※この作品はR-18です。

崩壊した世界でアビー達に搾られる件   作:八雲ネム

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第31話 神獣(の欠片)の討伐はハード過ぎた

「空間支配(スペイシャル ドミネイション)!!」

 

 そう唱えると、フェンリルとの戦闘をしていた空間の雰囲気が俺を中心に変化した。

 正直、肌が真っ白になるまで人外化すると婆ちゃんから何を言われるのかがわからないものの、依頼達成のためなら切り刻まれても仕方ないと考えて目の前の巨大な狼をどうやって檻にぶち込むかを練った。

 現在のスペック差は、スピードではフェンリルの方が圧倒的に速いのでそれを活かした戦い方で俺を翻弄してきた。

 

 しかし、所詮は狼なので噛みつきや引っ掻きなどが普通の攻撃で精々、魔力で強化した尻尾などで攻撃する程度だ。

 一方、相対する俺は人間としての頭脳とヨグ=ソトースの能力があるので作戦の幅があるので、極めた速さと幅広い出来事に対応できる能力の二択のどちらかを選ぶなら俺は後者を選ぶ。

 極めた速さも魅力的だが、敵対する存在が速さの対策を講じてきて対応できなかった場合のリスクを考えれば当然の決断だと思う。

 

 つまり、何が言いたいかというと     

 

「こちらが仕掛ける前に攻撃すればいい、と考えているんだろう?」

「グルルルル………」

「残念だが、その時間はなさそうだぞ?」

 

ザクッ!!

 

 俺の言葉と共に、フェンリルの右側の後ろ足に大きな切り傷が発生してそこから大量の出血が確認できた。

 

「最早、この広い空間は俺が支配している。広さも、高さも、挙句は時間さえも掌だ。この点、神話の世界に出てくる神獣とは言ってもその枠組みから出ようと考えない点がお前さんの敗因だ」

 

 圧倒的な速さと、それに追随する強さを持つフェンリルだが神獣と言っても獣は所詮、獣でしかないという事だろうか。

 神話の中で一回、今となっては素材が見つからなくて作れない特殊なヒモで縛り上げられた上に最終戦争(ラグナロク)では結局、オーディンを殺したものの彼の息子に殺されている。

 色々と崩壊したこの世界では、神話の物語にどれほどの信憑性があるかは分からないが少なくとも目の前にいるフェンリルは、自分の能力を更に高める努力をしなかった事が窺える。

 

 並大抵の人間やサーヴァントに勝てる、と思っていたようだが俺との戦いではそれが慢心となって裏目に出てしまったようだ。

 

「さて、ここで軽くネタばらしをしておくとお前さんを切ったのは空中に浮かんでいる刀剣だ。そいつで後ろ足を切ったのさ」

「グルルル………」

「足が3本になっても喰いちぎる事が可能だと考えてるのか? 残念だが、それはもう叶わぬ願望だな。足元を見てみろ」

 

 空中には、今回の戦闘で使用していたが途中で手放したマチェットが浮かんでいるのを確認したフェンリルが身構えようとした時、足に違和感を感じて地面を見るとそこにはさっきまでの地面はなく、生肉を隅々まで敷き詰めたような気持ち悪い柔らかさを保っている地面だった。

 

「俺達がいる地面はな。元々、土でできていたがようやく浸食を終えて表に表す事ができた。それはな、お前さんを捕まえるためにこさえた触手を主成分とした肉壁さ」

 

 そう。いくら、俺が覚醒しても本体から切り離された欠片であるフェンリルの能力は圧倒的に速く、能力差で考えると奇跡的な確率じゃないとダメージを与える事すらできない。

 では、どうするのかと言うとある海域の一定の場所に網を仕掛けてその季節の魚を捕獲する定置網漁の様にした訳だ。

 無論、網である触手の方が能動的に動くのだが今回の場合はうまく敵の注意を突如としてできた傷に引けたからうまく行った。

 

 これがもし、警戒心がマックスの奴だったらもっと手こずっていただろうから本当に神獣のフェンリルなのかと疑ってしまう。

 

「まぁ、お前さんがどこの誰なのかなんてクライアントから聞けばい。それよりも   」

「ガァァァアアア!!!」

「散々、暴れてくれたお礼はきっちりと返させてもらうぜ」

 

 そう言うと、持ってきたが使う機会がなかった自衛隊が保有する武器の1つである110mm個人携帯対戦車弾を構えて発射した。

 こいつは対戦車兵器の1つであり、ドイツではパンツァーファウスト3と呼ばれている強力な兵器だ。

 欠点として、初速が遅いので通常のフェンリルであれば擦りもしない兵器なのだが今は違って、4本の足を全て固定してあるため避ける事がほぼ不可能な上、発射直後に着弾までの時間を一気に早めたので引き金を引いた瞬間、フェンリルの胸部に着弾して強力なジェット噴流を流し込んだ。

 

「………んん? まだ死なないのか。だったら最後の仕上げはこれに限る」

 

 しかし、流石は神獣の端くれと言った感じで生きているため、そうぼやつきながら使い終わった対戦車弾を脇に捨てて掌を上にしてから指を2本、クイッと曲げた。

 すると、天井から4本の触手がフェンリルを囲うように地面へ突き刺すように降りてきて、見えない壁が触手の間に展開された。イメージとしては4本の支柱があるガラスケースといった感じか。

 それを確認してから、俺が両手の掌をパンッと叩くとガラスケースが一気に小さくなっていった。

 

「ガァァァアアア!!!」

「残念だが、手負いのお前さんには脱出できんよ。それだけ、強固に作ってあるかね。精々、圧死するまでの感触を感じながらくたばるといいさ」

 

 俺がそう言っている間にも、フェンリルを閉じ込めたガラスケースを小さくなっていき、フェンリルが自由に動ける空間はなくなり、そして骨が折れる音が一頻り鳴り終わった後には30センチ四方の立方体が残っただけだった。

 

「はぁっ、はぁっ、ふーーーっ………勝った、勝ったぞぉ」

 

 そして、その立方体が動かなくなったのを確認してからガックリと膝を着いて両手を地面に置いた。

 膝を着いたのは、能力を解除したからで両腕には失っていた色素が戻って来ていた一方で途轍もない疲労感と虚脱感が体を襲ってきたのだ。

 いくら、前世がヘラクレスやアキレウスみたいな半神半人みたいな肉体を持っていたとしても、今の体は純粋な人間の体なので外なる神の能力を使うだけでも宇宙の向こう側に引っ張られないようにするだけで精一杯だった。

 

 正直、フェンリルが本体ではなく、抜け毛の何本かって感じの欠片だったからなんとか勝てたものの、本体がいたら肉体消失どころか存在そのものが消え去ってみんなから忘れ去られていたかもしれない。

 そのぐらいの強さだったのだが、そこまでの知能レベルじゃなかったのが幸いしてなんとか勝てた。

 そのため、奇跡的に残っていた聖晶石を使って魔力を回復すると多少の体力が回復したため、なんとか立ち上がってフェンリルだった立方体を持ってフラフラと歩きながら洞窟の入り口を目指した。

 

 

 

「マスター!」

「ご主人! ご無事でちか!?」

「ん? おぉ、俺は大丈夫だぜー」

「んー、マスターくんの今の様子だと大丈夫そうじゃないからここは私が開発した薬をだな………」

 

 洞窟から出ると、待ち構えていたようにアビーちゃんと紅閻魔が叫びながら近寄ってきて、ロリンチちゃんが怪しげな薬を取り出した。

 そして、周りを見ると酒呑さんと茨木、そしてクロエちゃんは酒を飲んだり、お菓子を食べていたのでサーヴァント達は心配してくれたのと余裕を持っていたので分かれていたらしい。

 まぁ、途中からは勝ち確定な戦い方だったからある程度の余裕が生まれるのは当然として何故か、玉藻の前がいる事に驚きを隠せなかった。

 

「驚いたな。まさか、メッセンジャー的な立ち位置のあんたがこんな所に来るなんて」

「なぁに、お主のサーヴァントが不正をして手伝いに走ろうものなら即刻、首を落としに行くと脅しをかけていたのてす」

「その首っつーのが、俺か」

 

 俺の言葉に、彼女が頷いたのでホッと息を吐いた。

 何故なら、フェンリル戦で摩耗している俺は彼女の攻撃をまともに回避できないだろうし、アビゲイル達を使えば対抗できるだろうけど玉藻の前以上の存在が現れた場合は対処が困難になる。

 只でさえ、オーディン(クソジジイ)が単騎で来ただけでかなりの損害を受けたのだから数の力で押されれば全滅も簡単に起きる。

 

 その事から、今回の無茶な討伐戦を引き受けたのだが結果的にルール違反は全くしていないし、能力向上も行えたからそれで良しとしよう。

 防弾チョッキとかは破損したが、これらは破損する事が前提の消耗品なので命が助かっただけでも儲けモンだよ。

 そう思いながら、玉藻の前に立方体へと変貌を遂げたフェンリルを渡すと一瞬、驚かれてから爆笑された。

 

「ははははは! まさか、その立方体がフェンリルだって!? かなり形が変わっちゃってるねぇ!」

「こいつを無力化するにはこれぐらいしかなくてねぇ。もっと他の手があればそっちを採用してたよ」

「まぁ、その気持ちは分からんてもないぞ」

 

 彼女は一頻り、笑いきるとフェンリルを引き取って去っていったので肩の力が抜けた瞬間、意識が遠のいていった。




という事で、どうもです。

前回の投稿と言い、今回の投稿と言い、うまく内容が書けたのかが心配です。評価も10点の内、5点を切りましたしねぇ。
いや、設定がガバガバ過ぎたり、薄っぺらい事は自覚してるんですが所詮はにわか知識で始めた結果だと受け止めてます。超低評価だったらとうの昔に削除してますしね。

それと、次回辺りで完結させます。(唐突)
色々とガバガバなので続けるのが辛いのと、他の作品に時間的なリソースを回したいからです。
そして何より、この世界でキャラクターを動かすのが疲れましたよ。
知らない設定、知らないキャラ、よくわからない世界観。よくまぁ、こんな状況で進めたなぁと思ってます、ハイ。

そんな訳で、次回までゆっくり待っていってね!
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