《プリミティベビー》
・外見は、ヘソの緒がついたままの
・女性の気配を感じ取ると、泣き声をあげるなど誘き寄せようとする。
・見た目通り直接的な脅威にはならないが、その外見を活かして母体候補とする女性から抵抗力を徹底的に削ぎ落とす。
・逆出産ともいうような寄生行為には激痛が伴う。しかし被害者は耐えてしまうことがほとんど。寄生された被害者の腹部は、臨月の妊婦と同じように膨れ上がる(生理も止まる)。
・寄生後、宿主は胎の仔を第一と考え、仔を護る行動を取るようになる。精神汚染の度合いは凄まじく、除去/治療を施すと廃人と化す(二次寄生被害等は確認されていないので放置が最も適切な対処、また裏付けが取れないとそれと見分けがつかない点が厄介)。
・宿主と寄生体はヘソの緒で繋がる(宿主の行動を制御している?)。ヘソの緒の先端は植物の根のように広がっており、胎盤は存在せず、直接子宮に根を張る(侵食する)。
・寄生体は宿主の胎に居座り続け、出産に至ることはない。
・メモ:████各位へ。当寄生モンスター担当者の大半が深刻な精神的損害を負っている。人員の選考はよく考えて行なうように。
・メモ:赤子、赤ちゃん等、人間の子供を連想させる単語の使用を避けること。
| 【被害者NO.██████】 ・█████地方にて活動中の傭兵(経過観察中)。 |
「生まれたばかりの赤ちゃんを置き去りにするなんて、ありえないわ……! ちょっと肌の色が違ってたとしても、ちゃんと生きている人間なのに! ……許せないわねッ……!!」
傭兵稼業を営むファルサは、森で見つけた赤子──
正義感の強い彼女は、赤子を産み捨てた外道に
「ごめんね。本当はいますぐ町へ戻りたいんだけど、まだ掛かるの……」
ファルサは捨て子に詫びると、野営の準備に取り掛かった。
深夜。ファルサは万が一に備えて、捨て子を胸に抱いて眠っていた。
全身を重厚な装甲で包んで臨む戦闘スタイルを好む彼女をどうにかするには、今が絶好の機会だといえよう。
そんなことは彼女自身が一番よく理解している。
自分の胸の中で静かに暴れ始めた赤子に、彼女は浅い眠りから目を覚ます。
赤子はファルサが起きようが、もがく。
もがく、もがく、もがく──。
なおも暴れる赤子の様子に、ファルサは強く抱き締めてしまっていたのだと察した。
「ご、ごめんね! すぐに放すから!」
赤子の眠りにはやはり、ゆりかごが最適だ。
しかし、そんなものはこの場にはない。
だが、代用品の用意は可能だ。
ファルサは少々
ファルサは木を背にしているので、この体勢でも彼女は休息を取れるだろう。
ファルサは再び、浅い眠りにつこうとするが──。
「そ、そんなところ触っちゃダメよっ」
下着をなでる赤子の腕に、ファルサは慌てる。
いまは真夜中の野営であることと、相手が赤子ということもあり、声は荒げても大きくはない。
乱暴に扱うわけにはいかず、赤子の対応に躊躇していると、今度は小さな頭が擦り付けられた。
「え……」
──母に捨てられる前の幸せだった頃に、
ファルサは、赤子がそう訴えているのだと感じた。
「いいよ──私があなたのお母さんになってあげるね」
下着を脱いで、赤子の前で足を広げる。
ファルサは目の前の赤子に、すっかり情が移っていた。
それも、正常な判断が下せないまでに。
ファルサは処女だ。普通ならば、男を未だ知らぬ肉穴に
いや、仮に男を知っていたとしても不可能だっただろう。
しかし不思議なことに、赤子の頭はぶにゃりと歪み、彼女の
「ッ! ~~~……ッ!!!!」
赤子の歪んだ頭が、ファルサの処女膜を突き破る。
処女喪失と、異物が侵入する痛みに、ファルサも顔を歪める。
だが、
赤子の頭が首の付け根まで入り込むと、赤子の歩みが止まった。
それはそうだろう。どんな生き物も肩が通らなければ、それより先へは進めない。
どうしても進みたいのならば、身体を道に合わせるか、肩を砕くしかない。
逆を言えば、それさえ出来れば先へ進めるということ。
赤子の選択は──
赤子の肩までもが歪み、ファルサの
緩やかに、緩やかに。
彼女の苦痛を長引かせるように。
緩やかに。緩やかに。閉じた肉の道を割り進む。
「────」
あまりの激痛に、ファルサは、ついに意識を手放した。
意識があろうがなかろうが、赤子の侵入は止まらない。
──いや、再び止まった。
頭が子宮口に達したのだ。
さすがの軟体生物の進軍もこれまでか。
しかし軟体生物は諦めきれず、なおも前進を選ぶ。
子宮を奥へと押し上げてまで、
するとどうだ。
行き場を
為せば成るとはこのことか。
異形の存在は、かつてない偉業を成し遂げたのだ。胎内回帰という偉業の第一歩を。
頭さえ通ってしまえば、あとは膣口を通ったときの繰り返しである。
肩が子宮口を通る。
赤子の小さな腕がファルサの
腕が子宮に収まる。
ついに赤子の小さな足までもがファルサの
そして、とうとう、赤子の全身が子宮に納まる。
いや、全身と言うにはまだ早い。
外に取り残されていた長いヘソの緒が、蛇のようにスルスルと、本隊が通ったあとの道を難なく進み、子宮の中に陣を敷いた本隊と合流を果たす。
これでファルサの
しかし──まだだ。まだファルサは母に
狂気の中、彼女の腹は寸分の狂いもなく妊婦の
胎児は最後の仕上げに取り掛かる。
胎児のヘソから伸びる
ヘソの緒は、まさしく後詰めだった。
子宮を侵食される感覚に、ファルサの身体はわずかに震え、閉じていたまぶたが開かれていく。
「──あれ……わたし……どうして……──そうだ、
意識を取り戻したファルサは慌てて自分の身体を確認するが、お腹が大きく膨らんでいると分かると、すぐに安堵した。
ちゃんと
──よかった、無事だ。
「おめでとう。私がお母さんだよ」
こうして、ファルサと胎児は
「うわ……おい見ろよ。《ルナ》だ」
「あれがあの。あんな
「ああ、まさに母は強しってほどな。……田舎のかーちゃん、元気にしてるかな……」
あのあと町へと戻ったファルサは、鍛冶屋に新たな鎧を造らせた。
胎児の存在を
鎧は膨らんだ
ファルサはお腹の子を護るために金属の鎧で身を包む。
その下では胎児が
親子は似るのかもしれない。
似ているから親子なのかもしれない。
「ふふ……お母さんがずっと護ってあげるからね」
ファルサは鎧越しに我が子をひとしきり