病気になったナミが可愛くて、唇を奪っただけで大騒ぎになった。その数日後、回復したナミを部屋に閉じ込めて恥ずかしがって嫌がっても抵抗しないナミを良いように扱ちまう。
俺は多分、寂しかったんだろう。だからと言って、ここまで甘えても良いかと問われたら、恐らく答えは否だろうが。
「んっ……あっ!や、やだ!!そこ、やめ……んっ」
「入口付近じゃ嫌だって事は、もっと奥が良いのか?」
酷く意地悪な事をしているとわかっているのに、すすり泣きの懇願が聞こえても尚、なぶるように虐め続ける。嗚咽に紛れながら怨みの視線を送って来るが、潤んだ瞳と火照った頬は俺の中に燻る嗜虐心を煽るだけだ。
愛しいと想っている事に間違いは無いのに、他の男に何かされた時癖がついていてくれたら……と万が一なんて起こさせるつもりもない癖に思うのだ。どれ程貪っても、潰える事のない飢えに任せて嗜虐の快楽に酔いしれる。
このまま……できるならこの腕の中に繋ぎ止め、快楽の虜に成り果てるまで、飼い殺しにしてやりたい。そんな事を考えた時、ナミの意識が深く沈み戻らなくなった事に気付く。
やり過ぎたかと気付き身を清めて部屋に戻る時、ベックに低い声で呼び止められた。俺の腕には、意識のないナミがいる。
「後半日遅ければ、ドアが粉砕されていた。それでも辞めなければ……切り落としてた所だ」
「悪かったな」
「やり過ぎだ。3日だぞ、篭ってからな。……今も、ナミを腕に抱いていなければ殴り飛ばしていた」
「……俺がナミを抱く事に、何か問題があるのか?ナミは俺の愛妻で、俺のクルーで、俺の女神だ」
「シャンクス!……限度を知れと言っているんだ」
怒るベックにフッと笑い、ナミを預けると部屋を整えて来るから連れて来てくれと言えば深い溜息でそれに応えた。酷い男だとわかっていて、それでも俺は変われないのだから救えねェよな。
その後目覚めたナミが珍しく怒り、俺はベックにも窘められてナミ1人での買物という罰に打ち震える事となった。また、変な虫が着いたらどうするんだと嘆く俺を無視して、それは実行される。
こっそり後を付ける俺に呆れを隠さないクルーに、思わず本音で心配なんだよと叫べば何の為の見聞色の覇気だと言われるが……それもどうなんだ?
妻の動向を探る為に覇気を使う男って、それこそどうなんだよ?
そんな事を脳内で言いながら、俺はナミの後ろをコソコソとついて回る。結果だけ見れば、変な虫が羽虫程度なら自力で撃退していたし、執拗い奴には俺がそいつにだけ向けて覇気を放ち意識を失わせていたので問題は無かった。
帰ったナミをまるでずっと船に居たように見せかけて出迎えれば、ナミも気分転換が出来たのか呑気そうな顔で笑った。その直後、船が大きく揺れて何事かと見れば見覚えのある船がそこにあるのが分かり脱力しそうになる。
「あー……四皇に無闇に手を出すのは駄目じゃと言われとるが、本日は節分につき、鬼や魔を払う為に豆を投げた先が〝たまたま〟赤髪海賊団の船じゃっただけ!事故じゃ!!」
「ガープさん!?え、なんで!?」
「なんだ、ナミも知ってるのか」
「だって、ルフィのお爺ちゃんだもの……」
そのナミの言葉で、どうして俺が狙われているのかわかった気がした。だが豆なら特に問題は無いかと何人かが笑った時、武装色を纏った弓の威力を知ってるだろうがと呆れた声を出したのはルーで、その声に顔色が変わったクルーを眺める。
そんな時飛んで来たのは、明らかに大砲としか思えないサイズであり、武装色を纏った豆。下手に大砲として撃たれるより威力のある投げ技に思わずおお!と声を出したら喜ぶなとヤソップに頭をチョップされては仕方ない。
切り刻もうと剣に手をかけた時、横にいたナミが甲板を蹴り飛び出した。それにより湧き上がる歓声が、ナミへの信頼を物語っている。
こういった時、ナミはいつも率先して動く。人を、生き物を傷付けないのであれば、迷わない為に強いからな。
砲弾や弓、銃弾はナミが居れば大抵解決する。短剣でそれができる時点でその実力の恐ろしさが分かろうというものだが、本人に自覚は無い。
弱くて足手纏いでごめんなさいと落ち込む姿も、可愛いから俺としちゃもう構わねェけどな。そんな姿にいちいち反応して自信を持てと言うのは、ベックやルーの仕事だろう。
「それにしても、なんだあのサイズ。見た事ねェぞ、まさかあのサイズの豆を俺達に投げる為に育てたのか?」
「私が買物した島の周辺にある無人島には自生してるらしいのよ。ただ、猛獣も住んでるから中々入手できないって島の人が言ってたわ」
俺の素朴な疑問にナミがそう答えると、クルーが嫌そうにガープの船を見て、次々投げつけて来るそれに溜息を落とす。ガープは積年の怨みとか、よくも孫をとか因縁をつけつつ豆を投げつけ続ける。
この船にその孫が惚れ抜いてる女がいると知ったらどうなるのか。いや、知ったらよくもわかっていてその女を娶ったなと言われかねねェ。
「
叫ぶそれの内側に含まれてる本心がしっかり伝わるそれに笑いながら、折角ナミが切り刻んで落としてくれた豆だからと俺もそれを手に取り武装色を纏わせて投げ返す。ナミの体力が尽きちまったら、今夜何も出来なくなっちまうからな。
鬼は外福は内!!言葉と共に投げ合う物は確かに豆の筈なのに、何故か死人が出そうなそれはある意味立派な戦争の様相を醸している。それでも彼等にとってはこの程度、遊びの範囲なのかも知れないが。