※この作品はR-18です。

寄生モンスター図鑑   作:それも私だ

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流れるようにNTRれる回。
 ・描写の一部加筆仮修正(2024/9/17)。
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寄生蟲《ダブル》:NTR

《ダブル》

 ・ダンゴムシ。体色は白く、生理用ナプキンとほぼ同等の大きさ。

 ・珍しいことに、この蟲は交配することがない。雌雄同体の個体(便宜上『オス』と呼称)が、無性体の同種(便宜上『メス』と呼称)へと幼体を産み付ける形で繁殖する。幼体がある程度成長するまでの間、オスはメスと結合したまま過ごす(握り拳を掴んだような体勢、オスがメスを掴む、基本的に蟲はメスの方が大きいのだがこの蟲の場合はオスの方が大きい)。これらすべて種としての生存率を高めるための進化だと思われる。

 ・幼体は管のような器官を持ち、それを使い母体に吸いついて栄養等を得る。この器官は成長すると輸蟲管(ゆちゅうかん)に変化(体内に収納可能、結合を強固なものにするためか最終的に人並み程になる)、もしくは退化して無性体(穴、空洞)となる。生殖器は蟲のちょうど中央あたりの部位(腹)にある。

 ・メスは糧と安全を提供する保育器に過ぎず、生き物の穴であればオスは何にでも産み付ける。

 ・人体への寄生被害は、主に女性。生理用ナプキンと誤認した事例が最も多い(就寝中など無抵抗かつ無自覚の間に被害に遭う)。

 ・生理用品として誤用された場合、不幸なことに輸蟲管の位置と膣口の位置が重なってしまうため、高確率で輸蟲管が膣内へ侵入、子宮へと幼体を産み付けられてしまう。

 ・幼体はある程度成長すると自発的に胎内から脱出を試みるので、自然除去が可能。なお、極稀に脱出せずに母体の卵管(子宮と卵巣を結ぶ管)と結合しようとする個体が現れることがある。

 

【被害者NO.██████】

 ・███地方で活動していた傭兵(消息不明、現在捜索中)。

 ・被害者とコンビを組んでいた男性からの通報により発覚。

 

 

────────────────────────────────

 

 

「げっ……」

 

 ミニスカートの下──股から生(しょう)じる違和感に、ラケルは顔をしかめた。

 

「おい、どうした? ケガでもしたのか?」

「……ごめん、たぶん生理」

「なんだ生理か。驚かすなよ」

 

 相棒(ラケル)がもらした不(・)穏(・)な(・)声(・)に、カークはすかさず注意を向けたが、原因が生理だと分かるとすぐに警戒を解いた。

 

「予定だと明日のはずなのに。──ごめん、ちょっとだけいい?」

「ああ。俺は後ろ向いてるから」

 

 カークは詫(わ)びを聞き入れると離れるでもなく、その場で背中を向けた。

 ラケルも特に気にした様子はなく、その場に座り込み、下着を脱ぎ始める。

 

 ラケルとカークは傭兵だ。自分から孤立する愚は犯さない。

 無防備となる排泄や装備変更の時こそ、ひとりになってはいけないのだ。

 命を捨てるよりかは恥を捨てた方がはるかにマシだと、よく理解している。

 

 そうだとしても男女で恥を捨て合う仲になるのは珍しい事だ。

 よほど性癖が歪んでいない限りは、誰しもそんな場面(すがた)は見たくも見せたくもない。

 大抵の者は譲歩と妥協をして同性と組むに至る。

 

 では、彼女達は譲歩と妥協をしなかったと言えば、そんなことはない。

 

(なんで依頼中にきちゃうかな~……、でも妊娠してなくてよかったぁ。まだ引退は早いもんね)

 

 ラケルとカークは恋人同士。恋仲の関係だ。

 しかも、すでに肌を見せている。今更恥じることなど、あまりない。

 

 初めこそ距離を取ってはいたが、いまでは傍(そば)に居てくれて心強い。安心できる。

 そう思うことが出来るほどの信頼を培ってきた。

 それだけの時間を共に過ごしてきた。

 

 ……それでもラケルとしては、着替えを眺められるのはさすがに嫌ではあるが。

 どうして嫌なのかは解説するまでもないだろう。それこそが彼女の《譲歩と妥協》なのだから。

 

(えーと、どこやったかなぁ?)

 

 ガサゴソと、ラケルは自分のナップサックを漁るが目当ての物はなかなか出てこない。

 薄暗い森の中で、暗い布袋の中を検(あらた)めるなど非効率もいいところだ。

 ラケルは諦めてナップサックから中身を取り出して並べることにした。

 

「──チッ! まずい、敵だ!」

「えっ!? わわっ……ナプキン──あった! ショーツ──よし!」

 

 だが運が悪いことに、これから取り出すという時に敵の襲撃を受けた。

 しかし、とっさにナップサックをひっくり返したおかげで──中の物をすべてぶちまけてしまったが──すぐに目当ての物を見つけることができた。

 

 ラケルは生理用ナプキンを股に挟み込むと、天へと両脚を突き出し、一息に新しいパンツを穿いた。

 そして、脚を振り下ろす──その勢いのまま跳ね起きる。

 

 ラケルがカークの方に視線を向けると、愛しの相棒(かれ)は敵である野生動物──小熊と戦っていた。

 

「お待たせ! 援護するね!」

 

 彼女は弓使い──後衛であるので、そのような派手な動きをしてまで急ぐ必要はなかったが、突然の敵襲に焦ったのだろう。

 いや、恋人をひとり危険にさらしたままにしておきたくなかったからか。

 

 傭兵はその性質から、死にやすい職業の筆頭だ。

 結ばれて早々死に別れるなど冗談ではない。

 

 さあやるぞと、ラケルが愛用の弓を構えたその瞬間(とき)──

 

「ひゃうっ!?」

 

 ──そ(・)れ(・)は起こった。

 

「ラケル!?」

「ご、ごめん! 上から雫が落ちてきて驚いただけ!」

 

 ラケルはとっさにそう応えたが、実際は大きく異なる。

 

 突如として受けた、目視できない何かによる、攻撃にも満たない謎の接触。

 それは小熊以外の何者かがこの場に現れたことを意味する。

 そして触れられた箇所が箇(・)所(・)であり、状況が状(・)況(・)であった。

 

(なに、新手っ!? どこから? でもそんなのに構ってる暇はない……!)

 

 ラケルは膣(・)口(・)に何(・)か(・)を押し当てられる感覚に短く悲鳴をあげたが、つい誤魔化してしまった。

 この土壇場(どたんば)で妙な事を発すれば、カークの身を危うくしてしまう。

 彼の気をこれ以上、散らすわけにはいかなかったのだ。

 

 相手(てき)は小さいとはいえ、熊だ。武装した人間を簡単に倒せてしまえるような危険な動物なのだ。

 前衛(カーク)だけでは荷が重い……すぐにでも自分(ラケル)が援護しなければ。

 人として、仲間として、恋人として──。

 

 あらゆる感情(もの)をごちゃ混ぜにした使命感が、自分(ラケル)自身の問題(こと)を後回しにさせた。

 命あっての物種だ。まずは目の前の脅威を打ち払うべきだと。

 

 ……だがこの判断が、後(のち)の2人の未来(かんけい)を大きく変えることとなる。

 

 

 ラケルが放置した何(・)か(・)の正体は、《ダブル》という名の寄生蟲とその輸(・)蟲(・)管(・)だ。

 荷物をぶちまけたときに紛れ込んだのだろう。生理用品だと思ったそ(・)れ(・)は、蟲だった。

 

 奇妙なことに、蟲は、生理用品ととてもよく似ていた。

 色も、形も、大きささえも──。

 

 それはつまり、ラケルは生理用品と寄生蟲を取違えて女性器にあてがったことを意味する。

 パンツの中に、女性器の真下に、赤の他人を託(・)児(・)所(・)にする蟲が鎮座している。

 

 この蟲は、雌雄同体であるオ(・)ス(・)が、保育器となるメスの体内に幼体を産み付けて繁殖するという、一風変わった生態を持つ。

 

 あくまでもメスは、仔(こ)に栄養と安全を提供する保育器(うつわ)でしかない。

 使(・)え(・)る(・)の(・)な(・)ら(・)同種のメスでなくてもよいのだ。──それが人間(ラケル)の子宮であったとしても。

 

「あぅぅ……♡」

 

 ラケルの膣口に押し当てられた蟲の輸蟲管──いや、蟲のチンポは、微(かす)かな顫動(せんどう)を始めた。

 それはまるで、膣口(ラケル)とのキスを愉しんでいるかのようだった。

 ちょっとした前戯(いたずら)をしているかのようだった。

 

 思わぬ(ず)快感に浸りそうになったラケルだったが、首を横に振って今すべき事を思い出す。

 

「落ち着きなさい、落ち着くのよ、ラケル……。矢を番(つが)えて……弦(つる)を引いて──狙うッ!」

 

 ぞわりとした感覚を使命感(りせい)で抑えつけ、ラケルは矢を放つ。

 呼吸を乱されようと意志は、放った矢は正確に小熊の左目を捉(とら)えていた。

 

「ッ! ここだッ!!」

 

 不意の激痛に体勢を大きく崩した小熊を、カークの剣がさらに追い立てる。

 無防備となった脳天に加えられた一撃は、小熊を動かなくするには充分な威力だった。

 

「……、……もう動かないよな?」

 

 小熊の死体からやや引き気味にカークは後退(あとずさ)ると、少しの間をおいてから剣を収めた。

 そんな彼の安否を確かめに、戦闘終了も早々にラケルも小走りで駆け寄る。

 ……パンツの中の寄生蟲をそのままに。

 

 この時の彼女は周囲の確認とパンツの外側を軽く払うだけで終わると思っていた。

 だから寄生蟲はそのままだ。まさかパンツの中から直接触られたとは思ってもいない。

 いまだ続く蟲の顫動(せんどう)を不思議に思いつつも、あり得ないものとして流した。

 

 パンツの二重布(クロッチ)に加え、今は分厚い生理用品が性器を覆い隠している。

 小さな何かが触れただけではイタズラが通じるはずもないというのに。

 彼女の中の常識が、非常識な事象を認めさせなかった。

 

 それでも実際問題として蟲が性器(ラケル)に接しているのは事実であり現実だ。

 ──不知(ふち)の代償はすぐに支払われることとなる。

 

「ふう、勝てたな。さすがラケルだ。安心して背中を任せられる」

「んーんっ、カークが食い止めてくれたおかげだよ。……ッ♡」

 

 戦いが終わり、労い合う2人に蟲が水を差す。

 

 小刻みに震えていた蟲のチンポが、ほんの少しだけとはいえ、ついにラケルの膣口を割り開き、その内側へと挿入(はい)ってきたのだ。

 ラケルは反射的に内股になり、両手で鼠怪部(そけいぶ)を覆ってしまった。

 

 ──すると、先程までの緩(・)慢(・)な動作が演技であるかのように、蟲のチンポが膣の中程まで一気に挿入(はい)り込んだ。当然、勢いはそれまでの比ではない。

 人間のペニスに少し似ている、しかし先端(さき)のとがった太い輸蟲管が、経血と愛液を潤滑油としながら子宮口を目指して膣内を昇っていく。

 

「あ♡ あぅ……あっ、あっ……♡」

 

 不意の一撃を受けた小熊がそうであったように、ラケルも突然のことに耐え切れず地面にへたり込んでしまう。パンツの内側(なか)の蟲は下敷き。尻に敷いている。意図せずも騎(・)乗(・)位(・)の形となった。

 その衝撃で、さらに奥深くへと蟲のチンポが挿入(はい)り込む。

 

 起点こそ蟲の浅い挿入ではあるが、ラケルが内股になったことによる圧迫──股(・)と(・)膣(・)の(・)締(・)め(・)付(・)け(・)によって刺激された蟲が《チンポ》という矢で彼女の膣を貫き、腰を抜かしたところをさらに追撃する形となったのだ。

 まるで、先ほどの連携の焼き直しが行なわれているようだった。

 

 ここまでされては流石にラケルも気が付く。

 

(ショーツ……じゃなくて、ナプキンの間に何(・)か(・)居る……!)

 

「お、おいっ! 調子でも悪いのか……って、生理がきたんだったな。一度、引き上げるか?」

「な、ナプキン持ってるから平気かなっ! そんなことより、荷物ひっくり返しちゃったから、カークは周囲の警戒をしてて! 急いでたから、ショーツもちゃんと穿けてないしっ?」

「あー……、わかった」

 

 急にへたり込んだラケルを見てカークは慌てたが、その原因と思わしきものは、あらかじめ彼女自身の口(くち)から告げられていたので、すぐに平静を取り戻した。

 地面にぶちまけられた荷物に彼は苦笑いを浮かべながらも、先ほどと同じように背を向けて周辺の警戒をすることにした。

 

 自分の指示に素直に従ってくれたことに安(・)堵(・)の(・)吐(・)息(・)を漏らしたラケルは、地べたに座り直すとすぐに、穿いたばかりのパンツを下ろした。

 

 穿き替えたばかりのパンツは経血と愛液で滲(にじ)んでいた。

 ナ(・)プ(・)キ(・)ン(・)は経血のせいか、股に張り付いている。

 

(これ、私の持ってるナプキンじゃ……ない?)

 

 目を凝(こ)らして見ると、ナプキンは紙をずらして重ねたように段々となっている。

 それでいて、どこか肉(・)厚(・)だ。

 

(とりあえず、抜(・)か(・)なきゃ)

 

 何はともあれ、まずは剝がさないことには始まらない。

 安全を確保する意味でも。調査をする意味でも。

 

 自分は何に何を挿入されているのか……恐る恐るナプキンへと手を伸ばして捲(めく)ると──ナ(・)プ(・)キ(・)ン(・)から生えた無数の何(・)か(・)が一斉に蠢(うごめ)きだした。

 

「────ッッッ!!! ……!!」

 

 しかし、ラケルが悲鳴をあげることはなかった。

 なぜなら、人は本当に恐ろしいものを目にしたとき、本当に恐ろしい目に遭ったとき、悲鳴すら出せないのだから。

 

 それでも、それでも傭兵として培ってきた経験がラケルを最善へと導いた。

 

 ずるりずるずると、しかし音を立てることなく、少しずつ何(・)か(・)の(・)正(・)体(・)があらわになっていく。

 

 それはラケルの膣内(なか)から。

 

 ぬるりと。

 

 慎重に、慎重に。

 

 そして──そ(・)の(・)先(・)端(・)が現れる。

 

 ラケルは気力を振り絞り、股から蟲を引き剥がすことに成功した。

 蟲の幼体を産み付けられるという、最悪の事態は回避できた。

 

「ハァ、ハァ、……っ!」

 

 そう──この場で回避できたのは《最悪の事態》だ(・)け(・)だった。

 あろうことか、ラケルは蟲をナップサックの中に収めていた。

 

 ラケルは蟲を殺すことも逃がすこともせずに捕らえることを選んだ。

 あのときは知らなかったとはいえ、いや知ってしまったからこそ、自分(ラケル)を腰砕きにした蟲のテ(・)ク(・)ニ(・)ッ(・)ク(・)を忘れたくなかった。

 

 やすやすと手放すには惜しいと思ったのだ。

 だから、ラケルは慎(・)重(・)に(・)引き剥がした。

 彼に気づかれないように、慎重に慎重を重ねて。

 

(すごく気持ちよかった。カ(・)ー(・)ク(・)よ(・)り(・)も(・)──)

 

 カークとの行為は、いつも自分(ラケル)がイク前に終わってしまう。

 さすがに濡れはするし、多少は感じたりもするが、それは愛しい気持ちから来る割合が多い。

 カークは技術だけでラケルを感じさせたことは、一度たりともないのだ。

 それどころか、彼は愛情だけで彼女をイかせたことさえない。

 気持ち良いのはカークだけだ。

 

 ──この蟲なら、きっと私をイかせてくれる。

 ──この蟲となら、イク演技をしなくてもいい。

 ──私だって気持ち良くなりたいのにッ!!

 

 カークはラケルに甘えていた。そうとは知らずに。

 ラケルはカークを甘やかしていた。愛ゆえに。

 

 ラケルのや(・)さ(・)し(・)さ(・)が、彼への愛にヒビを入れた。

 蟲が与えた快楽が、ヒビをこじ開け挿入(はい)り込んだ。

 

 一見して良好な関係を築き上げ、結ばれたこの男女(カップル)は重大な問題を抱えていた。

 過去見過ごされてきた重大な問題は、今ここで致命的な問題へと変貌していく。

 

 ラケルが思えば思うほど、蟲への恐怖は和らいでいき、代わりにどす黒い何かが膨れ上がる。

 蟲は彼女の体に寄生することは出来なかったが、心に寄生することは確かに出来ていた。

 

 肉欲(あい)の中心(なか)に、蟲は居(い)る。

 

「……もう終わったよ」

「おっ、そうか。じゃあ行くか」

 

 必(・)要(・)な(・)も(・)の(・)すべてをナップサックに戻し終えたラケルは、カークへと声をかけ、先へと進むのであった。

 

────────────────

 

「あの人達、幸せそうだったね」

「そのおかげで、花なんかのために俺達が命張ることになったんだけどな。……店屋で買える花なのに」

 

 ラケルとカークは、自分達に花束の調達依頼を出した老夫婦について語っていた。

 2人が森を探索していたのは依頼を受けたからだった。

 

 あのあとも大きなケガを負うこともなく、無(・)事(・)に依頼を達成できたのだが、カークは少し不満気だ。

 よほど熊との遭遇が堪えたのだろう。

 

「あら、いいじゃない。思い出の場所の花を贈るなんてステキよ」

「ははっ、じゃあ次は俺達が出してみるか? 数十年後にさ」

「ふふっ、それもいいかもね。──思い出の熊の毛皮を持ってきてほしいんです!」

「やめろよ死んじまうってーの! わははは!」

 

 しかし、喉元(のどもと)過ぎればなんとやら。笑い話に出来る程度の些事(さじ)だった。

 いや、笑い話へと昇華できたのは2人の信頼によるものか。

 

「──それじゃあ、先に宿に戻ってるから」

「俺はもう少し町を見て回るかな」

「だ(・)よ(・)ね(・)。じゃあ、またあとで」

「またあとでな」

 

 ひとしきり笑いあうと、ラケルは一足先に宿に戻ることにした。

 その足取りは、や(・)け(・)に(・)軽(・)い(・)。

 

 生理中だからあまり外を動き回りたくない、ということもあるが、森で得た戦利品を早く使いたかったからだ。

 経費節約のために、宿で借りた部屋は1部屋だ。資金は共有しているから勝手に使うことはできないし、勝手に別行動を取るのも問題だ。

 だから急がないと、早くしないと遊(・)ぶ(・)時間がなくなってしまう。

 

 早足で借り部屋へと戻ってきたラケルはベッドに腰掛けると、ナップサックの中から戦利品の入った布袋を取り出した。

 

「おいで──」

 

 経血の染み込んだナプキンを捨て、森で得た戦利品──寄生蟲と取り替える。

 待ちきれなかったのか、パンツは半脱ぎ。膝(ひざ)あたりで止まっている。

 

 蟲(・)も(・)待(・)ち(・)き(・)れ(・)な(・)い(・)の(・)か(・)、すぐさまラケルの股に張り付き、彼女を虜(とりこ)にした顫動(せんどう)を開始する。

 

「こ、これぇ……♡ ああっ……ふっ……はぁ……♡」

 

 恋人から隠れてイ(・)ケ(・)ナ(・)イ(・)コ(・)ト(・)をしている背徳感からか。

 ラケルは森のときよりも早く、そしてより深く感じていた。

 

 演技をしているわけではないのに、いやらしい息遣いになってしまっている。

 亀頭(チンポ)と膣口を擦り合わせているだけなのに、挿入すらまだしていないのに、だ。

 ましてや、事を始めたばかりである。

 

 それほどまでに、ラケルにとって蟲との出会いは衝撃的だったといえよう。

 それほどまでに、カークの知るセックスは彼の独りよがりだったといえよう。

 

「き、来てぇっ! ──あああんぅっ♡♡」

 

 そして、ついには体を許してしまう。

 

 自らの手と体で蟲を刺激(ゆうわく)し、蟲にチンポを挿入(い)れさせたのだ。

 ラケルの意思で蟲を求め、受け入れた。

 

 そこに不可抗力や優先順位付けといったものは存在しない。

 

 今この瞬間。カークは人知れず、大切な恋人を寝取られたのだ。

 ちっぽけなムシケラごときに、言葉通り命をも預けられる最愛の人を奪われた。

 

 カークは相談すらされなかった。

 ラケルは相談すらしなかった。

 ──これが、この事実が意味するところは計り知れない。

 

 いよいよ、ラケルの子宮口へと蟲のチンポが口付けをする、まさにそのとき──。

 

「ただいまー」

 

 彼は帰ってきた。

 

「きゃああああああっ!? ──んんんんんっ♡♡」

 

 ラケルは、やはり反射的に股を閉じて隠していた。

 ……両手を股に挟んだまま。

 

 それにより圧迫を受けた蟲は、限界までチンポを伸ばしていた。

 ……子宮口にめり込み、子宮を押しあげるほどに。

 

 よりにもよって、カークの目の前で、ラケルと蟲は深い結合を果たしたのだった。

 

「の、ノックくらいしてよねっ!? 見(・)ら(・)れ(・)た(・)ら(・)ど(・)う(・)す(・)る(・)の(・)よ(・)!」

「ごめん、忘れてた。──ああ、ナプキン替えてたのか。そりゃ驚きもするか」

「そ……そうよ! ナプキン替えてただけだから! これからショーツ穿くんだからねっ!?」

「お、おう。……見たの俺なのに、なにキレてんだ……?」

「いいから、ちょっと出てって!」

 

 カークはラケルの剣幕に気圧され、素直に部屋を出ることにした。

 女を怒らせると後が怖いのは、ラケルとの交際で得た確かな経験だ。

 ……この時ばかりは、それが裏目に働くのだが。

 

「……そうよね♡ ナプキンの交換が済んだら、次はショーツを穿かないとね……♡」

 

 カークが部屋から出るや否や、ラケルは半脱ぎだったパンツを引き戻した。

 それが当然であると言わんばかりに、蟲を股に張り付かせたまま──。

 

 蟲もラケルの思いを受け取ったのか、お返しとばかりに子宮内部へと幼体を送り込む。

 ダ(・)ン(・)ゴ(・)ム(・)シ(・)が蟲チンポの中を通り、ラケルの子宮内(なか)に次々と侵入していく。

 

 幼蟲たちは思い思いの場所に陣取ると──着(・)床(・)した。

 

 腹部から管を伸ばして子宮壁に吸い付く姿は、胎児そのものであった。

 

 カークが長い時間をかけて得た立場(もの)を、カークがさらに長い時間をかけて得るはずだった地位(もの)を、蟲はたったの1日ですべて奪い尽くしていた。

 男として、これほどまでに屈辱的なことは、ほかにないだろう。

 

 

 カークが独りよがりだったこと。

 カークより蟲の方が気持ち良くしてくれること。

 ラケルが長い間、蟲と深く深く繋がったままでいたこと。

 ラケルが蟲の仔を孕んだこと。

 ラケルの気持ちが蟲へと傾いたことに。

 

 それらすべてをカークが知ることになるのは、もう少し先の話──。

 

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