※この作品はR-18です。

俺のヒロインは佐藤だけかよ!   作:御米粒

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最近ガンダムF91の主題歌にはまってます!


3話 デート

 転生して一週間が過ぎた。今のところトラブルも起きずに順調な転生生活を送れている。懸念だった三馬鹿の授業態度も櫛田が注意してくれたおかげで改善している。問題点を強いて言うならメインヒロインたちとの関係が進展していないくらいだ。

 

「中川くん、おはよう」

「おはよう、松下」

 

 佐藤以外で親交がある女子は佐藤と仲良しの松下、篠原、誰とも仲が良い櫛田くらいだ。堀北に毎日挨拶していたけど無視され続け、佐藤に嫉妬されるので声を掛けなくなってしまった。

 

「綾小路、ちょっと来いよ」

「なんだ?」

「実は今俺たち、女子の胸の大きさで賭けようってことになってんだけどさ」

 

 池が綾小路を悪の道へ誘った。

 彼らの会話に耳を傾けると、原作と全く同じ会話をしている。

 やはりこの世界でも佐倉と長谷部が巨乳ランキングの一二を争っているらしい。

 

「ここだけの話、俺実は佐倉に告白されたんだよ」

「は!? マジで!?」

 

 この世界の山内も嘘ばかりついている。

 こいつだけは原作で全く成長しなかったな。最終的に退学してるし。

 

「告白断ったのかよ?」

「当たり前だろ。俺は櫛田や長谷部クラスの女子じゃないと付き合わないんだよ。あんなブスお断りだね」

 

 池と山内の話を聞いてると彼らが女子に嫌われている理由がよくわかる。

 

「山内、また嘘ついてるのかよ」

 

 そのまま聞き流そうとしたが、佐倉をブス呼ばわりされてムカついたので突っかかってしまった。

 

「はー!? 嘘じゃねえし!」

「佐倉がお前に告白するわけないだろ」

「だから告白されたんだって!」

「じゃあ本人に訊いてみていいんだな?」

「うっ……」

 

 なぜこいつはすぐにばれるような嘘をつくんだろうか。

 

「ほら、やっぱ嘘だったんだな」

「う、うっせーな。告白に近いようなことを言われたんだよ」

「ふーん。なんて言われたんだ?」

「そ、それは……」

 

 俺に問い詰められ言いよどむ山内。

 

「二人とも、どうしたんだい?」

 

 にらみ合ってると心配そうに平田が駆け寄ってきた。

 サッカーもそうだが、平田は危険察知能力が高い。

 

「何でもない。そろそろ授業始まるから席に座ろうぜ」

「うん」

 

 これで山内から余計に嫌われただろうな。だが佐倉をブス呼ばわりしたのは許せない。

 

「どしたの?」

 

 席に戻ると松下に訊かれた。

 

「山内がくだらないことを言ってたから注意してただけ」

「くだらないことね。……三馬鹿にはあまり関わらないほうがいいと思うけど?」

「わかってる」

「それより佐藤さん知らない?」

「佐藤なら寝坊したってよ。遅刻はしないと思うけど」

「そうなんだ。さすが彼氏。なんでも知ってるね」

「彼氏じゃないから」

 

 松下は俺と佐藤が付き合っていないことを知っているはずなのに、よくからかってくる。そのせいで俺や佐藤と親しくない人たちは俺たちが付き合っていると勘違いしているのだ。

 

「そういえば平田くんと軽井沢さん付き合い始めたみたいだよ」

「そうなんだ」

「……あまり驚かないんだ?」

「軽井沢が平田狙いなのは知ってたから」

「なるほど。でも意外だよね」

「なにが?」

「平田くんって軽井沢さんみたいなのはタイプじゃないと思ってたから」

「……確かに」

 

 平田なら優等生タイプが似合うだろう。例えばみーちゃんとか。

 

「松下は彼氏作らないの?」

「今のところはね」

「そのうち作るんだ?」

「いい人がいればね。また入学して一週間だから、どういう男子がいるかわからないし」

 

 確かに一週間で男子たちを把握するのは難しいだろう。

 ただ原作で篠原も言っていたが、松下なら彼氏を作ろうと思えばすぐに作れるはずだ。それだけの容姿をしている。

 

「おはようっ」

 

 遅刻ギリギリで佐藤が教室に駆け込んできた。

 

「はぁはぁ……。間に合ったぁ……」

「ギリギリだったな」

「うん」

 

 呼吸を整えながら席に座る佐藤だが、息遣いがエロい。

 

「走ってきたから汗かいちゃった」

 

 今度はブレザーを脱いで下敷きでバタバタ顔を扇ぎだした。

 

「ジュース飲んだらどうだ?」

「うん。休み時間になったら買ってくる」

 

 ブラウスのボタンを上から3つも外してるので谷間が見えている。

 女子との経験値が少ない俺はついガン見してしまう。

 今夜のおかずも佐藤で決定のようだ。

 

 

☆☆☆

 

 

 昼休みが終わり、池たちが待ち望んだ水泳の授業がやってきた。

 男子の裸には興味がないので俺は水着に着替えてすぐにプールに向かった。

 

「……誰もいない」

 

 一番乗りだったようで、屋内プールには誰もいなかった。

 

「中川くんっ」

 

 授業が始まる前に、念入りにストレッチをしていると佐藤が声を掛けてきた。

 

「佐藤も水泳の授業参加するんだ」

「うんっ」

 

 佐藤は着やせするタイプだったようで、胸はそれなりに大きかった。

 

「四月から水泳の授業があるってすごいよね」

「そ、そうだな。温水プールのおかげだな」

「だねっ。温水プールがあるとかさすが国立って感じだよねっ」

 

 女子の水着姿は中学以来見ていなかったので直視できない。

 

「中川くんは泳ぎに自信あるの?」

「そこそこ」

 

 サッカーを始める前にスイミングスクールに通っていたので、泳ぎにはそれなりに自信はある。高円寺と綾小路には勝てないだろうけど。

 

「佐藤はどうなんだ?」

「私は普通かな」

「普通ならいいんじゃないか?」

「そうかな?」

「泳げるだけ大したもんだろ」

 

 その前に生理と嘘をつかないで授業に参加しているだけ偉いと思う。アリーナを見ると十人以上の女子が見学をしている。

 

「そう言ってもらえると嬉しいかも」

「そういえば松下と篠原は?」

「篠原さんはそろそろ来るんじゃないかな。松下さんは見学するって言ってた」

「ふぅん」

「……二人の水着を見たかったの?」

 

 不安そうに佐藤が訪ねる。

 

「一緒にいなかったから訊いただけ」

「そ、そっか……」

 

 佐藤は俺がほかの女子の名前を出すだけですぐに悲しそうな表情をしてしまう。

 もしかしたら佐藤は独占欲が強いのかもしれない。

 付き合ったら束縛されてしまうのだろうか。

 

「よーしお前ら集合しろ!」

 

 ゴリ先生が集合をかけ授業が始まった。

 授業内容は軽く泳いでから競泳という原作と同じ流れだった。

 俺の50メートルのタイムは24秒55で、予選を2位で通過した。

 決勝は高円寺の圧勝で終わった。俺は大差をつけられての2位。3位は平田だった。ちなみに須藤はお腹を下してレース直前にリタイアしていた。

 

「……あれ?」

 

 授業が終わり更衣室で制服に着替えてる途中で、俺はとんでもないことに気づいてしまった。

 

(堀北と櫛田の水着姿を拝むのを忘れてた!)

 

 佐藤に絡まれていたのですっかり二人のことを忘れてしまっていた。

 二人ともいい身体をしているので、水着姿を楽しみにしていたのに……。

 

「どうしたんだい?」

 

 隣で着替え中の平田が問う。

 

「いや、部活の前に水泳の授業は疲れるなと思って」

「そうだね。そういえば今日も紅白戦するみたいだよ」

「今日も?」

「うん。今週末にリーグ戦があるのは知ってるよね?」

「ああ」

「そのスタメンを紅白戦で決めるみたいだよ」

「そっか」

 

 俺ならスタメン間違いないだろう。前回の紅白戦で結果を残してるし、部長からの信頼も厚い。

 同じ一年でスタメンの可能性があるのはボランチの平田、サイドハーフの柴田の二人だ。

 

「僕も結果を残してスタメンに選ばれるように頑張るよ」

「ああ。一年一人だと心細いから頼んだぞ」

「うん。そういえば佐藤さんってマネージャーになったりするのかい?」

「ならないと思うけど」

「そっか。部長さんがマネージャー欲しがってたから」

「それは知ってるけど、なんで佐藤なんだ?」

 

 佐藤のスペックじゃマネージャーは務まらないだろう。

 

「恐らく毎日サッカー部の練習が終わるのを待ってるからじゃないかな」

「……なるほど」

 

 佐藤は俺と一緒に帰るために、毎日サッカー部の練習が終わるまで俺を待っている。

 一昨日からはレモンのはちみつ漬けを差し入れてくれるようになった。

 おかげで俺と佐藤が付き合ってる説が先輩たちにも広まってしまった。

 

「二人とも仲が良いよね」

「それは否定できない」

 

 この学校で誰と一番多く過ごしているかと訊かれれば、佐藤と答えるだろう。

 来週のオフも一緒にケヤキモールに行く約束をしている。

 生まれて初めて女子と二人で出かけるので今からドキドキである。

 

 

☆☆☆

 

 

 サッカー部のオフである月曜日の放課後がやってきた。

 俺は人生で初めて、異性とデートをする。

 佐藤も誰とも付き合ったことがないようだが、デートも初めてなのだろうか。

 

(放課後だから服に気を遣わなくて済んだのが幸いだったな)

 

 転生初日。寮に帰ると、箪笥に俺が生前着用していた私服が収納されていた。

 どれも地味な色合いの服ばかりで、とてもお洒落とは言えない服ばかりだ。

 そもそも休日はサッカーの試合と練習があったので私服を着る機会が少なかった。

 

(ヒロインたちを攻略するためにも服のセンスも上げなければ)

 

 とりあえず今回は佐藤を利用してデートの経験値をあげよう。

 佐藤には申し訳ないが、ヒロインたちとのデートに備えて練習させてもらう。

 

「中川くん、いこっ」

「ああ」

 

 SHRが終わると佐藤はすぐに俺の腕を引いて廊下に連れ出した。

 この一週間でわかったことだが、経験がないわりに佐藤はボディタッチが多い。

 歩くときはべったり並ぶし、時折胸を腕に押し付けてきたりする。

 連絡もマメだ。毎朝おはようのメッセージが来るし、数十分だが毎晩電話もしている。

 俺は経験がないからわからないけど、これはもう恋人同士の距離じゃないだろうか。

 

「ケヤキモール行くのはカラオケ行った以来?」

「……そうだな」

 

 下から顔を覗き込むように佐藤が訊いてくる。

 おかげでブラウスのボタンの隙間からブラと谷間が覗けてしまう。

 

(今日はピンクか)

 

 息子が反応しそうになるが頑張って抑える。

 

「佐藤は何か買いたいものあるのか?」

「これといったものはないんだけど、いろいろ見て回りたいと思ってて。……いいかな?」

「いいよ。買い物ってそんなもんだろ」

「うんっ」

 

 佐藤のおかげで女子とこうしてスムーズに会話ができるようになった。

 転生前の俺ならぎこちない会話になっていたことだろう。

 

「中川くんは買いたいものある?」

「俺も特にないな、来月何ポイント入るかわからないから、なるべく節約したい」

「だよね。須藤くんたちのせいで何ポイント減ってるかわからないし」

「そうなんだよな」

 

 須藤たちが授業を真面目に受けなかった期間は三日間。

 Cクラスよりクラスポイントは多いと計算してるが、原作でも減点の内訳は描写されていなかったので、予想ができない。

 

「もしポイントが結構残ってたら服でも買おうかな」

「実家から持ってきたんじゃないのか?」

「持ってきたけど新作も欲しいから」

「……なるほど」

 

 洋服でも新作とかあるのか。スパイクと漫画くらいしか気にしたことがないや。

 

「ここ入ってもいい?」

「もちろん」

 

 ケヤキモールに到着すると佐藤はすぐに雑貨屋に入った。

 

「ここ有名店なんだよね」

「そうなんだ」

 

 佐藤曰く全国展開しているチェーン店らしい。

 確かにアクセサリーはもちろん、インテリア、衣料、玩具など豊富な商品が陳列されている。

 

「あ、これ可愛いー!」

 

 佐藤はいろんなアクセサリーを手に取り、うっとり眺めている。

 

「800ポイントか。買っちゃおうかなぁ……」

 

 だいぶ気に入ったようで購入するか迷っている。

 原作の佐藤なら迷わず購入しただろうが、俺の助言もあり、この世界の佐藤は無駄遣いはしないようにしている。

 

「中川くんはどう思う?」

「800ポイントなら買っちゃえば?」

「……でも似合うかな?」

「佐藤なら何でも似合うと思うけど」

「そ、そうかなっ!?」

「うん」

 

 制服をお洒落に着崩す佐藤なら間違いなく似合うだろう。

 

「そ、それじゃ買おうかなぁ」

「残り少ないみたいだし買ったほうがいいと思うぞ」

「うん。それじゃ会計してくるね」

 

 佐藤は褒められて照れたのか、頬を紅潮させながらレジに向かった。

 

「……あれ? もしかしてここは男の俺が買ってやるべきだったのか?」

 

 でも俺と佐藤は恋人じゃない。付き合ってもいない異性にプレゼントするのはどうなんだろう。

 

 

☆☆☆

 

 

「なあそこの二人、ちょっといいか?」

 

 雑貨屋を後にして次に入るお店を物色してると背後から声をかけられた。

 

「おまえ中川悠太、だよな?」

「そうですけど」

 

 誰かと思って振り返ったら南雲先輩だった。

 恐らく原作12、3巻あたりで綾小路に敗北するであろう未来の生徒会長さんだ。

 そんな南雲先輩の隣には朝比奈なずなの姿もあった。

 

「中川くんの知り合い?」

 

 佐藤が不安なそうな表情で訊いてくる。

 

「生徒会副会長の南雲先輩だよ。ですよね?」

「ほう。俺のことを知ってたのか」

「そりゃ副会長さんですし。サッカー部の先輩からも聞いてますよ」

 

 南雲先輩は元サッカー部だ。生徒会と部活を掛け持ちすることは許されていないため、生徒会入りしたと同時に退部したと聞いている。

 ただ時折サッカー部の練習に参加しており、部長から復帰するよう勧誘されているようだ。

 

「一年よね? 雅と同中とか?」

「違う。話すのは今回が初めてだ」

 

 朝比奈先輩も俺たちに視線を向けてくる。

 思ったより薄化粧で美人さんだ。

 

「安藤から聞いたぞ。公式デビュー戦で2点決めたらしいな」

 

 俺は高校の公式デビュー戦となったリーグ戦で2度ゴールネットを揺らし、チームを勝利に導いた。ちなみに安藤とは部長の名前である。

 

「相手が弱かったので」

「さすがジュニアユース出身だな」

「へぇ。この子、ジュニアユース出身なんだ。どこのチーム?」

「マリ〇スです」

「それじゃ神奈川出身?」

「はい」

「それじゃ私と一緒じゃん」

 

 朝比奈なずなが神奈川県出身であることが判明した。

 やはり首都圏出身の生徒が多いようだ。

 

「来週あたり練習に参加させてもらうから、その際は俺を満足させてくれよ?」

 

 南雲先輩はサッカー部で一番の実力者だったらしい。

 期待のルーキーが入部したので絡んできたのだろう。

 それより上から目線がムカつくな。

 

「もちろん、と言いたいところですけど……先輩に俺の相手が務まりますかね?」

 

 上から目線の金髪野郎に冷笑を浴びせて挑発する。

 

「あはは、後輩に喧嘩売られてるじゃんっ」

 

 朝比奈先輩は腹を抱えて笑い出した。

 反対に佐藤は心配そうに俺を見つめている。

 

「言ってくれるな。楽しみにしてろよ」

 

 南雲先輩はそう言い残し去っていった。

 

「ふぅ……。怖かったぁ……」

「大丈夫か?」

「大丈夫じゃないよっ! 上級生を挑発してはらはらしたんだからっ!」

「……ごめん」

 

 佐藤は意外とビビりなので上級生に絡まれてさぞ恐怖を感じただろう。

 

(涙目の佐藤も可愛いな)

 

 それから俺たちはゲーセンでプリクラを撮ったり、ファミレスで夕食を済ませたり、ウィンドウショッピングをしたりしてデートを満喫した。

 プリクラでは肘が佐藤の胸にずっと当たっていて感触が生々しかった。

 ファミレスでは柴田と遭遇し、俺と佐藤の関係をからかわれた。

 家電量販店では一之瀬を見かけ、眺めていたら嫉妬した佐藤に手の甲をつねられた。

 

「それじゃまたね」

「ああ。また明日」

 

 学生寮のエレベーターが俺の部屋がある4階に到達し佐藤と別れた。

 告白されると思ったが、そんなことはなかった。

 佐藤に告白されても付き合うつもりはないと思っていたが、今日のデートで、ヒロインたちと付き合う前に佐藤と付き合うのも悪くないと思い始めた。




そろそろ佐藤が告白すると思います!
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