2話と3話の間の話です
以前雑誌で読んだけど、夏に結婚式をやるカップルは他の季節より少ないらしい。
先輩と私は、その少ないうちの一組だった。
「わーっ、よく似合ってるよ桜ちゃん! こっち見て、こっち!」
藤村先生が目を輝かせて褒めてくれる。
今日は結婚式当日。今は控室で着付け中だ。ヘアメイクやブライダルインナーは着け終わり、ドレスを着ている最中である。純白のスレンダーライン型。私がこのデザインが良いと言ったら、先輩は二つ返事で了承してくれた。
「よーし、次はポーズとってみようか、桜ちゃん!」
「ええと……こうですか?」
着付けされている私を、パシャパシャと写真に撮ってくれる藤村先生。若い女性の着付け師さんが苦笑している。そういえば、以前見せて貰ったアルバムには先輩や兄さんの写真がびっしりだった。こんな感じでずっと撮っていたんだな、と思う。
私と先輩の結婚で、一番喜んでいたのは藤村先生だったかも知れない。私には親族というものがほぼいないに等しいし、姉さんなんかは『まあ、そうなるでしょうね』という感じの反応だったし。
「────はい、こんな感じですね。少し胸やお腹がきついかも知れませんが、我慢なさってください」
「ありがとうございます」
着付け師さんに言われる。長い着付けがようやく終わって肩の荷が下りた気分。
ふと、改めて大きな姿見を見ると。
「……うわあ……」
思わず、ため息が漏れてしまう。
そこには、自分とは思えない姿が映っていた。真っ白な、身体のラインにフィットしたドレス。細かな刺繍やフリルが散りばめられている。カップを肩紐で吊るタイプ。肘から両手にはウェディンググローブを嵌めている。首には真珠を繋いだネックレス。化粧は派手過ぎない程度のナチュラルメイクだ。まだベールは被っていないけれど、直前になったら着ける予定。
そのどれもが、私には似つかわしくないくらいに綺麗で、純白で。少し、目が眩んでしまった。
「……私、いいのかな。こんな……」
「大丈夫だよ、桜ちゃん」
不安げに言う私に、藤村先生が後ろからそっと肩に手を置いて励ましてくれる。
「心配しないで。今の桜ちゃん、すごく綺麗だよ。士郎も感動して泣いちゃいそうなくらい」
「……くすっ。そんなにですか?」
「もっちろん。桜ちゃんはね、士郎にはもったいないくらい綺麗で、可愛い女の子なんだから。もっと堂々としちゃっていいんだよ」
「………………ありがとうございます、藤村先生。じゃあ私、胸を張ってバージンロードを歩いちゃいますね」
「うんうん、その意気! ライダーさんや遠坂さんにも見せ付けちゃおう! ってまあ、一番見せ付けられるのはわたしかも知れないけどね……」
「あ、あはは…………」
張り切って言ったかと思えば、一瞬でガーンと落ち込む藤村先生。
なんと言えばいいか分からず、苦笑しか出来ない私だった。
「あっ、もしもしー? ……え? まだかかる? もう遠坂さん、ちゃんと遅刻しないで来てよー?」
着付けが終わってひと段落していると、藤村先生が招待客の人たちへ連絡を取っていた。各々の家族友人、学園関係者、職場の同僚、たくさんの人を呼んである。どうやら姉さんはちょっとごたついているらしかった。
「遠坂さんタクシーで来てるみたいなんだけど、道が渋滞してて遅れるって。だから前日入りした方が良いって言ったのに、意外と抜けてるわよねー」
「間に合いそうなんですか?」
「うん、それは大丈夫。まだけっこう時間あるしね。……じゃあ次はライダーさんに電話掛けてみようっと」
ライダーはすぐ電話に出たようだった。藤村先生がスマホを耳に当て、窓際で話し始める。
「…………ふう」
椅子に座って、ほっと一息つく。
予想はしていたけれど、こんなに挙式に準備がかかるとは思っていなかった。お金もそうだし、時間の面でもそう。思えば数か月前から式場を探してプランを選んで、色んな人に連絡を取って……中々に労力の要る仕事だった。それに今日も。私は朝から会場入りしているし、招待客の方々だって服装など色々と準備して来てくださっているだろう。
それに、嬉しくなる。幼い頃は、いや数年前だって自分の幸福をこんなにたくさんの人が喜んでくれる時が来るとは思っていなかった。いや、自分に幸福が訪れるとさえ思えなかったのだ。
「……先輩、喜んでくれるかな」
不安なような、どこか後ろめたいような心持ちで呟く。
藤村先生が言ったように、きっと先輩は喜んでくれる。綺麗だよ桜、と言ってくれるはず。それは分かってる。……だって、先輩は知らないから。藤村先生だって知らないから。あの人たちの中で、私はきっと言葉通り綺麗な女の子になっているだろうから。
だけど本当は違う。私には他の誰にも隠していることがある。やってはいけなかったこと。知られたら終わってしまうようなこと。彼らを……先輩を裏切るような行為を───────
ヴーッ、ヴーッ、ヴーッ。
机上のスマホが震える。
私のものだ。誰かからラインが届いた。誰だろう。先輩じゃないよね。藤村先生はまだ電話してるし。姉さんだったりして。機械音痴だけど最近、どうにか使い方を覚えたみたいだし。そんな、目を逸らすようなことを思いながら画面を見る。
そこには、
「───────────────────」
ちらりと窓際を見ると、藤村先生はまた違う人に電話をかけ始めたようだった。あれは終わるまで時間がかかるだろう。
少し、お手洗いに行ってきます。
そんな、聞こえもしないだろう小声で、言い訳するように呟いて。
私はドレスの裾を摘まんで、控室から出て行った。
♦♦♦♦♦♦♦♦♦
廊下を歩き、階段を上り、扉を開ける。ホールの前を横切っていく。
運良く誰とも擦れ違わなかった。こんな格好で出歩いているのを見られたら呼び止められてしまうだろう。
「……はっ、はっ、はあ……」
カツン、カツンとヒールが床を叩く音。段々小走りになっていく。息が上がる。それは慣れないウェディングシューズで身体を動かしている為か、それとも、
「───────はあっ」
立ち止まる。目的地についた。
式場でも一番隅っこにある、殆ど誰も使わないお手洗い。その中でも広い多目的トイレ。
ガララ、と引手のドアを開け、中に入る。
キッと見上げると。───────彼が、私を待っていた。
染色した髪、焼いた肌。もう見慣れた、荒々しい風貌。……私をさんざん躾けて、潰して、調教した、私の浮気相手の男性だった。
「……こっ、こんなの突然送ってこないでください……! 見られたらどうするんですかっ」
スマホの画面を突き付ける。そこにはさっき送られて来た画像───────全裸の私の写真があった。つい先週、私の部屋でセックスした時のものだ。精液塗れで潰れたカエルみたいにひっくり返り、白目を剥いて気絶している画像。夕方から明け方までさんざん嬲られて、朝日とともにあえなく意識を飛ばしてしまったのだった。
見られちまえば良かったのに、なんて彼がうそぶく。嘘なのは分かってる。私をからかっているだけだ。だって、この関係が終わることは彼も望んでいないはずだから。
────そんなことより。似合ってるじゃねえか、ドレス。俺の言った通りだったろ?
「っ…………」
私をじろじろと眺めて満足そうに頷く彼。
……そう。このドレスを選んだのは、本当は私じゃない。彼が、自分の好みのドレスを指定してきたのだ。胸元が開いて身体に張り付き、スタイルが強調されるタイプの物を。
彼がゆっくり歩いて眼前に立つ。上目づかいで見上げる私を見下ろす。
くいっ、とドレスの胸元を指で引っ掛けられて。その中に息づく蕾を覗かれた。
「んっ…………あ、あんまり乱さないでください。あとで誤魔化せませんから……」
いつものような口先だけの反抗もしない私を不思議に思ったのか、彼が言う。
────珍しいな。最初からその気になってるのかよ。
「だっ、だって……」
ちらり、と手の中にあるスマホを見て。
「……ただでさえ、ウェディングドレス着て貴方と逢ってるっていうのに。あんな写真、不意打ちで見せられたら、スイッチ入っちゃいます……っ♥ 貴方にさんざん啼かされた時のことを思い出しちゃって……♥」
そう。とっくに私は発情モードで、脳内はピンク色。息が上がっていたのも歩いていたからか彼との逢瀬に興奮していたからか、自分でもよく分からない。
ニヤリと彼が笑って私の肩を掴み、引き寄せる。あ、と思う間もなく。あっさりと、唇を奪われてしまった。
「ぷちゅ……♥ はふ♥ ちゅるる……♥」
このあと誓いのキスをするというのに。その数時間前に、他の男性との浮気キス。一瞬で目が潤み、唇が綻ぶ。
……さっき言ったように、彼との関係はスイッチのオンオフに近い。オフになっている時はいつもの私のまま。先輩や藤村先生がよく知る間桐桜のままだ。
でも、一旦スイッチがオンになってしまったら。彼に迫られたり、性欲が溜まったりして発情してしまったら、彼に堕ちた私が顔を出す。理性や良識はどこかに行って、彼という相性最高の男性に可愛がって貰うことだけを考えるメスになってしまう。
そのオンオフが最近緩くなっていることに、薄々気づいている。最初は家に押しかけられてレイプまがいのことをされないと発情しなかった。なのに今では、ちょっと写真を一枚見せられただけで、たまらず挙式の準備を抜け出して会いに来てしまう有様だ。
このスイッチを元に戻すには。当然、その原因となった鬱憤を……性欲を晴らすしかない。そしてその相手となれるのは、この世で彼しかいないのだった。
「ンむっ、くちゅ♥ ひゃ……唇、そんなに吸って……♥ 口紅ぜんぶ落ちちゃうじゃないですかぁ♥」
カサついた彼の唇に、柔らかめのボルドーリップを塗った唇を吸われる。覆い被せるようにキスしてきたと思ったら、唇で唇を咥えられたり。そんなことをされているうちにすっかり口紅が落ちて、彼の唇に移ってしまっていた。
「ぷっ♥ 唇、口紅でちょっと赤くなってますよ♥ ……え、全部舐めろ? もうっ……我儘なんだから……♥」
ぐっと背伸びをして、彼の唇を舐める。ぺろぺろ、ぴちゃぴちゃ。ちょっと乾いている彼の唇へ水分を塗り込むように、舌で舐め上げていく。口紅特有の少し苦い味。彼の唾液とともに、こくんと飲み下す。
私の唇舐めに盛り上がってしまったのか、彼にがっちりと顔を掴まれ、唇を合わせられる。大きな掌に包まれて、頬が燃えるように熱くなっていく。
「むちゅぅうううっ……くちゅ、んちゅっ♥ むちゅるるるるる……♥ はあっ、はあ♥ ちょっと、息継ぎさせてっ……んむ~~っ♥♥」
彼も、ウェディングドレス姿の花嫁をコマしていることに興奮しているのかも。いつも以上に激しいディープキスだ。壁際まで押し付けられて、上から貪るようなキス。……私はこういうのに弱い。捕食される側だって、彼の思い通りにされてるんだって再確認させられてしまう。
「んく……はふん、ぶちゅるるる♥ ん、んんん……♥」
思う存分口内を掻き回されたあと、彼の舌が引いて行く。そうしたら次は私の番だ。出来るだけ深く彼の口へ舌を差し込む。最初は煙草の匂いが強かった彼の口内は、最近それが薄くなっている気がする。逆に私に匂いが移っているような。あとで口臭消しをしておかなきゃ、なんて思いながら、たっぷり数分間。彼とのキスを愉しんだ。
「ぶはっ……はーっ、はぁーっ……! さ、酸欠になるかと思いました……。汗かいちゃいます……」
空調は効いているものの、夏ということもあって室内はそれなりの温度だ。絡み合い息を荒げていたせいで、うっすら汗をかいていた。
それは彼も同じだったらしい。カチャカチャ、と彼がベルトを解いてズボンを脱ぐ。それに当惑することはない。彼が何を要求しているのか、私にはもう分かっている。
綺麗に清掃されていて良かった、と思いながら蓋をした洋式トイレに腰を下ろす。少し屈むと、彼の股間が目の前にあった。もっこりした紺色のボクサーブリーフは、中のモノが勃起していると一目でわかる。亀頭があるであろう部分は既に先走りが滲んでいて、ブリーフ全体も汗ばんでいるように見えた。
それに、思いっきり。鼻っ柱を押し付け、顔面で熱を味わいながら深呼吸。
「すう──っ……はあああああああ…………♥ な、なんですかコレっ、ムンムンしてて♥ 先走りと汗とおちんぽの匂いが混じり合って、えっぐい匂いになってる……♥」
淫熱で脳が茹だる。肺に目一杯吸い込んだ体臭が嗅覚を犯す。くいっと鼻先で裏筋を押すと、染みが大きくなった。うっとりと目を閉じて、すりすり、とパンツの上から頬ずり。私が一度も勝利したことのない肉棒。百戦百敗のおちんぽ。なんでこんなに逞しいんだろう。強くて、格好よくて、容赦なくて。私をレイプした男性器だというのに、今では尊敬の念さえ感じてしまう。
「こんな匂いしたおちんぽぶらさげてたら、女の子が驚いちゃいます♥ わ、私がちゃんと綺麗にしておかないと……♥♥」
パンツを下げると、ぶるんとフル勃起おちんぽが顔を出す。むわり、と淫臭が解放されて更に鼻を痺れさせた。
彼の股間は、陰毛を綺麗に剃ってある。お前のおかげでフェラし易いチンポになったろ、と言われて。思い出して赤面してしまう。
「うう……思い出させないでください……っ♥ は、恥ずかしかったんですから……♥」
彼の陰部は、私が剃ってあげたのだ。なんでも彼曰く、剃った方がセックスのとき肌が密着して気持ち良いのだとか。
……そして当然というか何というか、私の股間は彼に剃られたのだった。もう第二次性徴前の女の子みたいにつるつるにされてしまって、先輩への言い訳には随分苦労した。勿論、剃毛の過程はばっちり録画済みである。
「も、もうっ……♥ そんなことより、早くフェラしますからねっ。ほら、いきますよ……♥」
気を取り直して彼の股間へ顔を近付ける。もう私の愛液が染み付いていそうなおちんぽ。他の人じゃ満たされない私を満たしてくれるソレ。
「ん……ちゅっ♥ 今日もよろしくお願いします、おちんぽさん……♥」
亀頭にキスをすると、悦ぶようにぴくんと震えた。ちょっと可愛い、と思いつつ血管の浮く竿へ。むちゅ、ぷちゅ、と唇を尖らせて押し付けていく。
彼が言った通り、剃ったおかげでえっちなことがよりし易くなったと思う。もちろん一番はセックスの時、肌と肌が密着することだけど、フェラも同じくらいやり易くなった。今までは陰毛で隠れていた根本の方なんかにも奉仕することが出来る。彼も唇が触れたことのなかった場所を舐められるのは気持ちが良いみたい。
「ぺろ、れろぉ~っ……♥ もうっ、汗でムレちゃってますよ……♥」
汗で湿っている肌へ唾液を刷り込むように舐めていく。ハーモニカを吹くみたいに、横から竿をれろれろと舌で擦る。ちらっと彼を見上げると目が合った。首元を擽られて、むず痒くなってしまう。「んふ♥」と鼻息を漏らしながら、彼のおちんぽへ舌を這わせていく。
竿を舐め終わったら、金タマの方へ。ぐいっと首を傾げて、片方の睾丸を咥える。傷付けないよう気を付けながら、かぽ、かぽと口から出したり入れたり。舌でぐいっと持ち上げる。結構な重み。ここで精子が作られてるんだ。私をいつも満たしてくれる精液の中身が。きゅん、と下腹が切なくなる。一人きりの卵子が寂しがってる。早く挿れて欲しい、なんてウェディングドレスを着た花嫁が思っちゃいけないことを思ってしまう。
「ん……ぷは♥ じゃあ咥えま……え? そこの台に?」
子ども連れの招待客を想定しているのか、このトイレには折り畳み式のベッドが備え付けられている。人ひとりが寝そべれるくらいの大きさの長方形。
そこに横たわれと言われて、とりあえず寝っ転がった。仰向けに寝ると、ベッドの縁に頭だけが出るように調節される。髪が地面へ向かって垂れさがる。口と喉が一直線に繋がる格好だ。
そして口元におちんぽを添えられて。ようやく何をされるか分かった。
「もっ、もしかして……このまま咥えさせるつもりですかっ……♥ 仕方ないですね……♥」
どうぞ、と大口を開ける。
舌をちろちろと覗かせると、それに誘われたかのようにおちんぽが挿ってきた。
「んぐくっ……んぐぉおおっ……♥」
深く、深く挿入されるおちんぽ。喉を易々と通り抜け、食道へ届いているかもしれない。
ぶちゅ、と私の唇と彼の腰がくっついたかと思うと。
「んぶっ、ぐぽっ♥ がぽっ♥ ごぶ……っ♥ ぶちゅるるるる……っ♥」
彼が容赦なく、腰を振り立て始めた。強烈なイラマチオだ。太く硬い肉棒が口と喉を往復していく。
完全に、オナホ扱い。ぺちぺちと彼の陰嚢が顔面を打つ。こんなの、自分の奥さんにだってしていいことじゃない。そんなプレイを他人の人妻に喰らわせて、さぞ気持ち良いことだろう。……とはいえ、女の方もそれで快感を得ているのだから、彼を非難することは出来ないけれど。
「ごぼッ♥ ごぶぅッッ♥ ぉごっ♥ んごぉおおっ♥」
苦しくて辛いのが、逆に良い。喉が内側から押し広げられるのが心地よい。身体を彼の玩具のように扱われるのが気持ち良くってたまらない。歯が当たらないように口と喉を開きながら、抽送しやすいようたっぷり唾液を絡める。彼のおちんぽの形が浮き出た喉を撫でられる。ふるふると揺れるおっぱいに目を付けたか、ドレスの上から胸を揉み込まれる。あんまり乱されると後で困るなあという思いと、もっと乱暴にして欲しいというのが半々。まあ別にいいか、どうせこれからハメられるんだし。どこかで転んだとか言えば誤魔化せるよね。そういえば彼、ゴム持ってるかな。
そんなことを考えながら喉を抉られていると、唐突に射精された。どぴゅる、ぶぴゅるるるるるっ。喉、というか胃へ直接流し込まれているような射精。顔面にぐりぐりと腰が押し付けられる。完全に、自分が気持ち良くなることしか考えてない自分勝手な射精、イラマチオ。それは私を虐めてやるということではなくて、これでも私は気持ち良くなってしまうと理解しているが故の荒行だった。
「ずるるるるるるるっ……ぐぶっ♥ ぶは、げほけほけほっ……!」
おちんぽを引き抜かれて、身を起こして咳き込む。気持ち良いとか気持ち良くないというのは置いておいて、とっても苦しいフェラだった。射精の量もたっぷりで、胃がたぷたぷしている。
「はあ、は……♥ き、気持ち良かったですか? 良かった……♥ でも、次やるときは出すって言ってくださいねっ」
彼がティッシュで口元を拭いてくれる。もう一度便座に腰かけて、お掃除フェラを始めた。
「ぺろ、れろっ……♥ うわ、精液と私の唾液でどろっどろじゃないですか。ちゃんと綺麗にしておかないと、暑いからまたムレちゃいます……♥ ちゅっ♥」
白濁液の絡んだおちんぽを舐め上げていく。私を狂わせるカリの裏。ごつごつした幹のくぼみ。肉棒の根本。精液がこびり付いている所をぴちゃぴちゃとねぶっていると、またおちんぽが勃起した。びん、と天を突く。
視線で彼を窺うと、こくり、と頷かれる。フェラ抜きしろの合図。あんぐりと口を開けておちんぽを呑み込む。お掃除フェラから射精へ導く為の舌技へ変更する。さっきは激しいイラマチオだったから、今度は慈しむような優しいフェラ。頬をすぼめて、柔らかい粘膜をおちんぽに張り付け、ゆるやかに扱いていく。
「んぐ、ぷぁ……♥ しゃ、写真撮るんですか? もう、誰にも見せちゃ駄目ですよ……♥ あーん、ぐぷぷぷぷぷぷ……♥」
ウェディングドレスで公衆トイレに座り、フェラしている所を撮影される。舌を伸ばして裏筋をぺろぺろしている所。亀頭にむちゅりと唇を這わせている所。幹の途中まで口に含んで、目元をだらしなく緩ませている所。根元まで呑み込み、崩れた顔でカメラを見上げている所。もしばら撒かれたら人生終了間違いなしの写真を連写されていく。……実は絶対最高のオナネタになるから数枚私にも分けて欲しいな、と思っているのは内緒だ。
「くぷっ♥ くぷ♥ くぷ♥ くぷ♥ くぷ♥ こぷ……っ♥」
さっきのイラマチオとの落差が効いたのか、射精直後で敏感だからか、おちんぽはすぐに次の射精へ向かい始めた。びっくんびっくん跳ね回るおちんぽを、努めて優しくフェラしていく。唾液を多めに絡ませて、汁気たっぷりのおちんぽがふやけそうな口淫。ごぷ、ぐぷ、と顔を前後させて粘膜を吸い付かせる。彼も緩く腰を振って快感に浸っている。さっきの激しく扱われるのも良かったけど、やっぱりこっちの方が好き。そしてそれはきっと彼も同じだろうと分かる。
とん、と肩を叩かれた。何も言ってないけど、射精するんだと分かる。幹の半分くらいまでを頬張って。ちゅううう、とおちんぽを吸うと、精液が吹き出した。
どぴゅ、どぷどぷどぷどぷっ♥ ぶぴゅぴゅぴゅぴゅ……♥
「ん、んん~~っ……♥ んむぅっ……♥」
口の中でぶちまけられる精液を、今度はしっかり溜めていく。びゅくん、びゅくんとおちんぽが跳ねるのに合わせて吐き出される精液。射精は数十秒続き、終わる頃にはお口はパンパンになってしまった。
「またこんらにたくさん……♥ ほら、みえてまふかー……♥」
口を開けて、彼に見せ付ける。彼が気持ち良くなった証拠。彼を気持ち良くさせられた証拠。これはお互いの満足感を満たす為の行いでもあった。
────そうだ。それでうがいしてみろよ。
面白がって言われる。酷い、弄ぶようなこと。でも、私には拒むことが出来ない。拒む気にならない。言われた通り、口に息を吹き込む。
「がらっ……ガラガラガラガラ……♥ ぶくぶくぶく……♥」
粘度の高い精液が泡立つ。独特の苦さ、生臭さが舌を刺す。こんなこと、彼以外の精液でやれって言われても絶対無理だ。それこそ先輩のだって。でも、今まさに味覚を刺激し、鼻を通り抜けるこれだけは。
口を閉じ、ぐっちゅぐっちゅと頬を膨らませてすすぐ。歯と歯の間をねっとりした粘液が通り抜ける。そこまでやって、ようやく呑み込む許可が出た。
「んぐ、ごくっ、ごく……んっ……。はあっ……うぷ、やばっ……♥ 空気が溜まってっ……♥」
胃から空気が昇って来る。イラマチオやガラガラうがいのせいで、空気を飲み込んでしまったのだ。ぐっ、と喉が蠕動して。抑えることが出来なかった。
「んっ、ぐ……ぉ……ごプッ♥ げふっ♥ ……ゴげぇええええ……ッ♥ や、やだっ♥ 精液げっぷ出ちゃったぁっ……♥」
はしたなく空気を吐き出してしまい、彼にゲラゲラと笑われた。当然の如く一部始終を動画で撮られてしまっている。
……流石にこれは自分では見たくないかも知れない、と思った。
「……え? えっちは無し、ですか……? い、いえ、物足りないとかじゃないですけど。でもなんで……?」
口取りが済んで、さあセックスかと思っていると彼に部屋へ戻れと言い渡された。
……実際の所、もうおまんこはびちょびちょ。フェラは存分にしたけれど、それは私の絶頂に繋がることじゃない。入ったスイッチはまだ元に戻っていない。このまま戻れと言われても、ひどい生殺しでしかなかった。
────今度、時間が出来たら旅行でも行かないか。
「……………………ッ♥♥」
ぐいっと腰を引き寄せられ、囁かれて。落ち着いていた鼓動が、一気に早くなる。
────せっかくだからさ、お前の危険日に合わせて。来月か、再来月くらい。それまで生本番はおあずけだ。その代わり、旅行の間中、思う存分可愛がってやるよ。
それは、つまり。私の一番孕み易い時に、気の行くまでえっちしよう、という浮気旅行のお誘いで。
ばっくんばっくんと脈打つ心臓が痛い。この後すぐに結婚式が待ってる。もうほとんど手遅れかもしれないけれど、今ならまだ引き返せる。それはちょっと、と言えば彼も分かってくれると思う。彼が了承を得ようとするのはそういうこと。お前が選べよ、ということ。
「そっ、そんなこと言われても……♥ わ、私、今日このあと結婚するんですよっ。新妻になるんですよ……? その当日に、浮気えっちの約束なんて、出来る訳が……出来る……訳が……」
子宮に甘い痺れを感じながら、ふと横を見る。
鏡に映る、彼に抱き寄せられ、縋りつく様に胸に顔を埋めて。真っ赤にのぼせ上がった顔。
それは、目の前の人の子を孕みたいと願うメスの顔でしかなくて。
それを自覚した時点で、私の答えは決まってしまったようなものだった。
♦♦♦♦♦♦♦♦♦
「あ、桜ちゃん、ちょっと汗かいちゃってるよ。ほら、拭いてあげる」
「ありがとうございます、藤村先生」
扉の前に立った私の額を、藤村先生が優しく拭いてくれる。……こんなことを考えるのは申し訳ないんだけど、藤村先生は十分美人だし気を配れるし、職業も安定しているのになぜ独り身なんだろう。わりと不思議である。
「むっ。桜ちゃん、なんか失礼なこと考えてなかった? そういうの分かるんだー、わたし」
「いっ、いえいえ! ぜんぜん考えてないですっ。その、藤村先生は優しいなーって」
「ホントかなあ? まあ今日は許しておこう、特別な日だしねー。……あ、そういえば遠坂さん間に合ったって。他の人もみんな来てるよ。そうだ、ブーケトスはわたし目がけて投げてくれると助かるかな!」
「は、はい。善処します」
前を向く。目の前には分厚い扉。いわゆる、バージンロードの入り口だった。
これから数分後には、私はここを通って先輩の所へ行く。隣の藤村先生と一緒に。普通は父親だったり親戚だったりらしいけど、まあ、私はその辺り色々あるから。
本当にこの時が来たんだなあ、と改めて感慨深くなる。
と。違和感を覚えて、とっさに口元を抑えた。
「…………桜ちゃん」
「あ、すいません」
「ううん、いいの。泣いちゃうのも分かるよ。人生に一度の幸せだもんね」
きっと私が嬉し泣きしたと思ったのだろう。藤村先生がハンカチを手渡してくれる。
─────まあ実際は、胃から精液の匂いが昇って来てむせてしまったんだけれど。
先輩と誓いのキスをするとき、息止めておかなきゃ。
そんなことを考えながら、開式を待つ私だった。
どんどん酷い話になってる気がする。
そろそろ連載の方も更新したいです