【三次】 みほエリを見たかった俺はこの先生きのこれるのだろうか? 作:米ビーバー
聖グロリアーナ女学院。完全寮制門限アリ、規則厳守のお嬢様学院である。
英国の文化を基調としたパターンの学園艦に通うのは、押しも押されぬ淑女たち。
当初黒森峰の受験を失敗して落胆とともにやってきた俺が最も苦心したのは「タイツを破ることなく安全に脱着する」という基礎の基礎だったりするのだが―――その辺りはどうでもよいだろう。
グロリアーナに来て数日、あの因縁の出会いから紅茶の園の筆頭、アールグレイパイセンに引っ立てられて烏帽子子になり、ブリュンヒルデなる名前を与えられた俺は、後にダージリンの冠名を戴きグロリアーナを引っ張る大黒柱になるであろう少女と鎬を削る日々を(強制的に)送ることになった。
―――まぁそれも今は昔 なのだが。
パイセンは高等部に進級して行き、ダージリン(仮)とともにチャーチルで中等部戦車道の戦場を駆け巡る日々。みほエリの進展を確かめることが未だできないままというのが歯がゆい限りではあるが、このまま戦車道を続けて居ればコンタクトの機会は必ずやって来る。つまりは現状を続けて居ればそれでいいわけだ。
―――フッ、勝ったな(確信)
チャーチルMkⅣの6ポンド砲弾を片手で拾い上げてそのままワンハンドで装填し、漫画とかアニメで食いしん坊キャラが良くやる「両手でおにぎり持って交互にむっしゃむっしゃやる」ポーズで左右の手を使って高速装填する俺の姿に、今年から参加した一年坊が軽く引いている。もう慣れた(素)
俺にしてみれば6ポンド砲弾なんぞ1個約3㎏、一番重いAPCBC(仮帽付被帽付徹甲弾)ですら4kg未満の砲弾である。元々ティーガーのアハトアハトの砲弾(約10kg)を装填することを基準として鍛錬してきた俺にとってはチャーチルの6ポンド砲弾は軽すぎると言わざるを得ない。日々10kgのダンベルカールやってる人間に2kgのダンベルで訓練してねって言われても訓練するために新しく負荷でも掛けなきゃ訓練にならんだろう。上腕二頭筋と上腕三頭筋が悲しんでいるだろう?ダンベル(換算で)何個増やす?(NOT漫画アニメタイトル)
そのうち指の股に砲弾挟んで6砲流装填術―――!!とかに至らないか少し心配にならんでもないが……レッツパーリ!する独眼竜でもないし、しないしない。振りじゃないし、しないしない。
【閑話休題】
練習後、シャワールームで他の女子たちと一緒にシャワー浴びてキャッキャウフフなどあってはならないため、自室に戻りシャワーを浴びる。個人の部屋に個別でシャワールームを用意してくれている水回りの良さにひそかに感謝する俺である。
シャワー後にスポドリで水分を補給したらプロテインバーと各種サプリメント錠剤、及びカロリーブロックで必要な栄養素だけを補給し、紅茶の園(中等部)へ。
「―――ごきげんよう、天翔エミ」
「よっすフッド」
紅茶の園には、先にシャワーなどの支度を終えて完璧に服装を整えたダージリン(仮)が居た。これもいつも変わらない光景である。
ひとつ場違いな点があるとするならば―――
「紅茶はどうした?」
「下級生が茶葉を切らしてしまったらしくて、折角の午後が台無しですの」
―――ダージリン(仮)が持っているカップは空っぽで、紅茶が注がれていないという点だろうか。
「―――本当に最悪と言わざるを得ませんわね―――何というか、不覚でしたわ」
「あんまり下級生をイジメるんじゃないよ?紅茶なんて飲めなくても死にはしないんだからさぁ」
「その言葉、不敬罪に相当しますからお気をつけなさいね?紅茶の園の存在意義に値しますのよ?」
マジか。どういう存在なんだ紅茶の園。
「まぁ私は自前のブレンドがあるから問題ないが」
「―――この場で珈琲を飲もうとする時点で暴挙以外の何物でもありませんわよ?」
ダージリンの言葉を我意に介さずで受け流し、魔法瓶に保存してる自作ブレンドを水筒に注ぎ、ぐいっと一気する。
「―――ふぅ……」
「―――せめて誰にもバレることなく隠し通しなさいな?香りにも敏感な子が多くてよ?紅茶の園は」
「わかってるって。チクらないだけで有り難いさ」
魔法瓶の口をしっかりと締めて専用の巾着に押し込み証拠隠滅。あとは珈琲の臭いを消すために備え付けの芳香剤でシュシュっとやって、備品のガムで口臭ケアを―――
「―――なぁフッド。エチケット用のガムがないみたいなんだが」
「―――あらそうなの?下級生の怠慢かしらね?」
紅茶の園で振る舞われる紅茶は香りが強いものもある。そのままでは口臭問題になり得る ということで紅茶の園のテーブルにはいつもエチケット用のブレスケア用品が置いてあるのだが……今日に限って空っぽだった。
紅茶の備品忘れと言い、下級生何やってんだこれぇ……卒業したパイセンがもしこの場に居たら激怒してるぞコレぇ……
目の前のダージリン(仮)は我関せずでなんか口をモゴモゴと動かして―――
「―――何食べてるんだそれ?」
「アールグレイティーを固めたキャンディですわ。紅茶が無くてもティータイムは行いたい、そうした気分の時にピッタリですわね」
そう言ってコロコロと口の中で転がしてる様子を見せるダージリン。いやそれは別にいいんだ大した問題じゃない。問題は
「それ私にもくれるか?上書きすれば珈琲の匂いとか誤魔化せると思うんだが」
「―――よろしいんですの?」
不思議そうな顔で俺にそう尋ねて来るダージリン。ははぁん、俺が珈琲党から紅茶党に全面敗北したとみなしますけど?的な?そんなブリカス式交渉術ってアレだな。俺は詳しいんだ。
いいぜ、お前がそう思ってるのならそういうことになるんだろう。お前の中ではな!(使命感)
「構わない。ほらはやく、いつ下級生が戻って来るかわかんないから!」
「はぁ……――――――まぁ、それでよろしいのでしたら」
そう言ってダージリンが席を立ち、俺のところまで歩いてきて、座り込む様に視線を合わせ―――
―――――ちゅぷ
―――ちゅ、くちゅ、「んっ」……ちゅ―――――
「―――はぁ」
ダージリンが一仕事終えたとばかりに顔を離して息を吐く。その口の中に、もう飴玉は残っていない。
「―――物足りませんわね。一寸寮内に備蓄がないか探して来ますわ。ごきげんよう」
微動だにしない俺を尻目に、ダージリンが優雅な足取りで紅茶の園の扉を抜けて去っていく。一人残された俺は何をどうこうするでもない、放心状態で―――
―――コロコロと口の中でじんわりと苦みと香りを染み出して行くアールグレイティー風味の飴玉が溶けていくのを、ただ黙って立ち尽くしているだけで……
「―――あっ、そうだ。そろそろ現実にもどらないと」
――――ゴッ!!
――月――日
ぼくはいまびょういんにいます。じこにあうまえのきおくがおぼろげで、よくおぼえていません。
こうちゃのそので、てーぶるにあたまをたたきつけたすがたで、ちまみれではっけんされたらしく、かきゅうせいのこたちがそっとうしてたそうです。
こわい(素)
「それ私にもくれるか?上書きすれば珈琲の匂いとか誤魔化せると思うんだが」
「(これ一個限りなのですけど)よろしいんですの?」
「構わない。ほらはやく、いつ下級生が戻って来るかわかんないから!」
「はぁ……――――――まぁ、それでよろしいのでしたら」
ダジ『合意の上です(強弁』
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