オジサマ専科 恋は突然に スパコミで本出します、抜粋 作:木桜 春雨
伏線としてSave My Girl〜私のボディーガードのオジサマも出したいところですが
ちょっと息切れが
運転席には松谷、助手席には美濃部、後部席には古川斉藤、そして犬と女性が乗り込んだ。
ところが、走り出してからしばらくして、松谷がちらりと後ろを振り返った。
「おかしいなあ、あの車、さっきからずっとつけてくるんだが、気のせいじゃないし」
車内がしんとなった。
「ま、松谷、さん」
女が後部席の窓からその車を観ると運転席に向かって声をかけた。
「車を停めてください」
「知り合いです」」
振り返った松谷の言葉が途切れたのは女性の顔、その表情のせいだった。
「降りてくるぞ」
斉藤の声に古川、美濃部の視線が向けられた。
車から降りて近づいてきた男は外国人だった。
「ここで、オワリダ」
「アルのことをお願いします」
自分に向けられた視線に美濃部は言葉が出てこなかった、女を、それから近づいてくる男を見て息を呑んだ、男が何かを手に持っている、まるで自分たちに見せびらかすようにだ。それが近づくにつれてわかる、拳銃だ。
「ばーさんは天国だ、助けは来ない、頭をぶち抜くのを見せテヤレナイ、残念ダ、さあ、降リて、俺様の銃で地獄へ行クンダ」
車から降りた女の腕を掴み、男は自分を見ている男達に向かって、にやりと笑った。
「日本の警察ハ馬鹿ダ、泣かないのか、命乞イはシナイノカ」
「あたしを殺して、あなたは無事なの」
「ウルサイッ、あの犬モ、殺してヤル」
あの年寄りは自分の仕事を邪魔したのだ、密輸なんて誰だってやっている、薬の売人なんて珍しくもない、それで大金が手に入るのだ。
しかも、最近、裏社会に出てきた新種のあの薬はコカインやヘロインなどとは比べものにならないくらいだ。
厳重に匂いもしないように梱包し、擬装用のトランクだけではなく、手持ちの荷物にもばれないように隠し持って搭乗したのだ、空港には警官や犬が大勢いたが、難なく誤魔化せた、ところが、飛行機に搭乗寸前になって、どうして、何故、もしかして、仲間の誰かが自分を売ったのか。
犬とばーさんだよ、でもな、ただの犬なんだ。
逃げ回る自分に仲間の一人が笑いながら、ドジを踏んだのは、おまえだよと笑った。
「ばーさんが、おまえが態度がおかしいってな」
年寄りと犬が自分の態度がおかしいだと、それで警察が動いたって、何だ、それは。
逃げ回りながら、親しくしていた仲間と連絡を取って調べていくうちに、年寄りは大金持ちの老婦人という事がわかった、犬はシェルターから引き取られたらしい。
そんな馬鹿な、ただの年寄りと犬が自分の仕事を未来を台無しにしたというのか。
復讐だ、この仕事は失敗すれば命はない。
「バーサンを恨メ」
男は車から降りた女の頭にねらいをつけた、この女を殺して犬もだて、その後は急いで、この場から、逃げ道は空と陸、二つ用意してある。
大丈夫だ、ここで終われば先はない、そう思いながら、まるでショーが始まるんだと車の中からこちらを見ている男達に見せつけるようにショーを披露しようとした。
だが、女は倒れなかった、代わりに自分の銃が弾き飛ばされたのだ。
思考がわずかに停止したが、すぐ我に返った、その瞬間、右足に激痛が、いや、それだけではない。
地面に跪く様に倒れると、近づいてくる車の排気音ががした。
車から降りて来たのは眼鏡をかけた男性だ。
地面に倒れそうになる体を無理矢理起こした男は相手を見ると顔色を変えた、何故というかすれた呟きに相手は冷めた視線で、何がてすと尋ねてきた。
「なんで、ここは日本ダ」
「だからなんです、貴方は自分の組織のボスから聞いてていなかったんですか、手を出すなと」
「こっちは仕事を」
「仕事、ですか、ルールというモノがあるんですよ、どんな世界にもね」
そのとき、車のドアが開き、もう一人男性が降りて来た、白いスーツを着た初老の男性だ。
「た、但馬さん、どうして、日本に」
殺されそうになった瞬間、死ぬと思ったのだろう、少し前まで蒼白だった顔に血の気が戻り赤くなる。
「怪我をしているのかね、治ったら苺パフェを食べに行かないか、何、分かっているよ、彼が教えてくれるからね」
そういって但馬と呼ばれた男は後部席から自分を見てている犬に向かって笑いかけた。
「彼にはチップが埋め込まれている、マダムは言わなかったのかね」
えぇっと驚く女に但馬は笑いながら、女の頬に軽くキスをした。