唐突だが、世界は崩壊した。
いきなり何を言っているのか理解が追い付かないかもしれないが、とにかく、世界がおかしくなった。
ワイバーン、スケルトン、死霊、他にも様々な魔物が跳梁跋扈する世界になってしまったのだ。
だが、驚くべき事が起きたのは、それだけでは無かった。
魔物に怯え逃げるだけだった人々の中で、Fateのサーヴァントを呼び出す人が現れたのだ。それも一人や二人だけではなく、何人もの人が。
かくいう、俺、工藤 信太もその中の一人だ。
俺の元に来てくれたのは、ライダー、フランシス・ドレイク。ドレイク姐さんだ。俺がFGOを始めた中で、一番最初に来てくれた星5のサーヴァントだ。来てくれた時は、大声で叫んだ。ガッツポーズもした。聖杯を真っ先に捧げたのもドレイクだ。俺のサーヴァントの中で唯一絆Lv10をいっている。
それほどの愛着を持っているドレイク姐さんこと、フランシス・ドレイクが俺のサーヴァントになってくれた。
嬉しかった。只、只嬉しかった。
そんなフランシス・ドレイクを現在俺は、
「ほら、もっとちゃんと舐めろ」
「はい、ご主人様♥️」レロォ ペチャ ピチュ
メイド服を着せて跪かせて足を舐めさせていた。
「よしよし。良いぞ。ご褒美にお前の髪でこの濡れた足を拭いてやる」
「は、はい、ありがとうございます。ご主人様ぁ♥️」
何故、こうなったのか。
俺は、豪華なソファに座り、メイド服で平伏して恍惚とした顔でハァハァと興奮した声をあげているドレイクの頭を踏みつけ、足を拭きながら、世界が崩壊した時の事を思い出していった。
●
「ふあ~。ねみぃ」
俺は、世界が崩壊する前は、青森のとある町の工場で働くしがない作業員だった。
その日も、いつも通りに仕事をして、合間の休憩時間になって休憩室に入って休んでいた時だった。
「おい、なんだあれ!」
同じく休憩室で休んでいた同僚の一人が窓の外を向いて声を荒らげた。
その声を聞いて、俺や他の休憩していた者達も窓の外を向くと、
「な、何だ?あいつらは!?」
窓の外では、巨大な猪が車を横転させ、ワイバーンやらゴブリンやら、様々な魔物が人を襲い、人肉を貪っていた。
「うぇっぷ……」
そのあまりの光景に俺は吐きそうになったが、何とか堪えた。
周りの人は、何人か吐いてる人がいて、少し鼻に匂いがきた。
「うっ……。なんなんだよ。あれは」
俺達が外の様子を見ていると、魔物の中の一匹(おそらくFGOの魔猪)が視線に気付いたのか、こっちを睨んできた。
そして、姿勢を下げた。まるで、突進するかのように。
(マズイっ!!)
「全員逃げろぉ!」
頭で考えるよりも早く声と体が動いた。俺は叫ぶと同時に、休憩室のドアの元に向かって行った。
俺がドアを開け外に出ると同時に、
ドオン
という、音と共に、休憩室の壁が壊された。
●
「はぁ…、はぁ…。あ、危なかった」
俺はドアを開け出た時に、生命の危機を感じ、横に跳んだ。
それが功を奏したようで、魔猪が壁を壊した時に飛んできた瓦礫の破片や、瓦礫が当たって外れたドアの下敷きになることも無かった。間一髪だった。
「中は……、どうなった……」
恐る恐る中を覗くと、
「……!」
あまりの光景に言葉が出なかった。
休憩室の中は燦々たる有り様だった。
魔猪によって頭から喰われた者、魔猪の牙に突き刺されている者、魔猪に踏み潰されている者、瓦礫に押し潰されている者、多くの死体があった。それら全てが一匹の魔猪によって行われていた。
(ヤバイ、ヤバイヤバイヤバイヤバイ…!早く逃げないと…!)
しかし、何度逃げようと思っても、身体は動かない。恐怖で身体が怯んでしまっている。
そのまま立ち止まっていると、
ブルルル
魔猪がこっちを見た。その瞬間、身体が震えた。
(やられる!)
そう思った瞬間からの行動は迅速だった。
何とか腕を動かし、拳を握ってそのまま、
ガン!
と、自分の顔を殴った。力いっぱい殴ったため、結構痛い。
「痛ってぇ…。」
だけど、これで痛みが恐怖を紛らわせてくれた。身体が動く。
俺は全速力で逃げた。
(だが、どこに逃げる…)
工場内のどこかに隠れる?それとも、作業している人の所に行く?
(いや、どっちもダメだ)
隠れても、その内見つかるのがオチ。人がいる所に行って説明しようにも、「馬鹿な事を言うな。」と言われて時間をとられてその間に休憩室に空いた穴から侵入してきた魔物にやられる。休憩室が壊されたと言っても、非常ベルは鳴ってないからまだこの事態を知らない人も多い。
(なら、まずするべきことは…!)
俺は近くにあった非常ベルを叩き付けるように押した。
ジリリリリ!!
やかましい位の音がなった。
(よし、これで…!)
いきなり非常ベルが鳴った事で異常に気付いて逃げてくれるだろう。イタズラだとか思わずに、すぐに避難してくれる事を祈る。
(次は……、)
俺は、生きている同僚達の安否を心配しながら、ある場所に向かった。
●
「よ、よし。なんとか着いた」
ある場所とは、
「えーと。荷物は……、オッケーなんともないな」
更衣室だった。取り敢えず、逃げるにしても、着の身着のままよりは、自分の荷物を回収しておいた方が良いからな。荷物は無事だったので、残らず回収した。
「これで良し。後は、見つからずに逃げるだけ」
バッグを背負ってドアに向かおうとしたところで、
バキバキッ ドゴン
勢いよく土煙をあげ、ドアが壊れた。
「くっ!なんだ!?」
思わず顔を手でガードした。土煙が晴れると、ドアを壊した犯人が姿を現した。
それは、
「ウ、ウェアウルフ…!」
FGOでみたウェアウルフそのものだ。そいつは、壊したドアの所でこちらを見ている。
グルルル
どうやら、完全に狙いを定められたようだ。俺を睨み付けて唸り声をあげている。
(どうする。どうやって乗り切る)
ドアは今正にあのウェアウルフが防いでいる。ロックオンされてる以上、隠れてもすぐに見付かる。戦ってもすぐにやられるだろう。
(なら、奴の虚を突くしかない!)
俺は、窓際までゆっくりと下がり、後ろ手に窓の鍵を開けた。
その瞬間、
グルル グラァ
ウェアウルフが襲いかかってきた。俺はそれと同時に勢いよく窓を開けて倒れるように外に出た。
グルッ ウゥ?
ウェアウルフは、俺を見失ったようで、唸り声が少し弱くなった。だが、安心は出来ない。ウェアウルフは恐らく、鼻が良いはずだ。ウルフって狼だし。すぐに臭いで追跡してくる。それに、外も安心出来る訳ではない。むしろ、外の方が危険だ。建物内よりも、遥かに多くの種類と数の魔物がいるのだ。
おまけに、俺が窓を開けて倒れ込んで外に出た音が奴等には聞こえていたらしく、奴等の何匹かに注目されていた。
「まさに、絶体絶命って状況だな」
だけど、
「何でかな……、心が踊ってるよ」
この状況で、俺は何故か笑みを浮かべていた。
絶体絶命の状況だからこそ、逆に頭が冷めてしまった。そして、冷静になって考えて、俺は何故心が踊るのか理解した。
俺は、今のこのファンタジーな状況を楽しみたいと思っているのだ。人がわんさか死んでいるのに不謹慎かもしれないが、ワクワクしている。
だから、
「まだ、やられる訳にはいかないんだよ!!」
俺は、壁づたいに走った。魔物達も俺を追いかけてきた。向かうは駐車場。自分の車の元だ。例え駐車場に着き、車を確保したとしても、それで逃げ切れる保証はない。さっき車が横転させられているのを見た。車に乗ってもやられるだろう。それでも、自分の足よりは速く走れる。逃げ切れる可能性は1%でも上げる。だから走る。
そして、何とか駐車場近くまでこれた。
(よし。後は車を……)
と、そこで角の所に何か影が見えた。
(………!)
俺は咄嗟に止まろうとした。だが、走っている時に急には止まれない。止まろうとしても、変に転ぶ。
(なら、こうするしかない…!)
俺は、前方に跳んだ。
ブオン
俺が跳んだ後に何かが振られた音がした。
俺は、着地して直ぐ様後ろを振り返り、その正体を確認した。そこにいたのは、
「ス、スケルトン…!」
剣を振り下ろした状態のスケルトンだった。スケルトンは、剣が当たらなかった事を確認すると、俺の方を向き、カタカタと身体を鳴らしながら歩いてきた。
(ま、マズイ…!)
俺は今、着地したばかりで体勢が悪い。しかも、跳んだと言っても、そこまで遠くに跳んだ訳ではない。この距離だと逃げるよりも早くスケルトンの剣で斬られる。
「だけどな、諦めるつもりは毛頭無い!」
俺は、バッグを前に出し、スケルトンの剣を防ぐ為の盾にした。
そして、スケルトンの剣が振るわれる。
当たるその瞬間だった。
俺の視界が真っ白になったのは。
『良いねぇ。その根性。あたしゃ好きだよ。そんなあんたの事。だから、手を貸してやるよ』
ダンッ ダンッ
そんな女性の声と、2発の銃声が聞こえた。
ようやく視界が戻った時、俺の目の前には一人の女性が立っていた。その足元には骨に穴が空いて倒れるスケルトン。
手に持つは二丁拳銃。長いピンクの髪。頭に乗る海賊帽子。間違いない。俺は、この女性を知っている。この女性、いやサーヴァントは、
「フランシス・ドレイク…!」
俺が、FGOで最初に引いた星5サーヴァント。FGOの中でも一番信頼して、愛着を持っているサーヴァント。
そのフランシス・ドレイクは、
「あいよ、マスター。ライダー、フランシス・ドレイク。只今参上だよ!」
と、振り返り笑顔で答えた。
どうでしたでしょうか?
エロシーンはもう少し待って下さい。
今、他の崩壊世界シリーズの人達のを読んで勉強していますので。