あなたは学生時代をやり直したいと思いますか。
画面にただ一言。そう表示され下部に『はい』と『いいえ』
の2つの選択肢が表示されている。
そこにカーソルを当てるとクリック出来るような仕様になっており、俺はその場でため息をついた。
「はあ。また迷惑サイトのポップアップかよ」
つい、先ほどまでエロいオカズを探していたらこれである。
自動的に降りてくるポップアップをクリックしてしまい飛ばされたサイトは見るからに迷惑サイト。
普通ならそのまま戻るのボタンを押すか、ページを閉じるかするソレに何故か、俺はその場で真剣に悩んでしまう。
学生時代。
戻れるならば戻りたい。
気がつけば学生という身分を卒業して10年。
勉学に励むこともせず、スポーツだって真剣にやりこんで来なかった。
そのせいとまでは行かないが、
気がつけば32歳。
未だ素人童貞であり、激務薄給な会社でなんとか貯めた100万円が俺の全財産である。
今日も今日とて、終電間際まで働き、会社のすぐ近くにある独身寮に戻り、クシャクシャになったタバコを吸いながらJKと謳うAVを探していた最中の出来事であった。
「まあ、二択で言うなら当然YESだわな」
そうして俺は普段なら絶対釣られない。と断言出来る迷惑サイトに何故か心を惹かれそのまま選択肢をクリックした。
過去にこのことを振り返るなら、
この時の俺の行動について俺は、
両手を挙げて賛美歌を歌いたい。
「ん?ここは』
目を覚ますとどこか見覚えのある景色が視界を覆った。
やけに白い天井と壁紙。
そしてやや散らかった漫画本。
新しめの部屋に対して少し不釣り合いな古めの勉強机。
「って、実家じゃねーか!!!」
開口一番俺はその場で声を荒げこの現状にツッコミを入れる。
どうなってる?!
なんでさっきまで一人暮らしの部屋でビール片手にタバコをふかしながらエロサイトを見ていたはずが、気がつくと実家にいるんだ?
俺は何を言ってるんだ?
自分でそう自問自答しながら部屋の窓に視線をやるとすでに陽が昇り始めていた。
「いやいやいやいや、ん?おかしくね?さっきまで一時だったぞ」
俺は外の陽の光を見た後、すぐさまベッド脇に置かれた置き時計を確認すると時刻は5時。
そしてそこで俺はもう1つの違和感を覚えた。
「身体軽ッ」
そう、身体が軽いのである。
そして己の身体を見下ろすとそこは先ほどまででっぷりと蓄えた腹の脂肪が消え失せ、学生時代のような細さの腕、腹部が目に入る。
「いや、学生時代よりも若干細くね?」
俺はペタペタと自分の身体を触り、記憶の奥を辿り己の身体を思い出しながらそう呟いた。
『まさかあのサイト、本物?』
心でそう考えたあと、この現状を起こしたソレに対し俺は即座に『本物だわ、これ』と決めつけ、とりあえず頭を切り替えるべく、記憶のある実家の洗面台に向かうべくベッドから移動する。
「なんじゃこりゃあああああ!」
そして洗面台についた俺は顔を洗うこともなく、鏡に映った自分の姿に悲鳴に似た叫び声をあげた。
「いや、別人だろ!これ!」
そう。鏡に写っていた俺の姿は、過去の俺ではなかった。
毛穴がまるで見えないツルンとした卵肌。
若白髪混じりであったはずの髪は、いまや痛みを知らない柳のようにサラサラの黒い髪。
腫れぼったくつねに眠そうにしていた一重まぶたは、クッキリと跡を残しパッチリと開く二重まぶたに。
なにより全体的に整ったバランスに配置された顔のパーツはどこからどう見ても美少年であり、そんな顔の持ち主は俺の記憶の中ではまずあり得ない。
そんなどこか他人事のようにその少年の顔を見つけたのが叫んだ理由である。
ドタドタドタドタッ!ガララララッ!
「翔(ショウ)ッ!どうした!不審者かッ!?」
そして俺の叫び声を聞きつけたのか、凄い勢いで洗面台の扉を開け声をかける美女を見て俺は思わず呟いた。
「姉さん(は?だれだよ、アンタ)」
「ってショウ!なんて格好をしてるんだ!」
んん?おかしい。誰だアンタって言ったつもりが何故か「姉さん」と変換されてる?なんだこれ?
初めて見た女性にそう言ったはずなのに、何故か口から出た言葉は「姉さん」であり、姉さんと呼ばれた彼女は何故か俺の姿を見てワタワタと動揺している。
(あぁ。この人は姉さんか。)
そして一瞬頭を悩ませた後、俺は彼女が誰であるか思い出した。
思い出したと言ってもこの世界での話である。
前世の俺はまず知らない彼女であるが、今世では姉さんである。
何言ってるか分からない?俺も分からないから当然である。
ただ一つ言えることは俺は転生(憑依)したのである。
そんなことを瞬時に決めつけられる程の記憶が俺の脳内に迸る。
「今、姉さんって・・・」
そして目の前にいる姉は俺の体を見ないようにやや視線を逸らしながら呼ばれた言葉に余計ワタワタとしながらも洗濯機に置かれていたバスタオルを手にしこちらに投げ渡してきた。
「い、いいからとりあえずこれで隠せ。そ、その目の毒だし、翔も『男の子』なのだから」
そう言って投げられたバスタオルを俺は受け取り、さも、当たり前のように腰にバスタオルを巻いた。
(あぁ。確かにこの世界ではそれが常識か。男がTシャツにパンツ一丁で出歩くなんてそれが家の中でも普通は有り得ないわな)
俺は彼女の言動に瞬時に適応した。
記憶を辿るにこの世界は男女比が極端に偏り、貞操が逆転した世界。
だから今目の前にいる彼女の姿にもなんら不思議はない。
俺がバスタオルを腰に巻いたことでやっとこちらを見るようになった彼女の姿を足先から頭まで舐めるように見上げる。
透き通る白い肌の足を惜しげもなく露出し、ズボンも履かず、やや面積の狭いレースがあしらわれたショーツ、上は黒いタンクトップのみ。
乳首があるであろう場所はやや隆起してその場所を知らせる。
そして俺同様に痛みのない黒く透き通ったサラサラの長い髪は腰上まで伸び、その顔は先ほど鏡で見た俺の顔と似て整ったパーツに、ややキリッとした瞳は知的で頼れる美しいクールな姉の像を模している。
そして黒いタンクトップから、溢れそうになる乳房がやけに印象的な格好している彼女。
「あぁ、ごめんね姉さん。おはよう」
そう言って俺はそのまま姉に甘えるように抱きついた。
「ショウッ!?」
今世の記憶を辿るに俺と姉の仲は最近俺が反抗期だった為、そう良くはない。
最近では姉さんではなく『おい』であったり『お前』であったり呼んでたことを思い出した俺は脳内で瞬時にこの世界を楽しむ為にどこまですべきなのか、どこまでしていいのか算盤を弾き、彼女に抱きついた。
「怖い夢見たんだ。ごめんね。今まで冷たい態度をとって。姉さん大好きだよ」
そう言って抱きつき、彼女の胸に自分の顔を押し付ける。
ムニョンと形を変え潰されるその豊満な乳房はスライム並みに柔らかく柔軟に形をかえた。
「ショショショショ、ショウっ!?」
そうした俺の行動に抱きつかれた彼女は余計アワアワとし出した後、
しばらく置いてからビュッ音を立て股から何かを漏らし、その場に座り込んだ。
(あぁ。これが射潮か)
そんな姿を見下ろしながら股からピュルピュルと垂れ、そのパンティーを濡らしながらそれでも止まらない尿に似ているがそれとも違う透明色な液体が水溜りを作るのを見ながらそんなことを思う。
「姉さん今までごめんね。これからまた仲良くしてね」
そう言って座り込んだ彼女の頭をポンポンと撫でて俺はそのまま彼女を放置して一旦自分の部屋へと戻る。
(作戦会議だ!この世界は圧倒的に俺得な、世界!!!!そう!貞操逆転世界なのだから!)
やや足早に自分の部屋に戻り俺は机からノートとシャーペンを取り出し現状を書き連ねた。
『射潮』
この世界では一般的であるソレは女性が性的興奮を覚えた時に噴出される体液。
膣から射出されるソレは、尿とは異なり無色透明である液体、『潮』を吹き出す現象のことである。
射潮には3段階あり、
性的興奮によりヌルヌルとしたローションのような愛液がとめどなく溢れ出すのが第1段階。
そしてその後、激しく性的興奮もしくは接触による刺激により第1段階とは違いサラサラの潮を吹き出すのが第2段階
そして、第2段階を超え、極度に性的興奮を覚えた時に飛び出す、第2段階の射潮よりも激しく、そして量の多い潮が第3段階
これらを総称して射出する潮、略して『射潮』と呼ばれている。
通称第1段階が『がまん潮(前世で言う我慢汁的なもの)』
第2段階の射潮が別名『カル潮(軽くイッた時に出ることから)』
そして第3段階が『ハメ潮(本イキの時にでる潮)』と呼ばれている。
ここでいうと先ほどの姉の痴態は『がまん潮』を超え『カル潮』がでたとするのが相応であろう。
ここは大事なことである。
この世界では射潮は自然な現象であり、そこまで忌避すべき事象ではない。
前世で言うと「あの子よく汗かくね、汗っかきなのかな(あの子また射潮してる。股緩いよね)」
的なことである。
何を言っているか分からないと思うが私自身何を言っているのか分からない。
ただ、この世界の常識を前世での世界の常識と照らし合わせた時にこのような表現になっただけであるのだ。
この世界では射潮するのは普通ではあるので尿もれパットならぬ潮もれパットが女性の必需品なのである。
とにかく、特筆すべきはそこでもあるのだが、今大事なことは『世界の貞操概念が逆転したこと』である。
男子はより草食的になり、女子が肉食的に変わる。
しかもその肉食系とは前世とは比べものにならない。
射潮という現象から分かる通り、この世界の女は前世とは比べものにならないほど感じやすく、加えて男子が圧倒的に少ないせいもあり、すきあらば性的に貪り喰うかのような肉食具合である。
逆に男は人それぞれらしい(適当)
ソレが俺の今世での記憶を読み解いた情報である。
「ちょっと!アンタ何やってんのよー!!」
そしてノートに現状を書き記している頃、階下からやや怒号に似た叫び声が聞こえ、俺はペンを止める。
この声は恐らく母であろう。
おおよそ洗面台の惨事を見つけた母の叫びだろうなと当たりをつけ再びペンを走らせる頃、自室の扉がノックされた。
コンコン。
やや、遠慮気味に優しく叩かれた音に俺は手を止め「どうぞ」と答えた。
「お、おはよう、ショウちゃん。今日は朝ごはんいる?」
そう言って扉から顔だけヌッと突き出し、よそよそしく声をかける女性。
目はぱっちりではあるが狸を彷彿させる可愛らしい瞳。
姉と同様の美しい黒髪。
この女性こそが先ほど声を荒げていた母。良子である(と今世の俺は記憶している)
どこか前世の深田恭子然とした天然系美人は一際長男である俺に甘く、俺は時折そんな彼女に無理難題を押し付けワガママ放題の限りを尽くしていた記憶が脳内に映される。
もっともワガママ放題していたのは何も彼女だけにではないのだが?
「うん。今日は母さんと同じもの。っていうからこれからはみんなと同じものでいいよ。ごめんね今まで。わざわざ僕の分だけマックとか買わせてて」
俺の言葉に顔だけのぞかせた母は目をギョッと見開いた後、グワンっと物凄い勢いで体を室内に侵入させ、俺の肩を掴み、叫んだ。
「ショ、ショウちゃん!どうしたの!?急にママのこと『母さん』なんて!?それにいつもは『早くしろ!このクソババア!』とか言うのに!どこか頭でも打ったの?!」
そう言って俺の肩をグラグラと揺らしながら必死の形相で詰め寄る彼女の手の上に俺は手を載せた。
「ううん、今日さ夢を見て。ばあちゃんに怒られたんだ。アンタも中学生になったならいい加減反抗期みたいなことは辞めなさい。じゃないといつか本当に後悔するぞって。
僕自身、確かに最近母さんや姉さん達に冷たい態度取ってたし、せっかく今日から中学生なんだからもっと素直になろうって思ってさ」
そう言って俺は壁にかけられた電子時計を指差す。
日付は4月10日を指しており、記憶が正しければ今日から中学一年生として近所の中学に通うことになっている。
「ショウちゃん・・・。」
母はそんな俺の言葉に絶句した後、肩を震わせ目から涙を零した。
「前みたいにママって呼ぶのは恥ずかしいけど母さんって呼ぶから。今までいっぱい迷惑かけてごめんね。今日からまたよろしくね」
そう言って俺は満面の笑みで彼女に微笑むと母は大きく頷き俺に抱擁をした。
「うんッ!ママ頑張るから!頑張るからこれからもよろしくね!大好きよ!」
そう言って数秒俺を抱きしめた後、ふと思い出したかのようにバサッと俺から離れ、「ご、ごめんね!いくらママでも、中学生の男の子にぎゅーはないよね!」
などとのたまうので、俺は彼女に微笑みかけ、今度は俺から彼女に抱擁を交わした。
「キュー」
そんな変な動物の鳴き声のような声をあげ俺に抱かれる母は、その後その場に座り込み、股を抑えた。
「じゃあ、先に行ってるね」
俺はその場に座り込んだ母を見つめながら彼女を置いてリビングへと向かう。
恐らく、彼女も今、姉と同様に射潮してそれどころじゃないだろうと当たりをつけた為であるが、
内心(ん?母がこれじゃあ、誰がご飯作るんだ?)と思いながらも。
結局、あの後、しばらく放心してたのか帰ってこなかった母に代わり俺が朝食を作った。
といっても食パンを焼いて、ウインナーとスクランブルエッグをフライパンで炒めただけの社畜時代に毎日食べていた超手抜きレシピのそれなのだが、
俺が作った手料理ということもあってか、姉と母の2人はいたく喜び、おかわりまで要求する始末。
もっともおかわりなんてないのだが。
「それじゃあ行ってくる」
俺は中学指定の学生服に身を包み、用意していたスクールバッグを肩に掛け、玄関からそう伝える。
「ショウちゃん、本当にママ送って行かなくて大丈夫?」
そして俺を見送るかのように心底心配した表情で問う母。
先ほどまでにここに姉が加わっていたのだがら、過保護といって差し支えないレベルであろう。
「大丈夫だよ。今日から中学生なんだから。
それに母さんも仕事があるだろ」
俺はそう言ってヒラヒラと彼女に手を振って玄関を出た。
これから向かうは私立坂道学園。
読んで字の如く坂の上にその学校は存在し、中高一貫校であり、生徒数は中高合わせて3000人のマンモス校である。
もっとも何より特筆すべきその学校の特徴は元は女子学園であったが、7年ほど前に男女共学へと変更してまだ日も浅く、
公式パンフレットの表記では男女比3:7と比較的高い男子生徒の数を叩き出している。
恐らく前世の俺もその男子の多さに惹かれ坂道学園を志望したのであろう。
まあ、良い。今日から俺は中学生だ。
それも前世のような根暗なオタク男子の容姿ではない。
この世界基準でも前の世界基準でも、美男子と表現出来る容姿に加え貞操逆転世界である。
「血が滾るわあっ!!!!」
そんな、未来に想いを馳せ家から直通の駅から電車に乗り10秒後、俺はすぐさま貞操観念逆転世界の洗礼を浴びるのであった。
「ハァハァッ・・・。」
まるで犬のように興奮を隠せていない吐息が後頭部から耳にかけて吹く。
(早スギィィィッ)
俺の心の叫びがその吐息の持ち主に伝わることはなく、先ほどまでただ身体を押し付けてきた人物は、おもむろに俺のケツを揉みしだく。
そう。今、俺はこの世界の洗礼を受けている!
この世界では貞操逆転の結果、強姦は強漢、痴漢は痴姦と表記され大凡の容疑者も前世とは性別は逆である。
正直期待していなかったと言えば真っ赤な嘘である。
男女比が極端に開いた今世、当然のように男性専用車両はあれど、男というだけでもてはやされ、太りに太ったブタどもに囲われて乗る電車なんて真っ平である。
であれば、当然俺が乗るのは、男女比の乖離からより魅力的な部分を強調するようにしのぎを削っている女性たちが乗る一般車両である。
ちなみにこの世界でも男はイケメンがモテる。
逆に女はより女性的。
言い換えれば巨乳が特にモテるとされ、前世と比べればモテる為の努力の賜物なのか、比較的巨乳と呼ばれるほど突出した胸をぶら下げる女性が多い。
当然、容姿も整っている方がモテるわけであるので
さしずめ、我が家の母と姉も女性カーストの上級レベルに位置する。
そして、女はその胸を惜しげもなく晒すようにやや谷間の空いた服を好み、そこで男性を誘い込むのだ。
いくら、男女比が開いたことによる男子の草食化といえど、性的興奮は前世とほとんど変わらない。
ただそこに強い貞操観念が加わっただけなのだ。
しかし、現状草食化以外にも男の同性愛が問題視されているのも事実。
性欲を覚えど、本来は距離感を大事にする草食系男子ちゃんである。
百獣の王を超え、白亜紀の肉食獣並みに盛った女どもより、一歩引いて適度な距離感を保つ同性に惹かれるものが続出。
近年ではそれがより女性の肉食化が進む原因と言われている。
とりあえず話を戻そう。
そんなこんなで先ほどまでお尻を触られていた手はやがてモゾモゾと体の前側まで手を回そうとしてくるので俺はニヤリとその場で口角をあげ触ろうとする手を掴む。
ビクンッ!!!!
俺がその腕を掴んだ瞬間、跳ねるようにその腕が震えた後、瞬時にバッと振り払われて、大凡本人であろう女は急いで俺から離れていく。
まあ、今日は勘弁してやろう。
まるで負け犬のセリフを心の中で唱え、俺はポケットから携帯を取り出し画面を操作する。
「ねえねえ、僕どこから来たの?お姉さんと遊ばない」
次から次へと騒がしい奴らだ。
先ほどまで女に痴姦されていたことについて大凡見当がついているだろうに、
俺に声をかけてきたのは高校生の制服を着崩した女。髪は染めたのであろう。赤みのかかった茶髪。
恐らく前世で言うところのパーティーピーポー的な人種が声をかけてきた。
「遊ばない。これから学校だから」
俺は彼女に一瞥をした後、ややぶっきらぼうにそう答える。
一瞥した時に見た胸の谷間はこの世界でも珍しいぐらいのまな板具合。
俺は先祖代々巨乳派なのである。
(戦闘力たったの5か。ゴミめ)
内心そう吐き捨てながら俺は再び携帯を弄る。
「そんなこと言わずにさぁー!ワタシと気持ちいいことしようー?!」
そう言って詰め寄る彼女に俺は舌打ちしてどうしたものかと思案した時、目の前のど貧乳の肩を誰かが叩いた。
「あぁ゛!?」
トントンと叩かれただけなのに口から唾を飛ばし怒声をあげ振り向く貧乳さんの前に立っていたのは褐色に焼けた肌、目の前の女とは違い綺麗に染め上げた金髪に、ややきつい目つきであれどどこか吸い込まれそうな瞳をした背の高い美女が立っていた。
制服の着崩し方も前者と比べればおこがましいほどに着崩している。
ブレザーは全開なのは当たり前だが、中に着ているカッターシャツは第2ボタンまで開け惜しげもなくその谷間を露出しており、スカートは膝上20センチ程の超ミニスカート。
腰に巻いたカーディガンの方がスカート丈より長いぐらいである。
そして腕にはこれでもかとゴールドアクセサリーをジャラジャラと身につけ、実際肩に置いた手からは金属の擦れる音が聞こえてくる。
そして、そんな酷く盛り上がった胸部はど貧乳と爆乳の黒ギャルのおっぱいコントラストがまるでry(自分でも何をいっているのかワケがわからなくてなってしまった)
「止めな」
そしてただ一言、そう冷たく彼女に呟くと先ほどまで威勢の良さそうだった貧乳ギャルもどきは本物さんの登場にすごすごと身を縮ませ、次の停車駅へと止まった電車からすぐさま退散するかのように去っていく。
「あ、あの、ありがとうございます」
入れ違いに次々と乗ってくる乗客に押し出されるかのように黒ギャルの前まで移動し、俺は先ほどの礼を告げる。
「構わねぇよ。まあ坊やもこれに懲りたら次からはあっちに乗るこった」
そう言って後ろ(男性専用車両)に後ろ指を指す彼女に俺は内心、
これは前世でいう不良に救われトキメキが始まるシーンだな。
みたいなことを考えながらコクンと頷いた。
ドンッ。
そしてまたさらに電車は次の停車駅へ止まった時、先ほどまでの人混みはなんだったのかと言う程の人が電車内に殺到する。
確か記憶ではここは近隣で一番のターミナル駅。
乗り換えの都合上、降りる客は少なく、乗ってくる客は今までの比ではない。
まるで押し潰されるかのように後ろから押され俺は彼女にピタッと密着してしまう。
「ごめんなさい」
俺は思わず反射的にそんな謝罪の気持ちを彼女に告げると彼女はこちらを見下ろすことはせず、ただ壁を見つめて変わらず答えた。
「か、構わねぇよ」
そう答えた彼女の表情はどこか赤らめているように見えた。
アタシは西園寺礼奈(レイナ)
みんなはアタシのことをレナと呼ぶ。
そんなアタシはギャルファッション雑誌に載っていた制服の着崩し方を参考にしたギャルファッションで今日も学校に通う。
正直学校なんてめんどくせぇの一言に尽きるのだが、ズル休みなんて許さないのがウチの学校のルールだ。
もっとも男子については例外なんだが。
とにもかくにもアタシは今日も満員電車に揺られて学校へと通う。
「あぁ。うぜぇ」
母校へと続く路線は主要なビジネス街を通ることから常にこの時間は満員である。
しかも同乗するほとんどが小汚いスーツを着て顔面にファンデーションを塗りたくり大していい匂いもしない香水を全身に振りまいた中年のババァの大行進に思わずそう独り言をグチる。
「ん?」
そんな時アタシはいつもと違う満員電車の光景が目に入る。
いつもはこの車両もとい、男性専用車両以外のほとんどの車両は女しかいない。
そのはずなのだがまるで迷える子羊のように迷宮に入り込んでしまった1人の少年。
恐らくこれから入学式を迎えるのだろう。
やや遠目からだが、彼が着る学ランからはどこか真新しさが伺え、サイズが少し大きいことから若干学ランに着られている感を感じる。
「まじかよ」
そしてアタシが何より驚いたのはその容姿である。
サラサラの痛みを知らない黒い髪型。
綺麗な鼻筋に、透き通った瞳。
遠目からでも分かる。滅多にお目にかかれない程の美男子である。
そもそも男子が1人こんな飢えた猛獣の中にいることさえ珍しいのに、それが美少年ときたもんだ。
そしてそんな彼の存在に周りの連中も徐々に気がつき始め、アタシがそれに気づく頃には彼の周りはより人間が密集し、その少年の姿は隠れてしまった。
アタシもちょっとだけ近くで彼を見てみたい。
そんな邪なじゃじゃ馬根性が心に芽生え、気がつけばアタシもその有象無象のババア共と同じように彼に近づくべく目の前のババアの群衆に突き進む。
いくらか停車駅を通過した後、人の流れは当然のようにあるのでなんとかアタシはそれに乗りやっと彼の近くに来た時、事件は起こった。
「ねぇねぇ、僕、どこから来たの〜。お姉さんとこれから遊ばない?」
恐らくあれは隣の学園の高校生。
制服の着方、髪型、どこにも統一性のないにわか不良もどきの貧乳ブスがその少年にナンパをしていた。
「遊ばない。これから学校だから」
そんな貧乳ブスの言葉に内心イライラを隠せず思わずその場で舌打ちしようとした時、
そう少年の声音が耳を撫でる。
なんて、心地よいやや低音の混じったソプラノボイス。
声変わりをし始めているだろうその声音はどこかアタシの心を満たし、その声音を聞くだけで幸せな気持ちにさせる。
「そんなこと言わずにさぁ〜、ワタシと気持ちいいことしよぉー!!」
しかしそんな気分も一瞬にして塵と化すかのようなやや高めの金切り声のような言葉に私は瞬時に怒りが沸点を超え、そのドブスの肩を叩く。
「あぁ゛んッ!」
きっと脳内トリップをしていたのであろうそのブスは目の前の幸せを邪魔されてそんながなり声をあげこちらを睨み付けるが、
アタシはそんな彼女に対しただ一言。
自分でも中々迫力があるだろうと自負する低めの声で告げた。
「止めな」
これでも近隣でも噂になるほどの不良であると自負するアタシの認識は間違いではなかったことを証明するように、
アタシの顔を見た瞬間ギョッとした表情に変えた後、スゴスゴと借りてきた猫のように大人しくなり、そしてやがて次の停車駅に止まった時、彼女は退散していった。
「あ、あの、ありがとうございます」
そしてそんなやり取りを見ていた天使と見間違える程の美男子は私に感謝の言葉を告げる。
ジュンッ。
股から粘液性の高い体液が湧き出るのをアタシは感じた。
彼から発せられた言葉が一音、一音私の脳内をかき乱す。
そもそも普通、男子が見知らぬ女に話しかけること自体が稀なのである。
声をかけたが最後、襲われても文句は無いだろう。
そう言ったのは数年前におおよそ100人の男子を強漢し、死刑にされた平成最大の死刑囚。
その女の発言により男はより草食系となって久しく、男が女に話しかけることなど滅多にお目にかからなくなっていたのだが、
「構わねえよ。坊やもこれに懲りたら今度からはあっちに乗るんだな」
アタシは股から湧き出る愛液を感じながら、努めて冷静な口ぶりで男性専用車両がある方に親指を指しクイクイっとする。
コクン。
そんなアタシの行動に可愛らしくコクンと頷いた彼を見て、先ほどよりも多い量のヌルヌルとした愛液が股から湧き出す。
やがて電車は主要ターミナル駅に停車し先ほどまでの人混みの比じゃ無い程の人間が押し寄せる。
ドンッ。
そしてその流れに押されるように目の前でややスペースを空けていた空間が消え失せ、衝撃とともに彼が私の胸元へと密着する。
「ご、ごめんなさい」
アタシにぶつかったことを謝っているのであろう少年がそう言ってから少しアタシから距離を取ろうとしているのか離れようともがくが、超が付くほどの満員電車でもはや、そんなスペースは無い。
少年が少したじろいだ後、諦めたかのように大人しくなってからアタシは「か、構わねえよ」とだけ答えて、
身を包む、男の匂い。感触を体全体で感じながらアタシは答えた。
そして、気がつけば先ほどまで湧き出ていたがまん潮は電車に揺られた衝撃で彼の頭がアタシの胸を刺激する度に今度はピュッ、ピュッと『カル潮』と呼ばれる潮を吹き出す度に膣に挿入しているタンポン型の潮漏れパッドはその性能を発揮するのだが、そのタンポンはすでに第一段階で限界を迎えていたのか、ジワジワとくパンツへの浸水を許し、次第に重たくなる下着がよりアタシを興奮へと誘った。