「ねぇ、あの子ちょっとやばくない!?」
「ほんと!!え!?男の子?」
「ちょっと声が大きいわよ!!聞こえちゃッ!キャッ!手を振ってくれたわッ!!」
「ちょっと今のは私にだよ!!!」
「アンタなわけないじゃない!!!」
ギャーギャー
現在俺は校門をくぐり学校へ入る正門横にデカデカと掲示されている新入生のクラス名簿を眺めていた。
恐らく今日は中等部の入学式でありその他の在校生に至っては何かしらの連絡手段で今日からのクラスは明示されているのか、掲示されているのは俺と同学年の入学生のみである。
掲示板を眺める新入生で人がごった返している中、
俺の姿を視認するとすぐさまワーキャーと騒いでくれる女子。
今世での記憶(意識といった方が正しいかもしれんが)によるとこの状況は特別変わった経験ではないとのことであるが、より前世での記憶が強く、強いて言うならこの世界にきてまだ1日目の俺からすると悪い気はしない。
本当は男子は女子に気安くしてはいけないと分かっていながらも、どうしてもチヤホヤされるこの環境に慣れていない為、俺は騒ぐ彼女達に笑顔を振りまきながら手を振る。
愛想よくすると何がダメなのか。
それは、そんな男の行動に勘違いした女が強行(強漢)に及ぶからとされており、
俺からしたらそれぐらいオールオッケーもといばっちこいって奴なのだ。
この世界の男子は草食系と言えども性欲はあるのだ。
そこについては前世となんら変わりはなく、俺のちんこの活発さも意識の中で確かに感じている。
ただ、この世界では男子が極端にブランド化された側面もあり、男は簡単に性交渉に応じないことが美徳とされ、おまけに同性愛の流行によりわざわざ女とセックスをせずとも勝手も知っており且つ適度な距離感を保つ性格が多い男とことに及びその性欲を発散させるのだ。
正直この世界に来て、同性愛なぞ反吐が出るほど嫌悪感を抱いてしまうが、そんなのは俺が男に性欲を抱かない限り関係のないことであるし、
加えてこの世界の女は基本己を磨く為に努力を惜しまず、そして男女比の関係かは定かではないが女はより魅力的に進化をしているせいなのか元々作りの良い顔立ち、体つきをしている。
そんな世界で同性愛に走るのだからどこの世界でも男はなんと世知辛い生物なのだろうかと
くだらないことを考えながら名簿を上から下まで読み返し、自分の名前がなければまた次のクラス。
それを何度か繰り返した後、やっと俺は自分の名前を見つけ出す。
「あった。6組か」
俺の名前は結局6組目の最後の方に記載されており、俺はやっと見つけたことからボソリとそんな言葉を漏らす。
「6組だって!!!やった!!!同じクラス!!」
「シャーっ!!!!!キター!!」
「くそ!!!ファック!!!ファッーーークッ!!!!」
「ざけんなッ!まじで!!!なんでウチが8組やねん!!!!」
恐らく俺の言葉を耳聡く聞いていたのだろう。
俺の近くにいた女子達が様々な声をあげる。
「さてと、クラスは分かったけどこの後どうすれば・・?」
俺はその場で今後のことについて考えを巡らしてすぐに記憶の中でその答えにたどり着く。
「そう言えばカバンの中に入れていたはず」
ガサゴソと自分が入れたわけではない(正確には今世の俺。昨日までの俺がカバンに入れておいた)学校から家へと郵送されていた今日のスケジュール表を探し出しそれはすぐさま見つかった。
「どれどれ、クラスが分かったらそこからそのままクラスに移動して下さいっと」
タイムスケジュールにそのように書かれており俺はその紙を裏返し記載された地図を確認する。
「にしても最近の学校は新入生に優しくないな。普通はもっと案内なりなんなりすべきだろう。
こんな紙で楽しやがって」
俺は手にした紙をピラピラと仰ぐように眺める。
裏表の一枚モノの用紙。
今日のスケジュールと裏には学校の地図が描かれているだけ。
どうやらタイムスケジュールによると今日は12時のお昼時には新入生は解散していいらしい。
「私立なんだからもっと金かけていいだろうに」
これではせっかくお受験までしたのに(俺ではない俺がだが)
どこか無駄骨感を感じてしまう。
もっとも意識の中にある俺の学力はそこまで高くなくどうやら男子はそこまで頭が良くなくても受かる特例があるのだと俺の意識が答えを出す。
「まあ、どうせこの人の流れに乗って歩いたら着くんだろ」
俺はそう独り言を呟いてゾロゾロと動き始めた人の群れに混じりながら適当に自分のクラスを探す。
「え!?何あの子!!」
「ちょっと普通にイケメンなんですけど!!」
クラスを目指し廊下を歩きながらも俺の姿を見つけた途端騒ぎ出す女子。
そして俺の目の前にはいくらかの人が先導で歩いていたのに気がつけば目の前はモーゼの十戒のように人が横に避け、視界の真ん中がクッパリと割れるようにしてその進路の先を促す。
いや、これじゃあクラスいけんだろ!!
と内心思いながら、端に止まり俺の顔を見つめる女子達に俺はアイドルのように手を振りまく。
「キャッー!」
手を振るたびに僅かに上がる嬌声に気分を良くしながら目的地も分からずただ歩く。
そして俺は一直線の廊下をどうやら渡りきる一番端まで来たところで目当ての目的地にたどり着いた。
「ん?着いたわ。ラッキー」
俺の視界には長方形の建物の一番奥。
そこに俺のクラスである1-6と書かれたクラスのプレートが飾られていた。
「ふー。」
そこで俺は教室の扉の前で一度深呼吸をした後、気合いを入れて教室の扉に手をかけ横にガララとスライドさせる。
「「「「よっしゃあああああああああ!!!!!!!!!!」」」」
俺が教室に入った瞬間、雌叫び(前世でいう雄叫びと同義)が教室内に響き渡り、
クラスの中で立ち上がり両手を天に掲げるようにガッツポーズをしている少女たちが視界に入った。
「えーーーっと、よろしくね」
そんなある種カルト教団のような熱烈な歓迎具合を受け、俺はどのように反応したら良いか分からず、とりあえず前世の社畜営業サラリーマンスキルを駆使して最適解を導き出しその場で柔らかく微笑んだ。
ドッ!!!!!!!!
俺の言葉の後に、まるで地響きのような鈍い音が教室全体から響く。
とりあえず俺はその雰囲気をそのまま流し、黒板に張り出された座席表に歩み寄った。
「うーん、俺の席はっと」
俺はクラスに張り出された座席表に視線を巡らせ、すぐに自分の名を見つける。
(窓際の一番後ろか)
俺は黒板に張り出された席と、実際誰も座ることなく空白となった俺の席であろう机を見比べた後、その場所へと向かう。
席に向かう途中もそんな俺を全員の視線が追うのを全身に感じながら俺は自分の席に座ると、こちらを見やる彼女達を観察すべくぐるりと視線を見渡した。
バッ!!
俺が顔を上げた瞬間そんな音をまたクラス全体で立て、先ほどまでこちらを見ていたであろう全員が瞬時に顔を逸らす。
(てか男子いなくね?)
そうなのである。
このクラスで座席表を見るだけでおおよそ40人。
加えて俺の席が窓側の一番後ろにあるように、このクラスにも他に男子がいるのは座席表の氏名にて確認済みである。
おまけに俺の席を中心にした一角に固まるように配置された男子の席。
もっとも男子と読み取れる数はおおよそクラスで8人弱しかおらず、
加えて現在クラスにいるのは俺一人だけである。
そして先ほども言ったように俺の席はクラスの一番端。
簡単に席を表すと下記のような図になる。
◎ 俺 ◽︎女 ◼︎男(欠席)
ーーーー窓ーーーーーー
| × ◎ ◼︎ ◻︎ ◻︎ ◻︎ |
| ◼︎ ◼︎ ◼︎ ◻︎ ◻︎ ◻︎ |
| ◼︎ ◼︎ ◼︎ ◻︎ ◻︎ ◻︎ |← 黒
| ◻︎ ◻︎ ◻︎ ◻︎ ◻︎ ◻︎ | 板
| ◻︎ ◻︎ ◻︎ ◻︎ ◻︎ ◻︎ |
| ◻︎ ◻︎ ◻︎ ◻︎ ◻︎ ◻︎ |
出入り口 |
ーーーー窓ーーーーーー
とゆう席順であり、そして俺の周りの席が空席なことから酷くクラス全体を見渡せた。
男子以外の生徒はほぼ全員と言っていいほど揃っているのに自分だけしか揃っていない男子。
この現象に頭を悩ませていると再び前世の意識さんがその答えを導く。
(そもそも男子はほとんど学校いかねーのか。
普通進学を考えている男子のみで、現状の男子の将来なりたいのは専業主夫が一位で、二位が高等遊民だとどこかで見たのであろうテレビの映像がパチパチと脳内でフラッシュバックする。
いや、甘え過ぎだろ。それにお前ら結構な割合でゲイじゃねぇか。
そんなツッコミを入れた後に、この現象に納得がついたことで俺は窓辺から見える景色を眺めるなんてことはせずポケットから取り出したイヤホンを耳に入れその場で昼寝する学生のように机に突っ伏した。
「ねぇ!あの子ふつうにイケメンじゃない?!」
「知ってるあの子確かY小で有名な天使ちゃまって子だよ!絶対そう!!」
「ねぇ、ちょっと私本格的に恋してるかも。てかむしろ通り越して愛してるかも」
「でもどうしてあの子だけしか男の子はいないの?」
「知らないの?先月なんか法律が変わったじゃない。ほら、あのあれよあれ、」
「あー、男児保護法ってやつ?」
「そうそう!それそれ!
その男児保護法ってやつのせいで今年度から男子に関しては義務教育の中学までは自由出席でいいんだって!」
「公布と施行が同時に行われたやつよね」
「公武と劉邦?
とにかくそれによって男子は自由に学校を休んでもいいことになったのよ」
「まあ、最終学歴がその場合義務教育の中学までで高校に進学したい場合は私たちと変わらずに学校に来ないといけないのだけどね」
「なによ、あんた、さっきからやけに難しい事ばかり言ってよくわかんない」
ワイワイガヤガヤ。
近場でこそこそ話す事情を聞いて俺は今の現状に合点がいく。
なるほど、つまりはそうゆう男児保護法なるもののおかげでこんな現状なわけね、
たしかにそれなら納得の内容でもある。
どうやら今世での俺は獣医になりたいようでそれを目指すからこそ、この法律のことについてスッポリと意識が抜けていたのであろう。
とにもかくにも、その法案のおかげでこれから築けるハーレムに心を踊らせ、音楽も流していないはめるだけにとどめるイヤホンとの隙間から情報収集をする為に引き続き狸寝入りを決め込むのであった。
「あのー、山口くん。起きてくださーい」
女性の落ち着いた声に俺はまどろんでいた意識を覚醒させる。
「んあ?」
狸寝入りを決め込んでたら気がついたら本当に眠りこけてしまっていたようだ。
不意に掛けられた声に俺は無意識に返事を返し伏せていた顔を上げる。
目の前には先ほどの声の持ち主であろう、同級生ではないだろう恐らく20代半ばから後半の女性が立っており、グレーのジャケットを羽織り、前世基準ではやや短めなグレーのミニスカを履いた、やや背の低い女性が立っていた。
「誰?」
まだ朦朧とする意識の中、とりあえずそう声を掛けた俺に彼女は胸を張って答えた。
「私は今日からあなたたちのクラスの担任をする田中 サキですよ。
『サキちゃん先生』って気軽に呼んで下さいねって、そんなことよりもです!起きて下さい。入学式に行きますよっ」
目の前に立つグレー色のスーツの胸ポケットには確かに『1-6』と書かれた名札のようなものをつけその上に一輪の花を挿した、赤色のメガネが特徴的な教師と名乗る女性の声に俺はやっとこさ、その重い瞼をしっかりと開き彼女を見つめた。
赤ふちの特徴的なメガネ。
やや、ロリ巨乳を想像させる身長とバスト。
それとどことなく落ち着きのない話し方や、身振り手振り。
間違いない。コイツ、イケルッ!
そんな、これから始まる入学式のことより、目の前に立つ女性の品定めをしばし楽しんでいると、目の前の女性はやや頬を膨らませた。
「あ、あの!山口くんッ。いい加減起きてくれないとせ、先生ほんとに怒りますよーッ」
そして目の前でパンパンと叩かれた衝撃音により、俺は舐めるように彼女を観察するのをやめ、彼女に向かって頭を下げた。
「ごめんなさい。『サキちゃん』」
俺はあえて先生をつけず愛称だけで彼女の名を呼ぶと彼女は急に頬を赤らめ
「そそそそ、そんな、『サキちゃんだなんて』
ま、ま、まだ私とや、や、山口くんはそんな仲、ハッ!!!も、も、もも、ももももしかして山口くんがわ。わ、私に一目惚れして、そして惚れられた、私とや、山口くん先生と教室で、そ、そのっ!禁断の恋ってや「田中ァーッ!!!!!早くしろッ!テメェのクラス待ちでいつまでたってもワタシら7組が移動出来ねえだろうがあッ!!!!」
そしてサキちゃん先生の声を遮るように力一杯、クラスの扉が開けられてすぐ飛んできた怒声によりサキちゃん先生は身体をビクッと跳ね上げ、反射的に「すいませんッ!!」と答えた。
「と、とにかく、急ぎますよッ。山口くんもいい加減椅子から立ってあの列の最後尾に並んで下さいッ!」
そう言って
クラスの扉側のやや空いたスペースにすでに整列を終えずっとこちらを見ていた同級生達の列を指差したので俺はコクリと頷き立ち上がった。
「あ、で、でも今度からは、ちゃんと『先生』ってつけてくだ『タナカ!!!!早く!!!」ファイッ!!!!」
再び掛けられた声にどこか素っ頓狂な声を上げる彼女にクスリと俺は笑いかけ、そして俺は列の最後尾に移動しながら既に整列を終え待たせてしまった女子達に片手を上げぺこりと謝る。
その瞬間、先ほどまでややきつい目つきでこちらを観察していた彼女達の目は幾ばくか優しいものに変わる。
そして俺が謝罪のポーズをとってすぐ、続いてサキちゃん先生も俺の真似をするように生徒の列に向かってぺこりと頭を下げると再び彼女達の視線は獣のように鋭くなり、時折「チッ」とした舌打ちの声が帰ってくる始末。
「えぇ、ちょ、ちょっと、最近の若い子はき、厳しいなー」
帰ってきたいくつかの舌打ちにそんな感想を漏らしたサキちゃん先生はそのまま列の最前列に移動し、クラスに号令をかけ俺たちは入学式が行われる体育館へと向かった。
道中、通り過ぎた時にみたいまだ整列し俺たちの後に体育館に行くのであろう7組の先頭に立つ体育教師のような全身赤いジャージを着ていた女教師はまるで怒るウサギのようにこちらを腕を組み睨めつけながら、右足の爪先で何度もトントントンと床を叩いて全身からイライラしていますというような雰囲気を醸し出しており、それを見た瞬間サキちゃん先生はやや猫背気味な背中をピシッと一本線を引いたように背筋を伸ばし、あえてそちらを見ないようにただ真っ直ぐ前を見て行進する。
そんな2人の関係が、どこか獲物とライオンのように見えて俺はクスリと笑ってしまった。
パパパパーンッ
パパパパーンッ
体育館からラッパの軽快な音が響き、俺も含め新入生らしきものが続々と体育館の中へと入る。
カシャカシャカシャ。
体育館の中には既に新入生の参観の親が席に座り、カメラ片手に自分の子供の勇姿を撮影すべくシャッター音が会場に響いた。
カシャカシャカシャ
カシャカシャカシャ
カシャカシャカシャ
いや、これ絶対、盗撮だろ。
俺が体育館に入るやいなや、先ほどと比べてやや多くのシャッター音が俺に向けて焚かれているのを感じる。
まあ、カメラを構える婦姉(前世で言う父兄)も皆美人であることから俺はややサービスのように所々で手を振り愛想を振りまいた。
そして母はどこかと周りを見ると、そんなカメラ小娘達の先頭に立ちまるで本職のカメラマンのように必死な形相でこちらを撮影していた。
新入生代表 〜 。
生徒会長の祝辞が述べられた後、新入生代表の女の子が答辞を述べ入学式は終了した。
当然のことながら生徒会長は登校時にあった城ヶ崎さんこと、爆乳女神の1人、アヤさんが述べていたのを俺は目の保養とばかりにガン見しているとふと目が合ったのに気がつくと、彼女はこちらにウインクを交わしてきた。
そんなこともあり恙無く入学式を終え自分の教室に戻り俺たちは自分のクラスで自己紹介をしていた。
「山口 ショウです。
趣味は寝ることと、漫画を読むこと。
特技はありません。よろしくお願いします」
ペコリ。
そんなザ・普通な自己紹介をし、普通にお辞儀をした瞬間、一拍置いてまるでアイドルのコンサート会場のように歓声が教室全体に響く。
「ねえねえねえねえ、ショウくんって、呼ぶね!!」
「可愛いー!それに優しい!!天使かよー!好き!」
「あー!抱かれたい!」
「抱きたい!」
「食べたい!!!」
「ショウくん!良かったらウチとアドレス交換しよう!!!」
「好きなタイプはどんな女ですか!?」
もう、そんな感じである。
そもそも男子が学校に通うこと時代珍しくなった、今(男児保護法から)
クラスに男子は俺1人。
入学式に見た時も平均的にクラスに1人男子がいるか居ないかのレベルであるのだがら当然女子達の関心は俺に集まりこうして烏合の衆へと成り果てる。
そもそも最初の男女比3:7と言う設定はどこにいったのか。
「はいはーい!静かに、静かにして下さーい!!」
そのあまりの喧騒さに担任となるサキちゃん先生こと、田中サキ先生が小さい手をパンパンと叩き皆を鎮める。
「皆さん、山口くんはこのクラスでたった1人の男の子です。
そんなにがっついてしまうと山口くんはこのクラスに居づらくなってしまうかもしれません。
それに質問ならこのあといくらでも出来ますので、そ、その時で良いと思いますよー」
そんな、やや教師にあるまじき名指しの発言に若干、ムッとしてしまう顔を俺はペチンと軽く叩く。
いかんいかん。これでも前世は立派な社会人。
こんなことで不機嫌になっていてはこの世界でハーレムを築く上で邪魔になってしまう。
俺がすべきなのはあくまで愛想の良い男の子。
丁度王子様とまではいなくても充分整った容姿。
そんな容姿を活かさずしてなにが逆転世界か。
俺はそう自分に良い聞かせサキちゃん先生に見えるように手を挙げる。
「え、ん?は、はい。山口くん。あのーもしかして怒らせちゃいました?」
俺が挙手したことにより、若干顔に焦りを浮かばせる彼女に俺は笑顔で応えた。
「いえ、サキちゃん先生の僕に対する配慮、本当にありがたく嬉しく思います。
ただ、僕も将来は獣医になりたいので、必ずこの学校に通い高等部で卒業します。
それに女子に対してもそんな忌避感も嫌悪感もありません。チヤホヤされる分にはむしろ嬉しいので、
そこまでご心配されなくても結構ですよ」
俺の、やや中学一年生が言わないようなそんな模範解答を示すと再びクラスは歓声に包まれる。
「でも、ちゃんとクラスの進行を妨げないようにぐらいはみんなも配慮して欲しいかな」
俺の続け様の言葉に響いていた歓声はピタリと止み、その素直さに俺はクスリと微笑んだ。
そして、案の定クラスに歓声が響く。
その中には先ほどまでクラスを纏めていた担任であるサキちゃん先生も含まれており、等しく、メスの表情で甲高い声を上げて鳴いていた。
この世界では男子イコール天使である。
特に性格の良い素直な男子に対してそう形容される。
そんな風に理解してくだされ!