※この作品はR-18です。

寄生モンスター図鑑   作:それも私だ

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これは避けられたはずの運命へと向かう、ひとりの少女の物語──。
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寄生体《ミミック》

《ミミック》

 ・宝箱に寄生する肉塊。宝箱に仕掛けられた罠として、ダンジョン探索者に知られている(『宝箱』は、大昔に貴族が泥棒対策で罠を仕掛けたことが始まりだとされている)。

 ・鋭い牙と大口を持っていて、人間の頭など簡単に捕喰してしまうが、開けなければ何も問題はない(盗掘は我々の仕事ではない)。

 ・メモ:人体などに寄生した事例は確認されていないが、寄生するモンスターということでリストに載せる。

 

【被害者No.      】

 ・                

 

 

────────────────────────────────

 

 

「──スキル《鑑定》発動っ!」

 

 しかし、何も起こらなかった。

 

「ぐぬぬっ! 未(いま)だ我が力は目覚めぬかっ!」

 

 何も起こらなくて当然だ。ここは現実(ほんもの)の世界(ファンタジー)なのだから。

 少女が頭の中で描く空想が、現実世界に作用するわけがない。

 

「ふむ……この黒き聖骸布(せいがいふ)を識(し)るには、我が身に装着するよりほかないようだ」

 

 頭のかわいそうな──濃紺と黒色の区別もつかない色々と残念な──少女は、物言わぬ衣類(ブルマ)を巻き込んでまで妄言(もうそう)を繰り広げる。

 

「よかろう……この我(われ)が──下界に舞い降りし《漆黒の天使》・ヒロが、世界の謎を解き明かしてやろうではないか」

 

 残念なことに《漆黒の天使》は少女──ヒロの二つ名だ。単なる自称ではない。

 

 黒い鎧に、白のラインの入った黒いプリーツ・ミニスカート、白のガータベルトとニーソックスと。

 一部の男性の理想が集約したかのような、い(・)か(・)に(・)も(・)な(・)格(・)好(・)であること。

 

 本人が言うように、天から舞い降りたかと思ってしまうほどの美少女であること。

 そして、頭の中が天(・)にいってしまって空(・)なことが、その由来となっている。

 

 ここだけは妄想と現実が一致していた。

 

「我(わ)が純白の守り神よ、ご苦労であった。汝(なんじ)に一時(ひととき)の休息を与えよう」

 

 守り神とは、下着──パンツのことだ。

 

 ヒロは、紐(ひも)で両端を縛る種類(タイプ)の下着を好んで着用する。

 過去に一度、粗相をしてしまった際にパンツが脛当(グリーブ)を通らなくて脱ぐに脱げなかった苦い思い出から得た教訓だ。

 

「ククッ、手間を掛けさせるな……♪」

 

 いそいそと、少し楽しそうな顔で脛当(グリーブ)と紐(ひも)パンを脱ぎ出すヒロ。

 だが現在地(ここ)は地下迷宮──ダンジョンの中だ。

 

 そんな危険な場所に居るのにも関わらず、教訓を大事にする人間が、どうしてそんな蛮行ともいえる行動に出たのか。

 

 その理由はもちろん、お宝である聖骸布(せいがいふ)……ブルマにあった。

 

 現(・)代(・)には無い、未知の素材で作られていたのだ。

 

 弾力がある。

 肌触りがいい。

 柔らかい。

 なんかよさそう。

 

 大事な部分を護らせるのだ。よりよい物をあてがいたくなるのも分からなくはない。

 紐(ひも)パンの上に穿かなかったのは、ブルマの中に白い二重布(クロッチ)があったからだ。

 ゆえにヒロは、これはブルマではなくパンツだと思った。

 

「んっしょ、んっしょ……」

 

 両足首をブルマに通す。

 

 ふくらはぎから膝を滑って上がっていく。

 

 いよいよ太ももに差し掛かる。ゴールは目前だ。

 

 ──女冒険者──ダンジョン──ソロ探索──不用意な装備変更──……何か起きるはずもなく、新たな守り神が聖域に着任した。

 

「ほう……我が肉体に適合するか。思ったとおり、なかなかの物だな♪ 感謝するぞ、強敵(とも)よ──」

 

 ブルマの着用(フィット)感に満足したヒロは、傍(かたわ)らに転がる宝箱の残骸を見やる。

 

 ブルマは、ミミックから勝ち得た戦利品だった。

 

 そんな(魔)物から出てきた得体の知れない下着を身に着けるなど、正気を疑うところだが……ヒロは元々他人とは少し気が違っている少女だった。

 

 天使に常識は通じない。

 

────────────────

 

 満足のいく結果を得られたヒロは、上機嫌でダンジョンの出口へと向かって移動していた。

 にっこりと笑顔を浮かべながら両腕を振って歩く姿は、たしかに天使だ。

 

「~♪」

 

 その天使に魔(・)の(・)手(・)が伸びる。

 

 ──ブルマの内側に、極細の肉(・)芽(・)が現れた。

 

 ミミックは死ぬ間際に、ブルマに種(・)を残していた。

 

 このまま成長すれば、愚かなヒロは無残にもミミックに下腹部を捕喰されるのだと、誰もが思うことだろう。

 

 しかし、ミミックが根付くのはブルマのほうではない。──ヒロだ。

 

 肉芽は成長して細い蔓となり、閉じた割れ目から膣に侵入していく。

 子宮口付近までたどり着くと肉芽の成長が一旦止まった。

 どうやら子宮の中までは侵すつもりはないらしい。

 

 そう、子宮の中は(・)。

 

 

 ブルマの内側に、新たな肉芽が現れる。

 

 やはり細い蔓に成長したそ(・)れ(・)は尻穴を進む。

 長い直腸に合わせているのか、それとも肥(・)料(・)の違いか。

 膣の時とは打って変わって、よく伸びる。

 

 肉蔓が直腸を抜けることはなかったが、かなり奥深くまで入り込んだ。

 

 

 二穴(これ)で終わりかと思いきや、またもやブルマの内側に肉芽が現れる。

 今度は尿道口の冒険に向かうようだ。

 なるほど、ミミックらしく変なところで強欲らしい。

 

 しかし、女の尿道は約4cm前後とかなり短い。

 すぐに行き止まりだ。

 

 さすがの肉芽もこれには勇み足。

 今度は膀胱(へや)の中にまで足を延ばしてしまっていた。

 

 

 こうして、肉芽いや肉蔓達が三つの地点に辿り着いたわけだが。

 まだダンジョンに潜っただけで、クリアはしていない。

 

 ──そうだ、三地点同時攻略(クリア)が、今始まる。

 

「ぎにゃああああっ!?!?」

 

 そして、恐怖は現実のものとなる。

 天使(ヒロ)には似つかわしくない絶叫が、ダンジョンへと響き渡った。

 

 細かった肉蔓が一斉に、何十倍にも膨張したのだ。

 天使の処女膜(あかし)は、あっけなく圧し裂かれた。

 尿道口、膣口、肛門の三穴もミチミチと押し広げられている。

 

「あーっ! あーっ! あーっ!!」

 

 想像を絶する痛みに、ヒロは堪らず地べたをのたうち回るが、失禁や脱糞といった粗相はしなかった。

 

 いや、出(・)来(・)な(・)か(・)っ(・)た(・)というべきか。

 肥大化した肉蔓で栓(・)をされていては、出るものも出ない。

 

 守り神はたしかに守り神だった。

 手荒な真似こそしているが、彼女の尊厳は(・)守っていた。

 

「いぎっ、あがっ、うあああ……っ!」

 

 肉蔓はさらに膨張していき、肉壁との境目が段々とな(・)く(・)な(・)っ(・)て(・)い(・)く(・)。──癒着、同化したのだ。

 

 今この時をもって、三地点制覇は達成された。

 

 

 ……膀胱や直腸を完全に塞がれてしまっては、いずれ身体が糞尿で破裂するのではないかと思ってしまうが、じつはそうでもない。

 

 ブルマの下では、三つの肉穴が、口(くち)を大きく開けている。

 

 ──くちを、おおきく、あけている。

 

 三つの肉穴は、彼女の新たな口(くち)となったのだ。

 牙もしっかりと生え揃っている。

 

 これなら肉棒だって簡単に喰いちぎれるだろう。

 大参事は間違いない。

 

 肉蔓(ミミック)は元いた世界(ブルマ)から離れ、異世界(しょうじょ)に転生(きせい)していた。

 

「ふぇ……うええええんっ! おまたが、いたいよー……!」

 

 今回の件からヒロは、どのような教訓を得るのだろうか。

 

 紐(ひも)パンを継続か。

 戦利品のブルマに鞍替えか。

 それともまさかのノーパンか。

 

 見せてはくれないだろうが、見ものだろう。

 

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