喰らいつくして、突き抜ける~ イート・ザ・ワールド~ 作:KeI77777
最悪の事態が訪れた。
よりにもよって、これはない。ない。
だって、そうだろう?
---俺だけ、幼児程度のステータスに、スキルもない落ちこぼれだったなどと、
一体だれが予想できようか?
頭を抱えながら、割り当てられた自分のベッドにて考える。
(・・・考えろ、考えろ・・・。どうしたらいい?どうするべきだ?)
王族からは表立っていないものの、明らかに冷たい視線が投げかけられていた。
多大なるコストを投じて俺たちを召喚したのだろう。
だが、そのうち一人が明らかにお荷物であることが確定した。
で、あるならば、次はどうなるのだろうか?
よければ、神輿として王に反対する勢力に担ぎ上げられ、
傀儡として生きていけるだろう。
最悪のケース、それは
(・・・消しに来るだろうな・・・。)
暗殺、謀殺、毒殺、惨殺、殺し方は問わず、命を奪いに来るだろう。
俺みたいに能力はないものの、勇者の肩書を持っている人間など、
傀儡としてこれ以上ない人間だ。
邪魔になればいつでも殺して処分できる最高の道具。
王族も馬鹿ではない。それくらいわかっているだろう。
だからこそ、俺が城にいる間に、何としても抹殺しに来るだろう。
クラスメイト達からの評価も悪化している。
今では陰口くらいだが、そのうちごく潰し扱いされ、
放逐されるか、リンチされるかもしれない。
だが、どうする?どうすればいい?
---逃げるしかない。
だが、今すぐは無理だ。
一銭も持たず、武器もなく放浪するのは自殺行為に等しい。
(・・・・耐えろ。今はまだ・・・。)
◆
---あれから一週間がたった---
訓練と称した兵士の育成。
つまり俺たちを国の戦力にするための特訓。
剣、槍の基本的な扱いから、魔法についてのレクチャー。
この国の置かれている状況と、戦いを経験するために、
兵士同伴で戦地に向かうことが決定した。
もちろん、いきなり戦え、と言われて反対の声は上がった。
だが、何かを言おうとする意見は封殺されていった。
あるものはメイドと懇意になり、あるものは兵士に抱かれたのか女の顔になっていた。
そうして取り込まれていった人間が半数を超えた時に、
すでに取り返しのつかないところまで来てしまっていることに気が付いた賢しいやつらもいたが、遅かった。
兵士が身に着ける鉄製の鎧。プレートメイルをがしゃがしゃと鳴らし、
俺たちは馬車によって戦地まで送られていく。
「・・・・へっへっへ。楽しみだぜ。俺のスキルを試すのがよ。」
「私もー。・・まあ、楽勝でしょ。」
「・・・・・・。」
闘いを楽観視している者。
ゲーム感覚で緊張感のない者。
----震えて、声も出せない者。
様々だが、全員変わりようのない事実が待っているだろう。
これから、俺たちは地獄に行くんだから