シャワーを浴びて服を着替えてリリアナと共にローマの古い町並みを腕を組んでデートしていたまでは良かった。
ヴォオオオオオオオオ!という咆哮が辺りに轟くと町のど真ん中に出現したのは巨大な猪。
「神獣!なぜ」
横でリリアナは神獣が突如出現した事に驚いているが俺は違う。まつろわぬ神に比べれば神獣を倒すのはお遊戯みたいなものだ。
神獣を片付けるために権能を発動するべく聖句を唱えようとした時、猪の目の前に金髪の少女が立った。
「リリアナ、あの金髪ってお前の友達のエリカじゃないか」
彼女はリリアナが生まれて時から所属していた組織”青銅黒十字”とライバル関係にある赤銅黒十字に所属するエリカ・ブランデッリ。
どちらの組織もローマに拠点を置く。俺たちと同じく偶然、この場にいたのだろう。
「確かにエリカです、神獣を止めるつもりなのでしょう」
手を出すのも悪くないけど折角だ『
「リリアナ、俺はエリカの実力が見たいから今回は手を出さない。お前は避難が遅れている市民を魔術を使って避難させろ。今朝たっぷりと魔力はストックしただろ」
「///…はい!アルテミスよ、我に飛翔の特権を授けた!」
魔術を使って建物を飛び越えていったリリアナの後ろ姿を見送り。いまも神獣の猪を細いレイピア一本で抑え込んでいるエリカ。
リリアナは技術をメインとし、エリカは力がメイン。それでも神獣を倒すには力不足だな。
カンピオーネにとって神獣を倒すのは楽なことでも、魔女やただの魔術師では神獣を倒すのは相当な実力と準備があってやっと倒せるレベルだ。いきなり出現した神獣を倒せないことを誰も攻めることはしないが側に置くとなればせめて神獣に一太刀入れられるくらいの実力は欲しい。
「それであの猪はお前の眷属か」
「いや、アレは我の一部、我、自身だ」
後ろにいつの間にか立っていた古めかしい服を身に纏った少年。
いや、そもそも人ですらないか。
カンピオーネの直感が叫んでいる、目の前にいるのは神。まつろわぬ神であると。
「見た感じ出したっていよりは欠けたって感じだな」
「おうさ、敗北を求めて古き王たちと戦った時に反撃を食らってな。我の一部は散らばりその一つがアレだ」
猪と関連する神ね。
日本だと猪は神と結びつかないイメージだが、北欧などの地域では猪は神話に結構登場する。寒い地域だからこそ毛皮を持つ動物が多く、それらに神話を見出すのは必然。
「そんな中で神殺しに巡り合うとは」
「悪いけど俺は戦わないぞ、いまのアンタと戦っても権能も獲得できる確率は低そうだ」
権能はカンピオーネにとって手札であり切り札。
まつろわぬ神を殺したからと言って必ずしも手に入るわけではない、なにより欠けた状態のこの神を殺しても権能が手に入る確率はゼロだ。それに面白くない。
「ならお主と戦うのは後に取っておくとしよう」
そう言って少年はその身を風に変えて猪の元へ向かっていった。
風と猪に関する神ね。ちょっと調べておかないとな。
神獣の猪は出現した竜巻に巻き込まれ姿を消し。
エリカと日本人旅行客が電車の駅のある方向に歩いていくのを見送りリリアナの居る場所へと向かった。
「主よ、やはりあの神獣は……」
「神の眷属じゃない、一部だ。猪と風に関する神について調べておく必要がある。急ぎでな。あいつは完全になれば戦うことになる」
「……エリカたちの動向も心配です、カレンに連絡すればすぐにでも貴方の為に部下は動きます」
「仕方ないけど任せるか、こっちはエリカたちの後でも追うとしよう」
魔術で移動するも悪くないけど、折角だデートの続きと行こうか。
「リリアナ、透明にある術があったろあれをお前と俺に掛けてくれ」
「えっと、何をなさるおつもりで?」
「車で行くのも悪くないけど、折角だデートの続きとして空から行こう。飛んでエリカたちの後を追うんだよ」
わかりました、と言ってリリアナが俺の頬に手を添えて目を閉じ、ゆっくりと顔を近づける。
人からカンピオーネになった時に魔術、呪いに対する強力な耐性が付く。つまりカンピオーネに魔術を掛けるには体内、キスや飲食に混ぜることでしか作用しない。
「術がかかりましたよ」
「それじゃ行くか、あと飛んでる最中にカレンに連絡頼む」
一番最初に倒した”黙示録の獣”から手に入れた権能『混沌獣《ケイオス・ビースト》』。効果は触れた神獣を含めた獣をデータとして記録、自分の体を媒体に再現する力。所謂、キメラを生み出したりするものだ。
最近だと応用も効くようになって便利だ。
背中から黒と赤の混じった鳥の翼を生やす。
「さて、行くか」
「きゃ!」
リリアナをお姫様抱っこして翼を動し大空へと飛び上がった。
首に手を回して頬にリリアナの頭がくっついている。いつもそば居るのにやっぱりくっつかれる緊張する。
「主!飛ぶなら飛ぶと言ってください!」
「いつも飛んでるだろお前」
「それは自分のタイミングでです!」
「分かったよ、今度から言うよ。それよりカレンに連絡を頼む、エリカたち向かう先と神について」
@ @ @
サルデーニャの魔女ルクレチア・ゾラ。
イタリアでは有名な魔女の一人だ。そんな場所に日本人の観光客が用事があるとは思えない。
「そんじゃ、失礼します」
「そんな勝手に!」
後ろでツッコミを入れてくるリリアナを無視してズカズカ中を進んでいく。
「アンタがルクレチア・ゾラか。てっきりもっと年寄りかと思った」
扉を開けると中ではソファに座ったままのルクレチアとエリカその隣には観光客と思っていたがまさかの知り合いだとは。
「え、涼!?」
「よう、護堂」
「なんでお前がここに居るんだよ!」
流石に幼馴染とイタリアで再開するとは思っていなかったみたいだな。
「護堂、この方はカンピオーネよ」
「カンピオーネ?」
「カンピオーネは神殺しだ。エリカにまつろわぬ神の説明を受けただろ、そのまつろわぬ神を殺した人間をカンピオーネとか魔王って呼ぶんだよ。俺その七人目」
「リリィ、王の手綱くらいしっかりと持ちなさいよ」
「五月蠅いぞエリカ。王に意見など出来るわけないだろ。それに主はもうまつろわぬ神に会っている」
ルクレチアは面白いと俺たちの会話を眺め。
リリアナとエリカがいつもの口喧嘩。
俺は護堂の持っている石板を渡してもらった。
これにも猪と同様に神獣の力が封印されているわけだ。
「護堂。この石板は俺がもらうぞ。構わないなルクレチア。嫌だと言っても力尽くで奪うがな、入っている神獣の種類というか神について知っているなら教えてもらおうか」
「やはりお主もカンピオーネか。ああ知っている、石板に封印されているのは白馬。神の名は”ウルスラグナ”だ」
不適に笑っているルクレチア。
カンピオーネを相手にここまで言えるなんて肝が据わっているというか、なんというか。
「護堂お前は戦いが終わるまで此処で世話になれ。エリカ、王として命令する、護堂が日本に帰るまではお前が護衛しろ。俺が戦っている最中はリリアナも此処に置いていくから逃げる程度なら問題ないだろ」
御意、と堅苦しい返しをしてくるがまあいいや。
「待てどういうことだ!」
「俺はウルスラグナと戦う。必要だったらウルスラグナが戦う予定だったまつろわぬ神とも戦うから運が悪いと連戦になる。その状態で全員を守る余裕はないからな」
「戦うって神とか!」
「まつろわぬ神とな。別に初めてってわけじゃない、今までもやってきたし今回生き残ればずっと同じことをして生きていく」
カンピオーネになった時点で普通の人生なんて諦めた。
なによりカンピオーネなる人間は本能的に戦いを求め、楽しむ。
「先に言っておくと俺はカンピオーネになったことを後悔してないぞ。カンピオーネにならなかったらリリアナと出会いもしなかったし」
エリカといまだに口喧嘩しているリリアナを抱き寄せる。
主!?と顔を真っ赤にしているがそんな事は関係ない。だって俺がしたいのだから。
登場女性キャラで誰が一番好きですか(回答に限界があるので五名のみ質問)
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エリカ
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リリアナ
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佑理
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恵那
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アテナ