「遅れました!藤乃 リツです!」
慌てながらブリーフィングルームに入るリツ。
そこにはマシュ、Dr.ロマンことロマニ・アーキマンに加え、カルデアが召喚したサーヴァントであるレオナルド・ダ・ヴィンチがいた。
「リツ君!身体は大丈夫かい!?熱とかない!?」
入室した途端、ロマニが駆け寄ってくる。
彼はリツと自身の額に手を当て、熱を計る。
「良かったぁ…熱はなさそうだね」
不安そうにしていたロマニの顔が安堵へと変わる。
今にも泣いてしまいそうな顔がリツの目に映った。
「ド、ドクター…泣かないでくださいよ…」
リツはロマニの行動に驚きながらも彼を落ち着かせようとする。
「ロマニはね、君が倒れた後もメディカルチェックしてたんだ。その後に君が目覚めたってワケさ」
「そうだったんですか…ドクター、ありがとうございます」
「いやいや。こっちこそ藤乃君がサーヴァントの召喚するの初めてなのに無理させちゃって。その事でブーディカに怒られちゃって…」
「えっ?ブーディカさんが…?」
意外な人の名前を聞き、リツは驚く。
「うん。かなり怒られたよ…
『初めての事なのにサポートがなってない!』
って…実際、準備してたのに迅速に動けなかったしね。これは反省だよ…」
しょんぼりとした顔で答えるロマニ。
「いやドクターは気にする事ないですよ。僕の体が弱かっただけですから…」
リツはロマニが自分の事について気にする必要は無いとは思いながらも、ブーディカの行為を嬉しく感じていた。
優しくしてくれた彼女がロマニに非が無かったとはいえ、自分の為に怒ってくれた。
その事がリツの記憶を呼び覚ます。
『コラ!あんた達リツになにやってんの!』
『やっべ!リツの◼◼だ!逃げろ!』
『グスッ…グスッ…』
『もう大丈夫だからね。リツ』
(まただ…またあの人の事が…)
何故だろうか。
無意識の内に蘇ってくるあの人との記憶。
どうして思い出してしまうのだろうか。
その思考を打ち消すかのようにリツは他の考えを巡らせる。
「それでドクター…話っていうのは何なんですか?」
「あっ!そうだった!実は特異点へ行く前にリツ君には戦闘訓練を受けて欲しいんだ」
「戦闘訓練…ですか?」
「そうさ。カルデア内の戦闘シミュレーターを使って実戦を想定した訓練を行なう。訓練することで特異点で戦闘になった場合に役に立つこともあるだろうさ」
ダ・ヴィンチがロマニに代わって答える。
「もちろん君1人だけじゃない。サーヴァントと一緒行うよ。実戦ではコンビネーションも重要になってくるからね」
「サーヴァントと一緒に…」
サーヴァント。
その言葉を聞いてリツが真っ先に連想したのは近くにいる
(ブーディカさん…!)
リツの脳裏にはブーディカの姿があった。
会ったのは1時間も満たない時間ではあるがブーディカの凛々しさ。
そして優しさが彼の印象に残っている。
彼女のような存在と一緒に訓練出来たらどれほど頼りで嬉しい事だろうか。
彼女への想いが募り始める。
(僕は…あの人と一緒に居たい…!)
リツがそんな想いにひしめいている中。
彼の隣に座っている少女が満を持して言葉を発しようとしていた。
(先輩一人だけで責任を負わせるわけには…だから私が…!)
「先輩!戦闘訓練に私をー」
「あ、あの!」
マシュは
だが、その声は彼女の想う人の声でかき消された。
これまで大声を上げた事がなかったリツに一同は視線を向ける。
「いや…その…」
複数の視線が向けられ、リツは途端に言葉が詰まってしまう。
『リツ!こういう時はハッキリ言わなくちゃ駄目でしょ!』
あノ人の言葉ダ。
その言葉ガ僕二呼びかケる。
「…っ!その戦闘訓練…一緒にやりたい人が居るんです!」
「先輩…?」
「リツ君。それは誰とやりたいのかな?」
ダ・ヴィンチの質問は些細なものであるはずなのに心臓の鼓動が抑えられない。
(緊張して声が出ない…けど…僕は言わなくちゃいけないんだ…!)
彼は勇気を出して、その人の名前を言おうと決心する。
「僕は…ブーディカさんと一緒に訓練をしたいんです!」
ーリツの想いがブリーフィングルームに響いた。
翌日。
戦闘訓練が始まる日。
マイルームで準備をしているリツの部屋にノックの音が響く。
「誰かな…?今開けますね」
部屋のロックを解除し、扉を開く。
そこにはリツが望んでいた凛々しい一人の
「ブーディカさん…!」
彼女の顔を見るなり、リツの表現が明るくなる。
「リツ。話は聞いたよ。キミが私と一緒に戦闘訓練したいって、本当?」
「は、はい。僕、ブーディカさんの力になりたくて…その為には一緒に訓練して…強くなろうって…」
自分の想いを伝える言葉に恥ずかしさを覚え、少しうついてしまう。
彼が下を向いている間ブーディカはリツに近寄る。
数秒後、リツの体に何か柔らかい感触が伝わってきた。
彼の胸板部分に2つの豊かな乳房が当たり、背には彼女の両腕が組まれている。
リツはようやくブーディカに抱きしめられている事に気づいた。
「ブ、ブ、ブーディカさん!?」
リツの脈が早くなり、顔が赤く染まっていく。
ブーディカは少し上の所からリツの耳元にささやいた。
「フフ。嬉しくてつい抱きしめたくなっちゃった」
笑顔でささやかれたその言葉にリツは赤面し、軽い放心状態となる。
ブーディカは抱きしめるのをやめるとリツの手を取る。
「さぁ、行こうリツ!私と一緒に戦闘訓練頑張ろう!」
彼女の元気な声でリツは放心状態から普段の状態へと戻る。
「は…はい!」
リツはブーディカに手を引かれながら戦闘シュミレーターがある部屋へと向かっていった。