それでは、よろしくお願いします。
「「ただいま~」」
「「おかえり」」
疲弊しながら帰って来た俺達を待っていたのは、呑気な声で昼飯を食べて出迎えてくれた両親だった。
「昼ご飯の準備は出来ているから早く食べなさい」
「はーい。いただきます」
俺達がリビングに入ると、そこには俺達の分の焼きそばがあったので食べた。今日の昼飯のようだ。ま、昼だしね。この位で丁度良い。
「信太のお母さん。あたしらサーヴァントは基本的には何も食べなくても大丈夫だからさ。あたしの分はいらないんだよ」
ドレイク姐さんが、母さんに自分の分はいらないと説明する。
「あら。そうだったの。まあ、もう準備しちゃったし、食べちゃいなさい」
「うーん。ま、いいかね。んじゃ、いただきます」
ドレイク姐さんも焼きそばを食べ始めた。
『サーヴァントというのは、』
テレビを点けてみれば、ニュースで各地に現れた魔物とそれを倒すサーヴァントが映しだされていた。
「またやってるんだこれ関係のニュース」
「朝からずっとだよ」
気持ちは分からなくも無いけどな。ゲーム、アニメの存在が現実には現れるなんて非現実的な事が起きたんだ。そりゃ、こうなるわな。
テレビでは、サーヴァント、(あれはフェルグスか?)が、スケルトンを倒す光景が映っている。
「ほんと。サーヴァントって凄いね」
「まあね。こっちに来る奴は基本育てられている奴ばっかりだからね。そこら辺の雑魚共はすぐに倒せるさ」
ドレイク姐さんがドヤ顔で言ってくる。まあ、それは本当の事だろうね。召喚してのあの無双状態を見せられちゃ、信じるしかない。
「ほんと、ドレイク姐さんには感謝しかないよ」
「ありがとよ」
俺の感謝の言葉にドレイク姐さんも軽く返してくる。
「ただいま」「ただいま戻りました」
他愛ない会話をしていると、兄さん達が帰って来た。
なんか、メディアがイライラしていて、兄さんが苦笑いをしている。何があったんだ?
「おかえり。? 何かあったの?」
母さんが二人の様子がおかしいのを見て聞いた。勇気あるな。
「ふん!言いたくも無いですわ!」
メディアさんはそっぽを向いた。
「いやぁ、それがな。辞めるって言いに行った時に、エジソンがだだをこね始めてな。そのままむっちゃ吠え出した所で、メディアがキレて魔力弾や魔力砲を乱発し出したんだよ。それで魔力砲が当たって倒れたエジソンに一睨みして退職届を突き出して帰って来たんだよ」
サンソンさんは、苦笑いしながら退職届を受理してくれたよ。兄さんが説明してくれる。何とまあ、どう反応して良いやら。
「まあ、これでちゃんと辞めれた事になるからな。俺もじいちゃん達の所に行けるよ」
何はともあれって感じだな。でもこれで全員の準備は完了した。明日にでも行けそうだな。
「よし。それじゃあ、各自今日はちゃんと準備を終わらせて明日信太のドレイクさんの船で出発するぞ」
『お~』
●
翌日、
「皆、忘れ物はないな」
『はーい』
「よし。それじゃあ、出発しますか」
俺達は、全ての準備を終わらせて出発をするところだった。
「ドレイク姐さん。頼んだ」
「あいよ。そんじゃまあ、出航!」
ドレイク姐さんの号令と共に、
「うおっ!」
「凄い!本当に飛んだわ!」
父さんと母さんは、黄金の鹿号が飛んだ事に驚きと喜びが半々の感情を見せている。
「おぉ。これが空を飛ぶ船に乗る感覚か。面白いな。なあメディア」
「はい。剛樹様」
兄さんとメディアさんは一度飛ぶのを見ていた事もあって、そこまで驚いておらず、純粋に乗り心地を楽しんでいる。
「着くまで大体10分位かな。皆適当に船の上から色々見ると良いよ。あ、だけど、船の中には入らないように」
どんな事になるか分からないから。
と、俺は先にあの人にあれを見て貰わなきゃ。
「兄さん」
「ん? どうした?」
「ちょっとメディアさんを貸してほしい」
「………………」
兄さんは、俺の突然の要望に、訝しげな視線を向けたが、俺の真剣な表情を見て、
「分かった」
と、言ってくれた。
「メディア、頼む」
「……ええ。分かりましたわ、剛樹様」
兄さんのお願いに、メディアさんは少し思案し、了承してくれた。
「すみません、メディアさん。じゃあ、ちょっと付いて来て下さい」
そして、俺とドレイク姐さんとメディアさんは、聖杯のある小屋に向かった。
●
「……何よ、これ!」
小屋に入っての第一声がそれだった。メディアさんはあり得ない物を見た目を向けている。その対象は、勿論聖杯だ。
「ねぇ坊や」
「あ、はい。ってか坊やって」
この場に坊やと呼ばれそうな対象は俺しかいなかった為、反射的に返したが、呼び方が原作士郎と同じになっていた。
「これは、何?」
「何って、聖杯、だと思いますが?」
「ええそうね。私にもそう見えるわ。だとしたら……」
メディアさんは、聖杯に近付いて行く。その手が聖杯に聖杯に触れようとした時、
バチン
見えない何かに弾かれた。
メディアさんは手を開いたり閉じたりして異常が無いか確認している。
「…………ねぇ坊や」
「はい。何でしょうか?」
「これに触れてくれないかしら?」
「はい!!」
少し考え込んだ後、メディアさんがそんな事を言ってきた。
「いや、俺が触っても同じように弾かれるんじゃ……」
「いいから早くしなさい!」
「はい!」
メディアさんが真面目な顔で怒鳴ってきたので反射的に頷いてしまった。
俺はおそるおそる近付き、聖杯に手を触れてみた。
すると、拍子抜けする程に何とも無く持ち上げる事が出来た。
「やっぱりね」
その様子を見て、メディアさんは確信したと言わんばかりの顔になった。
「メディアさん。やっぱりとは?」
俺はメディアさんに聞き返した。
「それを使う権利を持ってるのは、フランシス・ドレイク、そしてそのマスターである坊やだけって事よ」
試しに聖杯をドレイク姐さんに渡すように促されたので渡してみると、ドレイク姐さんも普通に持てた。
「ほらね」
メディアさんは得意気な顔になっている。
「マジかよ」
「一つ忠告しておくわ」
俺達が衝撃を受けていると、メディアが人差し指を立てて言ってきた。
「いいこと。聖杯の存在は誰にも悟られてはダメよ。それはフランシス・ドレイクとそのマスターしか使う権利がない。だけど、逆を言えばフランシス・ドレイクのマスターになれば使う権利を得る。もし聖杯の存在を知られてしまえば、フランシス・ドレイクを巡っての世界大戦が起きるわ。」
メディアさんの言葉に俺はゴクリと唾を飲み込んだ。
「やっぱり、戦争が起きますか?」
「ええ。それほどの価値があるのよ。聖杯には」
まあ、私は聖杯には今更何の興味も湧かないけど。と、メディアさんは言った。おそらくそれは嘘ではないだろう。あの兄さんへのベタベタ具合を見れば、幸せそうだなと分かる。それをわざわざ破壊するような代物を手に入れるなんて思わないだろう。
それに、メディアさんだったら
「さて、もうここに用は無いわ。さっさと戻りましょう」
メディアさんは、もう聖杯になんの関心も無いようで、さっさと小屋を出ていった。
俺達も聖杯を置いて甲板に出た。
●
甲板に戻って約10分後、
「おお。着いたな」
じいちゃん達の家に着いた。じいちゃん達の家も壊されていない。無事なままだ。
「そんじゃ、降ろすよ」
ドレイク姐さんがそう言うと、黄金の鹿号はゆっくり降りていく。地面に着くと、柵の一部が開かれて、地面まで伸びた。毎度見るけど、この船って結構凄い性能してるよな。ま、聖杯のお蔭ってのもあるけど。
「さて、と。私は……」
メディアさんは、一足先に降りると、家の中とは別の方に行く。もしかして……。
「結界を張りに行くんですか?」
「ええ。だってここは今日から住む場所ですもの。しっかりと安全を確保しておかないと」
俺の質問に当然のように答えると、メディアさんは飛んで行った。
「ま、あの人なら大丈夫だろう」
俺は、メディアさんの方から降りてきた兄さん達の方を向き、
「あれ? メディアは何をしに行ったんだ?」
「すぐに戻ってくるから大丈夫」
兄さんはメディアさんを心配しているようだが、俺は心配いらないと返す。
「先に入ってよう。じいちゃん達の事も気になるから」
「お、おう」
兄さんがまだ心配しているようなので、一応ドレイク姐さんに一緒に行くように指示を出した。ドレイク姐さんも了承して、メディアさんの後を追った。
家の中に入ると、
「おお!よく来たな」
「予想よりも随分早く来たね」
じいちゃんとばあちゃんが温かく迎えてくれた。今のこの状況に恐怖で怯えている訳でもないようだ。普通にテレビを見てる。
「そっちも元気そうで良かったよ」
父さんも安堵の声をあげている。一応、出発する前に連絡はとっていたが、俺も実際に会うまで心配だったし。
「戻ったよ」「戻りましたわ」
ドレイク姐さんとメディアさんも結界構築から戻って来た。というか、早いな。もっと時間がかかると思ったんだが。
「今張って来たのは簡易的な結界よ。本格的で強固なものはこれから時間をかけて張っていくわ」
とのことらしい。
「えーと。その人達がテレビでもやっていたっていう……」
「サーヴァント?」
じいちゃん達は初めて見る二人に、困惑していた。二人の存在は事前に知らせていたからそこまでの状態になってはいないようだ。
「その話は中で。ひとまず座ろう」
俺達は、居間に入って座った。
●
「て、訳なんだ」
全員が俺を見つめる中で、俺は改めてニュースとかの補足説明をした。
全く、こういうの俺苦手なんだけどな。でも、俺しかちゃんと状況を説明出来る奴がいないってんなら、しょうがない。父さんと母さんは、fgoを知らないし、兄さんもfgoはやっているけど、fateは知らないし。
「成る程な」
じいちゃん達も俺の説明を理解してくれたようだ。
「それで、実は今問題がある」
じいちゃん達が理解してくれた所で、父さんが唐突に話を切り出した。
『問題?』
全員が口を揃えてそんな疑問を言った。
父さんは頷くと、
「ああ。俺達のこれからの生活についてだ。こんな世界になったということは、スーパーやコンビニ等はおそらく開いてないだろう。その場合食料問題が発生する。俺達が持って来た食料を何とかして節約すれば一週間は保つだろう。だが、それ以降の事も考えておかなければならない。ここまでは分かったな?」
父さんの質問に俺達は頷く。
父さんは俺達が理解したのを確認して、
「それで、今後どうやって食料を確保しなければいけないか。それを話し合いたい。何か案はないか?」
父さんは、俺達に向けて問題を出した。
俺達は、少し思案した。すると、俺の頭に一つの答えが出た。
「父さん。その問題、どうにか出来ると思う」
『え?』
俺の言葉に、全員(ドレイク姐さんやメディアさん含む)が疑問符を浮かべた。
●
「はーい。ちゃっちゃと運んじゃって」
指示を出す俺の目の前では、竜牙兵が台車を押して黄金の鹿号から魚、肉、野菜等の食料、水や炭酸飲料水等の飲み物を家の倉庫に運ぶ光景が広がっていた。
そう。俺の答えとは、黄金の鹿号の中に積まれていた食料を渡す。という、簡単な事だった。
「いやぁ、あんたの作った竜牙兵がいてくれたおかげで、簡単に運び出せるよ」
「本来の使い方とはかけ離れすぎてるわよ。悲しくなってきたわ」
後ろでは、ドレイク姐さんとメディアさんが、そんな会話をしていた。
「なあ」
「ん?」
そこに、父さんが話に入って来た。
「あんなにたくさんの食料や飲み物を貰っても大丈夫なのか?ドレイクさんと信太は確か……」
旅に出る。と続けようとした父さんの言葉を遮って、
「大丈夫。あたし達には裏技があるからね」
と、笑顔で言った。
まあ、確かに聖杯があるから大丈夫だとは思うけどな。
「それで、二人はいつ出発するの?」
母さんが俺に質問してきた。
「ん~。そうだな。やることもあるし、一週間位してからかな」
メディアさんが家の結界を強固にしている間に、付近の魔物の掃討もしておかないとな。ここの安全がひとまず保障されてから行こうとは思ってる。
「分かったわ」
母さんは、俺の答えに納得してくれたみたいで、頷くと食料の整理に行った。
その後も食料の運び込みは進み、
「大体これくらいで良いんじゃないかい?」
「そうね。それじゃあ、やりましょうか」
充分な量を倉庫に運んだ所で、メディアさんが、
「ハッ!」
一声かけて、倉庫に個別の結界を張った。
「これで余程の事がない限り、食材が腐ったりする事は無く新鮮な状態で食べる事が出来るわ」
「ありがとう。メディア」
「いえ。剛樹様とそのご家族の為ですもの。頑張らせていただきますわ」
兄さんからの感謝の言葉にメディアさんは最高の笑顔になって喜んでいる。
「取り敢えず、一年は飢える事はない量を搬入しておいたよ」
「ありがとう。ドレイク姐さん」
「いいって事さ。まだまだいっぱいあるんだからさ」
確かに、聖杯のお陰で、食材は無限にある。ぶっちゃけ旅をしてる間は、食で苦労する事はないだろう。
「でもなぁ……」
「どうかしたのかい? マスター」
「いや、なんかさ。勿体無くない?こんだけの食材があるのに、食べるのが俺達だけってのは」
「……ああ。確かにね」
何かいい案はないかと考えて、
「あ」
と、一つ思い付いた。
「どうした?」
「思い付いた事があるんだけど」
「何だい?」
「商売」
こんな世界になったんだ。どこでも食料不足になる。だから俺達は、旅をしながらこの食料を売っていく。一度立ち寄った場所にすぐに行ったら怪しまれるから、大体2ヶ月位の期間を開けて立ち寄るようにする。
「ってな感じなんだけど……」
「……面白そうだねぇ」
「ほんと!」
「ああ。あたしは賛成だよ」
ドレイク姐さんも賛成してくれた。これなら行けるかもしれない。
「よおし。旅に出てからの方針も決まったし、派手にぱあっとやるとするか」
「やるって、何を?」
「宴会さ」
「宴会?」
ドレイク姐さんがまた変な事を言い出した。理由を聞いてみると、そろそろ不安な気持ちを払拭するために一回ぱあっと騒いで気を紛らわせる必要があるとのこと。俺は特に断る理由も無いので、賛成した。
そして、夜はドレイク姐さんの要望通り、宴会というか、持って来た肉類で焼き肉パーティーをして皆で楽しんだ。
次回こそは!次回こそは出発させたいです!
あと、エロ描写も入れたいです。