※この作品はR-18です。

光源氏シリーズ   作:夢枕 七変化

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互いの心臓(光源氏20)※

 ベガパンクを毛嫌うシーザーに〝ハイハイその通り、貴方が神です〟と微笑む事がこれ程苦痛だとは思ってもみなかった。私とローの心臓を寄越せと初めに言われた時、途中で手に入れた見知らぬ海賊のそれを差し出したのは、私の発案。

 けれどもそれにより、胸に穴が空いてないと不味いという事で、私とローの心臓もちゃんと抜いて、互いが互いの身体に入れて管理していた。他人の心臓がその身体に馴染む事は無いので、必要な時は取り出して穴が空いてるのを確認させてやれば良いだけなのだから。

 問題は四六時中誰かに監視をされていて、二人で共に時を過ごせてもキスするのも難しい状況にあると言う事だけ。私は良いんだけど、ローはそろそろ吐き出したいだろうなと……そんな事を思う。

 

 「ロー……」

 「ナミの色気のある姿は、誰にも見せねェ。心配するな」

 「でも、キツイでしょ?」

 「ナミが欲しいのは否定しねェが、誰にも見せる気も聞かせる気もねェよ」

 

 そう言って笑うローは、少しばかりその隈が酷くなってる気がする。それにより、咥えてあげようか?と問い掛けてみたら黙ってろと叱られたのは謎だと思う。

 そっとその頬に触れるだけのキスをして、行きましょうと笑えばローは微かにその手を動かす。それから小さく頷くと、作戦を成功させる為にと動き出した。

 そうして内部深くまで入り込んで少しした時、G5が近付いているとの情報が入り、それから間も無く上陸の1報が入る。それの対処にとローが建物の入口を塞ぐように出掛ければ、私もついて行こうとしたけど背後から抱き締めてくるモネによりそれは失敗に終わった。

 

 「貴女は駄目。会わせたい人が居るのよ」

 「ナミ!」

 「気を付けて行ってきてね。奥さんの為にも」

 

 ローはその言葉に舌打ちして、すぐ戻ると言って歩き出す。その背を見送ってから案内されたその場所には、サングラスの男が一人……。

 何だろう。見覚えが、あるような……無いような……?

 

 「間違いないな。ドフィが探していた、消えた海兵だ。当時の姿のまま変わってない事には疑問しか無いが」

 「まァ!それなら若様が喜ぶわね!!」

 「……それも、ローの妻か。ハートの椅子に戻らせるのに、これ以上の餌は無いだろう」

 

 その会話に背筋を冷たい物が走る。逃げなきゃ……!!

 けれども逃げられると思うのかと言われて取り出された心臓を見て、動きを止めるしか無かった。ここで偽物だとバレる訳にはいかない。

 まだ私達はシーザー誘拐を成功させて居ないし、工場も破壊出来てはいないのだから。シーザーが居る限り、工場の破壊は無意味だもの……。

 対外的には1回り小さな心臓の方を私のだと言う事にしてあったので、それを見て私は手の動きに合わせて叫び、崩れ落ちる。するとそれを見ていた男から、呆れたような声が降って来た。

 

 「……まさか本当に自分と、その妻の心臓を差し出すとはな。妙な所で素直な奴だ」

 

 ダメージも無いままに倒れた私は、この男が居るからローは戦うしか無かったのだと気付かされる。海軍内に敵が混ざっていては、ロシーを嵌めて殺す事なんて難しくも無い。

 本気で護ろうと決めたならば、戦う他の選択肢が無かったのだ。逃げ回ってどうにか出来る相手じゃなかった……と、言う事ね。

 そうして動けない(・・・・)私を担ぎ上げて、男は奥へと進んで行く。それを見たモネが慌てた様子を見せれば、男は大丈夫だと笑った。

 

 「ドフィが怒るから、手は出さない。どうやらドフィは本気でこの女を〝王妃〟にするつもりらしいからな。連絡を入れるだけだ」

 

 そうして連絡を入れたその男は、怒りに燃えるローが私を取り返しに来ると〝初めまして〟と言葉を向けた。それは……本当に私では無い私が過去を変えた証拠。

 ローも隙を作る為に、心臓が己の物だと見せかける演技をする。そして窮地にいるように見えた時、スモーカーと呼ばれる海兵も参戦しての戦いとなった。

 ……私は、何も出来ずにそれを見て、電伝虫に声をかけた。きっと、この程度の演技は必要だろうと思ったから。

 

 「お願い!ローをもう、傷付けないで……!!」

 「ローが素直にハートの席に座り、やるべき事をやるのならば……それで良い。やるべき事を終えたなら、ナミは〝解放〟してやるさ」

 「解放?」

 「誰かに生命を狙われるような生活も、危険な海にいる必要もない。旨いものを食い、美しく着飾り、優雅に生きていけるようにしてやる……!!」

 

 笑う電伝虫を思わず睨んでしまう。この電話の向こうに居るのが、本当にロシーの兄なのかと泣きたいような気持ちにさせられてしまう程。

 その言葉で、ローに何をさせようとしているのかを知り、私を解放するなんて嘘なのだと気付かされる。言葉に詰まる私の目の前で、ローがその戦いを終えて、ドフラミンゴに相棒の死を伝えた。

 怒り狂う電伝虫を切って、私にそっと笑いかけたローは随分と消耗してる様子が伝わる。そっと抱き締めるようにすれば、毒ガスが迫ってると気付きのんびりするのは後だとその場を後にしたのだった。

 そうして進む途中でシーザーを捕らえる為に、ルフィと同盟を結んだと聞かされる。それにより青ざめた私に、ローは首を傾げた。

 

 「どうした?ナミなら喜ぶかと思ったが……?」

 「個人的には嬉しいけど、ハートの参謀としては嬉しく無いのよ!!ルフィは、感情的で、計画性の無い、馬鹿なの!!」

 「は?」

 

 そうして人の集まってる所に到着した時、案の定ルフィがシーザーを殴って外に飛ばしてしまったと聞かされて、私は頭を抱えてローは怒り狂った。それでも取り敢えず全員揃うのを待ってトロッコに乗り込むと、外にガスが充満してると言われる。

 

 「……と言う訳だ。ナミ」

 「うん。分かった」

 「「「何がわかったんだよ!?」」」

 

 騒ぐ人達を無視して、風を起こして毒ガスを霧散させれば、戦いが待っていた。共闘するのは初めてだけど、ウソップ君との相性は良いのか、見事にシーザーを奪い返す事に成功してローに褒めて貰えたのである。

 抱き締めてくれる腕が心地好い。ローが、生きてこの作戦を成功出来る確率は以外と低かったのだから、嬉しくない訳が無い。

 

 「流石は俺の女だ」

 「こら、付け上がっちゃうわよ?」

 「付け上がっていい。ナミ、漸く普通に触れられる……」

 「ロー……」

 「ナミ……」

 

 そのまま深く口付けていたら咳払いが多く聞こえて、ハッと正気に戻る。その後、子供達の治療に困ってる麦藁の1味を見て、私がローに縋るような視線を向ければ溜息と言う返事が返った。

 

 「分かってる。……少し、待ってろ」

 「ありがとう」

 「凄いわ。あの〝死の外科医〟が時に人助けをすると言うのは……貴女の為だったのね」

 「ローは、私が関わらなくても……基本的に優しいわ」

 

 話しかけて来たロビンさんに笑って答えれば、ルフィのお姉さんなんでしょ?と問い掛けられる。それに頷くと、ルフィが喜ぶわねと楽しそうに笑い出したので、姉離れさせなければと強く思うのだった。

 そうして子供達の治療と、船の修理、更には宴へと雪崩込み……子供達は海軍に任せる事にして、私とローはサニー号へと乗り込んだ。皆の待つゾウに行く事はきっと出来ないと知りながら、それでもできる限り足掻こうと二人、客間代わりに貸出されたアクアリウムでその熱を感じ合う。

 押し倒されたソファで、ローを見上げれば首筋に落ちてくる唇の熱。それが、愛しい。

 

 「ナミは、無欲なフリして、もしかしたらこの世で1番傲慢なのかもな」

 「あら、やっと気付いた?私、無欲なんかじゃ無いの」

 「あァ……。家族も、仲間も、友人も、全て大切で……目に見える範囲にいる全員の幸せを願う。……傲慢以外のなんだって、やっとわかった」

 

 傲慢で我儘、結構な事よ。私は喪いたく無いのだ。

 大切な人には、生きていて欲しい。幸せでいて欲しいの。

 

 「それでも、私は一番を決めてしまったわ。勿論他を喪っても、傷付くのを見ただけだって、苦しむけど……私はローが居ないなら存在する意味は無いと……決めてしまったの」

 「なら、死んでもナミは、俺だけのもので居る覚悟決めとけ」

 「え?」

 「冥界の王は、どの神話を見ても総じて男だ。簡単に連れて行かせてたまるか。逝く時は共に……だろ」

 

 言葉と共にその瞳に貫かれた瞬間、身体が打ち震えた。逃げる気なんて無かったけど、もう、絶対に離れられない。

 私の身体は爪の1つ、髪の1本まで、全てローのもの。角度を変える為に唇が離れる他は、唇が離れる事は無い。

 触れ合う度に吐息は徐々に熱を帯びて来る。熱く、深く、激しく……舌を絡ませ、弾力を味わいながら強く吸い合う。

 私の方は構わないって……そんなのは嘘だった。頭の芯まで痺れるような熱い口付けに、乱れた喘ぎが漏れる。

 離れようとするローを、両腕でしかと抱き寄せ、更に深い結合を求めて上体を浮かせてしがみつく。離れたくないし、離したくないと思うのはきっと二人の偽らざる思い。

 長い事お預け状態にあったローは、欲望を抑える事を諦め、欲しくて堪らなかった身体を膝の上に座らせる。頬へ、耳朶へ、首筋へとキスの雨を降らせながらその肌をまさぐり出す。

 器用に全てを脱がせて行くローに、私は何の含みも無く本当に器用ねと思う。そうして剥きながらも、身体への愛撫は忘れないのだから恐れ入る。

 

 「あっ……あぁっ!ロー……!!」

 

 逞しい身体にしがみつき、私はただ、身体を震わせるしか出来ない。この腕に抱かれていたいと、強く願う。

 

 「どうして欲しい?」

 「全部……ううん、これが欲しい……」

 

 人を脱がせておきながら自分は着たままだったローのそれを剥ぎ取り、胸に、腹筋に、たっぷりと舌を這わせながらズボンの前を撫でさする。そこは既に質量を増し、パンパンに張り詰めていた。

 ファスナーを下ろした途端、欲望もそのままに熱い楔が勢いよく頭をもたげて飛び出して来た。ずっと我慢させていたと知ってるから、ソレに指を絡め、ぱっくりと咥え込む。

 

 「う……」

 

 感極まった呻きがローの口から漏れる。だけど、それも仕方ない事。

 ローは私を辱めない為にと、耐え続けていたのだから。そうナミが思うのは当然だが、ローにしてみれば少し違う。

 愛しい人の舌が、自分の持ち物とはいえ、グロテスクと呼ぶに相応しい肉棒に絡まり、舐め回している映像は……余りに扇情的で目の毒。情熱的に両手と胸で扱き上げ、その上で全部を含む事の出来ない巨根を喉の奥にまで咥え込もうとする姿は、まさに魔性。

 

 「ナミ、持たない……!!」

 

 情けない声が漏れても、ナミは離さない。イかせたくてしてるのだから、口で補えない所は胸を使うのも当然である。

 誰しも、ただ可愛がられるだけの人形でいるのは耐えられない。愛しい人に悦んで欲しいと願う事に、男女の差は無いのだ。

 逞しく育った幹の細部まで舌を絡め、感じやすい先端は特に丹念に擽る。そうして再び口いっぱいに頬張り、吸いまくればローのそれがビクビクと反応を示す。

 

 「くっ……!」

 

 小さく呻いたローの下腹部が波立ったかと思うと、口の中に熱い迸りが放たれる。それを喉を鳴らして飲み下すと、更に幹から下へと流れ落ちていく滴りを丹念に掬って舐めとって行く。

 その刺激のせいか、精を放ったばかりだと言うのに、ローのモノは萎えるどころか更に逞しく育つ。そうして辛抱の限界に達したローが、私を押し倒して……淫らに身体を割り開かせる。

 そのまま、私の身体は既に十分過ぎる程に濡れているのにも関わらず、ローは弱い所にむしゃぶりつくから、甘やかな悲鳴が喉を震わす。それに満足しないのか、指を中に入れて、快感のポイントを擦り上げるから、腰が淫らに揺れる。

 

 「はっ……あ!やぁ……!!」

 

 敏感になってる内壁は蠢き回る舌や指の存在を、恥ずかしい程にリアルに感じ取る。でも、足りない……!!

 腰が勝手に揺れる。欲しいのは、ローの全てだと身体と心が悲鳴を上げているのを自覚した。

 

 「ああ……やだ!もっと、いっぱいにして……!」

 「いやらしいな。ナミのココは、こんなに久しぶりなのに俺を誘惑する」

 「やぁ……言わない、で……!」

 「言うさ。……俺にだけ淫乱なら、大感激だからな……!!」

 

 そうしてローは待ちわびてるその場所へ、ゆっくりと腰を沈める。押し入って来るモノを歓喜の蠕動で飲み込みながらも、何処か強ばってるような抵抗が残るのは、ローと違い自らを慰める事さえしていなかった証拠。

 

 「ナミ、自分でもしてなかったのか」

 

 半分程入った所で動きを止めて、形を覚えてる筈の身体が痛い程にそれを締め付ける事に多少の驚きを感じる。けれども、ナミとしては当然の事。

 何で驚かれるのか理解できない。だからこそ、羞恥と哀しみが混ぜ合わされたような気持ちで、言葉を投げつけるように紡いでしまう。

 

 「ローにしか、されたくないって……いつも……!!」

 「……それに、自分は普通含まねェよ」

 「元々、性行為は苦手なのよ!!ローじゃなかったら、身体は悦んでも心は泣き叫ぶしか出来ないんだから……!!」

 「ナミ……!!」

 

 わかっていたつもりで、この清らかさの意味を本当の意味で理解していなかったと知った男は、喜びと言う激情で愛しい妻を壊さないよう、優しく、ゆっくりと腰を進める。だがそれが、結果として焦らしに繋がっているとも気付かない。

 そうして意図せず強請らせる事に成功した男は、その言葉と態度、妖艶な姿に理性を弾け飛ばして……他人の船である事等忘れ、その快楽に溺れて行く。愛しい女の腕の中、愛らしく鳴く果実を心行くまで貪りながら。

 互いの身体に、心臓を預けたままになっている事さえ忘れて……。二人は深く愛し合い、翌朝朝食だと声をかけに来た面々が扉の前からそっと立ち去った事にさえ、気付く余裕は無かった。

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