぅっっ♥️♥️ ぶちゅぶちゅぶちっ♥️♥️ ぶぷぅぅぅッ♥️♥️♥️」
「は、んんっ、んむっ♡♡ べろぉっ♡♡ じゅるるるっ♡♡」
人妻二人、先輩後輩二人。夢中で彼に奉仕する。
私の先輩への愛情も、美綴先輩の家族に対するそれも、今では彼とのエッチを盛り立てるオカズに過ぎない。
「んぶッ──♥️♥️ ふふっ♥️♥️ 私は根回ししてますけど、貴方は気にしなくていいですからね♥️♥️ 何か色々言いましたけど、先輩との結婚だって貴方が別れろって言えば明日にも別れますから♥️♥️ その方がおちんぽ気持ちよくなるーって思ったら、気兼ねなく仰ってくださいね♥️♥️♥️」
「あんたさ、次は誰を孕ます気……? んぶッ♡♡ 良かったらさ、もう一回人妻行ってみない……♡♡ 二人目欲しいのよ♡♡ 馬鹿、旦那じゃなくってあんたの胤で♡♡ 後始末は遠坂とかライダーさんがやってくれるでしょ、魔術ってのがあるんでしょ? ねね、責任取らなくていいからさ♡♡ もう一つも二つも一緒でしょ♡♡ あんたのチンポでウチの家庭、ぶっ壊しちゃってよ♡♡♡」
にゅる、にゅるっ。べちゃ、ぴちゃっ。
三人だけのベンチに、淫靡な水音が充満する。私と美綴先輩の粘膜を堪能し、おちんぽが膨らんでいく。
片手で美綴先輩のおっぱいを、もう片手で私のおっぱいを揉み揉みする。本当ならそれぞれの旦那さんにしか許しちゃいけない場所も、今ではまとめて彼のモノだ。
酸欠になりそうなくらい激しくおちんぽを啜り立てながら、思う。本当に、良かったって。
親に捨てられた事も。酷い虐待を受けた事も。戦争に巻き込まれた事も。
ぜんぶ全部、この幸せに繋がっていたと思えば、愛おしくなるくらい。
だから有り難うございます、先輩。
貴方と出会ったお陰で、私。
彼と幸せになりますね。
「──────♥️」
びゅく、びゅるっ、どびゅぅうううう~~っ♥️♥️
ぶびゅびゅっ♥️♥️ びちびちびちっ♥️♥️
びゅる、びゅるるるるるるるるるるるっ♥️♥ ぶぴゅっ、どぷどぷどぷどぷ……っ♥♥️
「ん……ぐ、んんっ…………♥️」
口のなかに、ぶちまけられる。W人妻でこってり熟成された、濃厚精液。
びゅくん、びゅる、と吐き出されていく。またもやおっぱいはぎっちり掴まれている。きっと美綴先輩もそうだろう。彼の射精の快感がつたわってくるようだ。
「っ、ぶッ……♥️♥️ ぐぶぅ~ッ……♥️♥️」
ごぼごぼと注がれる。
あんまりに多くって、口腔には収まらない。流し込まれる側から喉に伝っていってしまう。
それでもなんとか、出来るだけ口内に溜めていく。
次第におちんぽの脈が収まり、精液も漏れ出るくらいになる。
ぢゅるる、と啜って口を離した。零れないように、上を向いて口を開ける。
「んがっ……ぅえええええ……♥️♥️」
お口たっぷりのザーメンプール。出してくださって有り難うございます、一滴も無駄にしません──という気持ちをしっかり伝える。
「桜、エッロ……。ごめん、あたしも欲しい」
「んむぁ……んん……♥️♥️」
ごくり、と唾を呑んだ美綴先輩に口付けされた。
というか、唇を唇で覆い被された。
「じゅずっ……ずるるるぅぅ♡♡」
「んえぇぇ~~っ……♥️♥️」
ねっとり舌を絡めて、口内をなぶられる。すぐに呑んでは勿体ないと、二人してくちゃくちゃとお互いの口のなかに唾液と精液が混ざったカクテルを出し入れさせた。
数分かけてお互いの舌から歯茎の裏まで隅々舐め回す。
もうすっかりなくなって、ちゅぽ、と唇を離した。
くぱぁ~っ、と人妻二人、みっともなく大口を開けて彼に綺麗になった口内粘膜をチェックして貰う。
「ん……はい、美味しかったです……♥️ 先輩と呑むお酒なんかより、貴方の精液の方がずーっとずぅーっと……♥️」
「うん……♡ 次はあたしの家に来てよ……♡ また三人で楽しみたいな……♡」
よしよし、よく出来ました──と。
二人揃って頭を撫でられ、目を細めた。
♦♦♦♦♦♦♦♦♦
美綴先輩が帰って、まだしばらく、私と彼はベンチで夜桜を見ていた。
もしかしたら、違う人と見ていたはずなのかも知れない桜。
でも、全く後悔はない。疑問にも思わない。
だって、この選択がいちばん幸せだと確信しているから。
いや、分かっているから。
彼が、私のお腹を撫でた。
今まで動かなかった赤ちゃんが、初めてお腹を蹴った。
私は驚いて、彼にもう一度触らせる。
またお腹が揺れて、やっぱり気のせいじゃなかったと私は喜び、彼も喜ぶ。
お腹の子に、早く出ておいでと呼び掛ける。
きっと、本当の父親に気が付いたのだろう。
そんな感じで桜NTRでした。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。HF後の桜NTRというニッチの極みみたいな題材ですが、想像の十倍くらいの方に読んで貰えました。
第一話と最終話だけ考えて始めたのですが、一応想定通りの内容になったと思います。
終盤は色々考えましたが、自分の趣味を通しました。こういうヒロインと間男が主人公そっちのけでイチャラブしちゃうのが好きです。
型月、特にFateでは士郎と桜に思い入れがありずっと応援しているので、二人に関する話を掛けて良かったです。
沢山の感想、評価、ありがとうございました。とても励みになります。よければ、全体を通してのもの、どこが良かった・悪かったなど貰えると有難いです。今後の参考にします。
続きに関しては13~14話の間の話を書きたいなと。特に凛ちゃんはまだ書いた事ないので書きたいですね。
それではまた。