北海道戦車道演習場・寄宿舎。
「ご無事ですか、西住殿!?」
「しーっ! 秋山ちゃん、そんな大声ださなくても大丈夫だから」
急病人用の休憩室の扉を蹴破らん勢いで飛び込んできた秋山優花里に、角谷杏は人差し指を口にあてて言った。
「失礼します。みほさんが倒れられたと……!」
「みぽりん、大丈夫!?」
「医者はもう呼んでるのか?」
その間にも次々と部屋に少女たちが駆け込んでくる。
「ええと……とりあえずは大丈夫。落ち着いてるから」
畳敷きに敷かれた布団で横になるみほの横で洗面器にタオルを浸していた和明は、突然の訪問者たちに声をかけた。
「(この子たち……確か、西住みほと同じⅣ号戦車のメンバーか)」
戦車道ニュースで見た事のある顔ぶれだった。確か優花里の次に入ってきた黒い長髪の少女が砲手の五十鈴華。その後ろのウェーブがかった栗色の髪の少女が通信手の武部沙織。最後尾の小柄な少女が操縦手の冷泉麻子だったか。
「その……この方は?」
「明日の試合の売店スタッフさん。準備中に演習場に独りで行く西住ちゃんを見かけて、気になって後で様子を見に行ったら倒れてたんだって」
見慣れぬ和明に問いかける優花里に杏がフォローを入れる。
「そうでしたか、ありがとうございます……って、あれ?」
「何か?」
「あの……何処かで、お会いしましたでしょうか?」
納得して礼をしようとした優花里は、和明の顔を見て眉をひそめた。自分の記憶を探るように指を額にあてる。
「えっ!? い、いや、初対面だと思うけど……」
まずい。和明の背に戦慄が走る。実際、彼女の母親の好子と激しく交わった際に彼女とは遭遇し、それどころかフェラチオや素股まで行っているのだ。何とか好子が誤魔化してくれたみたいだが、和明の顔をもし思い出したなら──
「静かにしなさい」
その時、場の温度を下げるかのような鋭利な声が優花里に向けられる。
細い瞳に有無を言わせぬ威圧感を籠めつつ、布団の横に座っていた西住しほは立ち上がり彼女らに言った。
「隊長車の搭乗員の子ね」
「貴女は……?」
「……西住流家元、西住しほ。西住殿のお母様です」
明らかに常人と異なるオーラを纏うしほに華が尋ねるが、それに答えたのは優花里だった。
『……!』
その言葉に少女たちの空気が変わった。しほに気圧されてはいるものの、こちらに向けられている気配は警戒──否、「敵意」に近いものだ。
「(そういえばしほさん、この子と上手くいってないって言ってたな……)」
夏の嵐の夜、しほが泊まりに来た時のことを思い出す。水没した僚機のメンバーを救おうと着衣のまま激流に飛び込んだみほにしほは感情のまま怒り、その後みほは西住流から逃げるように熊本の実家から出て、それきり戻っていないという話だった。その一連の流れを知っていれば確かに彼女らにとってしほは「敵」に間違いないだろう。
彼女らの視線を、少なくとも外見上は平然と受け止めつつしほは言った。
「単なる疲労による立ち眩みよ。既に医療スタッフには連絡しているから、貴方たちは明日の試合に備えてもう寝なさい」
「いいえ、側に居させてください」
有無を言わせぬしほの言葉に華がきっぱりと答えた。大人しそうな外見とは裏腹に気丈な性格らしい。
しほは小さくため息をつくと、静かに言った。
「例えば……貴方達が今のみほと同様に大事な試合の前夜に体調を崩して倒れて、目が覚めた時に仲間が居たらどう反応しますか?」
「そ、それは……」
「『大丈夫、心配しないで』……仮に本当に大丈夫ではなかったとしても、そう答えるでしょう」
何かに気付いた沙織がたじろぐ。そこに更に刺さるようなしほの言葉が投げかけられる。
「みほは明日の試合までには必ず復調させます。だから、貴方達は休みなさい」
「……任せていいんだな?」
麻子が視線をしほから杏、杏からみほへと移し、再びしほを見つめる。どうにも信用されていない。
しかしその警戒心は彼女らの性格がどうこうでなく、みほとの友情に依るものある事が和明にも伝わってきた。本当に彼女の事を心配しているのだろう。
「……君たちの気持ちは分かる。だが、今は私たちを信じて欲しい」
その時、布団の反対側に座っていたもう一人が口を開いた。それまで気配を殺していたかのような彼女の存在に気付いた沙織や優花里たちが驚く。
「え? え?? 貴女って確か、黒森峰の隊長の……」
「西住……まほさん!? な、何でここに?」
「詳しい話は後でする」
スッとまほは立ち上がり、布団を回り込んでしほの横に立った。
「私たちの事をどう思っているかは分かっているつもりだ。だが……みほを心配しているのは、私もお母様も同じだ。今は私たちに任せて、鋭気を養ってほしい」
しほよりはやや柔らかく、諭すようにまほは言った。
数秒の沈黙の後、麻子が答える。
「分かった。おばぁの時の事もあるし、信用する」
「ありがとう。安心して、ゆっくり休んでくれ」
「……よろしくお願いします」
どうやらまほの存在が彼女らの警戒心を緩めてくれたようだ。他のメンバーも同様だったのか、先頭の華が一礼するとそれに合わせて頭を下げ、退出してゆく。
みほの友人が全員出て行った後、腰を落としつつ杏が言った。
「……すみません、家元。みんな、西住ちゃんの事を大事に思ってるんで」
「構わないわ。私があの子たちにどう思われているかは分かっているつもりです」
同じく再び座りつつしほが答える。
「ただ……正直、私も引っかかっています。医療スタッフさん、本当は呼んでませんよね?」
「……今のみほの症状は、医者や薬でどうにかなるものではありませんから」
「只の病気や疲労じゃないと?」
「ええ。角谷さん、みほだけど……この数日、調子が悪そうな様子は無かった?」
怪訝な様子の杏にしほが尋ねた。
「そう……ですね、大学選抜戦が決まってからは随分と根を詰めていたみたいで、確かにたまにふらっとしてる時がありました。熱は無かったので疲労かと思い、休むようには私も言ってたんですが」
「となると……やはり、アレの可能性が高いわね」
「……まさか!?」
しほの反応に、和明はある発想に至った。しほが頷く。
「おそらく、間違いないわ」
「何か、心当たりがあるんですか?」
「………」
杏の質問にしほは少し言い澱み、顔を上げて改めて杏を見た。
「角谷さん、戦車道を始めて半年の貴女には信じ難い話になるかもしれないけど……聞いて貰える?」
「は……はい」
静かに寝息を立てるみほの横でしほは話を始めた。
戦車道を修める女性の中でも優秀な者ほど抱える可能性が高い、心と体の病。苛烈な闘争心が不完全燃焼を起こす事で発症する欲求不満。
──そして、その解消に最も効率が良い方法がセックスであるという事。
そこまでを淡々としほは語り、口を閉じた。
「……いやいや」
聞き終えた杏は何かを言おうと言葉を探し、やがて上手い返し方を思いつかなかったのか困惑したように頭を振った。
これが胡乱な第三者の話であれば杏は一笑に付しただろう。だが、眼前でそれを語るのは日本戦車道の頂点に立つ西住流家元。それが真剣に語る内容だけに信じるしかない。その混乱が伝わってくる。
実際、和明も最初に聞かされた相手が島田流家元の千代だったから信じられたが、それでもしほとの初対面時は半信半疑だったものだ。
「その話……本当なんですよね?」
「ああ。お母様は勿論、私自身も経験している」
傍らのまほがしほの話を補足する。
とうとう信じるしか無くなった杏は、ゆっくりと聞いた。
「つまりこういう事ですか? 西住ちゃんを明日までに完調にするには、ここで彼女に……」
「ええ、完全に欲求不満が発散されるまでセックスさせる。それが最良の方法」
きっぱりとしほが言う。和明にも何となくの予感はあったが、改めて言葉にされると堪えるものがある。
杏は今までとは違う感情が含まれた視線で和明を見た。居心地の悪さを覚えつつそれに応える。
「この人が……その相手を?」
「その、どうも、そういう事らしい」
「彼……篠原さんについては信頼できる男性と思ってくれていいわ。私が同様の状態になった時も、彼が助けてくれた」
何とも頼りない返答を返す和明をフォローするようにしほが言った。
「参ったね……どうも」
杏は腕を組み、暫く唸っていたかと思うと観念したかのように腕を開き、胡坐の姿勢で膝に手を置くと和明に深々と頭を下げた。
「分かりました! 西住ちゃんには後で怒られるどころじゃなくなるかもしれないけど、お任せします。それでこの試合に間に合わせられるなら」
「……すまない。出来るだけ優しくする」
大洗女子学園のトップである杏への事情説明なしに、みほへの事は進められない。彼女の理解に和明は感謝し、礼を返した。
「そういう事なら、私はここに居ない方がいいですね。他の子に西住ちゃんの容態を聞かれたら『大丈夫だから休ませてあげて』って言っておきます」
「助かるわ」
「いいえ……それでは」
そう言うと杏は立ち上がり、少しだけみほの顔に視線を向け、今度こそ部屋を退室して行った。休憩室内にはみほとまほ、しほ、和明だけが残った。
「さて……と」
改めて和明は額に手をあて今回のケースに頭を抱えた。とりあえず外堀は埋まったが、今度はみほが目を覚ました際にどう説明したものやら。果たして合意してくれるかも怪しい。
そこはしほも考えるところだったのだろう、彼女は和明に言った。
「和明くんには悪いけど、私とまほの同席は必要でしょうね」
「……ですよね」
初対面の男から「君の体調不良を治すにはセックスが必要なんだ!」と言って納得する女性はいない。何ともやり辛い状況にはなるが、二人を側に置いての行為にはなるだろう。
和明は再び布団に身を寄せ、洗面器のタオルを絞るとみほの額に置いた。
「んっ……」
その時、みほの瞳が薄く開いた。
「え……あ、あれ……?」
どうやら意識が戻り切っていないようだ。半目を開けた状態で、みほは緩やかに首を動かして和明を見た。
しほやまほの凛々しさを備えた美しさとはまた違うが、柔和さを感じるみほの顔立ちは美少女と呼ぶに足るものであった。父親似なのかもしれない。
和明は腹を括るとみほに声をかけた。
「あの、えっと……西住みほさん……だよな」
「……んんっ」
その直後のみほの行動は、和明が予測していたどの反応とも異なっていた。
「ん~……」
「え? ちょ……!?」
寝たままみほは和明の股間へと手を伸ばし、淀みない動きでジーンズのジッパーを下ろすと躊躇いなくその中へと指を進めてきた。
「んっ、あれ、何だかいつもより……」
「みほ……!?」
何かを呟きつつ、みほは手をもぞもぞと動かし和明の肉棒に触れ、それをトランクスの隙間から外に引き出す。
しほも彼女の動きには驚いたようだが、それを止めるべきかどうかを見極めているのだろう、まほと共に座ったまま様子を伺っている。
とはいえ当事者である和明からしてみれば呑気に肉棒を弄られている訳にもいかない。一旦仕切り直そうと、和明はみほを制止しようとした。
「ちょ、ちょっと待った、西住さんっ……!」
「凄い、大きい……この感じで、この形なら……こう、かな?」
「うっ、おぉっ!?」
寝ぼけ眼で肉棒を掴んだままのみほは小首を傾げると、少し竿を揉むようにしてから手を動かし始めた。
「いや、だか、ら、待っ……うぁっ、あぁっ!」
「よいしょ、よいしょっ」
和明は言葉を続けることも出来ず、腰を跳ねさせた。彼女の手の中の肉棒が急激に充血し、凶悪な棍棒のようにみほの前にそそり立つ。
「うん、やっぱり正解だった……それじゃあ、ここも効くかな……?」
「ふぉっ!? う、くうっ!」
一見、柔らかく握ったまま扱いているだけに見えるみほの手の動き。しかし実際は、ごく僅かな強弱と緩急をつけ、和明の肉棒に刺激を与えてきていた。
そして、その技巧は──
「ぐっ、嘘、だろっ!? うっ、ああぁっ!」
「いいですよ、このまま
心の準備が整わない間に射精感がこみ上げてくる。動揺さえ許さず、みほの指が和明の肉棒の急所を知り得ているかのように自在に動き、射精を促してくる。
「あ、ぐっ! うあぁっ!」
「ふぁっ……」
赤黒い亀頭から迸る精液に、みほが歓喜の吐息を漏らす。
その技巧は──しほすら上回っていた。
セックスという行為は互いの気持ちよい所を探り、そして互いを昂らせてゆく共同作業である。それが100%噛み合うのが理想のセックスだが個々人の性感帯は異なるもので、例えばしほと和明は体の愛称は良いがそれでも完璧に相手の性感を把握しているとは言い難い。
しかし、みほの技巧は此方の性感を把握しているどころの話ではない。まるでオナニー中の和明の脳をのぞき込んでいたかのように肉棒のツボを押さえ、和明自身よりも上手く射精に導いてきた。
「(ど、どうなってるんだ、こりゃ!?)」
射精後の余韻を覚えつつ和明は必死に頭を回転させる。既に誰かと経験があり、その相手と和明を間違えた? 否、もしそうならしほやまほが説明する筈だし、大洗女子学園は女子高の学園艦で同世代の男性との接点はほぼ無い。ではどうして──
「まだ、元気ですね……」
「ん? なっ……!?」
ふと下から声が聞こえたかと思えば、腰を抜かしたように足を伸ばしたベタ座りの姿勢になっていた和明の股間にみほの顔があった。パジャマ姿のまま、精液に塗れた肉棒をうっとりと眺めている。
「いただきます」
「え? いただ……うぉあっ!?」
みほの形良い唇が、かぷりと亀頭を呑み込んだ。缶コーラほどもある和明の巨根を平然と咥えこみ、喉奥まで──
だが、予測していたものと異なる感触に和明は更に混乱した。
「(喉奥に……当たらない!?)」
「んぶっ、ンッ、ンンッ……!」
今まで和明の肉棒を女性が咥えた際には、大抵は喉奥に亀頭があたる感触があった。だが──みほのフェラチオにはそれが無い。
少し息苦しそうにしつつも鼻で息をして、和明の肉棒を完全に呑み込んでいた。
「(まさか、これ……)く、あぁっ!」
──肉棒の角度を調節して、口腔内だけでなく食道まで使って咥えこんでいる?
そう和明は気付くと同時に、この後みほがどういう行動に繋げるかを理解し身を震わせた。
それはもはや快感への期待でなく、
「ンッ、じゅるっ、んぷっ! ちゅうぅ……!」
「あ、あ、あがっ!?」
──
みほの行為は正にそれであった。快感でこちらを制覇し、屈服させ、蹂躙する。そんな舌と口の動き。痛みの直前まで責めてきたかと思えば、直後に優しく撫でまわすように亀頭を、鈴口を、竿を舌が這い回る。それでいて個々の攻め口が雑という事もなく、ひとつひとつの動きが和明の肉棒の弱い所に刺激を与えてくる。
「じゅぶっ、フゥツ、あむっ……!」
「西住、さんっ! ちょ、駄目、出るっ!」
「……ンッ、ンンッ!」
「あぐっ!?」
再び高まる射精感に和明が悲鳴をあげると、みほはその反応が嬉しいのか更に深く咥えこむ。
何とか耐えようとしたが、既に肉棒に与えられていた快感は臨界点を超えていた。
「あぁっ! が、う、ぐあぁっ!」
獣の断末魔のような声と共に、和明はみほの喉奥に射精した。
白濁液がみほの口を、喉を汚してゆく。
「ぶぅっ!? んぷっ、ンンッ!?」
「……え?」
だが──その直後のみほの行動に、和明は思わず声を漏らした。
射精を受け止めたかと思ったみほは混乱したような反応を見せると、急に和明の肉棒を吐き出すと咳き込んだのだ。
「けほっ、けほっ……え!? あ、あれ? 味? 苦い! え? これって……!?」
「え、えっと……あの、西住さん?」
「え? あ、あれ? これって夢じゃ、え? 嘘!?」
「……西住さん?」
先ほどまで和明の肉棒を責めていた少女とは思えない程に混乱しているみほに、和明は声をかけた。
猛獣を前にした小動物のようにみほびくりと身体をすくめ、まだ精液を吐き出している途中の肉棒をゆっくりと見る。
「……けほっ」
みほが咳き込み、それに合わせて唇の端に精液の残渣が貼りつく。
「……ご」
「ご?」
「ごめんなさい!」
そう言うとパジャマ姿のみほは布団の上で正座をしたかと思うと、敷布団に頭を擦り付けるように土下座した。和明が何か言う前に再び頭を上げ、懸命に何かを伝えようとする。
「えええと、どうしよう!? あの、えっと、初めまして、私、西住みほって、じゃなくって! あの、私、夢と思って! いえ、あのあの、夢って言ってもそんな夢を見た訳じゃなくって、だから間違えて! あ、間違えたって言ってもそんなつもりじゃなくて、だから……!」
「落ち着くんだ、みほ」
「え!? あ、あれ、お姉ちゃん!?」
みほの混乱ぶりを見かねたまほが彼女に声をかけるが、実姉が側に居たという事実はみほを更に混乱させたようだった。
「お、お姉ちゃん!? 何で、え? え? どうして、今の、見て? 嘘、そんな、ち、違うの、お姉ちゃん! あの、違うって言ってもそういう意味じゃなくて、えっと、だから夢が……!」
「とりあえず口を拭きなさい、みほ」
「いや、しほさん! 今のみほさんに……!」
「……お母、さん?」
和明は止めようとしたが、しほがみほに声をかける。
姉どころか実母までも居た事にみほは気付き、顔どころか全身を真っ赤にして──
「~~~~~ッッ!」
──絶叫しそうになる西住みほを落ち着かせ、会話が出来るようになるまで10分かかった。
「……つまりここ最近、ずっと
「はい……大学選抜との試合に備えて練習量を大幅に増やしたんですが、暫くしてから体が急に熱くなったり、眩暈がしたり、眠れなくなったりが続いていたんです。でも……その、姿ははっきりしないんですけど、夢の中に男の人が出てくるようになって、その夢から覚めた時は体調が少し戻っていて……」
「だから、俺を夢と間違えたと」
「………」
恥じらいで顔を赤くしつつ、みほは頷いた。これが本来の彼女なのだろう。
「……思った以上に深刻ね」
彼女の話を聞き、しほは静かに言った。
「みほ、今はどうなの?」
「え? は、はい……まだ、身体の奥に熱が溜まっているような、感じです」
しほに聞かれ、みほは身体を縮ませるように答えた。どうやら本当にしほの事が苦手らしい。
「お母様、これは……」
「一刻の猶予も無いわ。和明くん、まだ頑張れる?」
みほを気遣うまほの言葉にしほは頷き、視線を和明に向けた。今更隠す状況でもなくなってしまったので、ジーンズとトランクスを脱いだ下半身裸の状態だ。
「勿論、頑張れますけど……その前に西住さ、ああ、ややこしいから『みほさん』でいいかな?」
「あ、はい……ええと」
「篠原、篠原和明。まあ、その、しほさんやまほさんも今のみほさんと同じような感じになる事があって、それを治したりさせて貰ってる」
「そうなんですか……」
「ああ。それでひとつ聞きたいんだ。みほさん、その、突っ込んだ質問になるけど……ええと、実際に男の人と交際した事は?」
和明は真面目な表情でみほに尋ねた。慌てつつもみほが答える。
「えっ!? い、いえ、ありません! さっき篠原さんにした事も、全部夢の中でしか……!」
「そっか。それじゃ……どうして分かったんだ?」
「……『分かった』?」
「俺の、まあ、
股間の肉棒を指さしつつ問いかける。そこが和明にとっても一番不明なところであった。
みほはその問いかけに少し考え、口を開いた。
「そうですね……
「な……何となく!?」
「はい。その……お、おちんちんの形を見た時に『ここを弄られると気持ち良くなってくれそう』って感じた所が、幾つかあって……」
「………」
ヤバい。この娘──
理屈抜きでこちらの性感帯を察知し、そこを天性の才能と技巧で責めてくる。何というか──今まで和明が経験してきた女性たちとはおそらく「格」が違う。
ごくりと喉を鳴らし、和明はまほとしほに言った。
「すみません、しほさん、まほさん……多分ですが彼女、俺だけだと荷が勝ります。手を貸してください」
「……分かりました」
「まさかみほを相手にする事になるとは思わなかったが……和明さんがそう言うなら、力をお貸しします」
「あの……お母さん、お姉ちゃん?」
まだ状況を理解しきれていないみほに向き直り、和明は言った。
「みほさん、卑怯な聞き方になるかもしれないけど……明日の試合、万全の状態で挑みたいか?」
「えっ?」
「その夢で見ていた事を実際に行う事で、今のみほさんが抱えている燻りを治せる。でも、君が『初めて』だって言うなら無理強いはしたくない。どうだ?」
傍から見れば無茶苦茶な物言いに、せめてもの説得力を載せようと真剣に和明は尋ねる。
和明が下心や冗談で言っていない事はその表情で伝わったのだろう。ほんの少しだけ考え、みほは言った。
「はい、お願いします。篠原さんを、お姉ちゃんを……お母さんを、信じます」
「……いい子だ」
どうやら、まだしほの事は信じきれないらしい。
立ち上がり服を脱ぐしほとまほの様子を横目に見つつ、和明は今夜の「戦い」の激しさを思い肉棒に力を籠めた。