波間の向こうを目指して(新・本編side) 作:夢枕 七変化
俺がウォーターセブンに到着した時には、海列車がもうすぐ運行を取りやめると言う放送をしてる所だった。海列車も止まるとなれば、相当デカイなと1人海の向こうを見詰めるが、とりあえずアクアラグナが来るような天気で野宿する気は無いので、泊まれそうな所があるかを探す事にする。
ウォーターセブンに到着する前に立ち寄った美食の街で、いつものように食い逃げしたので慌てて飛び乗った海列車の到着駅がここだったのは奇跡に近い。明日にでも、ナミやルフィの事を探してみるかな。
そう思って、借りた宿の部屋でシャワーを浴びて寝たが、翌朝アクアラグナの脅威が通り過ぎた時、表の騒がしさに気付く。どうやら昨夜の恐ろしい状況下の中で、あのアクアラグナを超えた馬鹿がいたらしい。
飯を食いながら話を聞いて回れば、その馬鹿達はこの島のトップの生命を救った英雄で、本当の悪人に仲間を奪われたからと取り戻りしに行ったらしい。大した英雄様だなと半ば呆れた直後、その英雄の名が〝麦藁の1味〟と聞いて口に入れた物を吹き出した。
ならば攫われたのはと確認すれば〝女〟だと分かり、まさかナミか!?と詳しく聞こうとしたら、攫われたのはナミでは無い女だと知る。……て事はつまり、あの時のお姫様か?
首を傾げた俺は、けど真実は不明だった為に仕方無く情報を集めて回る事にした。だってよ……必要なら助けに行きたいじゃねェか。
弟の、ルフィの冒険だ。あいつだって、思うままに海を進んでると分かってる。
それでも、兄貴としちゃ心配だしよ……。ナミがいるとわかっていても、いや、わかってるからこそ、不安になる。
自分の事は蔑ろにしちまうナミだから、余計に。仲間助ける為なら、平然と自分の生命捨てそうで……なァルフィ、お前ナミを守り抜けよと心で語り掛ける。
そしてその後島の復興を手伝いながら、俺は情報を集めていた。すると英雄達が無事に帰って来た事、意識を取り戻す事なく眠り続けていた事を聞いて、それでも漸く目覚めたらしいと知れば、そろそろ会いに行けそうかなと思う。
俺も、いつまでもこの島でじっとしてるなんて事は出来ないからな。そう思ったんだが、そんな中で麦藁の1味が主催する宴が始まったと聞いて、あまり堂々と顔を見せる訳にも行かないからと近くの酒場にてその喧騒を聞く。
……親父も兄貴達も怒って探してるだろうから、島の人達から話が伝わらないようにする為にも参加出来ねェよな。そんな事を思っていたら、楽しそうにしている酔っ払いの会話が聞こえて来た。
「あの女達、お前らも見たか!?」
「見た見た!あの女達なら、迎えに行くよな」
「ああ!すっげェ美人だったよな。こう、胸もたわわだったし!!」
その会話で即座にルフィの仲間達……ナミと助けられた女の話だと分かる。確かにナミは、客観的に見てもいい女だと思う。
あのお姫様も可愛い感じではあったな。……なんだ、ルフィは面食いか?
それに何より、確かに胸はでかかった。マルコの言が正しければ、ナミもお姫様もまだまだ胸が成長期らしいしよ。
「どっちが好みだ?」
「俺は黒髪の方かな。ミステリアスで、少し影があってさ……」
「俺はオレンジの方かな。穏やかに微笑んでたと思ったら、少女みたいに頬染めるんだからよ……あのギャップ……たまんねェ」
その会話からナミも無事らしい事と、どうやら仲間が変わったらしい事を知る。俺の知るルフィの仲間は、女は二人で、ナミと水色の髪をしたお姫様だった。
だが実際今の話では、仲間はお姫様ではなく黒髪の女らしいと知る。……まァ、そうだよな。
あの国のお姫様ならば、あの国に残るだろう。国を愛して……国を守る為に飛び出したんだ。
それならば平和になっても復興の為に残るのが本来正し……い?あれ?
なら、なんでナミはルフィと海に出たんだ。ナミだって村の為に飛び出して、村が救われたんだから、復興とかの役割がある筈だよな。
自国を愛するが故に飛び出して危険に陥りルフィ達に助けられた姫と、自分の村を愛するが故に奴隷となり村人を守り続けたナミ。その想いの強さを測れるとして、同じ、またはナミの方が強く愛してる気がしてならない。
なのに、どうしてナミは村を出られたのだろうか。お姫様は自国に残ったのなら、同じ理屈でナミも残るのが本来だろう。
あの姫様も跡継ぎでは無いし、ナミと条件は近い上に、ナミは明らかなマザコンでシスコンで、世界の中心をその二人にしていた。そこまで考えて、気付く。
「ルフィだ……」
ルフィを守りたくて、ルフィの傍に居たくて、ルフィを1人に出来なくて、ナミはこの海に出て来たんだ。そして何よりも……夢を、叶えたかったのだろう。
そんな事を考えていた時、店に入って来たのはルフィの仲間だ。緑頭の剣士……名前は確か……。
「ゾロ?」
「……ェ、エース!?なんで、こんな所に!!」
「まァ、色々あってな!どうした、宴じゃねェのか?」
笑って答えた俺にゾロは表情を引き締める。何かあるのかと思ったが、何も無ければ宴の途中で出てきたりはしないかと俺も真剣に話に耳を傾けた。
「……エースなら、大丈夫か」
「ん?」
そうして話を聞けば、ナミが海軍大将から狙われそうになっている1味を助ける為に、1人でホテルに向かったと聞かされる。海軍大将、青雉のいるホテルに、ナミが1人で……。
それは、つまり……普通に考えたら身売りだな。だがルフィしか見えてないナミが、自分からそんな考えに至るだろうか?
そう考えたら答えは〝否〟としか出ない。その為に声が自然と低くなる。
「犯される為に行ったって事か」
「本人にそのつもりはなかったみたいだが……わからねェな。何か作戦があるのか」
「作戦はあるだろうが……それなら、俺が助けに行く」
驚くゾロに笑いかけて、その頭を撫でれば少し気恥しそうにする。ナミは妙にそういう意味では鈍いから、本気で話合いで終われると思ってる可能性が高い。
作戦も無しに突っ込むナミじゃねェが、男女の力の差と、ロギア系の悪魔の実の能力者対常人では戦いになりゃしねェ。実力だけなら拮抗したとしても、ナミは人を傷付けるのが物凄く苦手だ。
……キレてる時は別だが、自分の為には怒る事も珍しい。そんなナミが、自衛の為に攻撃出来るとは思えねェな。
「姉のピンチだ。それに、俺は麦藁の1味じゃねェし、大将でもサシなら抑えるくらいはできる」
これでも、白髭の隊長だぞと笑えば、ゾロは神妙に頷いた。それからありがとうと笑うから、ナミの向かったホテルを聞いて俺は1人でそこへ向かう。
見聞色の覇気は苦手だが、こちらの気配が読まれれば助けるのも難しいと慎重に近付けば、聞こえて来た青雉の声。ギシギシと悲鳴を上げているのはベッドだけか、それともナミの身体や心なのかも分からない。
窓からそっと覗けば、正に巨大なその身体がナミの小さな身体を組み敷いて、繋がっているその現場で……。苦しそうに、泣きそうに顔を歪めたナミが見えた。
何しやがる!!そんな思いから躊躇う事なく攻撃を放てば、ナミの頬を涙が伝った。ナミを避けて青雉だけを狙った俺に気付いて、青雉は無駄にデカいそれを引抜き距離を取る。
青雉は嫌そうな顔で俺を見てくるが、人の女に、大切な女に、何してやがると憤るのは当然だ。そもそもお前、正義を掲げる海兵だろうが!!
なのに、こんなにも善良な生き物を強姦するなんて……!!よくもと思いながら攻撃しつつ、部屋の隅に置かれていた換えのシーツをナミの身体に被せた。
ナミが動けないのもわかるが、何時までもその裸体を見ていたら、俺も加わっちまう。今はとりあえず、ナミを連れてこの場を逃げないと不味いな。
素早くナミを抱き上げれば、恐ろしく軽くて……。相変わらずいい匂いがして、柔らかくて……。
手離したくない。俺のものにしたい……と心と身体が騒ぎ出した。
「ナミは、返してもらう。〝約束〟は果たされただろ」
「まだ、途中だったんだけど?どうしてくれんのよ、男ならキツイの分かるでしょうに」
「知るかよ!それとも……俺と本気でやり合うか?」
互いに暫し睨み合う。そこにナミが、驚きと安堵感を滲ませながらも問い掛けてくる。
その信頼が痛い。そして、弱ってるのに平然としてみせるナミが、悲しい。
「エース……どうして……」
「話は後だ。とりあえず、逃げるぞ」
そう言って窓から飛び出して、そのまま……本来ならばルフィか下にいるゾロに預けるべきだとわかっていながら、泊まっていた自分の部屋に連れ込んじまう。なのにナミは何もわかってなくて、ホッとした様子で身体から力を抜いた。
俺は、俺が怖い。こんなにも信頼してくれて、こんなにも俺を愛してくれてる女を……手に入れたくて仕方ない。
耐えられそうにない。でも、泣かせたくない。
矛盾する想いが身体を震わせる。そんな俺をナミは、心配そうに見詰めているのが伝わって来た。
今、気遣われるべきはナミの筈だ。あんなにも体格差のある相手に無理矢理犯されて、平気な筈も無い。
どうしてもっと早く、助けに行けなかったのか。挿れられる直前に到着できていたら……そう思うのに……。
「間に合わなくて……ごめんな……」
言葉は謝罪のそれを紡ぐのに、抱かれていた途中だったからこそ、ナミから女の匂いがする。いつもよりも強く、蜜柑の香りまでするから……飢餓に喘いじまう。
薄い布越しに伝わるナミの体温。俺の息子が、ナミと繋がりたいと叫んで痛みを与えて来る。
「エース」
「ナミ」
無意識で重ねようとした唇からナミは逃げる。助けたご褒美に、キスくらい許してくれてもと思うけど、ナミは変に堅いからな。
でも、逃げ方が悪い。白い首をさらけ出して、俺を傷付けるような事ができないでいる。
だから、その首に吸い付く。キメ細やかな肌は吸い付くようで、軽い刺激の筈なのに甘い声を出すナミに、身体はまだまだ準備万端なのだと教えられる。
そのままシーツを剥ぎ取り床に押し倒せば、ナミが潤んだ瞳で睨み付けてくる。でもそれは、逆効果だぞ。
「エース!やめなさい!」
「ナミ……忘れさせてやるから」
「もう忘れたから!辞めて!」
「……ナミは嘘つきだな。体はまだまだ、覚えてるみたいだぜ?」
男が欲しいとナミの身体が騒いでるのは、1目瞭然。首筋を舐めるだけでナミは喘ぐから、それが本当に艶めかしくて俺の理性は裸足で逃げ出して行った。
心は本気で拒んでいると分かる。分かるが……止まれない。
「や……!エース、辞めっ……!」
姉としてなのだろうが、気の強い態度を見せるナミ。なのにナミは、俺に攻撃なんてしてこようとさえしない。
武器を手にしてるのに、俺には向けない。その姉としての愛情が痛い。
「エース!いい加減にしなさい!」
叱り付けるその言葉でまさか、と思う。ナミが俺を弟として見てるのは知ってるが、まさか……俺の想いに本気で気付いてないのか。
ここまで鈍いと誰が思う。まァ、これ迄のナミの生きて来た環境を思えばある程度仕方ないとも思うが、それは自分が無関係な場合に限る。
「……ナミ、まさか、ここまで来てまだ分かってねェのかよ?」
「何が?」
キョトンとした顔をするナミは、幼い。この顔は明らかに、ナミの素だ。
黙った俺を愛しそうに見詰めるそれは、慈愛に満ちていて、つまり幼い弟を見守る姉とか、大きくなった息子を見て微笑む母親とか……そんな感じだ。でもよ、俺はそんな愛情じゃなくて、女としてのナミに愛されたいんだ。
伝わってないなら、伝えればいい。曖昧だから気付かないなら、ストレートに伝えれば良いだけだろ。
「……俺は、ナミを女として好きだ。だから、このまま抱かせろ」
「は?……何言って、その冗談笑えな「冗談だ?昔から何度も伝えたのに、ナミが鈍すぎて伝わってなかっただけだ!!」」
俺の言葉でナミは声を失う。それから真剣な顔で俺を見るから、ちゃんと向き合ってくれたのだと気付く。
だけどな、わかってるんだ。向き合ったなら、受け入れる筈がない事は。
ナミは頑固で、1途だ。ルフィしか見ちゃいないナミが、俺の想いを受け入れる筈も無い。
それでも俺は、止まれない。ナミの心が無理でも、今目の前にあるこの身体は……手に入れる。
「エース、ゴメンね。私、エースの想いに応えられないわ。私は、ルフィの……ルフィだけのものでいたいの。私の全ては、もうルフィのものだと、決めてるのよ」
「ルフィがナミを求めてるんじゃなくてか?」
そうであって欲しいと願う。それならば、まだ入り込む余地があるから。
でもナミは、そんな俺の願いを簡単に打ち砕く。優しく微笑みを浮かべて、幸せそうな空気を醸し出して。
「私が、ルフィの元にいたいの。私の意思で、ルフィのもので居続けたいって願ってるのよ」
その想いが痛い程に伝わる。受け入れられないと優しく微笑むナミは、なのに、俺を別な形で愛してるから、期待しちまうんだ。
なら……その愛情を向けられなくすればいい。男として愛せないなら、冷たく斬り捨ててくれと願う。
望みがないなら、諦めさせてくれ。でも叶うなら、俺を選んで……俺を、愛してくれよ。
去ろうとするナミの腕を掴み、低く声を響かせる。この部屋は俺が借りてるから、誰かが入って来る事は無い。
「ここまで来て止まれるかよ。俺は、ガキの頃からずっと……!」
「エース?」
「俺の方が良いって、言わせてやるよ」
言葉と同時に、俺はナミの唇を奪う。声も出せず抵抗もしないナミは、俺を甘く見過ぎだ。
泣いても辞めてやるつもりは無い。俺はキスで唇を塞いだまま、青雉により準備の整っている膣の中へ己の熱棒を突き刺した。