喰らいつくして、突き抜ける~ イート・ザ・ワールド~ 作:KeI77777
----区立、佐原高等学校。
どこにでもある高校でこれといった特色はない。
東京23区のうちの一区に存在し、
共学制の高校だ。
いつもと変わらない景色。
授業風景。ひとりぼっちでの食事。
イジメ現場を見て見ぬふりをする。
変わらない。何も変わらない。
ただただ時間が流れていくようだ。
屋上で、バッグを枕代わりにしながら、
流れる雲を見てため息をつく。
(・・・・・高校なんぞ、来る意味なかったな。)
早瀬涼真。それが俺の名前だ。
学ランにつけられた早瀬という名前。
それを思わず引きちぎりたくなるが、すんでのところで抑える。
昼休みに食べる食事。これもいつもと変わらない食べ物だ。
食費を抑えるために買っている、菓子パン。
上手い、なんて感想が出るわけもない。
高校になんとなく進学して、親の期待を裏切らないようにしてきて。
---その先に何があるのだろうか。
(・・・・あほらし。)
予冷が鳴り始めた。そろそろ戻らないとまずい。
荷物をしまい、屋上から教室への道をたどる。
(・・・・眠い中での数学って、拷問だよなぁー。)
そんなどうでもいいことを考えながら。
◆
「・・・ふあーあ。」
思わず出たあくびを右手で抑える。
いや、抑えきれずに隣にいた女子にじろり、とみられ、
肩を縮める。
(・・・なんだよ。あくびくらいいいだろうがよ・・・。あー、寝みい。)
窓からは、グラウンドで下級生が持久走をしているのが見えた。
(・・・・・・・。)
---長髪の女子が、一位を取っていた。
嬉しそうに周りの友達らしき女子生徒たちと笑顔でハイタッチしている。
(・・・・いつも、笑顔だな。)
『・・・・・?』
(・・・・やべっ)
じっと見ていたら、気づかれたのか校舎側のほうに視線を向けてきたので、
顔を背ける。
いや、距離もある程度あるし、ばれてないはず。
・・・あー、くそ。
バレたら女子にまたキモイとか言われるんだろうな。
ほっとけっつぅの。
「・・・おい、早瀬?・・・早瀬!!」
「・・・・・?」
あ、やべぇ。数学の禿教頭がいつも以上に頭を光らせながら、
俺に向かって怒り心頭でいらっしゃる。
・・・なんだよ。
「・・・あー。すみません。もう一度お願いします。」
「・・・・・」
お、ぷるぷると怒りで真っ赤になった顔を震わせている。
・・・なんか、周りの生徒から軽蔑というか、舐められている視線を感じるな。
(・・・・ったく。)
そんなひと悶着合って、放課後。
いつもの担任教師である、新卒の女神さまが取り仕切っている。
「・・それじゃあ、皆さん。起立。・・・れ」
---彼女がその言葉の先を言う前に、クラスの中が光に飲み込まれた。
「なっ、なんだよこりゃ?!」
「ちょ、ちょっとなにこれえええ!?」
「え?なに?なんなの?」
阿鼻叫喚の騒ぎ。
なんか、やばい。
よくわからないが、やばい感じがする---。
(・・・俺だけでも!!)
窓から外に逃げようとしたが、
その抵抗も無駄のようで、
光と共に、すべては飲み込まれた。
---からん、と担任の女神さまが持っていた白のチョークが床に落ち、
後にはだれも残らなかった。