一.
黄金色の麦畑は、例えるなら陸の海だった。
ゆらりゆらりと濃淡を変える穂の群れは、白雲と共に移り行く海の色を想起させ、幼かった彼女の好奇心をいっぱいに満たした。
しかしどれだけ大海原を幻視しようとも、所詮は麦畑である。
うねる波のしぶきも、陽光に照らされる浜辺も、鼻を突き刺す海藻の匂いもなく、ただ無限に広がる蒼穹のみが唯一の共通点だった。
──海を見てみたい。
聖女と呼ばれる前、ただ日常を謳歌する少女であった頃に抱いた、些細な夢。
全てが終わり己の運命を悟った後、泡沫のように湧いては消えていった、美しい夢物語。
その純情は後に小さなサンタが受け継いだものの、燻る願望は未だ奥底に眠っていたらしい。
善性と規律を尊び、主への信仰を捧げる聖女ジャンヌ・ダルク。
時に要塞とも称されるほど鉄壁の精神に、ほんの少しの綻びがあるのだとしたら。
それは世界の裏側でいつかを待つ「星を撃ち落とした者」か、或いは無くせなかった「海への憧憬」か。
夏の魔物が付け込むとしたら、恐らく後者なのだろう。
──ガール・ミーツ・ドルフィン──
ケガを治すために契約を結ぶというメルヘンチックな出会いを果たしたイルカは、本当にただのイルカだったのだろうか。
信仰の対象は原初の風景である海へと変わり、夏を尊ぶ精神は見え隠れしていた姉弟願望を剥き出しにした。
あの終わらない
二.
朝五時の光、ラスベガスの日の出。
微睡みから解き放たれるにはまだ早い時刻。
少年は靄のかかった頭で、僅かに残った夢の記憶を思い返していた。
正確には自分の夢というより、誰かの夢を投射して見ているような感覚だった。
季節は夏、太陽の視線を浴びて煌めく海。
それを扉の奥から静かに眺めている女性がいた。
農村の麦畑よりも一層深く彩られた金髪を、腰にまで届くほどに長い三つ編みで結んでいる。
意志の強そうな紫の瞳から、一滴の雫が零れ落ちた。
きっと悲しんでいるのではない、噛み締めているのだ。
紅蓮の炎に身を捧げようとも決して忘れなかった、彼女だけが持ち得る唯一無二の感動を。
少年はその人物を知っているような気がした。
多大な恩を受け、幾多の思い出を共有し、無数の戦場を駆け巡った。
偉大なる先達の一人として、御旗のもとに大きな背中を示したその人の名は────何だっただろうか。
もぞもぞ。
何かがベッドの中で蠢いている。
気づくと同時に少年はぴくりと身体が跳ね、思考を中断させられた。
水分不足で足が攣ったから、ではない。
生温かいぬめりをまとった軟体の感触が、朝立ちの収まらない逸物へと巻き付いているからだ。
竿肌をねちっこく丹念になぞり、カリの窪みに沿って大きく回される。
亀頭に浴びせられる吐息の熱が、明らかに誰かの口内へ肉棒が囚われていることを証明していた。
毛布に包まれた膨らみが妖しく上下するたび、たっぷり唾液を含んで啜りあげる音が洩れて聞こえてくる。
もはや歯を食いしばって耐えるのも限界だった。
少年は堪らず一枚布をめくり上げる。
「あ、起きちゃいました? おはようございます、我が親愛なる弟」
カーテンの隙間から差す日の光に照らされた、金の三つ編み。
まるで軽い悪戯がバレてしまったおてんば娘のように、悪びれる様子もなく朗らかな笑みを浮かべるその人物は────紛れもなく、夏のお姉ちゃんであった。
「もう、ダメですよ。添い寝しているお姉ちゃんの太ももに、こんな固いモノを擦り付けたら。昨日だってあんなに愛を確かめ合ったのに、元気な弟クンです」
そうだっただろうか。
少年は昨晩のことなのに、はっきりと思い出すことが出来ない。
だが、彼女がそう言うのならきっとそうなのだろう、と結論付ける。
何より
献身的な彼女の態度に、偽りなんてあるはずがない。
「んっ、ちゅうぅ……こんなに熱く滾らせて……朝からお口に入りたいなんて我が儘な弟です……でも大丈夫、すぐにお姉ちゃんで満たしてあげますからねー」
少年が制止する暇もなく、肉棒全体がずるりと口内へ引きずり込まれてしまう。
膨張した逸物を口いっぱいに頬張り、口腔粘膜でねっとり包んで離さない。
先ほどまで毛布の中で行われていた口淫を、これからまざまざと見せつけられる。
それだけでも興奮に値するのに、熱で潤んだ上目遣いをするものだから、ますます肉棒が硬くなってしまう。
弟の情欲に塗れた顔を見て満足したのか、夏のお姉ちゃんはじっくりと口の中を動かし始めた。
滑らかに舌で肉竿を舐め回し、寝汗で蒸れた竿肌の上に唾液を余すことなく塗りたくっていく。
「れる、じゅるるっ、ちゅ、ぢゅっ、ちゅ……はふっ、はむっ、ちゅるちゅむぢゅるるる~……」
裏筋にも舌を這わせて滑りを良くすると、根元までがっぽり咥え込んで吸引してくる。
喉奥にまで届いてしまうのではないか、と思うほど深く咀嚼された肉棒。
姉を名乗る女性は清純で美しい顔を股間に深く沈め、精を搾り取ろうと容赦なく頬を窄める。
朝の爽やかさには似つかない、情欲を昂らせる淫音が部屋を満たしていく。
「ん~っ、ぢゅぶっぢゅるるるるっぢゅるる、ぷはっ……もう限界が近いようですね。誤魔化しても分かりますよ。弟のことは何でもお見通しなのが、お姉ちゃんなのです」
一旦ペニスを口から離し、えへんと自慢気な表情を見せる姉。
それとは対照的に、少年はもう息も絶え絶えといった様子である。
彼が目を醒ますよりも前から陰茎を刺激されていたらしく、射精の閾値を超えるのもそう遠くはない状態だ。
強烈な快楽の余りシーツを強く握りしめてしまったのか、皺がくっきりと浮き出ていた。
「さぁ、いつものようにお姉ちゃんに委ねてください。力を抜いて、心を気持ちよさで満たして……出したいときに出してくださいね」
そう言ったのを皮切りに、舌による愛撫が再開された。
竿の表面をじっくりと撫で上げ、柔らかい唇で亀頭を優しく啄む。
小気味いいリップ音が奥へ奥へと快楽を蓄積していく。
少年は何かを言おうとしたが、情けなく喘ぐ声しか出せない。
魅惑の口技に囚われた思考は射精への欲求で一杯になりつつある。
その欲望を解放してあげようと、再び肉棒が口内へ呑み込まれていった。
「じゅるっ、じゅるるるるっ、じゅっぷ、じゅるっ、じゅるっ、んふっ、うっ、ぢゅっ! ぢゅっ! ぢゅるるるっ、ぷぷぷっ、ぢゅぽ、ちゅるるぅううぅ~」
喉奥の熱で肉棒が融けてしまう、そう錯覚するほどの快感。
溜まった欲望が尿道へとこみ上げてくる。
がちがちに硬くなった逸物を一切の合間無く吸い尽くされ、背中が弓なりになるほど腰が浮いてしまう。
もう出る、イク、無理、許して、思いつく限り降参の言葉を発する少年。
その結果は、ますます激しいストロークを助長しただけだった。
浮いた腰をがっちりと抱えられ、ディープスロートの餌食にされる。
そこから数秒、少年は涎を垂らしつつも天を仰いで耐えていたが、ふとした瞬間に目線を下ろしてしまう。
剛直をぱっくりと咥え込み、カチューシャがずれるほど顔を左右に捻って搾り取ろうとする淫猥な姿。
それだけ激しい口淫なのに、紫の瞳はよがる少年の変化を見逃すまいと変わらぬ上目遣いで見つめていた。
その、妖しい情念と目が合った瞬間、押し留めていた絶頂感が一気に膨れて弾けた。
「んんっ!? んっ、んむっ、ん~ッ……はぁむ……ん……」
勢いよく跳ね出す精液が口内を叩きつけていく。
一瞬だけ目を見開いた彼女だったが、慣れた口捌きでそれを受け止めると、唇と舌で優しく射精の脈動を促す。
少年の腰を押えたまま、ノーハンドフェラで残った種汁も啜り上げる。
かなりの量を口に注がれたためか、柔らかな頬が若干膨らみを増している。
肉棒から吐き出された全てを口の中に溜め込むと、絶頂の反動で呆然と見下ろす少年の前で、そのまま躊躇うことなく熱い体液を飲み干していく。
こきゅ、こきゅ。
こってりと粘っこい汁のため、絡みついて飲みにくいのだろう。
喉を鳴らす音が少年の耳にもはっきりと聞こえた。
「……ふぅ、ごちそうさまでした。朝からこんなに沢山出せてしまうなんて、さすが我が弟です……ん? 何もわざわざ飲まなくても良かったのに、ですか? それはいけません。弟のモノはお姉ちゃんのものですから、一滴でも無駄にしないのが鉄則です」
他所では聞いたことのない姉理論に少々辟易するも、それを喜んでいる自分がいる。少年はどこか落ち着かない気分を抱えていた。
「さぁ、ちゃんとスッキリしたところで今日も夏を楽しみましょう。青い空、エメラルドの海、沢山のお友達……善悪を超越したマリンパワーが私たちを待っています! ヤンチャな鮫が出ても大丈夫です、ジャンヌお姉ちゃんが付いてますからねー」
──ジャンヌお姉ちゃん。
その言葉を頭の中で反芻する。
何故だろうか、少年は妙にその響きが引っ掛かった。
魚の小骨が喉につっかえたように、延々と消えない違和感。
姉弟なのにイヤらしいことに興じているから、といった類の問題ではない。
もっと根本的な間違い、矯正するべき歪みがあるという警鐘。
しかしその違和感も長続きはせず、ジャンヌお姉ちゃんに肩を掴まれて海へと赴く頃にはすっかりと消え去っていた。
三.
通常、海での楽しみ方といえば砂遊び、貝殻集め、ビーチバレー、サーフィンなどを想起するのだが、ジャンヌお姉ちゃんの場合スケールが一段階跳び抜けている。
どういう訳か、彼女は多くの海洋生物と仲良しなのだ。
イルカのリース、シロナガスクジラのスクルージ、その他大勢の海の仲間たち。
海への祈りに応えてやって来る彼らは少年を快く背中へと乗せ、貴重なライディング体験をさせてくれた。
いや、リースに限っては快くだったのか、少々疑問に残るが。
スピードに付いていけず、少年が背びれから手を離すたび「ルーッカッカッカ」と珍妙な鳴き声を上げていた。
少年は別段、それで気を悪くはしていない。
紺碧の海に身を投じるたび、まるで大きな母性に包まれたような、永遠に沈み込んでいく安心感を得られるからだ。
ゆらゆらと揺れる回遊魚、水面を照らす太陽の輝き、鮮やかに彩るサンゴ礁。
いっそ目を閉じてどこまでも深く潜ってみようかとさえ思える。
視界の端には、白の花柄をあしらった黒ビキニを纏い、同じく海の中で揺られる素朴な少女の笑顔が────
唐突に、ノイズが走る。
視界が塗り替えられる。景色が一変する。
記憶の一端が、映写機のように映し出される。
「簡素な部屋だと聞いていたのだが……結構飾り物が多いんだな。バレンタインのお返し? 確かにサーヴァントの数も多いからな。個性の豊かな物が集まっても不思議じゃない」
一面が白で覆われた味気の無い部屋に積まれた数多くの贈り物。
その中で、少年はやや色素の抜けた、兎の耳のように跳ねたくせ毛が特徴的なアルビノの青年と言葉を交わしている。
中世的な外見とは裏腹に、物腰の柔らかい落ち着いた雰囲気を纏った彼を、少年は良く知っている気がした。
心が和み、親しみの湧く距離感。
恐らくは友人と呼んでも差支えないだろう。
少年にとって解せないのは、何故彼との会話が映像として浮かび上がっているのかだ。
「……あぁ、そのことに関しては、正直……どうコメントしていいのか分かりかねている。本体の記録によれば、以前からお姉さん風を吹かそうとする気はあったらしいが……夏属性というのは恐ろしいものだな」
色白の肌をやや引き攣らせて、困惑の表情を浮かべる青年。
どうやら自分がナニカを彼に相談したらしいと察した少年だが、肝心の対象について靄がかかったように思い出せない。
「そう心配しなくてもいい。確かに……思わず俺まで二度見するほど羽目を外しているが……●●●●●の聖女であることに変わりはない。多少所作が派手になったとしても、本質は同じ……はずだ、うん」
彼なりに記憶に基づいて励まそうとしているのだろう。
だが妙に自信の無い語尾が、かえって不安を助長していることに気づいていない。
しかし、一体何の聖女と言おうとしたのか。
聖女?
「それにしても弟か……俺はここで彼女と接触するのを避けている。だが運悪く水着の方に出会ってしまったら、俺も弟にされてしまうんだろうか。それは何だか複雑だ……待てよ、考えようによってはマスターと兄弟になるわけで、その場合あなたが兄になるのか……? それはそれで興味深いな」
友人関係にあっても容易には明かさない特別な想い。
世界の裏側、悠久の時を経ての再会というロマンチスト。
そこを除けば普段通りの天然っぷり。
マスターと呼ばれた少年はそんな彼の通常運転に苦笑を浮かべ……
ぷつりと、ノイズはそこで途切れた。
「────どうしました? 随分とぼんやりして。疲れちゃいましたか?」
姉の呼びかけにはっとすると、少年の身体はいつの間にかスクルージの巨体に乗せられており、浜辺へと帰るところだった。
太陽も西へと傾き、茜色に染まる海が昼間とはまた違った表情を見せている。
鼻をつんざく潮の香に意識がはっきりとしてきた少年は、記憶が途切れていることに気づいた。
確か自分は海に潜っていたはずだ、それで同じく潜っていたジャンヌお姉ちゃんが両手をいっぱいに広げていて、素敵な笑顔を浮かべていて、それから……それから?
「リースが張り切って連れ回していましたから、疲れるのも無理ありません。到着するまで寝ててもいいですよ? それともお姉ちゃんが膝枕してあげましょうか……人目があるのは恥ずかしい、と。むむむっ、なら戻った後に膝枕ですね。もちろん拒否権はありません」
リース。
彼がクジラまで運んでくれたのだろうか。
確かに物凄いスピードで泳ぐから、思わず意識が飛んでしまった可能性もある。
疲れているのも事実だ。水中だと案外気づかないものだが、汗を流して少々脱水症状気味なのかもしれない。
悩むのは後にしよう、と少年は一旦考えるのを止めた。
抜け落ちた記憶そのものが、重大な見落としであることに気づかないまま。
目を閉じ、波の音に心を同調させて到着を待った。
四.
「ふぅ。今日もお互い、よく夏に励みました。さ、というわけでお風呂に入りましょう。温かいシャワーで一日の疲れを流し、心地良いおやすみを迎えるのです」
ホテルの一室に備え付けられたバスルーム。
ジャンヌお姉ちゃんは、さも当然のように少年と一緒のお風呂を済ませようとしていた。
「もう一人前なのだから手伝いは要らない? ダメです。普段ならいざ知らず、今日の弟は激しく癒しを欲してるとお姉ちゃんの勘が告げています。ですので、付きっきりのお世話です」
少年の方はタオルで局部を隠している以外生まれたままの姿だが、ジャンヌお姉ちゃんはというと何故か競泳水着に着替えていた。
三つ編みの金髪はポニーテールへと早変わり。
水着はポリエステル100%でありながら伸縮性の良い白生地に、両サイドの黒いラインが際立つハイカットのデザインである。
普段はその上にジャージを羽織っているが、ここは浴室なので身に着けていない。
なお、黒縁の伊達メガネは何故か外さずそのまま着けている。
ポリシーなのだろうか。
「身体を洗ってあげましょう。この風呂椅子に座ってください、ポンポン」
こうなった以上、テコでも動かないのがジャンヌお姉ちゃんだ。
少年は早々に抵抗を諦め、姉の好意に甘えることにした。
股間にタオルを被せたまま、風呂椅子に腰掛ける。
「まずはシャンプーです。手のひらに馴染ませて、髪全体に……ふふっ、ホテルのアメニティですが、爽やかで濃密な香りがします。このまま優しく撫でちゃいますねー、よーしよし」
髪全体をゆっくりと搔き上げる手つき。
少しこそばゆくて、気持ちがいい。
誰かに頭を撫でられること自体、最近は無くなっていた少年だが、このままずっとされてもいいかもしれない、などと安心感を得ていた。
「それでは次に、頭皮を洗いますね。耳の付け根から頭頂部に向かって持ち上げるように、ごし、ごし……どうです? お姉ちゃんの洗い方は。お上手に出来てるといいのですが」
血流の良い顔の際から上の方へ、ジグザクと小刻みに指の腹を動かして洗っていく。それを何度か繰り返すと、今度は円を描くように頭皮を動かしてマッサージ。
脂の溜まりやすい耳の裏、汗をかきやすい首。
細部にも隈なく指を這わせていく。
思わず目を細めて心地良さに浸ってしまうほどの手技である。
「ちょっと耳を折りますね……はい、シャワーで流しますよー」
流し残しがないよう、手にシャワーを当てながら丁寧にシャンプーを落としていく。適当に洗いがちな頭髪は、いつも以上に爽快な仕上がりとなっていた。
「これで髪の毛はよし、っと。次は身体の方ですね。ボディソープを泡立てて……」
手のひらを擦り合わせる音が、次第に泡立てる音へと変化する。
頭を洗うだけで済まないことは分かっていたとはいえ、少年はにわかに緊張を覚え、やや背筋がこわばる。
その固くなった背中に、しなやかな指の感触がすっと流れていく。
日に焼けて黒ずんだ肌に白い泡のコントラスト。
肩から腕、背中から臀部、凝りをほぐすように撫でられ、ぴくりと跳ねる少年。
丹念に洗おうと、後ろの姉は次第に身体を寄せる恰好となり、自然と密着する形になる。
──ふにゅん。
競泳水着の上からもはっきりと分かる柔らかさ。
それはスポンジよりも生温かく、当てられるだけで心音が高まる箇所。
人肌より滑らかな水着の生地が、妙に生々しい。
「このまま前にも手を伸ばしちゃいますね」
後ろから抱き着くようにして、泡を広げていく。
へその辺りから脇へ、腕を通って胸板へ。
細指がくるくるとなぞるたび、洗われる気持ちよさとは違った疼きが与えられる。お湯に浸かる前だというのに、少年の耳は次第に赤みを帯び、薄色の乳首がつんと上向き出す。
一瞬その上を柔らかい手が通過すると、思わず切なげな声を漏らしてしまう。
「さ、仕上げは下半身ですね。そこは自分で洗う? もぅ、今更恥ずかしがらなくても。弟の身体に嫌な部分なんてないのですから、お姉ちゃんにお任せですよ」
にゅっ。
股間に伸びた手が、被さったタオルの中へと滑り込む。
既に興奮から直立し、こんもりとテントを張っていた部分が包み込まれる。
そのまま両手を組み、手を筒状の形にしてにゅこ、にゅこと逸物をゆっくり撫で上げていく。
タオルによって隠され、何をされているか見えないのに性器をやわやわと揉みしだく感触だけが伝わってくる。
それに加えて、艶やかに響く泡の音がよりイヤらしい雰囲気を醸し出していた。
「大事な所ですから、痛くないようたっぷり泡立てて洗っていきます……ふふ、背中が震えてますよ。寒くないよう、もっと密着しますね」
つるつるの競泳水着がぴったりと背に吸い付く。
吐息が耳にかかるほど身体を寄せられ、心臓の鼓動がますます早くなる。
まるで湯船の中で膨らませたように、タオルが持ち上がっては沈んでいく。
次第に竿を撫でる淫らな泡音が徐々に間隔を狭めていき、膝の震えが止まらなくなる。
男の声に似つかない甘い喘ぎが、狭い浴室でこだましていた。
「──はい、これで綺麗になりました。シャワーで流しますから、熱かったら言ってくださいね」
青臭い汁を吐き出すまで続けられる。
そう思っていた身体洗いが、唐突に終わった。
寸前で止められた欲望が、少年の中でグツグツに煮えたぎる。
シャワーの熱よりも更に熱く、貪欲に。
朝に吐き出したことなど忘れて、充填されていく。
少年は決意をもって振り返り、姉の名前を呼ぼうとした。
しかし、彼女は既に正面へと回っていたのだ。
タオルを突き破るほどそり立った剛直を一瞥すると、ジャンヌお姉ちゃんはくるりとお尻を向け、食い込む水着の生地を指で摘まんだ。
──ビリリッ。
何かが裂ける音。
タオルの布ではない。
向き直った少年は、待ち受けていた光景に目を離せなくなった。
水着が破けている。
伸縮性に優れた特殊素材が、とろとろに濡れた秘部だけを露にしている。
競泳水着を着たままなのに丸見えの聖域は、少年の背徳感をこれ以上なく煽った。
タオルを剥ぎ取り、先端まで真っ赤になった肉棒を現出させる。
風呂椅子に座ったまま、大きく開かれた股の上に足を曲げて覆いかぶさるように、姉の丸いお尻が迫っていく。
つるり、にゅるり。
宛がう肉棒の狙いが逸れて、ジャンヌお姉ちゃんの肉厚な尻の割れ目をなぞった。
そして、三度目。
「……内緒ですよ?」
──ずぶぶぶっ、じゅぽん。
後ろ向きのまま下半身が落とされ、張り裂けそうな肉竿を咥え込んだ。
その言葉は秘密の合図。
これからイケない秘め事に臨むという、彼女なりの合言葉。
特定の誰に内緒、という訳でもない。そもそも、姉弟でこのような爛れた行為に及んでるなどと、誰相手でも言うものではないだろう。
少年はそうやって、自分を納得させていた。
「はぁ……あっ、んっ……奥まで、入りましたね……」
滅多なことで動じない姉が、このときだけ見せる濃艶な声。
硬く滾った逸物を膣内へと迎え、ぴったりと型が嵌まった瞬間の小さな息遣い。
絡みつくヒダ肉がきゅんと締まり、逃さないよう吸い付いてくるとき。
少年は相性抜群の幸福感に思考を溶かされ、全てを姉へと委ねてしまうのだ。
「おちんちん、ぴくぴくして今にも泣いちゃいそうです。お姉ちゃんがすぐに、溜まったモノ全部頂いちゃいますねー……」
ゆっくりと上下に動きながら尻を突き出し、肉壁を満遍なく竿に押し付ける。
時折かき混ぜるように腰を左右に回して、膣内のヒダを絡ませるのも忘れない。
分泌された蜜汁が肉棒へと滴り、一往復ごとに止めどなく溢れてくる。
そんな粘液のるつぼでありながら、きつく締め付けて扱き上げてくる緩急まで備わっている。
勝てない。
脳が馬鹿になるほど焼かれる姉快楽に抗えない。
結合部から響く湿った淫音を、少年は骨の髄まで刻まれていく。
「んっ、んんっ、はあっ、腰の動き、止められなくて……あぁん、あっ、これではお姉ちゃんの方が、うぅん、浮かれてるとバレちゃいます、くぅん」
肉棒が奥へ、奥へと打ち付けられるほど、少年は次第に腰を持ち上げて更なる密着を求めていく。風呂椅子にべったり付いていたはずの手はいつの間にか尻肉を掴み、振動でぷるんと弾む感触を楽しんでいた。
「? ……腰に手を回して、もっと前のめりになりたいですか。目一杯体重をかけて、お姉ちゃんに甘えたいんですね。ふふっ、許します。弟のお願いを受け止めるのも、姉の役割ですから……さぁ、おいで♡」
──ずぷぷううぅぅ、ぼすっ。
背中から抱き着くように腰を押し付けて、膣の最奥まで広げていく。
そこからはまさに獣の交わりであった。
快楽を貪るためだけのショートストローク。
膣内を抉るたびにきゅっと締まる蜜壺。
尻肉は波打ち、汗は飛び散り、膣奥をひたすらノックする交わり。
女体の行き止まりに荒々しいピストンが叩きつけられるたび、姉の威厳の欠片もない淫らな声が零れた。
「ひっ、はひっ、んっっ、当たっちゃってます、弟クンのが、お腹の奥にぃ、ふぅー、ふぅー、ひゃあ、あっ、ダメ、お姉ちゃんの方が先に、溶けちゃ……あぅん、あっあっあっ、先っぽが膨らんで、これ、もう出ちゃいますね、お姉ちゃんの中に注いじゃいますよね、うぅん、いいんです、このまま一緒に、ひゃん」
いつの間にか床に肘を付き、お尻を突き出して蕩ける顔を隠そうともしない姉。
普段の強情っぷりから想像もつかないほど甘く誘う彼女に、いよいよ射精欲が弾け勢いよくザーメンが駆け上がっていく。
好き、好き、ジャンヌお姉ちゃん大好き。
甘ったるい感情を吐露しながら、震える怒張を最大限に押し付け、子宮内部へ大量の精液を放出する。
忽ち熱い雄汁が子宮壁を満たすと、それに連動するようにジャンヌお姉ちゃんの身体が激しく痙攣した。
オーガズムを迎えつつ、腰をくねらせて一滴残らず搾り取ろうとする淫靡な膣穴。
射精の脈動に合わせて締め付けの強さが変わり、絶妙な快感を与えてくれる。
このまま玉袋が空っぽになるまで、弟の子種を搾り取り独占してしまうのだ。
余りに長い吐精で脱力したのか、少年は息を激しく切らしながら汗だくの競泳水着の背に抱き着いてしまう。
その反動でちゅぽんと抜けた肉棒。
飛び出た残り汁が競泳水着の生地へとかかり、そのまま垂れ落ちていく。
「はぁー、はぁー、ふぅ……今日もよく、頑張りました……んっ……」
預けられる体重の重みに、ジャンヌお姉ちゃんはいつもの優しい笑顔を浮かべていた。
……
…………
………………
now hacking……OK!
「BB────、チャンネル────! IN ラスベガス────!」
「ぷぷぷっ、今まで楽しんでいたイチャラブはどこに? なんてお間抜けな顔を浮かべて、期待を裏切らない反応ありがとうございまーす」
「というわけで、水着剣豪第五カジノにて、哀れにも姉を名乗る不審者の洗脳光線を浴びてしまいBAD END一直線のマスターさんをからかい倒す、特別出張のBBチャンネルです────!」
「……はぁ、一体何を言っているんだろうこの人は、的な第三者視点を向けるだなんて、相当頭がお花畑になってますね。もしかして、綺麗さっぱり忘れちゃいました? これにはラスボス系……もとい、ルルハワ邪神系後輩のBBちゃんといえども辛いです……一度見たら忘れないインパクトには自信あったのに……トラウマ級の楽しい思い出だっていっぱい作ってきたのに……モチベーションガタ落ちです……」
「ま、それでもすぐに立ち直ってしまうのがBBちゃんの良いところ、なんですけどね! いつまでも弟テクスチャ貼り付けられて、泥沼に囚われてる誰かさんとは違いまーす」
「と、これだけ言っても気づく様子はナッシングですか。あの人、英霊としての逸話に洗脳の要素なんて微塵もないのに、一体どこからスキルを引っ張り出したのやら……それは水着のBBちゃんも同じでは、ってあれれ~? ちょっと記憶が戻ってきちゃいましたー? 邪神系ヒロインツリーに開眼した話、思い出しちゃいましたー?」
「まぁ、これは単なる推測に過ぎないんですけど────────イルカのせいかもしれませんよ? 何の話って、相変わらず文脈の読めないマスターさんですねぇ。ジャンヌさんがちょっとハジけた原因ですよ。あっ、ごめんなさーい。今のアナタにとってはジャンヌお姉ちゃん、でしたっけ」
「知っての通り、名状し難いナニかと交信してしまったBBちゃんは、ノリノリでニャルニャルに人類の健康を管理する万能AIへと分岐しました。つまり、かのトリックスターの性質もエミュレートしているということです。そんなわたしがちょっと気持ち悪ーい、格下のくせに足を引っ張るのだけは上手くてうざーい、なんて感情をあのイルカに抱いてるとしたら、どう思います?」
「分かりません? 分かりませんかぁ? もしこの場にマシュさんがいたなら、ピンと来たかもしれませんねぇ。アビゲイルさんと出会って以来、そっち系の小説も熱心に調べていたようですし……え、ジャンヌお姉ちゃんはフォーリナーじゃないのはどうしてか、ですか? むむっ、豚さんにしては鋭い着眼点、なーんて褒めると思いました? 褒めません☆」
「何故ならそれは、とっても簡単な理屈だからです。だって────────元々地球に息づいている存在を、領域外の生命体とは呼ばないでしょう? 厳密にはそのものが出張ってるのではなく、あの海洋生物を通じてのパトロン、ぐらいの距離感でしょうか。どの道、ただの人間に過ぎないマスターさんが出会ったら即廃人コースです。そこは偏に、ジャンヌさんの鉄壁の精神力の賜物でしょう」
「以前私が『時間の檻』を発動した際は、XXさんという天敵のせいでぶち壊しにされちゃいましたけど、今回はだぁれの助けもありませんよ? 勿論BBちゃんも助けたりなんかしません。お株を横取りされたようで複雑な心境ではあるんですけど……ジャンヌさんの趣向に合わせて、『姉空間』とでも呼びましょうか。ここで永遠に、いつまでも、彼女の弟として有り続けるコト。それが、アナタに定義された『幸福』なのですから」
「ふふふっ、出張BBチャンネルもそろそろお開きの時間です。意地を見せて抜け出すのか、それとも自分の名前を忘れて永遠に甘えん坊さんの弟でいるのか。せいぜい楽しませてくださいね、愉快なオモチャのセ・ン・パ・イ──────」
……
…………
………………
五.
誰かに呼ばれていた気がする、と少年は思った。
ここのところ見覚えのある幻覚、あるいは夢が頻発していることを訝しんでいるものの、そのことを姉に相談しようとするといつの間にか頭から抜けてしまうのだ。
故に少年は結論付ける。
きっと大したことのない
「お部屋を先に涼しくしておいて正解でした。おかげで快適な膝枕タイムを過ごせてお姉ちゃんも嬉しいです」
浴室での熱い交わりの後、いつもの水着姿に戻ったジャンヌお姉ちゃんは、弟に有無を言わさず膝枕へと持ち込んでいた。
見かけに寄らず筋力があるためか、大腿部が固くないかをやや気にしているようだ。
少年からすれば、それは全く問題なかった。
頬を擦り付けたくなるほど瑞々しく、柔らかい太もも肌である。
「お風呂上がりでなければ耳かきもしてあげたかったのですが、次の機会にお預けですね。夏はまだまだこれからですし、焦らず楽しみましょう。私のかわいい、かわいい弟」
とジャンヌお姉ちゃんは言ったが、その指は少年の耳輪や耳たぶへと伸びてソフトにほぐしている。本当は今すぐにでもしてあげたいらしい。
「この穏やかな夏の時間こそ、平和の象徴と言っても過言ではないでしょう。それは同時に、保ち続けるのがとても厳しくもあります。でも、弟のためならいくらでも頑張っちゃいますよー。なぜならお姉ちゃんなので! えへへー」
時折、少年はこの姉の言う「夏」にどれだけの意味が含まれてるのか、分からなくなる。それでも確かなことがひとつ、ジャンヌお姉ちゃんは決して自分を見捨てたりはしないということだ。
絶対的で、唯一無二の事実なのだ。
それが彼女の言う、「姉」なのだから。
「それにしても……やはり、代償行為が必要ですね。このままではお姉ちゃんとしての気が済みません。どうしましょうか」
いつもの強引さが発動しつつあると察した少年は早急に離れようとしたが、時既に遅しである。短パンの上から擦ってくる手が、未だ熱の抜けない箇所へと伸びていた。もう二回も精を吐き出したのに、まだ足りないと言わんばかりに膨らんでいく男根を見つけられてしまったのだ。
「そういえば、弟クンが一番大好きなアレはまだでしたね。誤魔化してもダメですよ、もう視線が釘付けですし……お姉ちゃんのおっぱい、今日もしてほしいですか?」
ビキニに手を添え、見せつけるように胸を持ち上げる。
それだけで少年は口ごもってしまう。
何をされるのか、それがどれだけ気持ちいいのか。
全て直接、身体に教え込まれている。
「よしよし、すぐに鎮めてあげますねー。また汚れても、お風呂に入れば済む話ですから。あっ、その時は弟クンがお姉ちゃんを洗うというのはどうでしょう。ふふっ、顔が真っ赤になってます……想像しちゃいました?」
天使の羽根が舞うかのように、洗練された女体。
何度もその目に焼き付け、貪った身体を好きに洗っていいと誘われたら、邪な想像の一つや二つ即座に浮かぶのも無理はない。
しかし今はそれ以上に欲情を煽るものが目の前にある。
少年は名残惜しくも膝枕から離れ、ベッドに座って自分から足を広げる。
その間にするりと入り込んだジャンヌお姉ちゃんは、ベッドの下の引き出しを開けて小瓶を取り出し、中の潤滑液を両胸の間へと垂らしていく。
ぐちゅぐちゅぐちゅ。
互いに擦れ合う胸から洩れる粘質な音に、少年の期待は際限なく高まってしまう。そして準備が終わると、再び硬さを取り戻した竿の先端へ谷間を宛がい、豊満な胸肉の中へとゆっくり呑み込んでいった。
───ぷにゅり、ぷにゅり。
勃起を優しく包んで隠してしまう、おっぱいマッサージ。
膨らんだ両乳首を鏡のようにぴったりと合わせ、逸物はすっぽりと乳筒に収まった。
黒ビキニによるゆったりとした乳圧が、興奮した肉棒を甘やかしていく。
「はい、弟クンの大好きなおっぱいに挟まれちゃいましたね。もう、足をピンと伸ばして深いため息を付くなんて、よっぽどこれが恋しかったですか?」
コク、コクと何度も必死に頷く少年を可愛らしく思ったのか、ジャンヌお姉ちゃんはにっこりと笑い、たぷん、たぷんと胸を揺らし始めた。
競泳水着のときよりもはっきりと分かるその大きさ。
下から掬い上げるように両胸を持ち上げ、ぎゅっと圧をかけて竿の根本まで降ろしていく。吸い付く乳肌に揉みこまれ、下半身ごとふんわり蕩ける快感に少年の背が小刻みに震える。
「それにしても、我が弟ながらここの旺盛ぶりには驚いてしまいます。ほら、あんなに出したばかりなのに、おっぱいの中で硬くなって……これは念入りにほぐしておかないと安眠できませんね♡」
───にゅっ、にゅっ、にゅる、にゅっ。
両手で拳を握るように乳肉を押し付け、ローションで滑りの良い乳内を搾り上げる。竿の根本に当たるたび、垂れた我慢汁と潤滑油の混じった淫液が陰毛をべたつかせていく。
ジャンヌお姉ちゃんは乳房越しでも手に取るようにツボが分かるらしく、亀頭を責めるときには左右で揉み込む動きで重点的に扱き上げ、竿全体を愛でるときは長いストロークでゆったりと胸の重さを感じさせるパイズリを披露する。
気持ちよさに耐えかねたのか、座っていたはずの少年は上体をベットに投げ出し、膝が完全に伸びきっていた。
「あー……♡ そんなに顔を緩ませて……いつものことながら、おっぱいに包まれるとすごく無防備になっちゃいますね。ん? もうイキそう? お姉ちゃんの水着おっぱいに射精しそう? ふふっ、もう少し楽しんでもらっても良かったのですが、仕方ないですね……良いですよ。いーっぱい、夏の情欲を注いでくださいね♡」
許しを得たのとほぼ同時に、みっちり合わさった谷間から精液が噴き上がるように飛び出してきた。
暴力的に放たれる白濁のマグマは、乳内だけでは収まりきらず黒ビキニの上にも着弾し、滲んでいく。
乳内射精の脈動が終わるまで乳房をぎゅっと抱き締め、たぱん、たぱんと尿道の残り汁を全部出し切るまで促した。
「三回目だというのに全く衰える気配がないなんて、お姉ちゃんのおっぱい好き過ぎですよ弟クン♡ それに何だか、かえって元気いっぱいになっちゃいましたし……どうせならもっと内緒のコト、しちゃいます?」
お姉ちゃんがそう言うなら、もっと甘えてしまおう。
甘えてしまえばいい。
少年は完全に屈服した顔で、またコクコクと頷いた。
秘密の姉弟スキンキップに歯止めは効かず、よりアブノーマルな方向へと傾いていき。
深く、深く、深海よりも深く、暗黒の海域に理性は落ちていく。
「ちゅ……ん……こんな体勢でおねだりしちゃうなんて、かわいい弟……♡」
四つん這いになった少年からドロドロの喘ぎ声が上がった。
肉厚な姉舌が、竿の裏から尻へと押し当たる。
優しい接吻をされながら、ぶら下がった肉棒を胸へと突き入れる法悦の時間。
熱い吐息を浴びせられるだけで落ちていく。
腰が崩れて、たわわな乳房に竿が埋まっていく。
不浄の穴から伝わる熱気と、みっちり張り付いて離れない乳肌。
抗えない。
尻の皺を伸ばすように舐め回される。
ずるりと腰が落ちる。
ぐりぐりと舌が尻奥へと押し込まれる。
逃れる力も残っていない。
じんじんと、脳天にまで染み入る温かさ。
頭頂部から再び股間へと快楽の信号が戻ってきたその時、ぎゅっと胸を締め付けられた。
どぷぷぅ。
吐き出す。再び溜まった劣情を合図も無しに母性の象徴へと吐き出す。
軽く腰が痙攣するだけで、焼けるほどに蕩けた谷間が屈服の液で満たされる。
気持ちいい。
もう、ずっとこのままでいい。
少年は永遠に戻れない。
自分が何を志し、何に負けてここにいるのかさえ──────いや、何者かさえ抜け落ちて。
鮫のサーカスの演目、終わらない姉の愛に全てを塗り潰され。
幸福に満ちた夏を過ごすのだった。
──────
かのマハトマ女史であるエレナ・ブラヴァツキーが自身の著書でも用いた単語だ。
そしてあの神話に登場する旧神にも、そう呼ばれて信仰された存在がいる。
貝殻の戦車に乗り、イルカなどを使役する大魔導師。
夢見人を気まぐれにドリームランドへと誘う住人。
無貌の神・ニャルラトホテプを妨害する者。
もし、あのイルカのリースに鍵があるのだとしたら。
巨大な鮫をも難なく従え、リヴァイアサンを司るラムダリリスさえ遂に正面から渡り合うことはなかった、強大な海の権能。
生前の最後まで、海への憧憬を抱き続けた彼女だからこそ。
思わぬ形で相性が良かったのだとしたら──────
所詮はこれも、夢の断片である。
──────みょん、みょん、みょーん。