内容を読んだ人によって、意見が分かれると思いますが本編での内容は作者個人の意見として捉えてもらえれば幸いです。
では、本編をどうぞ。
「ふん!どーせ、そんな事だろうと思っていたさ」
「いやまぁ、普通に生活してたらそうなりますって」
あの後、婆ちゃんは泣き止むまで抱きしめてくれたのだが流石に恥ずかしくなって今は普通に会話をしている。
しかし、孫の俺に対して寛容的なのに対して両親に関してはかなり辛口に酷評している。
なんせ、毎日の様にダンベルなどの器具を使ったり、腕立て伏せや腹筋などで体を鍛えている婆ちゃんは還暦を超えても腹筋が割れているほどに強いのだ。
今でこそ、現役時代に比べて体力が落ちたとボヤついているものの並大抵の輩と対峙しても勝てるほどに。
そんな彼女の息子である父親は、今で言う脳筋的な考えをする婆ちゃんを嫌って上京して反対を押し切って母親と結婚。
その結果、俺と4歳年上の姉が生まれたのだが姉の方は大学の関係で今は青森の方の大学に通っていた筈だ。
今となっては、姉との連絡手段がないのでなんとも言えないが両親に関しては世界が崩壊した後、それぞれの職場に行くと多数の死体が腐って酷い匂いを発していたので生存は絶望的だろう。
生き残っていたら、なんらかの手段で連絡を取ろうとするし、そうでなくとも再会しようと努力している筈だ。
それが未だにない、となれば既にくたばったか捨てられた事になるのでそうなると彼らに関してはもう実親とは思っていない。精々、育ててくれてありがとうって程度だ。
それに家族は全員、くたばったと思っていたから婆ちゃんが生きて来てくれただけでも儲けもんさ。
そんな訳で、外に出ると婆ちゃんのサーヴァントが増えている事に気が付いた。
「え?あれってキャスギルにオジマンディアス、それとイヴァン雷帝とアナスタシアじゃね?」
「あぁ、勧められたFGOってのに興味が湧いてねぇ。ちょちょいとお金を掛けたら彼らが来たのさ」
「えぇ………。婆ちゃん、俺が言うのも何だけどどれだけ貢いだのさ」
「ザッと6桁だったかな。なんせ、世界がこんな状況じゃ貨幣に価値はないだろう?細かい数値は忘れちまったわ」
俺も俺でそれなりに貢いでいたけど、婆ちゃんはそれ以上だったでござる。そりゃ、生き残る訳さ。
だって、全体のサーポトスキルに高い制圧力を発揮できる彼らなら大概の敵をゴリ押しで倒せるしね。
てか、婆ちゃんはデッカいキャラが好きだったのね。項羽もそれなりにデカイけどイヴァン雷帝なんて5メートル越えの巨漢だし、キャスギルやオジマンティアスですらも180センチぐらいだ。
虞美人やアナスタシアでようやく160センチ程度なので、普通の日本人なら見上げるほどにデカいキャラが2人もいる。こっちはロリっ子しかいねぇってのに落差がすごい。
しかも、婆ちゃんと彼女の癖の強いサーヴァント達との間にある絆も高そうだし、もう彼女達だけでいいんじゃないかな。
とはいえ、折角の来訪なので宿の1つや2つは案内したいのだが如何せん、イヴァン雷帝がデカすぎて何故か残っているラブホには入りきらないので紅閻魔のお宿作成とロリンチの陣地作成のスキルを使って建てるとしよう。
ついでに、婆ちゃんが連れてきたサーヴァント達の中にも陣地作成のスキルを持っていた奴もいるから彼らにも手伝ってもらおう。
そんな訳で、航達にも婆ちゃんと彼女のサーヴァント達を紹介したりしたのだが、職業に関して少し揉めてしまった。
「傭兵だって!?」
「はい。農業だけではダメだと思ってやってます」
「ふん!傭兵なんざ、人殺しも出来ないとダメな職業だよ。世界が崩壊したこの状況で私が言える立場じゃないけどね、そう簡単なものじゃない。あんたに人を殺せるのかい!?」
そう。問題なのはそこなのだ。
傭兵と言うのは、平たく言ってしまえば人殺しも辞さない存在であってただ単に何でも屋って訳じゃない。
何でも屋なら万事屋とか、そういった感じの職業にすれば良いのだがそうしなかったのには理由がある。
「もう
「………」
「もう、行く所まで行くしかないんだよ。婆ちゃん」
世界が崩壊してからしばらくして、ロリンチやジャックちゃん達に頼んで同級生に手を上げて抹殺してもらったあの日。
彼女達にはああ言われたが、あの日からずっと考えた末の結論としていつ殺されてもいいと言う覚悟を決めた。
だから、いつか来るその日まで生き続ける覚悟を持って傭兵をする事を婆ちゃんに伝えるとこう言われた。
「………そうかい。なら文句の言いようがないね」
「それじゃあ!」
「だけどそれなら私も同罪さね。早くここに来て止めれなかったんだからね。だから私もその傭兵になってやろうじゃないか。幸い、そういったサーヴァントがいるしね」
俺の思いが伝わったのか、それまで怒っている表情だった婆ちゃんがニッコリと微笑んでから頭を撫でてくれた。
実は、婆ちゃんも自分の身を守るために俺と同じようにサーヴァント達を使って人を殺してしまったらしいので、せめて死ぬまで自由に生きて地獄に堕ちてやろうという覚悟だったらしい。
そして、俺の話を聞いて自分だけではないと悟った彼女は俺の本気度を確かめたくて怒ったフリをしたのだ。
そのため、祖母と孫でやろうと言う事になったのだがここで話を聞いていた航達がこう言ってきた。
「人殺しをするんだったら辞めるわ」
「………一応、理由を聞きたい」
「俺達はあくまで人助けのために傭兵に加わった。けど、人殺しをするのも含めてやるとなると流石に無理だ」
「そうか、なら構わない。元々、強制するつもりなんてなかったしね」
まぁ、普通に考えれば当然の反応だ。
世界が崩壊する前、秩序が保たれていた世界においても人殺しをするのはかなりの勇気と度胸が必要だ。
快楽目的などでやるのは別として、理由があって最初にやる時のハードルは非常に高いし、やった後でさえも後悔に苛まれる可能性だってある。
無論、崩壊した世界においても罪に問われる殺人はダメだし、俺だって無闇矢鱈に殺しまくるつもりはない。
そもそも、殺すの前の段階で手段はいくらでもあるし、殺したら殺された方の関係者から報復の意味で殺される可能性がゼロじゃないから殺すのは最終手段だ。
それに、殺人を犯してしまったら世の中の大半の奴らは犯したそいつを肯定する事はないし、決して認めてくれないだろう。
人並みの生活や幸せを求めて生きていく事は許されないし、そいつ自も許してはいけないと思っている。
何より、殺人を犯した時点でそいつは救われないだろう。
だからこそ、俺はそれを生き地獄だと表現している。
世の中から否定され、人並みの幸せを求める事を許されず、生きていく間は救われないとなれば生き地獄以外にどう表現すればいいのか、今の俺にはわからない。
ただし、世の中には殺されて当然の奴らを殺す存在が必要とする人達が一定数いる訳で、そいつらの為に殺人代行という形で商売する事も可能だ。
だからこそ、俺は航達を傭兵から万事屋へとジョブチェンジさせて仕事内容を分け、殺人などの汚れ仕事は俺や婆ちゃんがやる事にした。
こうする事で、仕事の融通が利く上に航達の手は汚れない様にする配慮をした。
この内容で双方が合意した後、紅閻魔達からは心配されたが引き返す事はしないつもりだ。
だって、この崩壊した世界においても大概の奴らはそう簡単にできないだろうし、生活圏内の誰もがやろうとしないからだ。
まぁ、やり遂げる事は難しいかもしれないけどこのまま、人を殺した事実を胸の奥に封印してもふとした時に思い出してしまうので、慣れてしまう方がよっぽど良いと思っている。
航達が俺達の家から出た後、彼女達にそう言うともうないも言うまいといった感じで俺と共に朽ちていく事を表明してくれた。
こうして失った物はあった反面、拾った物があった時間となって今日も1日が過ぎていく。
人物紹介
・尾頭 邦子
本作主人公の祖母にあたる人物。
6人のサーヴァントと共に主人公の元に駆けつけた優しくて高性能なお婆ちゃん。おっぱいをつけたイケメン。
還暦を超えてなお、筋トレに励むほどのお婆ちゃんで数十キロのダンベルをお茶を掴むかのように振り回すほど強い。
孫に勧められたFGOは、現役時代に稼いだお金を使って貢いだ為、廃課金勢でもある。
☆作者の独り言☆
別に罪に問われる様な殺人(正当防衛などは除く)を許容する訳ではなく、ちゃんとした罰則を与えるのが基本原則なのは当たり前だと思っています。
たとえ、世界が崩壊してもそれに至るまでにいくらでもやりようはありますしね。
ただし、それでもどうしようもないクズな人間はいる訳でそいつらをターゲットにするつもりです。