第一話
広い畳敷きの部屋に敷かれた布団、その上で絡み合う二人の男女。
「んっ、あふっ……ああっ!」
十代の少女らしい瑞々しく引き締まった身体。しかしその曲線は豊かな乳房からくびれた腰、そこから女性らしい膨らみを見せる尻から脚にかけての美しいラインを描いている。
「し、篠原さん……熱くて、体の中から、焼けそう……ああんっ!」
「くっううっ! まほさんのも、凄くキツくて、熱いっ……!」
白い肌に汗を浮かべ、黒森峰戦車道隊長にして西住家長女、次期家元後継者筆頭である西住まほは和明の巨根の一撃に悶えた。一方で肉棒を受け入れて間もない彼女の膣は強烈に竿を締め付けてくる。快感と痛みの境界線ギリギリのところで和明は腰を引き、再びまほの膣内を蹂躙する。
「ンンッ! あ、あぁ、こんな、広がっ……あぅっ!」
「ハアッ、ハアッ……!」
荒々しく息を吐き、正常位の姿勢で和明はまほの背に手を伸ばし、強く抱きながら腰を更に動かす。
「………」
その視線を、少しだけ布団の横に移す。
「………」
西住流家元、西住しほ。黒いスーツ姿のままの彼女は座布団に座り、興奮するでもなく和明とまほの交わりを見つめている。その顔に表情は浮かんでおらず、まるで退屈な観測実験を眺めているかのようだ。
「(……怒ってる、よな。アレ)」
まほの身体が与えてくる快感を覚えつつ、和明は体の中に冷たいものを感じる。
だが、最早ここで止まれないのも事実だった。和明はしほの視線を振り払うようにまほに向き直り、唇を重ねる。
「んっ、んはっ……まほ、さん。もっと舌を、絡めて……」
「あふっ、ンッ、ちゅ……こ、こう、ですか?」
和明以外の男性を受け入れた事の無いまほの口腔内。歯茎をくすぐるように舐める和明の舌の動きに、まほは慣れないなりに応えようと舌を絡みつかせる。熱い彼女の吐息が和明の中に流れ込み、くらくらするような興奮を覚える。
「ひうっ! ま、まだ、大きく……っ!」
「大丈夫か、まほさん? その、まだ痛いんじゃ……んむっ!?」
「ンッ、ちゅ、ふぅっ……!」
膨らむ怒張にまほが背を反らす。処女喪失して間もない彼女の事を気遣う和明の言葉に、まほは口吻で返してきた。
「んはっ……も、もっと、動いてください。お母様の事は気にせず、篠原さんをもっと、感じ、させて……あぁっ!」
「……!」
ショートカットの髪を振り乱しつつも、まほは和明に懇願する。その健気な様子に、まほの柔肉に包まれていた肉棒はビクリと反応した。
「分かりました。思い切り……いきますっ!」
「アッ! ンンッ! あ、はぁっ!」
張り詰めた水風船のようなまほの乳房を強く揉みつつ、和明は抽送行為を再開する。傍らに座るしほは無表情のままだ。
おそらく寝室の外では使用人頭の菊代が待機しており、事が終わるのを待っているのだろう。果たしてこの状況も、彼女の想定内なのだろうか。
「あ、あぁっ! 篠原、さんっ! な、何か……!」
早くも順応してきたのだろう。和明の腰の動きにまほは腰をくねらせ、自身の強く感じる箇所を亀頭が擦るように調節し、激しく悶える。
──熊本・西住流家元本宅。そこに和明は居た。
「失礼致します。こちらに篠原様という方はお勤めでしょうか?」
黒髪を簡素に束ねた和服姿の女性が戦車道ショップに現れたのは、少し日が早くなり始めた感のある8月下旬の夕方少し前だった。テレビが上空取材でもしているのか、ヘリの音が遠くでする。
「ああ、井手上さん。家元にはいつもお世話になっております」
「いえいえ、店長様もお変わりなく」
同じくカウンターに居た店長が彼女に礼をした。どうやら顔見知りのようだ。
互いの挨拶が終わったところで、和明は名乗り出た。
「え? ええっと……篠原は自分ですけど」
「あら……失礼致しました。お話は伺っていましたが、容姿を存じませんでしたので」
えらく丁寧な言葉使いをする女性だった。二十代後半から三十代前半くらいだろうか。
整った顔立ちを形作る個々のパーツはどこか幼さを残しつつも、その落ち着いた姿勢は大人のそれでどうにも年齢を読み取れない。
和服の女性は手を膝前で重ね、こちらに深々と頭を下げた。
「私、西住家にて使用人頭をしております
「西住家?」
「はい。お会いするのは初めてですが、家元が
「え、ええ……」
戸惑いつつも作業用エプロン姿の和明は頭を下げる。やはり自分が彼女らの相手をしている事は知っているようだ。
「(菊代……確か、しほさんが以前に……)」
全国的な豪雨の日、西住しほが和明宅に寝泊まりした時の事を思い出す。確か西住流の拠点である熊本での欲求不満の解消相手の手配は、菊代という使用人頭がやっていると言っていたが、この人なのだろうか。
しかし和明の頭からは疑問符が取れなかった。だとしたら、何故そんな女性がわざわざ横浜の戦車道ショップに来て、和明を名指して探しにきたのか?
「その……しほさ、いえ、西住さんから何か?」
「そのようなものと申しますか……篠原様、本日のお勤めは何時頃までになりますでしょうか?」
「今日ですか? もうちょっとで終わりですけど……」
とりあえずの推測に菊代は曖昧に返し、和明に尋ねてきた。時計を確認すれば、既に退勤まで一時間を切っている。
和明の答えに、菊代は安心したように言った。
「それは良うございました。この後のご予定などはありますか? 宜しければ、ひとつご足労願いたいのですが」
「ご足労?」
「ええ、篠原様に会っていただきたい方がおられまして」
にこやかに菊代は言う。
今ひとつ状況は把握できないものの、しほからの要請であれば無下にもできない。和明は頷いた。
「分かりました。じゃあ、仕事が終わったら……」
「いや、篠原君。それだったら、もう上がって大丈夫だよ。勤務は定時で打っておくから」
「え、いいんですか?」
「家元はうちの上得意だからね。それも仕事の内さ」
和明が呼ばれた事に店長も察したのだろう。有難い申し出を和明は素直に受け取ることにした。バックルームに向かい、エプロンを外して手早く身支度を済ませる。
鞄を手にして裏から出てきた和明は菊代に言った。
「すみません、待たせました」
「いいえ、こちらこそ急な話にお付き合いいただき助かります。では店長様、ご機嫌よう」
「はい、家元にもよろしくお伝えください」
店長と菊代は互いに頭を深く下げ、別れる。
「さて、では参りましょうか」
「あの……そういえばまだ何処へ行くとか聞いてませんでしたけど、行き先は?」
「熊本です」
「はあ、熊本……」
さらりと菊代は答える。
危うく聞き流しそうになった和明は思わず足を止めた。
「ちょ、ちょっと待ってください。熊本って、あの熊本ですか?」
「はい、九州の熊本でございます」
「いやいや! 今から九州って!?」
横浜から都心程度の移動は想定していたが、それが熊本となると話が違う。新幹線でも裕に半日、飛行機で向かうにしてもここから羽田まで向かうだけでも何時間かかるやら。少なくとも泊まり前提での移動になるのは確実だ。
そう慌てる和明に、菊代はあくまで穏やかに言った。
「大丈夫で……」
その時、遠くで聞こえていた筈のヘリの音が急激に近づいてきた。
「な、なんだ?」
「どうやら来たようですね。店長様、店舗裏の戦車試乗場を少しお借り致します」
「へ? あ、はい、どうぞ」
激しい音にも動ずる事無く、菊代は店長に言うと裏口へと向かう。釣られて和明もそれを追った。
「えっと、井手上さん! 何処に……なっ!?」
裏口から出た和明は、そこに有るものに絶句した。
大型ヘリが試乗用スペースに着地しており、ローターを回転させている。左右の支柱めいたローター基部などは和明もニュースなどで見たことがある。確かこれは──
「V-22、最高速度565㎞/h。積荷は私と篠原様だけですし、二時間もあれば熊本です」
ローターの風が着物の袖を激しく揺らす。
そんな風の中でも、菊代は当たり前のように言った。
「………」
和明は改めて、自分が肌を重ねている相手が日本戦車道の重鎮なのだという事を知った。
そして、それに仕えている人物が平凡な人物である訳がない事も。
──そこから移動に使った二時間は、あっと言う間だった。
軍用ヘリに乗るのなど初めてで、更に本来はもっと大人数を搭載して移動するであろう客室には自分と菊代の二人だけで、激しい音と文字通りの飛ぶような勢いで後ろに消えてゆく窓の外の風景に戸惑う内に到着したような感覚だった。
「……そろそろ、ですね」
菊代がそう言うと、それが合図だったかのようにヘリが減速を始めた。更にもう少しヘリは飛び、やがて降下を始める。
完全に着地し、操縦士の女性がハッチを開けた。何だか足下がふわふわする錯覚を覚える。
「お、おお……」
ヘリポートに降り立った和明は、周囲の光景に息をのんだ。
周囲は高い白壁に囲われ、そこそこの広さのヘリポートですらその壁に覆われた区画のほんの一角なのが分かる。
壁を背にして視点を変えると、純和風の造りの広い屋敷。一部は二階建てになっているが、基本は平屋のようだ。
そしてその白砂が撒かれた庭には、幾つもの戦車が並んでいた。和明も知っているティーガーやパンター、Ⅳ号戦車から戦車黎明期の古典的なものまであり、ちょっとした独戦車の展示会のようだ。
「ようこそ西住家へ。歓迎致します、篠原様」
菊代はそう言うと、和明を先導するように歩き始めた。物珍しそうに周囲を見回しつつ彼女の後を追う。
夏の盛りを越えたとはいえ、西日が与えてくる暑気は強い。しかし屋敷の陰に入った途端にその熱気は弱まり、むしろ木々の香りと共にひんやりとした空気が漂ってくる。エアコンに頼らずとも空気が通りよく、暑気や湿気が籠もりにくい造りになっているのだろう。
人気の無い廊下を菊代と二人で歩く。時折、丁稚めいた年若い使用人がすれ違い、菊代と和明に丁寧に頭を下げる。菊代は彼らと二、三の言葉を交わして、再び歩き始める。
「……凄いお屋敷ですね」
「西住家は
素直な感想を口にする和明に、菊代は振り向かずに答える。
やがて菊代は、ある大きな障子戸の前で立ち止まった。腰を落として戸に手を添え、中に向けて言う。
「お嬢様、篠原様をお連れしました」
「……ありがとうございます、菊代さん。お通ししてください」
中からの少女の声。ややハスキーなその声に、和明は聞き覚えがあった。確かこれは──
菊代は少女の声に頭を下げると音も無く障子戸を引いた。畳が敷き詰められた広い部屋。そこに一人の少女が座布団に座り、佇んでいる。
黒森峰女学園のパンツァージャケットに身を包んだ彼女、西住まほは静かに言った。
「……遠方からのご足労、ありがとうございます。どうぞお座りください」
「え? あ……はい」
よく見れば、まほの向かい側にもう一つの座布団が敷かれている。和明は戸惑いつつもそこに正座した。何というか、彼女を前にすると年下だというのに背筋が伸びる。
「ごゆっくり。茶を煎れて参りますので、お待ちくださいませ」
そう言うと菊代は深々と和明とまほに頭を下げ、スッと立ち上がるとそのまま退出していった。
「………」
「………」
室内に残された和明は、正座したまま眼前のまほを見た。まほは無表情に、姿勢正しくこちらを見ている。
さて、何から聞いたものやら。和明はまほの視線を受けつつ考えた。自分をここまで呼んだのは彼女、西住まほで間違いないのだろう。ではその用件とは何か。
「(しほさんの事……だろうなあ)」
とりあえず心当たりとしてはそのくらいだ。と言うか、和明とまほの接点はそこしか無い。
和明はまほに問いかけようと口を開こうとした。
「あの……」
「先日は、お世話になりました」
ほぼ同時に、しかし和明以上にハキハキとまほは挨拶してきた。タイミングを逃し、和明は言葉を引っ込める。
「い、いえ、そんな……アレは店長の手伝いをしていただけです」
「そうではなく、お母様についてです」
「……!」
思った以上にまほはあっさりと本題に踏み込んできた。少し緊張しつつ、和明は答えた。
「……何の話ですか?」
「そう緊張しないでください。篠原さん、貴方を詰問するために呼んだ訳ではありません。貴方とお母様が……その、男女関係にあることは知っています」
言葉を選びつつまほは言った。18才の少女が口にするには抵抗ある話題ではあろう。
しかし、やはり知っていて呼んだのか。和明はこれ以上隠すことを諦め、まほに言った。
「……それは、黒森峰の学園艦に俺が行った時ですか?」
「いいえ、その時は全く」
「え? それじゃ……」
「お待たせ致しました」
その時、障子戸の向こうから菊代の声がした。
音も無く戸を開けて盆を手に入ってくると、菓子入りの小皿と茶托に乗せられた椀を二人の手前にそれぞれ置く。
「ちょうど良いお話をされていたようで……篠原様、お嬢様が家元と篠原様のご関係について知ったのは、つい先日、私がお教えしてからです」
そのまま菊代は腰を落とし、盆を横に置くとまほと並ぶように座った。
和明は驚くと同時に疑問を抱いた。何故そんな話を、わざわざ彼女にしたのか?
「……篠原さん。今週、北海道にて開催される大学選抜と大洗女子学園との模擬戦についてはご存じですか?」
その時、まほが唐突に尋ねてきた。いきなり飛んだ話に戸惑いつつも和明は答える。
「へ? え、ええ。結構ニュースにもなってますし」
「その試合なのですが……表向きこそ『プロリーグの試合を想定した、高校戦車道優勝校との模擬戦』となっていますが、実際は大洗女子学園の廃校を賭けたものとなっています」
「ええっ!?」
ニュースにもなっていない突然の情報に和明は驚いた。
大洗女子学園を初出場・初優勝に導いた“軍神”西住みほ。若干13才にして大学選抜を指揮する“天才少女”島田愛里寿。この2人の若き才能の激突は、戦車道新聞や戦車道ニュースでもちょっとした話題となっていた。しかしそんな裏事情があったとは。
「既に発効している大洗廃校についての処分の撤回条件は、大学選抜に勝ち、大洗女子学園の優勝が
「……そんなに強いんですか?」
「確かに大学選抜は強敵ですが、それだけではありません。文科省側は当日の試合ルールを変更し、30対8の殲滅戦を強制的に行おうとしています」
「!?」
何とも無茶苦茶というか、大人げないと言うか──
絶句する和明にまほは言葉を続けた。
「そのため現在、大洗と交流のあった各高校が水面下で連携をとり、大洗への短期転校という形で助勢する作戦が進んでいます」
「それは……また」
想像もつかないような策謀の応酬に上手い言葉が出てこない。
「私も、明日には黒森峰の同胞と共に数両の戦車で加勢に向かいます……ついては篠原さん、貴方を急にお呼びした理由がそれです」
「いや、そう言われても俺には助言とかは……」
「ふふっ。勿論ですが篠原様にそのような事を期待してはおりません」
戸惑う和明の言葉に菊代はそう言いつつ笑う。
一方、まほは自身の決意を固めるように大きく呼吸すると前に手を置き、ゆっくりと頭を下げた。
「……篠原さん。初対面に近い貴方にこんな事を頼むのは非常識にも程があると思うが……私の
「と、伽?」
聞き慣れない言葉に返事に困る和明に、菊代が言った。
「つまりお嬢様はこう言っておられるのです。『貴男に初めてのセックスの相手になって欲しい』と」
「……!?」
「菊代さん……もう少し、言葉を」
「殿方というのは明確に言わないと伝わらないものです。お嬢様」
顔を上げ、遠慮がちに菊代に言うまほ。それに涼しい顔で返答する菊代。
ここに来てから驚き通しだが、その中でも今のまほの言葉は衝撃的だった。和明は菊代に言った。
「ちょ、ちょっと待った! 井手上さん、今まほさんの事を『初めて』って……」
「……はい」
「いや、その、大事な試合があるってのは分かりました。でもそれが、何で俺が西住さんの処女を……」
そこまで言ってから、和明はある事に思い至った。
「まさか、しほさんや千代さんと同様の……?」
「……はい。私は最近になり……戦車道の試合を重ねる度に強い欲求不満と、体調の不調を覚えるようになりました」
「優れた戦車道の選手ほど陥る、闘争心の不完全燃焼からの性的な欲求不満の発生……お嬢様に表れた症状が家元のそれと同様のものである事は、すぐに分かりました」
菊代がまほの言葉を補足する。
確かに以前、しほがそういった体調不良を起こす程の欲求不満を覚えたのは今のまほと同じ頃だと言っていた。戦車道エリート校である黒森峰の隊長を二年生の頃から務めている程の彼女ならば納得できる話だ。
しかしそれでもまだ疑問は残る。和明は菊代に聞いた。
「でも……何故わざわざ横浜にいた俺を呼んでまで? 確か、熊本でのしほさんへのそういった『手配』は井手上さんがやられていると聞きましたけど……」
「確かに本来はそうなのですが……理由は三つあります。ひとつは今回の大学選抜戦の決定から開催までの期間が極めて短く、お嬢様に相応しい相手を探すのが困難であること」
細い指を立て、菊代が言った。更にもう一本指を立てる。
「二つには篠原様と家元の身体の相性が極めて良いと思われること。お嬢様は顔立ちだけでなく、体つきも若いころの家元に非常に似ております。篠原様ならばお嬢様の身体の中の『火』を鎮めていただけるかと判断しました」
「は、はあ……」
他人から「相性が良い」と言われてもピンと来ないものだ。曖昧な返事をする和明に、菊代はもう一本指を立てて見せた。
「そして三つ目。これが最も重要な点なのですが……篠原様の事を家元も、また島田流家元も秘匿性、人間性共に深く信頼されているという事です。何でも、島田流家元の娘様とも関係されたとか」
「な、何でそれを!?」
いや、しほと千代の関係からすれば筒抜けでも不思議ではないか。
和明がそう察したのを知ってか知らずか、菊代は和明の言葉をスルーして話を続ける。
「……とはいえ、これはあくまで手前勝手な都合に他なりません。篠原様が気が進まぬと言うのであれば、このまま横浜までお送り致します」
「………」
和明はまほを見た。
「西住さんは……その、それでいいのか?」
「いいのか……とは?」
「いや、ほら、そりゃ俺からすれば西住さん……まほさん、でいいかな? 君みたいな綺麗な子の相手ができて嫌な訳はないさ。でも、その、初めての相手が俺ってのはまほさんからすれば、嫌なんじゃないのか? 君のお母さんの相手をしていた訳だし……」
「……ふふっ」
そう問われ、まほは少し笑った。
「成程、お母様が信頼されるのも分かる気がします」
「え?」
「この夏に入り……正確には篠原さん、貴方と逢うようになりそういった不満を抱かなくなったからか、お母様は戦車道の試合や演習においてより強く精彩を放つようになりました。確かに娘として一言では表せないものもありますが……それでも篠原さん、私は貴方に感謝しています」
18歳にして随分と肝が据わっている。流石は西住家次期家元といったところか。まほは言葉を続けた。
「この大学選抜戦、私は大洗を……みほを、何としても助けたい。そう思っています。ですが……この体の耐えがたい熱さを抱えている今のコンディションのままでは、十全では戦えません」
そう言ってまほは自身の胸に手をあてた。表面上はクールそのものだが、実際は中からの衝動に耐えているのだろう。
改めてまほは和明に言った。
「お願いします、篠原さん。助けると思い、私を……抱いてもらえませんか?」
「………」
本心からの頼みである事が彼女の瞳から伝わってきた。ここで断っては男とは言えない。そんな状況である。
しかし、だからこそ和明の中にはある一つの疑問が浮かんだ。
──何故、この場にしほが居ないのか?
家元として多忙を極める彼女である。確かに都合が合わない事もあるだろう。しかし娘が処女を捧げようとしている状況で、言伝もなく使用人である菊代に任せるだろうか。和明は尋ねた。
「この事を……しほさんは?」
「っ!」
まほはそこで初めて言葉に詰まり、菊代に視線を向けた。菊代は澱みなく答える。
「……この件について、家元は存じておりません」
「知らない?」
「はい。この件は私とお嬢様しか把握しておりません」
「そんな! 横浜ではしほさんからの……」
「『そのようなもの』と申しました」
なるほど、返事が曖昧だったのはそういう訳か。
しかし感心してもいられない。和明は更に聞いた。
「じゃあ、これってしほさんに秘密って事ですよね、何で?」
「……反対されているからです」
菊代は静かに言った。
「反対って……まほさんの処女を俺が奪う事を?」
「半分正解と言いますか……家元はお嬢様の状態を理解しております。しかし、篠原様を紹介する事は避けられていました」
「母親を抱いている男を娘に紹介できないとか、そういった理由ですか?」
和明の言葉に菊代は首を横に振った。
「そんな複雑な話ではありません。単純に家元が
「それって……?」
「……独占したいのですよ。篠原様、貴方を。ああ見えて独占欲の強い方ですから」
「!?」
まさか──しほが?
驚きを隠せない和明に、菊代は言った。
「……お嬢様のためにもお願い致します、篠原様」
【アンケート結果発表】
いつも拙作をお読みいただき、誠にありがとうございます。
今回初めてアンケート機能を使い「100票集まればいいかな」程度で考えていたのですが、結果としては総投票数1257票と結構な反響をいただきました。
それでは、結果発表です。
一位・西住まほ(457票)
二位・五十鈴百合(275票)
三位・大学選抜三人娘(209票)
四位・西住みほ(201票)
五位・蝶野亜美(115票)
一位のまほさんは全体票の36%を獲得しての文句なしの当確。薄い本界隈でしほさんに次ぐ人気だけの事はあります。
二位には作者的にはまさかの華ママがランクイン。見た目が若い好子さんとは違う割とガチ熟女キャラですが、それが刺さる人も多かったのでしょうか。
三位・四位はほぼ同数でミミミの三人とみぽりん。華ママに票を吸われた格好となりました。
そして五位に大きく差をつけられて蝶野さん。良いキャラだと思いますがエロ需要はあまり無かったのかもしれません。
という訳で今回のエピソードはまほ回となりました。次回アンケートは未定ですが、あと一回はやろうかと考えていますので、開催の際はよろしくお願いします。