※この作品はR-18です。

寄生モンスター図鑑   作:それも私だ

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4月といえば新年度。部署移動や転勤、引越しなどの新生活の季節ですね。
つまりまあはいそういうことです。いつものクソ長設定はすっ飛ばしても大丈夫です。
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寄生蟲《クラスタトロフ》

《クラスタトロフ》

 ・巨大なカマキリ。前腕部に鋭い鎌状の器官を持つ。胴体および四肢はとても太く肉厚であり、原種のカマキリ(通常の小さなカマキリ、便宜上そう呼称する)とはとても似付かない様相となっている。メスは全長約120~160cm(頭部および翅/尻部等を含む)、直立時は約130cm程になる(人間でいうと10歳児程度の身長、成体)。体色は緑色。

 ・オスはハリガネムシに酷似した姿をしており、全長30~██cm、幅3~5cmほどで、体色は黒く、全身が保護粘液でヌメついている(オス/メスで記載内容が異なる理由は後述)。また、消化器に類する器官を持ち合わせていない。

 ・基本的な生態は、原種のカマキリと変わらず肉食性であり人も襲う。

 ・大きさのほかに原種と大きく異なる点は、その生態と生殖形態。カマキリの姿を取るはメスだけであり、オスはハリガネムシに酷似した姿を取っている。原種同様、見た目通りの関係にあり、オスはメスの体内に潜んでいる(寄生している、個別に生まれるのではなくメスがオスを内包した状態で孵化する、ある意味で雌雄同体とも云える)。メスは単なる器に過ぎず、自我と呼べるものを持たない。内部にいるオスがメスの身体を操縦する。たとえ首を切り落とされても即死に至らず、その状態のまま長期間活動できる。その場合の直接的な死因は餓死となる(ローチ並みの生命力)。

 ・主に長身の草が生える川辺に出没/生息する(メスの姿が見えなくなる高さの深い草むら、藪(やぶ))。卵鞘は拳骨(げんこつ)ほどもあり、孵化する数は███匹相当にもなる(生殖は体内で行われ、卵鞘は適当な場所に産み捨てられる)。一度でも孵化を許してしまうと、その周辺地域に住む者は長期に渡る駆除活動を強いられることになる(この特徴は当モンスター名称の由来にもなっている)。卵鞘ひとつで大量発生させられることから、戦略兵器として扱われた時代もあったが占領後の諸問題からすぐに廃れた。

 ・同種で争う様子がしばしば目撃される(同種同士で争いもするも簡単には根絶とはいかない)。特に自分よりも大きい相手に襲いかかる傾向にある(優良種の選別本能?)。一方が戦闘不能になると、敗北者側(以下、『甲』)のオスは勝利者側(以下、『乙』)のメスの中へと乗り込もうとする。その際、両手のカマを地面に突き刺し縫い付けるように相手に覆い被さる、組み付くなど捨て身の行動に出る。これを阻止できなかった場合、メス同士の戦いからオス同士の戦いへと移行する。この時、乙が負けるとメスの中から追い出され、メス/器を奪われてしまう。乙が守り通せた場合、甲は元のメスの中へ戻るか、乙にトドメを刺され殺される。甲が第二戦で勝利した場合は、中身が入れ替わる結果に落ち着く(乙は見逃される、メスの性能差が証明されているためか乙はそれ以上の反撃を行わずに逃亡する、入れ替わるはずのメスが死亡している場合はそのまま宛ても無くさまよう)。

 ・両腕の鎌は分厚い布程度ならば容易く切り裂くが、1対1の場合、戦いに慣れ始めた新兵でも充分に対処は可能であり、直接的な脅威には至らない。討伐の際は、全身鎧または木の板を2枚ほど用意することを推奨する(金属には無力、鎌を板に咬ませることで無力化できる)。多数を相手取る場合は、数で押し切られないよう、こちらも頭数を用意するか金属鎧の着用を強く推奨する。なお、オスは人間にとって脅威といえるような攻撃手段を持たない(戦闘能力は皆無)。

 ・対峙者が女性の場合、絶対に背を向けてはならない。もしくは2人以上で行動すること。討伐後に背後から強襲、飛び掛られ、地面に縫い付けられてしまう恐れがある。

 ・人間への寄生被害は女性のみに限られる(子宮に寄生する)。被害者はいずれも緑色の服や鎧を身に付けていた(色や大きさ等で同種のメスだと誤認する?)。男性が寄生された事例は存在しない。

 ・寄生直後は場合により宿主の腹部をひどく歪ませることもあるが、時間が経過するにつれ体内で暴れることはなくなり、最終的に目視では判別できなくなるほど宿主の肉体に馴染んで落ち着く(まるで内臓のような調和をかもし出す)。長く居座るために子宮を拡張していると思われる。なお、拡張された子宮は寄生蟲を摘出することで時間の経過と共に元の大きさへと戻る(通常の妊婦と同じ反応)。

 ・人間(他生物)に対しても操縦能力は顕在(けんざい)であり、気絶/就寝中など宿主の意識が無い場合にかぎり操縦を行なえる。

 ・また、洗脳能力(精神汚染)もあり、寄生が長期に渡ると認識等が改変され、寄生状態を維持しようとする(体内のオスを喪失すると自発的に再度寄生されに行く、保護粘液に特殊な効果や依存性がある? 喪失感に対する補填意識?)。また、積極性が増し、好戦的/攻撃的になる。そのほか男性(人間)への性的認識が損なわれる等、精神への影響は多岐に渡る。

 

 

【被害者NO.██████】

 ・都市国家█████の剣術女学校に在籍する生徒(現在観察中)。

 ・非常に攻撃的であり交渉等は困難を極めている。

 ・都市国家側も市民の引渡しを拒否しているため、対応は現場での観察処理に留める。

 

【特記事項:都市国家█████】

 ・同都市へと派遣していた調査員が都市内部でメス個体を発見。事態が発覚した。

 ・女学校の制服が緑色である、城壁内に川が流れている等の悪条件が重なった結果、女学校および川辺を中心に被害が発生している(生徒への寄生、城壁内に当モンスターが多数生息)。現時点で██名への寄生被害が確認されている(確認の取れない寄生適合者を除く)。

 ・女生徒の間では、この寄生蟲は性玩具または恋人のように扱われており、この寄生蟲を獲得するために『カマキリ狩り』なる行為が流行している。そのため周辺への物的被害は軽微に収まっている。

 ・同女学校は、女性の社会進出および権利向上の一環として設立された(幼年の軍学校や練兵所のようなもの)。

 ・制服にはコルセット(防具としての機能を併せ持つ)が含まれており、これが発見/発覚の遅れの一因になったと思われる。

 ・補遺1:医師Jから経過観察を行なうように要請が出ています。調査のために件の都市国家を使い潰しても構いません。人体への適合進化/変異種を発見した場合は、都市国家側に察知されずに宿主ごと速やかに回収を行なってください。医師Jは何かを危惧しています。

 ・補遺2:大規模寄生被害の原因となったと思われる第一被害者(女学校内に広めた者)の特定(事情聴取)を試みたが、どの生徒とも意思の疎通は困難を極めた(男性調査員を威嚇(いかく)する、女性調査員に蟲を奨める/けしかける等、有益な情報も得られなかった)。聴取の続行は危険。第一被害者の特定は難しいものと思われる。

 ・補遺3:██により同都市への滅菌作戦が提案されています。

 

 

────────────────────────────────

 

 

 ある年を境に、都市国家群を中心として女性の自立運動が加速している。ある商業都市では女性市長が能力(ちから)を発揮し、またある都市では女性軍師が辣腕(らつわん)を揮(ふる)っている。

 そして今(・)回(・)の(・)舞(・)台(・)となる都市では愚(・)か(・)に(・)も(・)、女性による、女性のための、女性だ(・)け(・)の(・)警備隊の発足……その下準備が行なわれていた。

 

 ──城壁の中を川が横断する、城郭都市《オルレアン》。

 

 城壁は川を跨(また)ぐようにして──橋のようなアーチ状に──建てられている。

 もちろん、そのままでは外敵が入り放題となってしまうので、アーチ状の風(・)穴(・)は鉄格子で塞がれている。

 

「うっわ。なぁにこれぇ」

 

 ……しかし、何本かの鉄格子は老朽化と腐食により役目を果たせずにいた。

 

「でも、これなら計(・)画(・)通(・)り(・)壁の外に出れるかも!」

 

 城壁の穴(・)を爛々(らんらん)とした目で見つめる少女の名は《ジャンヌ》。

 同都市に新設された剣術女学校に通う13歳の少女だ。

 

 市民の平穏を崩しかねない破滅の玄関口を前にして喜ぶという、頭の軽そうな言動からは想像しづらいが……ジャンヌは向上心の塊で、とても勤勉な少女だ。

 

 頭が軽いからこそ、ひとつの事に、剣に青春(すべて)を打ち込める。

 それこそ、自分こそが頂点であるべきだと思うほどには。

 

 そんな彼女の言う計画とは、実戦経験を積むことだ。

 

 いつか外敵と戦う自分達(ジャンヌ)ではあるが現在(いま)はまだ学生の身であり、普段から剣を交える相手は教師か生徒のどちらかとなる。

 彼女らとの時間は大変有意義ではあるが、自分達(ジャンヌ)はまだ子供であり、そして大人たちの指導もまだまだ手探りの段階だ。

 

 子供対子供でも、子供対大人でも、どうしても甘(・)え(・)が残る。

 駄サイクルとまではいかないが、その場で足踏みをしてしまっている。

 ジャンヌは成長らしい成長を感じ取れないでいた。

 

 言語(ことば)化(に)するには難しくとも、心ではそう感じていた。

 そんな環境下で周りより一歩先へ進むにはどうすればいいか。

 

 環境が悪いのならば環境を……戦う相手を変えてみるのはどうだろうか。

 

 例えば……壁の外へ一歩踏み出し、外敵と、モンスターと戦ってみるのは。

 

 一歩、そう、たった一歩先を踏み出すだけで同期生(ライバル)に差を付けられる。

 そうだ、ただ一歩、踏み出せばいい。それだけだ、それだけでいいのだ。

 

 そんな若者特有の恐れ知らずの精神が、彼女を死地へ追いやろうとしている。

 

「──いざ、行っかぁーん!」

 

 だが、この場に居るのは彼女だけだ。

 子供の暴走を止めるべき大人も、防衛網の穴を知らせに行くべき人間もここには居ない。

 

 これが後(のち)の《深緑の蠱毒(こどく)事件》の始まり、その序章の幕開けであった。

 

────────────────

 

「へー……、壁の外ってこんなふうになってるんだ。なんにもないんだね」

 

 初めて見た壁の外は……何(・)も(・)無(・)か(・)っ(・)た(・)。

 

 ジャンヌが抱いた感想はそんなものだが、実際には自然豊かな景色が広がっている。

 目立つものをあげれば、小さな森、遠く離れた場所(いち)に見える街道、そして城壁に繋がる川など。

 何も無いということはないのだが、壁の中で育った少女からすればどれも取るに足らないようだ。

 

 それもそのはず。少女が求めるはモンスターの姿……風景など興味の外だ。

 

「うーん、見通しはいいけどモンスター居ないじゃん! 草むらに潜んでるのかな?」

 

 ジャンヌは草むらと言ったが、川沿いに広がるそこは藪(やぶ)だ。

 背丈の高い草が生い茂っているそこへ足を踏み入れれば、身長160cmにも満たない少女の姿など外からは見えなくなる。

 

 外から見えなくなるということは、裏を返せば中に何が潜んでいるかも分からないということ。

 まともな危機意識を持つ者ならば、そんな所へ立ち入りはしない。

 

「よし、行こーっ!」

 

 しかし、ジャンヌは進む。

 

 この少女はそういった意識が低いどころか、逆に危険を求めているのだから。

 危険を避けるという選択肢はもともと存在しないのだ。

 

 ガサガサと草を掻き分けながら進むこと数分。

 ついに目的のモンスターを見つける。

 

「……! 居た……っ!」

 

 潜伏者の正体は、ず(・)ん(・)ぐ(・)り(・)とした巨大なカマキリだった。

 

 小さな子供ほどあるその巨体は、まさしくモンスターといえよう。

 カマキリには似つかわしくない分厚い胴体と四肢はまるで鎧のようであり、筋肉のようでもある。その双腕に取り付けられた鎌で切り裂かれたら、ひとたまりもないだろう。

 

 幸運だったのは、カマキリにとって想定外の遭遇だったということだ。

 

 先に動いたのはジャンヌだった。想定内だったからこそ動くことができた。

 見敵必殺──抜刀の勢いのまま、カマキリの首を刎(は)ね飛ばす。

 

 昆虫はその小ささと自重の軽さから、柳(やなぎ)のように強いちからを受け流すことができる。

 だが、大きな昆虫は柳(やなぎ)にはなれなかった。

 

「……弱くない? こんなののために必死に訓練してきたの? ……え~っ! そんなのってないよ!」

 

 初陣としては怪我もなく一瞬で終わらせたことは大戦果といえるのだが、呆気ない幕切れにジャンヌは大きく不満を漏らした。

 

 今回はとても運が良かったとはいえ、戦い……殺し合いとは本来そういうものだ。

 いかに手早く手際よく相手を殺せるか。それがすべてだ。時間をかけるなど無駄でしかない。

 

 動物が行なう狩りでも、戦いよりも追う時間の方が長い。

 また不利とみるや否や襲撃側はすぐに諦めるか逃(・)げ(・)る(・)か(・)の選択もする。

 

 満点の結果に不満を抱いたのは、これまで人間相手の試合しかやってこなかった弊害といえよう。

 試合では相手(ひと)を殺してはいけない。だから長引く。長引くことが当たり前となっていたのだから。

 

「はぁ……帰ろ」

 

 そうした積み重ねが、環境の違いが、最後の最後に最大の失敗を犯させる。

 

 都市へ戻ろうとジャンヌがカマキリの死体に背を向けた、その次の瞬間。

 ──首(・)の(・)な(・)い(・)モ(・)ン(・)ス(・)タ(・)ー(・)がジャンヌの背中へと飛び掛かった!

 

「えぇっ!? なっ、新手ぇっ!?」

 

 想定外の事態にジャンヌは抵抗する暇もなく、地面に縫い付けられてしまう。

 

「うぐぐっ! 動けない!」

 

 抵抗しようにも彼女の上に被さる存在に身体を抑え付けられたことで手足は満足に動かすことができず、はね返そうにも昆虫にしては規格外の重量のせいで身体をひねることもできない。

 

 薄暗い藪(やぶ)の中、うつぶせに押し倒された少女にはどうする事もできない。

 幸運だったのは、ジャンヌが緑色の制服を着ていたことだ。

 

 このカマキリは元々この一帯に生息していたのではなく、同種との戦いの末にこの地に流れ着いた1匹だった。

 ジャンヌと戦う前からすでに躰はボロボロで、誰でも簡単に倒せる状態にあった。

 

 ボロボロになった鎧は、新しく交換するのが世の常だ。

 ──そうとも。その躰はまさしく鎧だったのだ。

 

 ジャンヌを襲ったのは新手ではなく、残党だった。

 ……そうだ、残党だ。複数だ。

 

 この昆虫系モンスターの名は《クラスタトロフ》。

 脳の存在しないメスの躰を、オスが内部から操縦する寄生型の昆虫だ。

 メスの姿はカマキリのそれであり、オスの姿もまたハリガネムシのそれである。

 

 寄生蟲に操られる点は本(・)物(・)の(・)カ(・)マ(・)キ(・)リ(・)と同じだが、異なる点ももちろんある。

 このモンスターは、同種同士でメスを奪い合うのだ。

 

 より強い器に種付けすることで、より強い器を作り出す。

 そのために、まずはメス同士を戦わせて実力を測る。

 

 負けた側からすれば、勝者の持つメスの躰はとても魅力的だろう。

 そうして第二回戦が始まる。欲しいなら奪えばいいのだ。

 

 諦め悪くも組み付き、胎内(なか)に挿入(はい)り込み。

 メスの所有者を追い出して、自分が新たな所有者となる。

 

 緑色はメスの色──……蟲はジャンヌを同族(メス)だと認識した。

 

「ひゃあっ!? ちょ、ちょっと!」

 

 カマキリの尻から黒い触手のようなものが伸びると、触手はパンツ越しにジャンヌの秘裂を探った。

 

 ジャンヌにとって不幸中の幸いだったのは、パンツを穿いていたことだった。

 パンツが壁となり、その入(・)口(・)を隠すことで寄生蟲の侵入を防いでいた。

 

 だが、蟲にとっては幸(・)い(・)中(・)の(・)不(・)幸(・)だ。

 1秒でも早くその肉体(からだ)が欲しいというのに、パンツが邪魔で挿入(はい)ることができない。

 

「こいつ、あたしとエッチしようとしてるのっ? ヤダっ! 挿入(はい)ってこないで!」

 

 ジャンヌは13歳の少女だ。初経はとうに来ているし、それに伴い性知識も学んでいる。

 だから、蟲がどこに挿入(はい)ろうとしているのかすぐに見当がついた。

 

「そんなことしちゃダメって先生に言われてるんだから! 怒られちゃうから! やめて!」

 

 だからだろうか。またまたジャンヌは最大級の失敗を犯してしまう。

 

 秘裂を探る不快感から逃れようとしたジャンヌは身体を捩(よじ)った。捩(よじ)ってしまった。

 前に進めなくとも、逃れることができなくとも見せた抵抗と拒絶の姿勢(いし)は、身体とパンツの間にほんのわずかの隙間を作ってしまった。

 

 防壁とは完璧でなくてはならない。わずかだろうと隙間ができてしまえば侵入はたやすい。

 皮肉なことにも、ジャンヌが城壁の外へ抜け出せた理由と同じことだ。

 

 ジャンヌの秘裂を守るものは失くなった。

 自らの行動で無くしてしまった。

 

「ひぎッ!?」

 

 生存戦争を生きる蟲は、最大の幸運を見逃さない。

 

 触手は隙間ができたことに気が付くと、すぐさま間へと割り込み、ジャンヌの割れ目にその先端を当てた。

 パンツは横へ押し退けられることはなく、つっかいのように触手に接したまま──触手に引っかかっている。

 

 人であれば興奮するシチュエーションのひとつだが、蟲にそ(・)こ(・)ま(・)で(・)の(・)知(・)性(・)が無ければ、パンツなど重要なことではない。

 触手にとって重要な事とは、メスの内(なか)に挿入(はい)ること──その障害となるものはすべて無価値だ。

 

 少女にとって一生に一度の処女膜も、触手にとっては無価値であり無意味だ。

 何の感慨もなく無遠慮に突き破っては膣内(なか)へと貫き通るだけだ。

 

 そう。たとえ血が滲み出ようが本能のまま無遠慮に、無配慮に。

 幼い膣をこじ開け最奥まで、いっきに押し挿入(い)るのみ。

 

 触手を覆う保護液を潤滑油とし、力任せにジャンヌの膣を貫き拓いた。

 

 ジャンヌは処女を失った。

 

「んぐぅ……ッ!!」

 

 にゅるりとした触手が子宮口の前でびちびちと跳ね回る。

 何(・)か(・)を探るような触手の動きに、身体の奥を穿(ほじ)る触手に、ジャンヌは歯を食いしばって耐えることしかできなかったが、幸いにもその時間はすぐに終わることとなる。

 

 何かを探る動きはある一点に向かって収束していった。

 探る動きは潜る動きへと──触手が子宮口の存在に気が付いた。

 

 腕は立つといっても、ジャンヌは少女だ。女だ。

 身体の中までは鍛えられないし、その身体は他者を受け入れるためにある。

 

 対して、相手は触手。人外の世界を生き抜いてきた猛者だ。

 抵抗などできるはずもなく、今度もあっさりと踏み込まれた。

 ──子宮の中へと、触手が挿入(はい)ってきた。

 

 それは首のない半死体のカマキリの体内(なか)から、温かな少女の胎内(なか)へのお引越し。

 無慈悲にも触手は子宮口を突き抜けると、身体をくねらせて少女の胎内(なか)へと全身を侵入させていった。

 

 地面に押し付けられたジャンヌの白い腹を、触手がぐねぐねと内側から形を歪ませる。

 胎内(なか)で暴れまわることで小さな子宮を無理やり拡張していた。

 己がすべてを、この小さな少女へと受け入れさせるために。

 迎えるべき終わりのために。

 

 全長30cmを超える長い触手が、ついにカマキリの身体から切り離され、その終端がジャンヌの膣口へと呑まれて消えた。

 触手が膣内へと完全に消えると、つっかい棒を失くなったパンツは、わずかな隙間を残して再び膣口を覆い隠した。

 

 触手の終端は膣口から子宮口へと再び呑まれて消え、外からも中からもその姿を消した。

 仮にいま膣口を開いても、少女の一番深い場所(ところ)へと移住した触手は見えはしない。

 

 唯一の判断基準は、内部に何かが潜んでいると分かる、歪んだ腹部だけ。

 

「はぁ……はぁ……」

 

 操縦者を失ったカマキリの身体から力が抜けるが、あまりの事態(こと)に、いつのまにか脱力していたジャンヌはすぐにはそれに気付けない。

 

 初めて受けた苦痛にジャンヌはそのままの状態と姿勢で息をついていた。

 体力が戻るまで十数分を必要としただろうか。

 

 ようやく息が整ったジャンヌは、カマキリの死体から恐る恐る離れた。

 

「……終わったの? 敗者のくせにみっともないあ(・)が(・)き(・)なんかしないでよッ!! このっ! 死ねっ!」

 

 恐れる心をそのままカマキリの死体にぶつけた。

 死亡確認の意味でも足で蹴った。カマキリは動かなかった。

 

「でもまあ……いい経験にはなったかも? 最後まで油断するな~、ってことね!」

 

 完全に死んだことを確認したジャンヌは今度こそ帰路につく。

 ……その胎(はら)に寄(・)生(・)蟲(・)を宿したまま。

 

「え、エッチなこともされちゃったけど……言わなきゃバレないよね!」

 

 ジャンヌの実力は、実戦を経てより高みへと近づいた。

 実戦を伴わない半端な実力は、最期の最後まで気を抜いてはならないことを知らなかった。

 今回、それを知ることができた。

 

 ジャンヌの性知識は、所詮ただの知識でしかない。

 実践を伴わない半端な性知識は、性行為の終わりが『引き抜く』ことを知らない。

 今回、それを知ることはなかった。

 

 ジャンヌの胎内(なか)にはまだ寄生蟲(チンポ)が這入(はい)ったままだ。

 13歳の幼い子宮の中に、オスそのものを宿している。

 

 都市に戻っても、この事は誰にも言うつもりもない。

 ──それは黙っておくことで同級生(ライバル)に差をつけられるから。

 ──それは黙って外に出ることが悪いことだと知っているから。 

 

 かくして厄災は都市へと持ち込まれる。

 

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