第一話
「……そう、やはり満室なのね」
『申し訳ありません、奥方様』
「仕方ないわ。ここまで強くなるとは思っていなかったもの……今日明日の予定のキャンセルを先方にお伝えして。復旧次第、熊本に戻ります」
『それまでは、どうされるのですか?』
「幸い
『続いて、横浜市全域に大雨・洪水・波浪警報、川崎市に大雨・洪水警報が発令されています。東海道新幹線は終日運転見合わせ……』
チャンネルを変える。
『……とまあこのように発達した前線が北上して、ちょうど日本列島を横断するように強い雲がかかっている訳ですね』
チャンネルを変える。
『はい! こちらレポーターの大石です! 現在の波の高さは……!』
チャンネルを変える。
『面白え、ボッコボコにしてやるぜ! 覚悟しろよーっ!』
「……はあ」
軽いため息をつき、和明はテレビを消した。屋根を打つ雨音がやけに耳に響く。カタカタと風が窓を揺らし、時折遠雷が聞こえる。
エアコンで取り切れない湿気が肌に纏わり付く。和明はごろりと布団の上で寝返りを打った。昼過ぎだというのに、窓の外は夜のように暗い。サッと降ってサッと止むのが夏の雨の定番だが、この雨はそうもいかないらしい。
「うぅん……」
もう一度寝返り、天井を見る。
戦車道ショップのバイトもこの雨で臨時休業となり、今日はお休みだ。まあ、車を持たない和明では出勤するだけでズブ濡れは確実だったので、正直助かってはいた。
「止まないな、こりゃ」
和明は独り暮らしだ。大学のために横浜に出てきて、仕送りとバイトでのアパート住まい。風呂・トイレ・キッチン付きのワンルームを我が城とする、至って標準的な学生である。
そしてそんな城の中で、和明は暇をもてあましていた。出かけるにも外を見れば滝のような豪雨。これでは買い物にも遊びにも行けはしない。
そんな事を思っているうちに、ぐぅと腹が鳴った。そういえば、ゴロゴロしているだけで昼飯も食っていない。
「飯、まだ残ってたかな……?」
和明は起き上がり、キッチンへと足を向けた。炊飯器にまだご飯あり。買い置きのカップ麺まだあり。卵と納豆なし。冷蔵庫にお新香とヨーグルト、バター、実家から送ってきたハムと味噌あり。インスタントコーヒーあり。
ラーメンライスで済ませようか、そう和明が思った時、ふとインターホンが鳴った。
「ん?」
わざわざこの大雨の中を和明に会いに来る知り合いに心当たりは無かったし、特に誰から連絡も無かった。
訪問販売だろうか? 雨の日は在宅者が多いため、セールスマンなどは雨の日にむしろ積極的に動くと聞くが──
そんな事を考えている内にもう一度インターホンが鳴った。何となく息をひそめつつ、和明はインターホンカメラの画像を見た。
ずぶ濡れの西住しほが立っている。
「………?」
一瞬、思考が停止する。
長い黒髪をびっしょりと濡らしたしほは、反応が無いのを留守と思ったのかため息をつき、ドアから離れようとした。
「っ!?」
そこでようやく和明は自分の見ているものが現実であると気づき、慌てて受信ボタンを押した。
「は、はい! 篠原です!」
『……良かった、留守ではなかったのね』
上ずり気味の和明の声に、しほは足を止めるといつも通りの落ち着いた口調で言った。全身ずぶ濡れなのをまるで気にしていないかのようだ。
「いや、ええっと、どうしたんですか!?」
『詳しい話は後でするわ……上がらせて貰ってもいいかしら?』
「え!? あ、はい!」
訳が分からない状況であったが、確かに優先すべきは濡れ鼠の彼女を何とかする事だ。和明は押入れの衣装ケースからバスタオルを取り出すと、急いで玄関に向かった。鍵を外し、ドアを開ける。
「フゥ……お邪魔するわね」
「西住さん!? と、とりあえずこれを……」
安心したようにしほは息を吐き、静かに入ってきた。カメラでは詳しくは確認できなかったが、直接見てみればジャケットからスラックスに至るまでじっとりと濡れている。
和明が驚きつつバスタオルを差し出すとしほは素直にそれを受け取り、まず靴を脱いで揃え、それから髪を拭った。こんな時でも彼女は折り目正しい。
「ありがとう。それで、ここに来させて貰った理由なのだけど……」
「いや、それより先にシャワーでも浴びてください! そのままじゃ風邪ひきますよ!」
「……お言葉に甘えるわ」
平然と振舞っているが、やはり体は冷えるのだろう。和明の言葉にしほは頷き、部屋の間取りを確認するとそのまま浴室に入っていった。半透明のガラス戸越しに彼女の姿が見える。
「服は、ここのカゴに入れていいかしら?」
「え、ええ。洗っておきますから……」
水を吸った服がカゴに入れられたのか、重そうな音が聞こえる。和明が視線を向けると、服のために大半が黒かったしほのシルエットが肌色に変わっている。
何度も直接見た彼女の身体ではあったが、自室というシチュエーションによるものか和明は少し照れを覚えて顔を逸らした。
「篠原くん、悪いのだけど……何か着るものはあるかしら?」
「え!? あ、はい。ちょっと待ってください」
少し戸が開き彼女の顔が覗く。和明は咄嗟に手近な自身の服を渡した。男性用だが、しほの長身なら合うはずだ。
外の雨音は止むことはない。浴室からのシャワーの水音が雨に混じる。
「………」
ようやく一息つき、和明は改めて今の状況を振り返った。
嵐が来ている最中に、何故か突然ずぶ濡れのしほが(住所までは知らないはずの)和明の家に来て、シャワーを浴びている。
「………」
駄目だ。さっぱり分からない。
確かしほの家は熊本のはずだが、それがわざわざ自分の家に遊びに来た?
「いやいや」
思わず自分にツッコミを入れる。流石にそれはあり得ないだろう。やはり後でしほに聞くしかないか。
そんな事を思っている内にシャワーの音が止んだ。湯上りの彼女が冷えないよう、少しエアコンを弱める。
さほどの間を置かず、着替えたしほが出てきた。
「すまないわね。これ、クリーニングして送り返すから……」
「いや、そんな……っ!?」
律儀に言ってくるしほに言葉を返そうとして、和明は彼女の格好に息を呑んだ。
「思っていた以上に冷えていたみたい。助かったわ」
そう言いつつ、裸にワイシャツ一枚を着ただけのしほが部屋に置かれた卓袱台に歩いてくる。
慌てつつ和明が渡したのは、どうやらよりによって男物のワイシャツだったらしい。濡れていたスラックスもカゴに入れたからか、下半身には何も履いていない。
それだけでも十分に刺激的であったが、更に彼女は下着もつけていなかった。ワイシャツの胸の辺りはしほの重そうな乳房によってぴんと張り詰め、その艶やかな曲線のラインや、乳首の浮き上がりまでも分かる程だ。下は下でショーツを履いておらず、ワイシャツの裾から彼女の茂みが時折覗いている。
「し、しほさん? 下着はどうしたんですか!?」
「ここに来る途中で傘を飛ばされたんだけど、下着までびっしょりだったの。悪いけど、全部カゴに入れされてもらったわ」
和明の動揺をよそにしほは卓袱台に腰を落とした。恥じらう様子もなく、むしろ堂々とした姿勢に和明は何も言えなくなる。
「えっと、それじゃコーヒー淹れますから、待っていてください」
「ブラックでお願い」
早くも反応を示し始めていた股間から意識を逸らしつつ、和明はキッチンからマグカップを二つ用意し、手早くインスタントコーヒーを用意する。しほは座ったまま窓の外の雨の具合を見ており、時折和明に視線を向ける。
「どうぞ……」
「ありがとう、いただくわね」
「……! は、はい」
座ったまま和明からマグカップを受け取る。必然的に和明からは見下ろす姿勢になり、双丘が形作る深い谷間が目に入る。動悸を抑えつつ、和明はしほの正面に座った。自分用に淹れたコーヒーをひと口含む。
和明がひと息ついたのを確かめ、しほは口を開いた。
「それで、ここに来させてもらった訳だけど……帰れなくなったのよ」
「帰れなくなった、って……熊本にですか?」
「ええ。横浜で戦車道関連の大きな集まりがあってそこに招待されたのだけど……予報ではここまで強い降りになるとは言っていなかったから、ホテルを用意せず日帰りのつもりで来ていたの」
そう言いつつ、しほは手元のマグカップを傾けた。
「……案の定、周辺のホテルは満杯。正直、戦車道ショップのシャッターが下りていた時は連盟会館のソファで寝るしかないと考えたわ」
「それで……でも、どうして俺の家が分かったんですか?」
「お店にそれでも電話してみたら、店長さん、万一に備えて店内に居たの。そこでここの住所を聞いたわ。店長さんも『自分のところで』と言ってくれたけど、ご家族のいる所にいきなり転がり込むのも悪いと思ったから」
「はぁ~……」
この雨の中を事務室で一人で有事に備える店長の姿を想像し、和明は感心した。
「悪いけど、今日は店は閉めるから」と電話で言っていた時にはそんな雰囲気は全く見せていなかったが、やはり店のオーナーとしてこういう時は色々と大変なのだろう。
ともあれ、状況は理解できた。しほは続けて和明に言った。
「既に着替えやシャワーまでお世話になって言う事ではないけど……篠原くん、明日には新幹線も復旧するはずだから、それまで此処で休ませてもらえないかしら?」
「もちろん大丈夫ですよ。その、汚い部屋ですけど、それで良ければ」
「そんな事はないわ。ちゃんと片付けもされていて、良い部屋よ……恩に着るわ」
しほはそう答えると、深々と頭を下げた。感謝を示しているのだろうが、ワイシャツの下でゆさりと揺れる乳房に視線が吸い寄せられ、どうにも目と股間に悪い。
「ま、まあ、遠慮無くゆっくりしてください」
気を紛らわすように和明は言うとテレビを付け直した。最後に合わせていた、何やら包帯を巻いたクマが主人公と思われるアニメが画面に映る。
「これは……」
ふと、顔を上げたしほが画面に反応を示し、和明はチャンネルを変えようとしていた手を止めた。
「西住さん、このアニメ知ってるんですか?」
「娘が好きな作品ね。確か、『ボコられクマのボコ』だったかしら?」
「……なんか、シュールなタイトルですね」
『うおぉー! ボッコボコにしてやるぜー!』
画面の方では、そのボコと思われるクマが別のクマに喧嘩を仕掛けているようであった。腕を振り回しながら突撃し──あっさりと返り討ちに遭う。
『おらおら、どーしたんだよ!』
『ちっくしょー! まだまだ、負けねえぞー!』
何とか反撃しようとするが、再びカウンターパンチを食らう。腰の捻りが入った一撃に文字通り吹き飛ばされるボコ。
『ぐはぁ! い、いい一撃じゃねぇか……』
「………」
「……娘さん、独特な趣味をされてますね」
「『何度負けても立ち上がる所が格好いい』らしいわ」
なんともコメントしかねる内容に和明が感想を漏らすと、しほが画面を見つつ答える。
「でも……なんか、意外ですね。まほさんがこういうアニメが好きとか」
「まほではないわ。その下の娘」
「その下って、ええっと……西住みほさん、でしたっけ?」
黒森峰の学園艦に行った際に店長から聞いた話を思い出す。確か高校戦車道の全国大会において、戦車道を復活させた大洗女子学園を初出場・初優勝に導いた立役者。ネット界隈などでは“戦神”とも呼ばれていたはずだ。
和明の言葉に、しほは少しだけ眉を動かして返す。
「……ええ」
「その、店長からも聞きました。今年の高校生大会の決勝で、姉妹で戦ったって」
「そうね……随分と界隈では話題になったわ」
画面上では再びボコがボコられている。視線をテレビに向けたまま、しほは静かに言った。
「……勘当するつもりだったのよ」
「え?」
「みほの事。西住流から飛び出して、戦車に乗るのを辞めたかと思えば……聞いたこともないような茨城の学校で戦車道の隊長を務めていた」
「それで勘当……ですか?」
「あの子自身に自覚は無くても、注目されれば世間は否応なく『西住流の家元の娘』として扱う。それで『西住流』として好き勝手される事が何を意味するか、篠原くんにも判るでしょう?」
「それは……まあ」
世間のイメージというのは一括りにされがちだ。確かに本来の西住流とかけ離れた戦い方をされて「それが西住流」と思われれば、流派にとってはマイナスでしかないだろう。
しかし、だからといって成人もしていない実の娘を勘当とは──
「……でも、あの子は勝った」
しほはそう言うと、微笑を浮かべた。それは苦笑いのようでもあり、娘の勝利を喜んでいるようでもあった。
「西住流は勝つことをもって良しとする……図らずも、みほはそれを証明したわ。娘の素質を見込み、私なりに磨き上げてきたつもりだったけど……間違っていたのかもしれない」
「そのことは……もう、彼女に?」
「あの子……去年の大会後に私が酷く叱ったのが原因でしょうね。家を出てから一度も帰省していないの」
「!」
『ち、ちっくしょー! みんなー、オイラにパワーをくれー!』
空気を読まないボコの声が室内に響く。
「去年の高校生大会の決勝戦、知っているかしら?」
「ええと……確か黒森峰が負けたんでしたよね? 戦車の水没だかがあって……」
「そう。その時にフラッグ車の車長をしていたみほは、水没した戦車の乗員を咄嗟に助けようと、着衣のまま激流に飛び込んだ」
「っ!? それ、飛び込んだ方が危ないんじゃ……!?」
いくら咄嗟の行動としても無茶苦茶である。驚きを浮かべる和明にしほは言葉を続けた。
「ええ。試合会場周辺には戦車の引き上げも可能な救助班も待機していたわ。むしろ溺れかねなかったのはあの子の方」
「………」
「でも、みほは自分のしたことの危険を全く分かっていなかった……正直、自分でもカッしていたと思うわ。感情で、思い切り叱りつけた。『仲間が水没しても試合を優先しなさい』とね」
どちらの気持ちも分かるが故に、和明は何も言えなかった。仮に自分の目の前で家族や友人が危険に遭ったら自分は後先考えず動くだろうし、それで逆に危険になったら自分を想ってくれている人は当然和明を叱るだろう。
ボコのアニメは本編が終わり、エンディングテーマが流れ始めていた。しほは目を伏せ、呟いた。
「……戦車道の家元としての自覚はあっても、私は母親としての自覚が足りなかったのかもしれない。そう思うの」
「………」
大人であるしほに言うべきか和明は少し考え、それでも彼女に向き直って言った。
「その……西住さんは、どうしたいんですか?」
「私が?」
「いや、あの、今の話って……今までがどうとか、家元としてどうとかばかりで『これからどうしたい』っていうのが、全く無かったから……」
「………」
和明の言葉にしほは僅かに表情を変えた。驚いたのかもしれない。
「そりゃ、俺はまだしほさんから見れば子供みたいな年ですけど……しほさんがそうやって、ちゃんと自分を反省できるって事は凄いことだとと思うんです。母親としてみほさんと仲直りしたいって西住さんが思うなら、メールでも、手紙でも、会いに行ってでも……『おめでとう、ごめんなさい』って言ってあげるだけでも、違うんじゃないかなって」
「篠原くん……」
「……すみません、偉そうな事言って」
そこまで言うと、和明は謝った。母親ほど年の離れた相手に、随分な事を言ったと思った。
しかし──しほは怒る風でもなく、和明に視線を向けて言った。
「……優しいのね、篠原くんは」
「優しい、ですか?」
「ええ。素敵だと思うわ」
「……っ!?」
そう言うと、しほは微笑んだ。予想外の反応に和明はどきりとすると、思わず視線を逸らした。
「カップ、流しに置いておくわね」
スッとしほはカップを手に立ち上がった。ワイシャツの白い布地越しに浮かぶ乳房はそれだけで重そうに揺れ、裾から伸びる肉付きよい両の太ももと、その間で覗く秘所につい視線が引っ張られる。否応なく反応を示す股間を持て余し、和明はあえてごろりと横になった。
まずい。非常にまずい。真面目な話をしていた後だというのに、もの凄く──しほと
もともと裸ワイシャツ状態の彼女を前にしていたのだ。そういった衝動は当然、和明の中にあった。それが治まりかけていた所で再び再燃した形だ。
しかし、彼女はこの豪雨の中を傘無しで来たのだ。休ませてあげたい気持ちも当然あった。
「(うぅ……)」
しほが仮眠にでも入ったらトイレか風呂でオナニーでもして発散しようか。そう思った時、しほがキッチンから戻ってきた。
「……?」
しほの気配が離れない。そのまま彼女の気配は横になっている和明に近づき──
「!?」
「
和明の背中に寄り添うように横になった。背中に彼女の乳房が当たっているのが分かる。
突然の彼女の行動に戸惑いつつも、和明は答えた。
「い、いえ、眠くは……ないです」
「そう……」
スッとしほの手が和明の肩越しに伸びてくる。後ろから抱き着くしほの体温を感じる。
「ねえ、和明くん……いいかしら?」
「何を……ですか?」
「……したいの」
しほに聞こえそうな程の音で、ごくりと喉が鳴る。
「いや、でも、しほさん。この雨の中歩いてきて、疲れてるんじゃ……?」
「そうね、多少は疲れてる……だけど、さっき和明くんと話をしている中で、何だか切なくなってきて、和明くんの温もりが欲しくなって……」
そういう間にも、しほの手が和明の股間へと伸びてくる。
「ねえ……
「っ!」
ワイシャツ一枚の豊満な美女にここまで言われ、理性を保てる男が居るだろうか?
「……しほさんっ!」
「あぁ……ンッ、ンンッ……!」
和明は身体を回してしほに正面から向き直ると、夢中で彼女の身体を抱きしめ、唇を重ねた。遠慮なくしほの唇を分け入り舌を口腔内に差し込むと、既に十分な熱を持った彼女の舌が喜々として絡んでくる。
片手をしほの背に回したまま、和明はもう片方を彼女の胸へと伸ばし、ワイシャツの上から強く揉んだ。
「しほさんっ……ふうっ、はぁっ……し、しほさんっ……!」
「和明くん! んむぅ……ちゅ、和明くんっ……!」
互いの名を呼ぶだけで、互いの身体が熱くなってゆくのを感じる。
和明は掌に伝わってくる、しほの乳房の感触と重さを堪能する。何というか──しほの乳房は色々と「別格」だ。ずっしりとした重みと手に余る程の大きさを持ちながら、40歳前後とは思えないほどにその肌は瑞々しく張りつめ、しっかりとした弾力で和明の指を押し返してくる。
一方でしほも和明とのキスを重ねつつ、もどかしそうに和明のジーンズの留め具を外し、ジッパーを下ろすと下着越しに既に勃起している肉棒に触れてくる。
「ふぁ、あ、はあっ! か、和明、くん……素敵よ、もうこんなに……!」
「し、しほさん、だって……!」
「ンッ、あぁっ!」
お返しとばかりに、何も隠すものが無い彼女の秘唇に触れる。艶やかな黒い陰毛に彩られた陰唇に指が届くと、既にそこは熱く滑っている。
悶えるしほの反応を見る度、彼女を感じさせているという満足感が湧きあがってくるのが分かる。
彼女の秘所を弄りつつ和明はしほから唇を離すと、今度は締めきれていないワイシャツの胸元が形づくる深い谷間に顔を埋めた。大きく息を吸うと、シャワーを浴びたばかりの石鹸と彼女の甘い匂いと汗が混じった淫臭が鼻孔を直撃し、くらくらするような刺激を覚える。
「ふっ、ふうっ、すぅぅ……!」
「はぁっ……そ、そんな、吸わないで……んくっ!」
恥ずかしそうにしほは頬を染める。しかしその手は和明の頭に回り、より乳房へと和明の顔を埋めさせる。和明は夢中でしほの乳房を吸い、舐め、揉む。
もぞもぞとしほが太腿を擦り合わせ始めた。自分の張りつめた肉棒の挿入を求めているのだ。トランクスから解放された肉棒は血管を浮かび上がらせ、既に限界まで怒張している。
一旦しほの乳房から顔を離し、和明は瞳を潤ませこちらを見る彼女を正面から見た。濡れた唇でしほが言う。
「お、お願い、和明くん……欲しいの」
「……しほさん」
しほが今までに無い程に興奮しているのが分かる。それは和明も同じだ。
その自身から湧きあがる欲望は、しほに対してある欲求を生まれさせた。
「しほさん、ひとつ……お願いしても、いいですか?」
「何、かしら?」
吐息混じりにしほが聞き返す。
喉を鳴らし、和明は言った。
「今だけ……しほさんの事、呼び捨てても、いいですか?」
「……いいわ。早く……頂戴」
脚を広げ、切なそうにしほは答えた。
彼女の身体を仰向けに変え、その身体にのしかかるように体位を変える。
「……しほっ!」
「あ、ああぁっ! 和明、くんっ!」
荒い吐息と共に、和明は孔に狙いを定めると一気に奥まで突き入れた。
既に熱く潤んでいた膣内は凶悪なまでに膨らんだ肉棒を受け止め、締め付け、無数の襞が射精を求めて蠢き始める。
「しほっ……しほっ! うっ、ああっ!」
「ふあぁっ! こ、こんな、凄いっ!」
一切の遠慮なくしほの膣を突き、大きく腰を引き、再び突き入れる。相手を壊さんばかりの激しい抽送をしほは喜々として受け入れ、恍惚とした表情で和明の肉棒に嬌声をあげる。
パンパンと肉同士が打ち合う音が室内に響き、そこに荒々しい吐息と喘ぎが混じる。
突き込む度に重く揺れる乳房に堪らなくなり、和明はちぎるようにワイシャツのボタンを外すとゆさりと露わになったしほの胸を直接揉んだ。手に収まらないサイズの、ぐにぐにと形を変える乳房の先端では朱色の乳首が固く尖り、掌にコリコリとした感触を伝えてくる。
「しほのも、凄いっ! こんな、熱いのは、初めて……っ!」
「んあぁっ! 和明、くん……和明、さんっ!」
「……!」
ただ、下の呼び方が変わっただけ。
それだけだというのに、和明の中でどくんと更に激しい欲情が湧きあがってきた。
「しほっ、しほっ、しほぉっ!」
「ああぁっ! す、素敵、よ、和明さんっ! 和明、さんっ!」
彼女の名を呼びつつ、夢中で腰を振る。和明の名を呼びつつ、しほは自分の背に手を回し、より強い密着と挿入を求めてくる。
互いが互いの快感を乱暴に引き出そうとする獣めいた交合は、早くも絶頂へと近づきつつあった。和明は迫る射精感を覚えつつ言った。
「く、くうっ! だ、出すぞ、しほっ!」
「んひっ! か、和明さんっ! は、はいっ! 出してっ! 和明さん、のっ、精液! ぜんぶっ!」
「うぅっ! し、しほぉっ!」
「和明っ、さんっ! あ、あ、あぁぁっ!」
しほの締め付けが急に強まり、和明は堪らず精液を彼女の膣内に放った。怒涛の奔流が吐き出され、しほの子宮を、膣内を汚してゆく。
「あ、は、あぁ……」
「和明、さん……ふぁ、あ……」
そのまま倒れるように和明は身体をしほの上に重ね、しほはそれを受け止める。外の雨は更に強まり、弱まる気配は無い。
これが後の和明の記憶に鮮明に残ることになる、一泊二日だけの同棲の始まりだったのだ。