「あぁ……っ! ほ、本当に
とある宿屋の一室で、まだ少し幼さの残る女は恍惚とした表情を浮かべながら、自分の股間を眺めていた。
普段と違い、
自らの手で作り出した倒錯的な光景に、女は口元を緩ませつつ、ごくりとツバを飲み込んだ。
「こんなっ、こんな……♡ 私、すごっ……すごいドキドキしてる……♡ 外から見ただけじゃ、中に蟲が入ってるって分かんないよ、これぇ……♡」
彼女の名は《ラケル》。まだ齢20にも満たない、駆け出しの女傭兵だ。
ラケルのマンコは、
その事実がラケルの興奮をより引き出していた。
女性が穿くパンツは、けっして
下着の足ぐり──布地が折り重なった
つまり蟲は
それも、
それは、
それが、
人間同士では絶対に真似できない密着度だ。
人間……そうだ、
共に傭兵稼業を営み、時には命を救い合ってきた、仲間にして相棒の地位に収まった男だ。
また、ラケルが初めて
その男はいま、薄い木の扉を挟んだ先に居る。
ひとり外を出歩いていたカークはなんとも間の悪いことに、彼女が
これは弁護の仕様もない。恋人だからといって、何もかもが許されるということはないのだから。
そして、
いや、現在進行形で浮気は続いている。浮気相手はもちろん、パンツの中の蟲だ。
──挿入は出来た。
──
──カークと恋人になってから、
──
──こんなの初めて。
──なぜだか身体だけじゃなくて心までも満たされていく気がした。
──でも邪魔された。
なんとも間の悪いことに、さあこれからという時に
──カークはいっつも
──私は
三大欲求の阻害など、許されたことではない。
──ううん、これはオナニーじゃない。
──カークが悪いんだよ? だって……。
罪を犯した者には罰を与える必要がある。
「
カークへの罰の内容は、彼に
ラケルは
「うーい」
気の抜けたような、ふざけた返事でカークが部屋に入ってくる。
それと同時に、蟲の幼体がラケルの
「あれ……?」
子宮口にめり込んだ
羊膜にこそ覆われていないが、その姿は胎児の様だった。
ラケルへの罰の内容は、幼蟲の寄生受胎だった。
いかなる理由があろうとも浮気など、信頼を裏切る行為など許されたことではない。
ほかの
「ん? どうした?」
「今なんか……んー、気のせいかなぁ?」
ラケルは何やら違和感を抱いたが、それが何なのかまでは分からなかった。
列になって1匹ずつ順番に入ってきていたためか。
細く尖った
着々と子宮を占領していく存在に気付くことはなかった。
「変なヤツ」
「女の子に向かって変とか。ひどいなぁ、もう」
「はははっ、ごめんごめん。ほら、こいよ。仲直りしようぜ?」
カークは手近な椅子に腰掛けると、右肘をテーブルにつきながら左手でラケルを手招きする。
つい先ほどまで廊下に立たされていたというのに、すぐ軽口を叩くのは、彼女とイチャつくための口実だ。
「ふふっ、はいはい」
ラケルもいつもの調子で彼と接しているが、先ほどまでのドス黒い重い思いはどこへいってしまったのだろうか。
何食わぬ顔でカークの膝の上に腰掛けたとき、ラケルは自分の
(──えっ? ウソ……、
何の因果か。ラケルがカークに触れたと同時に幼蟲たちは列を守ることをやめ、一斉にラケルの
お腹の奥深くに何かを吐き捨てられたような嫌な感覚に、ラケルは焦った。
蟲の
だが、中出しを決める気は、そこまで
想定外の事態に、ラケルは頭の中が真っ白になってしまった。
「あっ、と……忘れるところだった。これはちゃんと言っとかないといけないよなぁ。鍵かけとけよ。無用心だぞー」
だが、カークは何も知らなければ何も気付かない。何も気付けない。
彼が把握している事といえば、間が悪かった事と、ラケルが無用心な事……このふたつだけだ。
だから彼は──本日二度目となる不満気な表情を浮かべながら──
カークは、女の理不尽さは嵐だと思ってやり過ごしはするが、確りと釘を刺すことは忘れなかった。
無防備な姿を見たのがたまたま
彼の
ラケルの置かれた状況が何ひとつ見えていないからこそ出た言葉だった。
「あうあう……!」
カークは呆れと心配を多分に含んだ視線を注ぐが、ラケルは今それどころではない。
ましてや、彼に隠して浮気をしていたのだ。彼に相談などできるはずがない。
仮に事情を話すにしても、どう相談したものか。
蟲とのエッチが気持ち良かったから、では彼の尊厳を傷つけてしまう。
これでは、カークより蟲のほうが気持ち良い、と言っているのと同じだ。
──それだけは絶対にダメ!
パンツの中に蟲を入れた事を知られれば、よくて変態女、悪ければ狂人だと思われてしまうことだろう。
──そんなの嫌!
「なあ、聞いてる? 俺、結構マジメな
「あ、えっと、えっと……! あぅぅ……」
結果、ラケルは何も話すこともできず、ただオロオロとうろたえる事しかできなかった。
……そして今もなお、彼女の子宮には新たな幼蟲が続々と送り込まれている。
そんなラケルを、カークはさらに追い詰めていく。
「怒ってないから。俺はただラケルが心配なだけ」
幼子をあやすように片手で彼女の頭を撫で、安心させようと空いた腕を彼女の前に回しながら、どこか諭すように語り掛ける
しかし、そんなものは今のラケルにとっては大変ありがたい迷惑でしかない。
彼女の逃げ道は、愛しい彼の手によって塞がれてしまったのだから。
いま彼女が取るべき善策は、パンツの内に潜ませた成蟲を引き剥がすことだ。
そのためには、まずは彼から離れなければならない。
だが、
ここでカークを振り払えば信頼関係に亀裂が生じてしまうだろう。
ここで『トイレに行きたいから離して』などと言えば呆れられてしまうだろう。
ラケルはなすがまま、おとなしく幼蟲をその身に受け入れる事しかできなかった。
「……っ」
最愛の人に抱えられながら、
わけのわからない状況に、悪夢のような状況に、考えられもしなかった最悪の状況に、ラケルの目から涙がこぼれた。
身体は意味もなく震え出し、口からは
「ご、ごめん! そんなつもりじゃなかったんだ! ラケルを泣かす気は……っ!」
「違う……、違うの……」
ついには、幼児が駄々をこねた時のように、イヤイヤと首を横に振りだす。
予想もしなかったラケルの反応に、カークはギョッとした。
もしかしたら怖がらせてしまったのかもしれない、と。
彼女に嫌われる事を恐れたカークは、彼女が泣き止むまで謝り続けるのだった。
「すぅ……すぅ……」
「ははっ、これじゃあ大きい子供だな……って言ったら怒られるよなぁ、やっぱ」
あれから。ラケルは泣き疲れて眠ってしまっていた。
「俺ももっと確りしないとな……。思い返せば俺はいつもラケルにサポートしてもらってるけど、俺がラケルをサポートしたことってほとんどなかったよな。ラケルにはいつも助けてもらってばかりなのに。……これからは俺もラケルを助けていかないとな」
事情は訊き出せなかったが、これからは彼女の身だけでなく心も守ってみせると、カークはひっそりと
……無駄、無価値、無意味。
彼の決意は、じつに無意味なものだ。
彼が決意するには、何もかもが遅すぎた。
あの場で事情のひとかけらも訊き出せなかったカークに、いまさら何が出来るというのか。
いや、訊き出せたとしても、万策すでに尽きたあとだ。
ラケルの
ラケルの
ラケルの
ラケルの
カークが
「おっし! そうと決まれば寝るか! 明日からがんばるぞ! ……おやすみ、ラケル」
誰もが寝静まった時間に、ラケルは目を覚ました。
「……んぅ」
その眼は絶望した人間のそれであり、また、寝ぼけているようでもあった。
(いつの間にか眠っちゃってたんだ……。うん……何があったかも、ちゃんと覚えてる。カーク以外に
思い出すようにパンツに手を添えれば、そこには蟲の気配がある。
(蟲のチンポは
そのことにラケルは安堵すると共に落胆した。
自分
そして
「カーク?」
彼はどこへいったのだろうか。頭を少し横にそらせば、テーブルに突っ伏して眠る彼の姿がそこにあった。
それは
(……ちゃんと
不幸中の幸いというべきか。それとも更なる不幸とでもいうべきか。
彼女は前者だと思った。
見守る姿が、彼女に
「まったく、もう……風邪ひいちゃうよ?」
自分にかけられていた布を彼に掛け直すと、ラケルはランタン等を手に部屋を抜け出した。
向かう先は宿の共用トイレだ。そこなら
芽生えた希望は、彼女に冷静さを取り戻させた。
(ずっと
──
数時間ぶりに解放されても蟲は、最初の出会いの時と同様に微動だにしなかった。
まるで、ここは自分の場所だと、ここは自分の物だと云わんばかりに。
しかし、小さな蟲の意図など人に伝わるわけがない。
──蟲に手を掛ける。
所詮は小さな蟲だ。力の差など人間と比べるまでもない。
だが、まさかの抵抗にラケルは手を滑らせてしまった。
「んっ♡」
数cmほど引き抜かれた蟲のチンポが、勢いよく
「ダメ──あんっ♡」
掴む、滑る。引く、戻る。抜く、
「あっあっ♡ あはっ♡ すごっ♡ いいっ♡ あっ♡」
掴む、
掴む度に取りこぼしていた手は、いつの間にか確りと握られていて。
抜こうとする度、
理性を帯びていた瞳は次第に獣欲を帯びていき。
「わたっ、わたしっ♡ 蟲とセックスしてる♡ しちゃってるよぉ♡」
蟲を取り除くための
なぜ蟲は突如として反抗の意を示したのか。それは、この寄生蟲《ダブル》には
欲求不満だった
「ねえ♥ これでイク? イケるの? ねえっ♥ イケっ、イこ♥ イク♥ イクッ♥ イこっ♥」
小さな蟲に人の意図など伝わるわけがないというのに、ラケルは蟲に語りかける。
だが、次にする行動は伝えるまでもなく
ラケルは
「いぐっ♥♥」
力任せに押し込まれた蟲チンポが子宮口を押し潰す。
乱暴な抽送だろうと、やや先のとがったチンポの先端部分は確りと小さな入口を射抜いていた。
イクには充分過ぎる
「~~ッッ♥♥♥」
初めての本イキに、ラケルはその場に崩れるように座り込む。
だらしのない半開きの口からは涎が垂れ、ぼんやりした目は宙空を眺めた。
十何分、そうしていただろうか。
(……これがイクってことなんだ。私、蟲でイっちゃったんだ)
ようやく落ち着いた頃、先ほどの行為を思い返したラケルは──
(こんなの、人間相手じゃ絶対味わえないよぉ! ずっと
人としてありえない選択肢を選ぶ。
彼女の心はいま、とても不安定になっている。
いや、心は元からヒビが入っていた。
すべてはカークへの不満から始まった。
カークによるカークのためのカークの独りよがりのセックス。
初めて交わった日は、ただただ痛みに耐えるだけだった。
数日を経て破瓜の痛みが引き、肉欲を貪る下地が整った。
しかし、そこでも彼は先に果てた。そして行為はそこで終わった。
カークが先にイって終わる。それが何日も、何回も続いた。
ラケルは彼をおもんばかって、イったふりをしていた。
円滑な関係を続けるには相手を
だが偽りの積み重ねは、結果的に彼への気持ちにヒビを入れてしまった。
そんな日々を送る中で起こった、蟲との
身体の相性もあったのだろう。カークとの交際を始めてから、ラケルは初めてイった。
蟲が
そして最後は、蟲の植え付け。
空いた穴に蟲が詰め込まれた。ラケルの心身は虫食いにされた。
巣食ったのは成蟲だけではない。ラケルは気付きもしないし気付けもしないが、眠っている間に彼女の子宮には、子宮壁を覆い隠すほど大量の幼蟲が隙間なくぎっちりと詰め込まれている。
そのすべてが彼女と繋がっている。成蟲が蓄えていた、そのすべてが彼女の
……その後に待っている展開など想像に難くない。
彼の事を思うなら、彼とはここで別れるべきだろう。
しかし、ラケルはその選択だけは選ばない。選ぼうとはしない。
実務的な事だったり、現実的な問題だったりと理由はいくらでも並べられるが、それらすべてを凌駕する理由がある。
別れる
むしろ別れた方がカークにとって大きな不利益となるとすら考えている。
──カークは私がいなくちゃダメだからね。
ラケルはパンツを穿き直すと、