それでも良いという方は、読んで下さい。
出発してから約10分後、俺達はある場所に寄り道していた。
そのある場所とは、
「フハハハハ。見よ。私が作りし機械兵達の凄さを!ガオオオオ!」
「五月蝿い! いちいち吠えんな!」(グー殴り)
「アウチッ! マ、マスター……。も、もうちょっと手心というものを……」
「何か言った。クソ馬鹿エジソン」(キッ)
「い、いえ。何でもありません」
「うん。大分調子が良くなってきたね。これならその内に退院出来そうだよ」
「うん。ありがとう、サンソン先生」タタタ
「こら。走らないの! ふふふ。すっかり人気者ね。サンソン」
「僕は医者さ。当然の事をしているだけだよ」
兄さんが勤務していた病院である。何故か外には、機械兵達がいる。中に入ると、エジソンとサンソンがマスターらしき女性と話していた。
俺はサンソンの方に近付き、
「あの」
「おや。新しい患者かな? どこが悪いのかな?」
「あ、いえ。違うんです。私の名前は工藤信太と申しますのですが……」
「工藤? まさか」
「はい。先日までここで働いていた工藤剛樹の弟です」
その瞬間、周りにいた人達がざわめいた。ひそひそ声に耳を傾けると、「剛樹君の弟さんが何故ここに?」等と言った声が聞こえる。
「成る程ね。で、用件は?」
「ああ。そうでしたね。今回は、辞めたとはいえ、兄が今まで勤務していた病院ですので、お礼をしたいと」
「ほほう!お礼とな!」
と、いきなりエジソンが話に割ってきた。
「エジソン。勝手に話に入って来ないでくれ」
「良いではないか! それでお礼とは何かな?」
サンソンがはぁ……とため息を吐いているのを無視してエジソンが聞いてきた。
「そうですね。単刀直入に言いますと、そろそろ底をついてきたんじゃないですか? 色々と」
俺の質問に、二騎はうっ! となった。周りで話を聞いている人達も同じ反応だ。
俺はやっぱりか。と思った。こんな世界になったんだ。食料は元より、日用品も手に入り難くなっている。近くに大型スーパーもないこの地域だと、余計に。医療用器具なんかの補充も出来てないだろう。
電気は、エジソンが何とかしているのか、切れてはいない。
「それで、一旦外に出てほしいのですが、よろしいですか?」
俺の言葉に、職員の皆さんは疑問符を浮かべて逡巡していたが、サンソンが、少し思案した後、首を縦に振った。
「すみません。ではこちらに」
俺の案内で、外に出た。
外に出ると、
「こ、これは……!」
「なんという……!」
二騎の目の前には、肉、野菜、果物、魚、飲み物等の食料の他にも、タオル、毛布、服等の衣類、包帯や薬等も山のように積まれている光景が広がっていた。
「さあ、じゃんじゃん運びな!」
ドレイク姐さんが船から荷物を運び出す竜牙兵達に指示を出している。この竜牙兵達は、俺達が出発する際に、メディアさんから貰ったのだ。主に荷物運びの仕事をさせるように改造して、俺達の指示に従うようにしてもらった。
「し、信太君と言ったな。こ、これをどうやって……!」
「ん~。そこは、企業秘密って事で」
流石に聖杯の力を使ったなんて言えないからな。
「それで、どうです? この品々。これがお礼です」
「!? こ、これがかい!」
「はい。これら全てを差し上げます」
「「!?」」
二騎は、俺のお礼の品を見て、驚愕の表情を向けた。
ま、これは当然の反応だろう。こんなにも大量の物資を無条件で渡すなんて普通ならあり得ない。普通ならね。
残念だが、俺達には聖杯がある。聖杯のおかげで、物資を渡したとしても、すぐに補充出来るのだ。だから、俺達にとっては痛くも痒くもない。
「さ、流石に何の対価もなくこれ等をいただくというのは……」
「ふむ。対価ですか……」
そう言われ、俺は何か良いのがないかと考えて辺りを見回すと、ある物が目に入った。
「なら、あれをくれませんか?」
俺はそれを指差した。それは、
「機械兵。ですか?」
「はい。そうですね……。4機位でどうですか?」
「うーむ。エジソン。どうだい?」
サンソンは、自分だけでは決められないと、エジソンに聞いてみた。
「うむ。良いだろう!」
と、エジソンは即答してくれた。
「しかし、何に使うのだ?」
「ああ。荷物の運搬とか、護衛とかに使う予定」
竜牙兵だけじゃ色々と間に合わなくなるからね。
「うむ。交渉成立だな。それでは早速これ等の物資を運んで……。…………ああ!」
「ど、どうした!? いきなり叫んで」
「今思い出したが、これ等を置ける所が無いではないか!」
「!! そ、そうだった!」
どうやら、いきなりのピンチ到来である。しかし、焦らない焦らない。
俺には秘策がある。
「あの、聞きたい事があるのですが……」
●
俺達は、二騎と共に俺の言う条件に合った場所に来た。俺の言った条件とは、病院内、もしくは病院近くにこれ等の物資を置ける場所があるかという事。それだけだ。
そして、それはすぐに見つかった。そこは、病院内で使われていない旧倉庫だ。今は使われていないが、充分な広さがある。
「ここなら、入るとは思うが……」
「流石に、長期間保存出来るとは思えない。ここには電気も通ってないんだから」
二騎は、この場所を使うのに積極的ではないようだ。
しかし、
「まあ、見ててください」
俺は懐からあるものを出した。それは、一つの袋。その中には小石サイズの虹色の石が入っている。
そう。皆様が毎週ミッションを達成させて集めている聖晶片だ。たまに外に出ると、道に落ちていたりするので、コツコツためていた。
俺は、聖晶片を一つ取ってを電気のスイッチの所に投げた。聖晶片がスイッチに当たる。すると、
バチッ
と音が鳴って、旧倉庫の電気が点いた。
「こ、これは……!」
「な、何が起きたというのだ……!?」
二騎は、突然の事態に思考が追い付いてないようで、慌てる。
「落ち着いてください。ただ電気が点いただけです。この聖晶片の力によってね」
二騎は、目が飛び出る位に見開いて聖晶片を見た。
この発見は、正直言って、単なる偶然だった。集めた聖晶片の使い道とかないかなと上に投げて眺めていたら、力の加減を間違えて変な方向に飛ばしてしまった。聖晶片を投げた方向には電気のスイッチがあり、それに当たってしまった。すると、家中の電気という電気が点いたのだ。皆が驚いてリビングに集まって俺に迫って来たのが忘れられない。
経緯を話してメディアさんに解析してもらうと、どうやら聖晶片に貯まったエネルギーが電気系統に影響を与えて電気を強制的に点けさせたらしい。(ON,OFFの切り替えは問題なく出来た)それに、聖晶片のエネルギーは、水やガスにも変わっているらしく、それについても問題がなくなった。
しかも、一個でこの家を軽く五年は何とか出来るらしい。メディアさんの見解では、完璧な聖晶石ならもっと長い時間維持出来るらしい。
この話をすると、サンソンもエジソンも口をあんぐりと開けて驚いていた。
「……ま、まさかそんな方法があったなんて」
「私も思い付かなかった……。ガオオオオ……」
エジソンの吼えに勢いがなかった。
「ま、そんな訳で、電気については何とかなりますから。後はそっちで何とかして下さいね」
俺達は、船の前まで戻ってきた。もう食料も医療品も全部運び終わったようだ。今は、エジソンが特別に用意してくれた機械兵達を中に入れている。
「うむ。今回の事、本当に感謝する。これから早速あの倉庫を改造せねば」
「ありがとう。これでまだやっていけるよ」
二騎からお礼の言葉が送られる。
「いえいえ。これはただのお礼の品ですから。それでは、私達はこの辺りで……」
俺は振り返って船に乗ろうとして、ある事を思い出してまた向き直した。
「あ、そうそう」
「「??」」
「お礼の品は今回限りです。次からはきちんとお代をいただくので、ちゃんと用意しておいて下さいね」
「「!?」」
「あ、でも。これから全国を回るのでここに来るのは結構後ですから。そこは自分達で何とかして下さいね」
慌てる二人を尻目に、俺は黄金の鹿号に乗り込んだ。
●
「ご主人様」
「ん? どうした?」
「よろしかったのですか? あんな風に渡してしまっても」
フランシスが聞いてくる。
「ああ。良いんだよ。あれは兄さんが世話になった事のお礼だしね。それに、次からはちゃんと商売にするよ」
「そうですか」
「それで、だ。フランシス」
「はい?」
「もうちょっと姿勢を低くしろ。足が上がって疲れる」
「はい♥️ご主人様」
俺達の今の体勢は、俺がリビングにある豪華なソファに座って、フランシスが四つん這いになって俺の足置きになっている。俺の目の前には、横に広がって四つん這いの体勢のフランシスがいる。
こうなった経緯としては、ソファに座って寛いでいた所、フランシスのエロメイド服の開いた背中が目に入った。その背中が踏みやすそうだったので足置きになれと命令した所、興奮して承諾したので、やってもらっている。
「フランシス。これを見ろ」
「ご主人様。これは?」
そう言って、俺は操作していたタブレット端末を見せる。そこには、いくつかの点がマークしている地図が表示されている。
「人の生体反応を感知するセンサーを使って人が多くいる場所にマークしているんだ。これで人が集まる場所を探さなくても大丈夫って事」
「凄いですね。ですが、どうやってセンサーなんかを取り付けたのですか?」
「ああ。聖杯に頼んで」
「聖杯を使いこなしてますね」
「折角こんな便利な物があるんだから、使わないとな」
楽が出来るならそれにこした事はない。
「一番近くの所は、これは学校? この広さは大学か」
俺は、モードをカメラモードに切り替えて大学内の様子を伺ってみた。というか、このカメラどうやって撮ってるんだ?衛星?まあいいか。それに、さっきの反応を見る限り……。
「ふ……」
「? どうかしたのですか?」
「フランシス。サーヴァントがいるぞ」
「え?」
これは、面白い事になりそうだ。
●
病院を出発してから数時間後、大学に着いた。どこか広くて着陸出来そうな所はないかな。
上から探してみると、丁度良さそうな場所があったので、そこに着陸した。
「よっと」
「ふう」
俺達が船から降りると、周りには人だかりが出来ていた。そりゃそうか。いきなり船が空を飛んでやって来て、しかも自分達がいる所に着陸したんだ。警戒して当然だな。
と、そんな事を考えていると、人ごみの中から誰か出てきた。
一人の男の人と、あれは……、メドューサか。第一再臨状態の。
「やあ。初めまして」
「初めまして……。貴方は一体……?」
男の人が挨拶を返し、俺達について聞いてくる。
「どうも。私共は、通りすがりの商人。名は、ハインド商会と申します」
これが俺達、ハインド商会の商売の始まりだった。
聖晶片の設定は、使えそうだったら使って下さい。
それと参考までに、聖晶片が賄える期間は、一軒家で約五年。中規模病院で約三年。大規模病院で約一年。大きめのホテルで約一年半位の設定です。
聖晶石の場合は、これに数十倍してください。
感想があればやる気が出ます。ですので、感想お願いします。