※この作品はR-18です。

表裏の忍者   作:ノムリ

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バスジャック

 理子はアリアとキンジをくっつける為にバスジャックを起こし、夾竹桃は獲物の間宮あかりに接触を図る。俺は理子の計画の関係者と疑わないようにあえてアリアからのバスジャックの解決を手伝ってという命令を受けた。

「受けるけど依頼元はお前ってことでいいのか?」

『ええ、構わないわ。報酬は弾む』

「了解、女子寮の屋上な」

 通話を切ると後ろには夜の営みの後にお風呂に入って部屋着として着用していたネグリジェ姿のままの理子が立っていた。

「そういうわけだ、行ってくる」

「…うん、気を付けてね。はい、行ってきますのキス」

 目を閉じて、唇を突き出してくる理子。腰に手を添えて、離れないようしてから強烈なものを。

「んっ、んくぅ、ちゅる、ちゅく、じゅる、ほのぅ、か、んく」

 珍しいな理子が俺をあだ名じゃなくて名前で呼ぶなんて、舌もいつもなら俺が絡ませないと伸ばしてこないのに今回は自分からしてくる。

 互いに唇との間から唾液が流れて首に線が出来る。

「ぷは、行ってきますのキスってもっと軽いものじゃないのか?」

「……だって危険だって分かってるところに好きな人が行くんだもん、心配くらいするよ」

 俺が行くのは理子が仕掛けたバスジャックとお手製の遠隔操作銃器の群れの中に飛び込もうとしている。

 勿論、簡単には俺が死ぬことはないと分かっているだろう。それでも心配しないっていうのは無理だろう。

「お前の計画が上手くいったら好きな所に連れてってやるから頑張れよ」

 最後に軽いキスをして部屋を出た。

 

 

@ @ @

 

 

「連絡が遅いわよ!」

「無理言うなよ、これでも急いで来たんだぞ!」

 言われた女子寮の屋上に来るとヘリが一台。

 アリアとキンジ、狙撃科の麒麟児レキがドラグノフの抱えて待機している。

「最後の一人ってお前か仄」

 キンジが雨で垂れた前髪をかき上げる。

「雨の中でバスジャックとは武偵殺しも性格が悪いな」

 髪を伝って垂れてくる雨粒を手で払い、顔にひっついた髪をかき上げてどかす。

「いいから黙ってヘリに乗りなさい!行くわよ!」

 アリアに急かされたヘリに乗り込む。あっという間にヘリが地上から上空に飛び立ち、雨という悪天候のせいで視界は最悪、俺もキンジ、アリアも目を細めてバスジャックされた武偵高の生徒が乗るバスを探していると一番最初に見つけたのは案の定レキだ、

「バスを見つけました」

「レキ、目、良すぎるだろ。一体いくつだよ」

「両目とも6.0です」

「俺もいい方だと思ってたけど狙撃科はそれくらいないとダメなのかね」

 レキの指示通りヘリが移動して、俺たちにもバスが視認出来る距離にまでやってきた。

 問題はどうやってバスに移るかだ。レキは狙撃だからこのままでいいけど、キンジとアリアは行くだろう。俺はまあ、アリアの指示次第か。

「作戦は?」

 隣にいるアリアに目を向けて聞くと早口で答えた

「バスに仕掛けられた爆弾を見つけて、外すだけよ」

 レキは無反応だったが、隣のキンジが大丈夫かという顔をしている。正直、俺もおざなりな作戦だと思うが怒らせると面倒なので何も言わない。

「なら車内をまとめるのはキンジだな」

「なんで俺なんだ!?」

「お前は有名人だからな血の気の多い強襲科の奴らを黙らせるならお前の方がいいだろ」

「そうね、あたしと仄は外から爆弾を探すわ、キンジは車内が無事かどうか確認しなさい。行くわよ!」

 カウントすらせずにヘリから走行するバスに向かって飛び降りて行ったアリア。それに続いてキンジも飛び降りると車体の上の雨粒にでも滑ったのか体勢を崩したけど持ち直した。通常状態のアイツは良くてもランクB程度、下手するとやらかすな。

「そんじゃレキ、援護はよろしく」

「はい、分かりました」

 コクリと頷き、俺もヘリから飛び降りる。

 顔に雨粒が当たり視界は悪くなるけど、この程度の高さから命綱無しで飛び降りるのは慣れっこだ。ヘリからジャンプして道路を走行するバス目掛けて飛ぼ降りる。雨が視界を遮りバスが見にくいけど、白いバスは比較的見やすくなっている。

 ガン、と無事に車体に着地して、出来る限り爆弾を探してみるがパッ見では見つからない。

 アリアは走行する車体の側面を伝って車体の下を見ているらしく、車体に一部にロープが繋がっている。俺は何処から来るか分からない武偵殺しお得意の玩具を警戒していると、キンジが車内から窓枠を出口として這い上がってきた。

「おう、キンジどうした?」

「不知火が電波を送受信する装置があるからそれを外せって」

「装置……なら車体の横か裏だな。上には見た感じなかったから。俺はこのまま警戒するからお前が探せ。あと頭が低くしておけよ、武偵殺しの玩具はセンサーが積んである」

「分かった」

 バスから落ちないように体を屈めながら装置を探していく。

 俺は変わらずに、武偵殺しの玩具を警戒っとその前に。

「不知火!」

「……加藤くん、どうしたんだい…」

 負傷しているのか苦しそうに俺を見上げてくる不知火。

「これ、包帯と即効性の塗薬な。後で使えって言おうと思ったけど、いま必要みたいだな」

 割れた窓の隙間から車内に包帯とボトルに入った塗薬を投げ渡す。俺が一人で仕事をするときに持っていくものだから量は少ないけどないよりはマシだろ。

 車体の上に戻ると言っておいたのに、キンジが頭を上げて装置の取り外しにかかっていた。

 アイツ、撃たれて死にたいのか?

 キンジに声を掛けようとするとどうも下にいるアリアと言い合いをしているらしく、叫びながら会話をしている。

 二人の叫ぶ声を聞き流していると、雨粒と風の音に混じってエンジン音が聞こえてくる。前と上を確認する限りでは何も見当たらなず、バスの後方を見ると白いスポーツカーが凄まじい勢いで向かってきている。

「おい!キンジ、後ろから武偵殺しの玩具が来たぞ、下がれ!」

 叫びキンジに呼びかけるがアリアと怒鳴り合っているキンジには聞こえておらず、アリアもキンジとの会話に夢中で聞こえていない。

 アイツら状況を考えろよ!声を掛けるより動いた方が良いなこりゃ。

 ベルトにつけた専用ケースから素早く金属製の薄い輪を取り出す。

 外見こそ古代インドの投擲武器として使われていたチャクラに似ているが、その正体は近代科学によって合理化された刃が収納可能な手裏剣。

 投擲の準備の為に指に手裏剣を挟むとセンサーが体温に反応して、四方に収納された刃が飛び出した。慣れて動きで腕を動かして手裏剣を投げると、叫ぶキンジの隣を抜けて向かってくるスポーツカーに向かって飛んでいく。

 望んだ通り手裏剣はスポーツカーに刺さり内臓された小型の爆弾によって爆破されたが、爆発が起こる前に座席に設置されていた銃器が起動し、二発弾丸を発砲してしまった。 

 発砲されて事に気づいたキンジはしゃがむなりするのかと思っていれば、固まって動かない。

 アイツ、どんなに鈍ってんだよ。此処で死なれちゃ理子の作戦が台無しだ。

手裏剣を投げて銃弾を弾こうかと思った時、固まっているキンジに重なるように飛びつきキンジを庇うったアリア。一発目は外れ、二発目は運悪くアリアの額を掠めていった。

「おい!アリア。しっかりしろ、アリア!」

 自分を庇って負傷したアリアに声を掛けるキンジ。

 そうしているうちにヘリに乗ったレキが車体裏の爆弾を狙撃によって撃つことで外し、レインボーブリッジの下、海へと落下。海中で爆破が起こると高い水柱が上がった。

 協調性ゼロなアホ二人の片方が負傷して救出チームの仕事は終わった。

 きっと、理子のことだ思惑通りに作戦が進んだことを喜んでるだろうな。

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