※この作品はR-18です。

波間の向こうを目指して(新・本編side)   作:夢枕 七変化

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その心は※

 震えるナミの髪にそっとキスをして、俺はナミに選べないだろう選択肢を突き付ける。もう、俺はお前を逃がせねェ。

 

 「この場で俺に犯されるか、ベッドで俺に買われるか……好きな方を選ばせてやる」

 「シャン……」

 

 揺れる瞳が、それでもまだ辞めて欲しいと訴えて来る。俺が本気で言っていると分からない筈も無いのに。

 首を横に振って、縋るような眼差しを向けながら、ナミは呼び掛けて途中で止めた俺の名を否定の言葉と共に紡ぎ直す。

 

 「や、だ……!シャンクス、嫌よ!私は……!」

 「ナミが自分から求めれば、金も払ってやるし、優しくしてやる。だが、抵抗を続けるなら……喰らい尽くすぞ」

 

 言葉にはされ無かったが、ナミが私はシャンクスをそういう意味で好きなんじゃ無いと、そう言っているのが伝わる。……知ってるさ、ナミは俺を男として認識していない。

 

 「シャンクス、お願い、辞めて。私は……!」

 

 これ以上、ナミから紡がれる否定の言葉を聞きなくなかった。胸元に見える鬱血の跡(キスマーク)が俺の理性を打ち砕き粉砕する。

 

 「鷹の目は、それで辞めてくれたのか?」

 

 俺の問い掛けにナミは体を揺らすと、絶望に彩られたような瞳を向け……それから、微かに自嘲するような笑みを浮かべた後で、静かに涙を流した。その涙を拭う事も無く、真っ直ぐに俺を見て、ナミは残酷な言葉を紡ぐ。

 

 「ミホークとの時は、私は誰とも付き合ってなかったわ!今は、裏切れない相手がいるの。シャンクスの事は勿論大切だし、シャンクスか私かなら、迷わずシャンクスの命を優先する位には大切に想ってる」

 

 想われているのは分かっている。それでも俺が求めているのは、その愛情じゃねェんだよと叫びそうになり必死でそれに耐えていれば、ナミは止めのように言葉の刃で俺の胸を貫く。

 

 「私はシャンクスを愛してるわ。でも、それは恋愛じゃないの。お願い、わかって……!」

 「……馬鹿だな、ナミは」

 

 俺の言葉に惚けたような顔を向けて、小首を傾げる。それが妙に幼くて、時が戻ったように錯覚しそうになる。

 だが、時が戻ってなんか居ないのはその大人になり過ぎた体が示していて……。だからこそ俺は、残酷な願いを、想いを、ナミにぶつけていた。

 

 「ンな事は、分かってる。だからこそ、俺の本当に欲しいものを寄越さねェんだから……今は体だけで良いから寄越せって言ったんだ」

 「そんな事出来る筈無いじゃない」

 

 そんな事を言いながら怯えと絶望をその瞳に宿して、俺を見詰めるナミの手首を掴めば、ナミは再び泣きそうな顔をする。俺は、ナミを無駄に辱めたり苦しめたりしたい訳じゃねェんだがな。

 そう思いながら、俺はそっとナミの手の甲にキスを落とす。勿論、その意味を知った上で。

 俺にお前を傷付けるような事を選択させないでくれ。俺は、ナミを愛している。

 

 「ナミ、愛してる。お前が頑固なのも、ルフィしか見えてねェのも分かってるが、逃がしてやれそうもねェ位、愛してる」

 「だ、め……」

 

 震える声で、俺を拒絶する為に紡がれるナミの言葉。だが、その拒絶が俺を嫌がっているのではないと感じ取ってしまえば、ルフィへの義理立てとか、ルフィへの愛情からの物だと分かってしまえば激情は凪いでいく。

 そこで辞めておけば良いものを、ナミはルフィの為に俺から逃げようとするから、大人気なくも俺はナミに追い打ちをかける。海賊に向かないその綺麗すぎる心が、俺の言葉を無視出来ないと分かっていて。

 

 「ナミ、バスローブ姿で、化けて(正装して)いないお前が表に飛び出したら、どうなると思ってる?」

 

 ナミの顔から血の気が失せる。震える姿は征服欲を刺激し、非常なる言葉を俺に簡単に紡がせる。

 泣き顔や怯えた顔が、俺の劣情を刺激して喰らい尽くしたくさせる。解放して、悪かったと言ってやるのが本来正しいのかも知れねェが、俺にはそんな事出来そうにねェんだよ。

 

 「天夜叉か俺か、二者択一だ。俺から逃げて、天夜叉に抱かれるか?」

 「ひ、どい……」

 「何が酷いんだよ。逃げ道はやったろ。金の為に俺を受け入れるか、俺にただ、犯されるか、俺は嫌だからと天夜叉に泣き付くかだ」

 

 俺の言葉にナミは何も答えず、ただ震えながら涙を流し続ける。不安にその瞳を揺らして、それでもまだ俺を信じようとしているのが伝わる眼差しで……。

 

 「……っ!酷いのは、どっちだよ!」

 

 抵抗する力も無いのか、ナミは俺が抱き締めるとそのまま俺にその身を預けて来た。ホッとしたように息を吐き出して、体から力を抜いて……。

 無意識でと言うか習性のような勢いでその頭を俺も気付けば撫でていて、それによりナミから蜜柑の香りがフワフワと漂って来る。獣のように、激情のままに襲いかかろうとしていた心が凪いでいく。

 そんな俺の腕からハッとしたように逃げ出そうとするナミの耳元に唇を寄せて、言葉を紡ぐ。虐めたり傷付けたりする気はねェが、俺ももう抑えは効かねェ。

 

 「……ナミ〝抱く〟ぞ」

 「や!嫌よシャンクス!私の意思はどうなるのよ!?」

 「これが、精一杯の譲歩だ」

 

 言葉が終わるのと同時にナミの唇を塞げば、その状態で嫌だとナミは音にならない声で言う。それを認めてやるつもりは既に無く、俺はナミをベッドへと運ぶとそのままその唇の甘さを堪能する。

 涙を流しながら、嫌だと言いながら、俺を攻撃する事も出来ない甘さ。そんな中で俺の舌を噛む事で僅かながらも抵抗しようとするナミは、けれども俺を傷付ける事を恐れて甘噛みにしかならない。

 唇を離しても叫んだりしない辺りが、普通の女じゃねェって自覚してくれても良いんだが……言った所で変わらないだろう。そっと頬に触れると、強姦しようとしてる俺相手に力を抜いちまうのは、幼い頃からの癖みたいなものなんだろうが……今更直せないだろうそれに、俺は満たされたような気持ちになる。

 どうしたって俺はナミが愛しい。だからこそ、責める言葉でさえ、睦言みたいに甘くなる。

 

 「ナミは、甘いな。今のが精一杯の抵抗か?」

 「シャンクス……」

 「噛みちぎる事が出来る筈も無い程度に噛み付いて……それじゃァ、甘えてると思われるぞ」

 「ね、もう辞めようよ。私は「抵抗したきゃしてていい。勝手に抱くから気にするな」」

 

 言えば辞めて貰えるかもなんて、本気で考えてるところがナミらしい。それでも、抵抗出来ないくらい心を開いてるナミなら、体にも俺を刻ませてくれよ。

 両足を割開き隠されているべき場所へと舌を這わせれば、ナミから甘い声が聞こえてくる。苦しそうな顔で、辞めてと瞳で訴えながら、体だけは従順でいる上に……惑わすような香りが俺を誘う。

 

 「あぁ!んぅ!あっ……シャンッ……クス……!」

 「イク直前で辞めて、俺を入れてやるから安心しろって」

 「やァ!そこで、喋っちゃ……やぁ!」

 「……可愛い奴」

 

 鼻にかかったような甘い声で、俺を誘う。本人にその気が無いのがいっそ哀れだが、辞めてやれねェから気持ちよくしてやるとナミを刺激してやれば、熱くなる体。

 妖艶に、淫らに反応するそれに俺が先に限界を迎えて己の滾る熱を押し当てれば、ナミが怯えを孕んだ瞳で俺を見詰めて首を横に振った。それと同時に落ちた涙が、本当に綺麗で1瞬呼吸を忘れそうになった程。

 

 「……綺麗だな、ナミは」

 「やだ、やめ……!」

 

 唇をナミの目尻に触れさせ、そっと涙を拭ってやれば、その感情を示すように少し塩っぱくて……ごめんなと言いかけて辞める。謝ったところで、何も解決はしないのだから。

 初めて繋がるのに、ナミの中は俺の為にあるのかと言いたくなる程の満足感を与えて来る。飢えて、渇いて、乾涸びていた心に数滴の雨水が与えられかのような……じわりと広がる幸福感。

 それと同時に、ナミの肌が粟立ち、身体が歓喜に震えているのが分かれば獣のように襲いそうになる。だが、そんな事をして傷付けたくはねェ……。

 比喩ではなく香り立つナミに、俺は身も心も溺れて行く。これでまだ、半分も挿ってねェんだぜ?

 

 「あっ……はぁっん!」

 

 心地よく響くナミの声に、鷹の目の言葉が蘇る。麻薬のようだと言っていたそれを……今なら、理解出来ると内心で同意した。

 自分の体を流れる汗を感じて、こんな高揚はついぞなかったなと思う。これは、癖になり忘れられなくなりそうだ。

 

 「本当に、麻薬と似てるな、ナミの体は……」

 

 その瞬間、ナミの体がビクッと反応を示し、俺は動きを1瞬止める。それから試すように同じ場所を刺激してみれば、ビクビクと震えるのが分かり、浅めの所で見付けたそれで軽く理性を飛ばさせてやるかと嗤う。

 ナミの腰を押さえて、弱い所を攻めてやれば、甲高くも愛らしい声がナミから聞こえてくる。もう少しでナミだけが果てそうな程に高まったのに気付けば、今がチャンスとばかりに再奥まで貫いてやる。

 

 「はっ……ぁ……!やあぁぁ!!」

 

 見付けた弱い所を狙って動けばイヤイヤと首を横に振りながらナミは呼吸をする為に悲鳴を上げているかのように、絶え間無くその声を聞かせてくれる。ずっと求めて来た温もりに、俺の心が1瞬だけ満たされたように錯覚するのを抑えられず、腰を動かし続ければ嬌声なのか悲鳴なのか分からない声がナミから聞こえた。

 

 「あっ……!やぁああァァぁァァ!!」

 「くっ……!いい、締め付けだっ!出すぞ!」

 

 言葉と同時に嫌がるように俺の胸を押しながら、首を横に振るナミのなんと愛しい事か。残滓も残さんとばかりに注ぎ込めば、弛緩するナミの体。

 

 「おわ、た?」

 「ナミ……」

 

 確認するように問われて、終われる筈もないとの言葉の代わりにその頬に触れて優しくキスをしてやる。それから、その事実を伝えれば、終わったんじゃないのかと切なそうに瞳を揺らすが……。

 悪いなナミ、まだまだ終わらねェよ。やっと触れられたんだ。

 1度知れば、知る前には戻れねェ。その上、名器としか呼べない極上の躰だ。

 

 「何言ってる。まだ俺は枯れてねェよ。たっぷり注いでやるから、何も考えなくていい」

 

 傷付けたくはないが、辞めてやる気も無い。体で篭絡できるなら、このまま俺の色に染め上げて全て忘れさせて連れ去るんだがな……。

 体は堕ちても、その心は今もまだルフィしか見えていない。その証拠に、俺の動きに合わせて反応する体に反して、言葉は辞めてと繰り返されている。

 何度目になるだろうかと言う程に欲望を注ぎ込んだ時、ナミが喘ぎながら名を呼んだ。〝ルフィ〟と。

 その瞬間、傷付けたくないと思っていたそれが消え去り、激情をそのままに俺は襲いかかっていた。震えるナミの体はそれでも妖艶で、艶のある声で俺を誘う。

 もう、何も喋るなと……拒絶されるのが怖くて跡を残して行けば、その体を震わせながらただ喘ぐナミ。淫靡な水音が室内に反響して、ナミは悲しそうな顔で涙を流し続ける。

 もう抵抗する以前に全く動けなくなっているのを確認してから、俺はナミを自分のものだと天夜叉や鷹の目に教えてやろうと電伝虫に手を伸ばす。その瞬間顔色を変えたナミが見えたが、辞めてやるつもりはねェ。

 世界に俺の女だと広まれば、ルフィの事も諦めるかも知れないという打算もある。だからこそ、務めて優しく笑いながら残酷な言葉を告げてやった。

 

 「ナミ、声……抑えとけよ」

 

 これ迄に分かっていた弱い所を攻めながら、ゆっくりと部屋の清掃を頼みその間必死に声を抑えるナミに俺は煽られていた。俺の動きに合わせて揺れる胸に早く食らいつきたくて、そっと受話器を置いた時ナミが震える声で哀願してきた。

 

 「待って、人をここに呼ぶなんてやだ」

 「ナミは、俺のモノだって自覚しろ」

 「違う!私はシャンクスのものじゃないわ」

 

 体を何度イかせても、俺の熱を注ぎ込んでも、その心はルフィにあると言わんばかりの態度に、俺の声は自然と低くなる。もう、自力では指の1本も動かせない癖に……。

 

 「俺のモノだって、認める迄抱いてやる。俺はその為ならナミを誰かに見せる事も厭わねェ」

 「ヤダ!お願い、辞めて……!シャンクス、お願い、だから……」

 

 清掃を頼んだから、そう時間を置かずに来るだろうと分かっていて俺はナミを抱き続ける。どう転んでも天夜叉の部下の前でナミを抱くのは決めているんだよ。

 そうすれば、天夜叉にはナミが誰のモノか伝わるだろう。もし、それで伝わらなかったとしても、下手に手を出せば俺を敵に回す事だけは理解できるだろうと思っての事だ。

 清掃している奴等の視線を気にしながら抱かれるか、気にせずに済むだけかの違いだが。ナミにこの場で抱かれるのと、風呂で抱かれるのとどちらが良いかと聞けばどちらも嫌だと言われる。

 だが俺は、それを分かっていて両方して欲しいんだなと言葉で責めてやる。そうされて漸く、ナミは俺に従う他の選択肢を失った。

 風呂場であえてナミに卑猥な言葉を言わせて、悲しげに歪むその表情に兄には戻れないと自覚する。中からは鏡にしか見えないそれに手をつかせて後ろから攻めれば、鏡に映るその姿が天夜叉に仕えている男達にも見えている事になると分かっていて、見せびらかすように犯す。

 何も知らずに、ナミは俺から解放されようと必死で俺に従う。俺は自分が満足する迄、ナミを幾度となく辱めて行く。

 永遠にナミを抱いていたい。叶うならば、これで子供でも宿って、絶望して、それでも子供を見捨てられないその甘さで俺に縋り付いてくれたらと願う。

 

 「俺のモノだって、認める迄抱いてやる。俺はその為ならナミを誰かに見せる事も厭わねェ」

 「やァ!ぁ……!」

 「体だけでも、離れられなくしてやる」

 

 俺の言葉に否定的な言葉で喘ぐばかりのナミは、涙を静かに落としながらも俺を見るその瞳に翳りが生まれる事がない。深過ぎる愛情に目眩がしそうになる。

 

 「ナミ、愛している」

 

 誰が勘違いしてもおかしくない程に、ナミは俺を想ってくれる。それが理由で、苦しくなる。

 どうして、もう少し早くナミと再会できなかったのか。あの頃からずっと、ナミは俺のモノだと言うのに。

 ルフィに心を、魂を捧げちまう前にどうして……。今からではもう、取り戻せねェんだろうか。

 

 「ナミは、俺のものだ」

 

 嫌だ、辞めて、違う。俺が繰り返す愛の言葉に対して、ナミもまたこの言葉を繰り返した。

 俺のモノだと認めないって事は、辞めないでくれって事だよなと残酷にも言葉を落として、試していない体位がなくなる程に抱けばとうとうその意識が戻らなくなった。宿っちまえと思っているから、簡単に清めただけで終わらせて、ナミをベッドに寝かせる。

 その姿はまるでよく出来た人形のようで、生きていると思えなくなりそうだ。……このままじゃナミを殺しちまう。

 頭を冷やすかと風呂場に戻り、水を浴びる。汗と共に汚れも落ちたが、冷静になれそうにない自分に自嘲しつつ暫く水を浴びてから部屋に戻るとナミの姿が消えていた。

 あの体で、俺の匂いを纏った状態で何処に?

 どちらに見つかったとしても、無事に解放される事は無いだろう。……それ程、嫌だったのか。

 どれ程頑張って俺から逃げたとしても、結局自由も解放も望めはしないと言うのに。先程鷹の目が居るのは、感じ取ったのだから。

 この密閉された場所で、弱った子兎が鷹と龍と悪魔のどれにも捕まらずに逃げ果せる筈も無い。元気であっても、ナミは蜜柑の香りがするからわかりやすいってのに……!

 早く連れ戻さねェと……と服を適当に着込んでドアに手を伸ばした時、覇気を感じて遅かったかと思う。誰にも捕まらないように、弱った体で気高く応戦したのだろうと覇気を感じ取る事で理解して、掌を強く握りしめる。

 歯を食いしばれば、恐らく奥歯が砕けるだろうと言うような怒りは、自分へと向けられたものだ。俺が、そこまで追い詰めたのだ。

 満足に歩けもしないだろう体でも、ナミの気高さを失わせる事は出来ないのだと痛感させられる。今更取り戻すのは不可能に近いと理解しているが、それでも俺は、ナミを求めて廊下に飛び出した。

 反省はしてねェし、やり直せても俺はやはり同じようにナミを犯すだろう。それでも、大切なんだと想うのと同時に、これ迄は常に脳裏で笑っていたそれが泣き顔に変わっている現実に打ちのめされる。

 つまりは、分かっているのだ。ナミを本当の意味で傷付けたのは己自身である事を。

 それでも俺は、死に物狂いで探し回る。どうか、早く帰って来てくれと祈るように願いながら。

 お前は、昔からずっと、俺の女神なんだ。頼むから、帰って来てくれ。

 このまま数日ナミの姿を見る事も出来なくなるなんて事を知らず、俺は滑稽にもナミを求めて狭くも無い船内を必死で探し回っていた。意識の無い対象は覇気で探す事が困難であり、同時に俺が冷静な判断力というものをその時失っていたから。




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