第一話
早朝の函館港。もやが揺蕩う港に一隻の輸送船が停泊している。
その船の前に並ぶのは古びた数両の戦車。Ⅳ号戦車に描かれた鮟鱇のマークを筆頭に、全ての戦車にデフォルメされた亀や兎、河馬などのマークが描かれている。
「フラッグ戦だと思ってたら、いきなり殲滅戦への変更……か。参ったね、どうも」
戦車の搬出が進む中、その光景を眺めていた小柄な少女が呟いた。
茶色の髪をツインテールに結わえた姿は中学生程度にも見えるが、大洗女子学園の生徒会長を務める彼女、角谷杏の視線は鋭い。
「それでも、諦める訳にはいきません」
その横に立つショートカットの少女が静かに言った。表情こそ穏やかだが、語調は強い。
杏は横目に彼女に言った。
「こういう時、西住ちゃんって強いよね」
「そ、そうですか?」
少女の声に戸惑いが混じる。
「まあ……あちらさんも到着したみたいだし、確かにどうこう言ってられないか」
杏の視線が今度は港の一角へと移る。学園艦とは微妙に外観が異なる大型艦、大学選抜の演習艦がそこには停泊していた。やはり同様に戦車の搬出を行っているようだ。
「現地に到着次第、部隊の展開と戦術を考えます」
「……頼んだよ」
「はい、何とか数を補えるように……?」
その時、ショートカットの少女の身体がぐらりと揺れた。
「あ、あれ?」
「ちょ、西住ちゃん!?」
慌てて杏は彼女の身体を支えた。どうにかバランスを戻しつつ少女が礼を返す。
「すみません……」
「大丈夫? 西住ちゃん、ちょっと休みなよ。試合が決まってから気を張りっぱなしなんだから」
「そう……ですね、ありがとうございます」
──こう言ってはいるが、おそらく彼女は休むまい。
大洗女子学園戦車道隊長・西住みほの人となりを知る杏は心の中で呟いた。
「あれが大洗女子学園の戦車道チームですか?」
出店用の資材をトラックに乗せつつ、和明は港の一角に停泊する輸送船を見て言った。
「ああ、今年の大会で伝説を作ったチームさ。決勝戦は僕も生で観戦したけど、凄かったねえ。渡河中にエンストした車両を救うために隊長自ら牽引をしようとしたり、黒森峰の虎の子の超重戦車マウスを脆弱な戦力で撃破したりで」
「はぁ~……」
マウスの名前程度は和明も知っていた。おそらくは高校戦車道のレギュレーションにおいては最厚の装甲を誇る戦車の筈だ。そんな怪物にどうやって白旗を上げさせたのだろうか。
あれこれ想像しつつ和明は荷物を載せ終えた。ここからは陸路で北海道演習場まで移動となる。落ち着いて千代や愛里寿と会えるのは試合を終えてからになるだろう。
「おはようございます」
「あ、愛里寿ちゃ……おはようございます、
背後からの少女の声。振り返ると、ベレー帽にパンツァージャケット姿の愛里寿が立っていた。店長も彼女に気づいたのか、エプロンの皺を伸ばしつつ挨拶を返す。
「どうも島田さん、この度はお世話になりました」
「いいえ、会場でもよろしくお願いします」
外見こそ幼い少女のそれだが、背筋をぴんと伸ばし落ち着いた態度で店長と話す姿は大人との対話に慣れた大学選抜隊長の名に恥じないものだ。13歳だった時の自分の様子を思い返して和明はそう思った。
「すぐに出られるのですか?」
「いいえ、積み込みはしましたが家元への挨拶もまだですし、朝食を摂って戦車などの搬出が終わった後から出る予定です」
「……そうですか」
ふと、愛里寿の視線が和明に向けられる。彼女は店長に言った。
「あの、店長さん。篠原さんを少し
「こちらは大丈夫ですが……篠原君、どうだい?」
尋ねてくる店長に和明は頷いた。
「分かりました。店長、それじゃあまた後で」
「ああ。僕はトラックの中で休んでるから、用事が済んだら戻ってきて」
「恐れ入ります。篠原さん、では一緒に……」
スッと身を翻す愛里寿。その小さな背中の後に和明は続く。
この艦内──と言っても、ちょっとした町程の広さはあるのだが──での二日間の中で、和明は愛里寿の二つの変化に気づき始めていた。
和明に背を向けたまま、愛里寿は言う。
「すみません、
「いや、まあ……試合前はこれが最後になるし」
ひとつは、和明が思っていた以上にこの2日間の「回数」が多かったこと。初日のアナルセックス以降も、愛里寿とは何度も身体を重ねている。
ふと、愛里寿の足が廊下の途中で止まった。その横にはピンク色の扉に「lady's」の文字。当然それが何を意味するのか和明も知っている。女子トイレだ。
愛里寿はくるっと振り向くと、和明に言った。
「それでは……ここで、お願いします」
「うえっ!?」
「この後、試合前の最後の演習があって……家に戻る時間が無いので」
「いや、だからってココでってのは……」
思わず声が出て、慌てて自分の口を塞ぐ。改めて小声で和明は答えた。
そんな和明の態度に、愛里寿は寂しそうな表情を浮かべる。
「……駄目ですか?」
「………」
もうひとつは──本来の目的である「戦車道の鍛錬の中で生まれた欲求不満の解消」を抜きにして、愛里寿が性行為に強い興味を持つようになったという事だ。
戦車道でもそうだが、おそらく彼女は一度興味を抱いたものに対して追及しないと気が済まないのだろう。どうすれば和明がより気持ちよくなれるのか、どうすれば自分がより興奮できるのか、そういった事を色々と試してみようとする。
そしてその中には今こうして、和明を動揺させるような発想も混じっているのだが──寂しそうな顔で懇願してくる愛里寿に対して素っ気なく断る事ができる男は、まず居ないだろう。
「大丈夫。それじゃ、やろうか」
「……ありがとうございます」
表情を寂しさから嬉しさに変えると愛里寿は先にトイレに入った。どうやら利用者が居ないかを確認していたようだ。数秒の後にドアを開け、和明を促す。和明は周囲を見回し、自分たち以外に廊下に居ない事を確かめて中に入る。
小便器と便器に分かれている男子トイレと異なり、女子トイレは全てが個室となっている。奥の方の和式便器が設置されている所を選び、愛里寿は戸を開けた。清掃が徹底されているのだろう、室内には清潔感があり、芳香剤のフローラルの香りが漂っている。
和明が入ってきたのを確認し、愛里寿は鍵をかけた。トイレの戸を背に和明が立ち、その前に愛里寿が立つような格好だ。
「大丈夫です、この時間にここを使う人は選手でも少ないですから。和明さん、ズボンを……」
当然だが和明にとって女子トイレに入る事自体が初体験だ。もし此処にいる事や、あるいは出てくる所を確認されただけでも社会的に死ぬのは確実だろう。
そんなこちらの緊張をほぐすように愛里寿は言うと、和明の前に跪いた。ベレー帽を取りポケットに入れ、ジーンズ越しに和明の股間へを顔を近づける。
「あ、ああ……っと?」
和明が自ら脱ごうとする前に愛里寿が動いていた。留め具を外し、流れるような所作でジッパーを下ろす。
「んっ……」
愛里寿は手を止めないまま口を閉じ、もごもごと口腔内で舌を動かしている。唾液を溜めているようだ。
間もなく愛里寿の細い指が和明のトランクスの中まで入り込み、半勃起状態の肉棒が露出する。
「………」
無言で愛里寿は和明を見上げた。
彼女が「許可」を求めている事に気付き、和明は答える。
「いいよ、愛里寿ちゃん。咥えても……」
「っぱ……い、いふぁふぁひまふ……あむっ」
「ううっ!」
唾液を溜めたまま愛里寿は答え、そのまま小さな口を一杯に広げて亀頭を咥えこむ。彼女の口腔内の滑らかさと熱さに和明の腰が跳ねる。
更に愛里寿は頭を和明に寄せる。竿の半分ほどが呑み込まれ、こつんと喉奥に亀頭が当たったのが分かる。
「ンッ、んぶっ、ふうっ……!」
息苦しそうに眉をひそめ鼻を鳴らす愛里寿だったが、それでも口を離す事無く口淫を始めた。両手を和明の脚に添えて固定すると、緩やかに頭を前後させつつ舌を肉棒に絡めさせてゆく。
「あ、愛里寿ちゃん、熱いっ……!」
愛里寿は大丈夫と言っていたが、やはり女子トイレの中での行為というのは嫌が応にも利用者が来るかもという意識と緊張感を和明に覚えさせ──それがそのまま興奮へと変わってゆく。
そしてそれは愛里寿も同じのようであった。咥えている最中も腰がもぞもぞと動いており、彼女の快感を示している。
「ンンッ、じゅるっ、んぷっ……」
口の端から零れる唾液を手の甲で拭いつつ、愛里寿は行為を続ける。股間に血液が集まり、肉棒がより大きく、固くなってゆくのが分かる。
自分の肉棒が十分に怒張するのを待ち、和明は愛里寿の頭を優しく撫でた。
「愛里寿ちゃん、そ、そろそろ……」
「ぷはっ……はい」
和明の行動を理解し、愛里寿は肉棒を口腔内から解放するとジャケットの別のポケットから小さなポリ容器とコンドームの袋を取り出した。封を切ってスキンを取り出し、唾液塗れの肉棒に被せる。
「今度は和明さんが……お願いします」
「ああ、分かってる」
ポリ容器の中に入っているのはローションだ。和明は愛里寿を立たせるとトイレの奥の壁に手を付けさせた。彼女の履くミニスカートをまくり上げると、熊がプリントされたコットン製のショーツが露わになる。
「あれ?」
それは普通のデフォルメされたクマとは明らかに違っていた。至る所を包帯や絆創膏で覆っており、何とも痛々しさを感じるデザインだ。そして、そんなクマに和明は見覚えがあった。
「これって『ボコられクマのボコ』だっけ?」
「知ってるんですか、和明さん?」
「まあ、その、名前程度だけど。好きなの?」
「はい、小さい頃から大好きです。あの、和明さん。今度でいいので本宅に来てください。未放送分の秘蔵映像とかお見せしますから」
「………」
お尻をこちらに突き出すような姿勢に顔を赤らめつつも、愛里寿は意外なところで同じ趣味の人に会ったような嬉しさを見せた。こういう所は、やはり13歳の少女相応なのかもしれない。
そんな事を考えつつ和明は愛里寿のショーツに手を添え、そのままずり下げた。未成熟な果実を思わせる白く小ぶりな彼女の尻が露わになる。薄い陰毛に彩られた薄桃色の秘唇は微かに濡れており、フェラチオだけで彼女が感じていた事を物語っている。
和明は容器の蓋を開けるとローションを自分の手に垂らし、濡れた指で愛里寿のアナルに触れた。
「んぁっ……!」
びくんと彼女の身体が反応を見せる。下半身こそ丸出しだが上半身は大学戦車道隊長として務める時の格好と同じで、それがより倒錯的な印象を和明に与えてくる。
和明は窄まりの周辺を丁寧に濡らし、くにくにと指を動かして解してゆく。
「はぁっ……か、和明、さんっ、んんっ!」
「愛里寿ちゃん、ちょっと声、抑えて……」
指の動きに合わせて愛里寿は喘ぎを漏らす。その声が大きくなってきている事を彼女に伝えつつも、和明は愛里寿のアナルが柔らかくなってきている事を確かめつつ更に指を奥へと進めた。
「あぁっ、んっ、ひっ……!」
ひと際、反応が強くなる。汗ばみ始めた愛里寿の首筋から仄かに石鹸の匂いがする。シャワーを浴びてからすぐに和明の所に来たのだろう。
ローションの容器を握って温めつつ、今度は直接ローションを垂らす。この二日間で何度か和明の肉棒を受け入れた事でかなり滑らかになってきたが、それでもしっかりとした準備は必要だ。
指をゆっくりと、第二関節まで沈めてゆく。強い締め付けを感じつつも和明は指の出し入れを続ける。
「ふぁっ! あ、あうっ!」
もう片方の手で愛里寿の前の方を弄る。未成熟な陰唇はひくつき、熱さを伴った湿り気が伝わってくる。
和明は愛里寿の窄まりにもう一本の指を挿れ、そこを広げた。
「いくよ、愛里寿ちゃん」
「は、はい……来っ、ひぅっ!?」
あえて不意をつくように、彼女の返事を待たずに愛里寿のアナルへと肉棒を突き入れてゆく。
彼女の耳元に口を近づけ、和明は聞いた。
「あと、時間はどのくらい?」
「あぅ……は、八時に集合なので、30分くらい、です……」
「分かった。それじゃ、そこまでに片付け込みで終わらせるから」
「えっ……んっはぁんっ!」
軽く腰を引き、すぐに前に突き出す。それを何度も繰り返し、次第に抵抗が弱まってくるのを待ってより奥へと肉棒を進めてゆく。
奇襲を受けて最初は戸惑いが混じっていた愛里寿の嬌声だったが、次第にその声は甘みがかり、お返しとばかりに緩急をつけて肉棒を尻穴で締め付けてくる。
「くっ……上手くなったね、愛里寿、ちゃんっ……堪らない……!」
「あ、ありがとう、ござっ、ああっ!」
荒い吐息の中、懸命に声を押し殺しつつも愛里寿は頬を紅潮させ、和明の肉棒が与えてくる快感に震えている。
「馴染む」と言えば良いのだろうか。驚くべきことに彼女の肉体はこの短期間でアナルセックスを受け入れ、また和明自身も愛里寿のアナルを蹂躙する事への抵抗が薄れていた。
膣内とは全く異なる、しかし熱く締め付けてくるうねり。それは今にも射精しそうな程の快感を和明に与えてきたが、歯を食いしばり、愛里寿を絶頂に導くまでは堪えようと腰を振る。
「あぁっ、和明、さんっ! 私、もうっ……!」
「ああ、俺も、そろそろっ!」
泣きそうな顔で近づく絶頂を訴える愛里寿を愛おしく思いつつ、和明はとどめとばかりに腰の動きを強めた。
「……!?」
その時、ふと愛里寿の動きが止まった。
「愛里寿ちゃ……ンンッ!?」
背中越しに彼女の挙動を訪ねようとした和明は、その口を小さな手で塞がれた。
「………」
ふるふると首を振る。
直後、トイレのドアが開く音と共に幾人かの少女の声が飛び込んできた。
「ふぅ、お疲れ~」
「やっぱ寄港のタイミングでの当番はキツいね~。腕、パンパンになっちゃった」
「!?」
和明の背に冷たいものが走る。どうやら会話の内容からして戦車道の選手ではなく、艦の運行に関わっている船舶科の大学生のようだ。
そんな状況把握をしている間にも、まさか女子トイレ内で誰かがセックスしているとも思わない彼女らはトイレに入室してきた。和式便器は不人気なのか、距離が遠い洋式を選んでくれたのが幸いか。
愛里寿に口を塞がれたまま和明は彼女を見た。まだ挿入されたままという事もあり瞳は潤み、頬は赤いままだが「このまま黙ってやり過ごしましょう」と視線が訴えてきている。
「ねえ、ところで今回の試合、どう思う?」
「どうって?」
どうやら入ってきた少女は二人組のようだった。隣り合わせで入っているのか、大きな声で言葉を交わしている。
「いや、ほら、聞いたけど高校生の方の戦力って戦車8両って言うじゃない。それをこっちは30両で相手するんでしょ? それってイジメじゃないかな?」
「まあ……ねえ。ちょっと酷いよね」
「………」
口を閉じたまま、愛里寿の眉が八の字に変わる。
「アレじゃないかと思うの。大洗……だっけ? あそこの隊長って、西住流の家元の娘なの。それでウチの戦車道の上は島田流だから……」
「記念演習って名目で、西住流の面子を潰そうとしてるって事?」
「結構あると思わない? 今の隊長って家元の娘さんだしさ、楽な試合で手柄を取らせたいとか」
「(……言われてるなァ)」
何とも隠し立てのないトークの内容だ。和明は苛立ちを覚えるが、そう思われても仕方ない状況であると理解もできた。西住邸でまほが話した事が事実なら、これは元々大洗を潰すための試合なのだ。
そう和明が思っていると、ふと口を塞いでいた愛里寿の手が離れた。見下ろしてみると、眉は八の字にしたままで首を上げている。
「(ちょ……)」
和明が止める間もなく、愛里寿は言った。
「……戦車道に楽な試合など無い」
「えっ?」
「え、嘘、隊長!?」
先ほどまでの嬌声とは打って変わった落ち着いた口調と重みある声。
トイレに先客が居たのは把握していても、それが愛里寿だとは思わなかったのだろう。向こうのトイレの中の少女たちの声に露骨に焦りが混じる。
「数の利を過信し、負けてきた連中を私は幾つも見てきた。私が1両で15両の戦車を撃破した話を知らない訳ではあるまい?」
「え、ええっと……」
「す、すみません隊長! あの、そういうのじゃなくって……」
「………」
愛里寿の幼くも威圧的な声に、一回り近く年上の少女が完全に屈服している。
そんな様子を聞きながら、和明は未だ挿入されたままの結合部へと視線を移した。
──そしてそんな13歳の少女が、自分の肉棒に悶え、感じ、快楽を貪っている。
「(……試してみるか?)」
それは非常にリスクの高い行為と言えた。露呈すれば自分も只では済むまい。
だが──同時に堪らないスリルを、和明は確かに感じていた。
「根拠もない話を無作為に広めるな。今のは私も聞かなかった事にんあぁっ!」
「……え?」
「た、隊長、どうしたんですか?」
少女たちの戸惑う声。
「な、何でもない。ちょっと昨晩、冷やしたっ、だけっ、んんっ!」
「(ぐうっ、し、締まるっ……!)」
少女たちの不審を否定しつつ、愛里寿は突如として腰の動きを再開した和明に焦りの視線を送った。
声を出さず、口の動きだけで愛里寿は和明に言った。
「(和明さん!? な、何を……)く、んくっ!」
「(そのまま、あの子達を追い返して。愛里寿ちゃん)」
「……!」
「あ、あの、隊長、大丈夫ですか?」
「だ、大丈夫、だ……!」
「少女」としての島田愛里寿でなく「大学戦車道選抜隊長」である愛里寿を犯す。
それは和明に堪らない支配感を覚えさせると同時に、愛里寿にとっても新たな刺激になるという確信があった。現に今も、愛里寿は焦りと動揺を浮かべつつも和明の行為に抵抗することなく、きゅうと尻穴で肉棒を締め付け続けている。
少女たちは自分の用足しを終えたのか、普通にこちらを気遣っているようだ。彼女らの言葉に愛里寿はあくまで「隊長」としての態度で返す。
「んあっ、あ、んぅっ!」
「隊長、その、船医を呼びますか?」
「必要……ない。その、ふうっ! す、少し、大きいのが……出そうな、だけ、だっ!」
口調こそ強いままだが、その表情は興奮と緊張で今にも泣きだしそうになっている。
そんな愛里寿が堪らなく可愛らしく──同時に、責めたくなる。和明は大きく腰を引き、ずんと前に出した。
「はうっ!」
「ほ、本当に大丈夫なんですか?」
「
「わか、分かりました! すみませんでした、隊長! ほら、行くよ!」
「ちょ、ちょっと待ってよー!」
噂話を当人の側でしていたという負い目もあるのだろう。愛里寿の言葉に彼女らは委縮し、そそくさとトイレから退出してゆく。
ドアが閉まる音が響き、足音が遠ざかるのを待ち──愛里寿は涙を浮かべたまま、少し恨めしそうに和明を見た。
「……酷いです、和明さん」
「ごめんね、愛里寿ちゃん……でも、興奮したろ?」
「………」
和明の言葉に愛里寿は更に顔を赤くし──こくんと頷く。
「はい……怖いのに、凄くゾクゾクして、私と和明さんのしている所を気付かれたらって思ったら、余計に体が熱くなって……」
「変態さんだな、愛里寿ちゃんは」
「……!」
びくんと愛里寿の身体が反応を示す。
最初のアナルセックスの時もそうだったが、まほが恋人めいたセックスを求めてきたのに対して愛里寿には被虐欲めいた傾向があるようだ。日ごろ「島田流の天才少女」として人の上に立ち振舞う反動として、誰かに支配されたいという欲求があったのかもしれない。
「変態……ですか?」
「ああ、演習前にこうしてトイレでお尻で俺のを求めて夢中で腰を振って、他の人が入ってきても止められない……可愛い変態さんだ」
「んっ、あぁ……!」
愛里寿の口から吐息が漏れる。もじもじと尻をくねらせつつ、彼女は明らかに感じていた。
「か、和明さん……それでは、お願い、します……」
「何を?」
「ふぁぁっ! へ、変態な、私に……和明さんの、ち、ちんぽで、お仕置きして、くださいっ……!」
「……喜んでっ!」
「ああんっ! い、いいっ、お尻、いいっ!」
和明の肉棒で尻穴を押し広げられ、愛里寿はそれを喜々として受け入れ、トイレ内に響く程の声で喘いだ。
「……青森上空を通過しました。間もなく北海道です」
早朝の空を泳ぐ、巨大な飛行船。その船体には黒森峰女学園の校章が大きく描かれている。
その船内の一室で、黒森峰戦車道隊長を務める西住まほは眼前の女性に報告した。
「良い運転だったわ。おかげでズレる事もなく全ての書類に捺印できた……ただ、ちょっと枚数が多かったわね。知波単の転校手続き書類が100枚近くあったけど、何故、あそこだけ22両分の戦車を用意しているの?」
「ちゃんと支援用の車両数は伝えておいたのですが……」
彼女、母であり師匠でもある西住しほの言葉にまほが困惑しつつも答える。
そして──しほとまほの関係には、それに「もう一つ」が最近は加わっている。
「菊代さんから伺いました。『彼』が島田親子と共に向かっていると」
まほの言葉に、しほは周囲に自分たち以外の気配がない事を確かめつつ言った。
「おそらくは……予想通りの事が起こっているでしょうね」
「島田愛里寿は13歳です。そんな事には……」
「するわ。少なくとも『彼女』なら、それを出来るように準備してきている筈」
「………」
「勝ちなさい、まほ。
しほの言葉に、まほは少し考えて尋ねた。
「それには……お母様に勝つ事も含まれますか?」
飛行船の高度が下がってゆく。
しほは眼下に微かに見える大学戦車道選抜の演習艦を見つつ言った。
「……解釈は任せるわ」