朝まで男女の営みをして、一緒にお風呂を入り。
理子は自分の自由を手に入れる為に去年同じクラスだった遠山キンジの自転車に爆弾を付ける為に早朝に出て行った。俺としてはヴラドくらい俺が倒すから一緒に居てほしいところなんだけど、理子にとってはそういうわけにはいかないらしい。
いまは始業式の真っ最中。
校長の『見える透明人間』と言われたよくわからない人物。
武偵高と言っても学校、生徒全員が校長先生の話を真面目に聞いているわけはない。ナイフや銃の手入れをしている奴、スマホを触っている奴、居眠りしている奴、そもそも参加すらしてない奴。色んな奴が居る。
ボー、としているとポケットに入れたスマホを振動。
メールが教務科から届いていた。開くと生徒が”武偵殺し”という犯罪者の模倣犯に襲われたという被害者のキンジの顔がボヤけた写真が添付されていた。
理子の計画の第一段階は成功したらしい。
メールを見ている間に始業式は終わり、既に各クラスへの移動が始まっていた。
んじゃ、俺も移動するか。
2年A組。それが俺が一年間学生生活を送るクラスになる。
「ほのの~ん!」
「うお!」
背中に抱き着いてきた理子。
制服越しに潰れて柔らかい胸の感触を感じる。
「飛びついてくるなよ理子」
ズルズル、理子を引きずろ形で教室に入ると数人ほど顔見知りがもう教室には居た。
「相変わらず、二人は仲がいいね」
「ほんとだな、まあ仄は顔があれだから女子の二人組にしか見えないけどな」
「良いんだよ、それで俺にとっても使い勝手のいい武器なんだから、なんだったら声帯変化を使って白雪の声で耳元で声を出しやろうか?」
「やめろ!お前の声帯変化は洒落にならねえ!」
去年の修学旅行でクラスメイトに二万を貰い。寝ていた武藤の耳元で武藤の好意を寄せる白雪の声で朝をしたら面白いリアクションをした。
そんな経緯あってか、偶に有名人やら好きな人の声で音声を吹き込んで欲しい、という年頃ならではの仕事や舞い込んでくるようになった。
「確かに。加藤くんの声帯変化は携帯なんかが発達した今だと相当な武器になるもんね」
「簡単に言ってくれるよ、結構、疲れるんだぜ声帯変化さ。お蔭でのど飴が友達だよ全く」
「それでもだよ、強襲科のメンバーをその能力に何度も助けられている」
不知火の言う通り、俺は二度、三度聞いた声ならすぐに真似が出来る。立て籠もりやテロリストの下っ端を確保、他のメンバーに忘れた振りをして作戦を聞き出したり、誤情報をワザと流して撹乱することが何度かあった。
強襲科は武偵高でも死亡率が少なからずある専門学科。
情報、は時として銃やナイフよりも強い武器となる。それを俺が現場で手に入れて味方に伝える、この仕事が出来るのは武偵高だけに留まらず社会の枠で見ても多くはいない。
「はぁ~い!皆さん席についてください」
「おぉ!ゆとり先生だ今年は当たりだよほののん」
「蘭豹だと注意の代わりに銃弾が飛んでくるからな」
思い出しただけでも身震いする。
M500の弾丸が顔の数ミリ横を通って行った時は。
生徒全員が席に座るのを確認するとゆとり先生は朝礼を始めた。
「今日は転校生さんが居ます、入ってきていいですよ」
扉を開けて入ってきたのはピンクのツインテールの小学生くらいの身長の女の子。
「神崎・H・アリアちゃんです」
何度も写真で見てきた。
彼女は、秘密結社『イ・ウー』のボス
理子にとっては血筋として、彼女の計画にしても重要で。俺にとっても少これからの行動にとても関係ある人物でもある。
そして関係者がもう一人。
「すいません、用事で遅れました」
後ろの扉を開けて入ってきたキンジは後ろの空いている席に座ると溜息して、前に立っている問題児には気づいていないらしい。
「先生、あたし。アイツの隣がいい」
ゆとり先生がそれを聞いた、最近の子は進んでいるのね、と笑い、武藤が面白がって自分の座っていた席を神崎に譲った。
「キンジ、これ返すわ」
神崎がキンジに投げ渡しのはベルト。
普通ならだれも触れないず朝礼は終了となるのだが、きっと理子は面白がって動く。
「分かった。理子、分かっちゃった!」
ほらな。
「アリアはキーくんのベルトを持っていた。つまり、キーくんがベルトを外す何かをしていたってことだよ!」
お調子者の理子が全員に聞こえる声で全く当たっていない推理を披露。当たっていないが、そんな事は関係ない。重要なことは面白いかどうかだ、年頃の男女が色恋の話を聞けば盛り上がり、種火は勝手に燃え上がる。
「きゃー不潔!」
「遠山くんには加藤くんが居るのに!」
「また遠山かよ!」
誰もが好き勝手に喋っていると、プルプル、と神崎は震え太ももについていたホルスターから銀と黒のガバメント抜き、引き金を引いた。
バキュン!バキュン!
壁に二つの銃痕を生み。
床には空薬莢が弾む。
「こ、恋人なんてくだらない!……覚えておきなさい!次そんな事を言った奴は……風穴開けてやるんだから!」
銃声と神崎の叫び声によってさっきまで騒がしかった教室は静まり返り。
こうして神崎は盛大なボッチルートを独走することとなった。
@ @ @
武偵高は午前中に一般科目の授業。午後は専門学科の授業が行われる。
専門学科は生徒たちが選んだ学科の訓練をするも、一般から受けた
俺の専門学科は諜報・工作・破壊活動が主な仕事の
CVRに関しては諜報科でも手に負えないような相手に投入されることもあり、学科の中で一番の危険率が高く、諜報科とCVR密接な関係にある。その二つを同時専攻し学ぶ俺は何かとヤバメな任務が教務科から名指しで送られてくることも多々あり、そんな時に必要な技術の一つが”近接格闘”の技術。
暗殺者は背後からの即死の一撃がメインだが、必ず近接格闘の技術を覚えておかなければ最後の最後に失敗する可能性が1%出てくる。俺も同じ理由で近接格闘を学ぶ為に武偵高でも一番野蛮と言われる明日なき学科こと
強襲科の訓練を行う建物に入ると鼻につく火薬の匂い。
この匂い諜報科やCVRでは縁遠い匂いだ。諜報科は匂いを痕跡を消すために匂いを消す、CVRは他人の気を引くために香水を使う。
「おう、加藤やないか」
「どうも……珍しく酒飲んでないんですね」
強襲科教諭の蘭豹が珍しく酒盛りせずにタンクトップにズボン姿でベンチに座っていた。
「ああ、一年に筋のええ奴がおってな、女だが背が高い。一年であれだけ出来れば上出来や……ちょどええ加藤。お前そいつと組手しろ!」
「は!?なんでそんな強いと言ってくる奴と組手するですか!いやですよ」
「ええから来い!」
首根っこを掴まれ、ズルズルと一年生が訓練している場所へと引きずられていく。
「おい、火野!」
「は、はい!……誰を引きずってるんですか?」
蘭豹が訓練所に立っている金髪の短いポニーテールの背の高い少女に声を掛けた。
「これか、これはな加藤や」
ほら、誰?って顔してるじゃん。
「どうも、加藤仄です。諜報科とCVRで決して強襲科ではないです!」
「えっと男?え、でも女の見た目だし、制服は男用?」
「その辺は特に気にしなくていいよ、んで何すればいいわけ」
「加藤、火野と組手しろ。火野、加藤の戦い方は強襲科には少ないえぇ経験になるやろ」
そんなわけで俺は火野という一年生と組手することになしました