喰らいつくして、突き抜ける~ イート・ザ・ワールド~ 作:KeI77777
「せいやっ!!」
「---甘いっ!!」
「うおりゃあっ!!」
「ああああっ!!」
あれから数日たって、クラスメイト達は今まで以上に訓練に励むようになった。
俺もその一人ではあるが、常に脱出の隙を伺っている。
脱出するための資金源となる貴金属は集め終わった。
後は、城から脱出し、最寄りの村か、街まで逃げ切る必要がある。
だが、そうも問屋は降ろさないらしい。
「・・・早瀬?どうした?」
「・・・いや、何でもない。」
これだ。あの惨状を目にしてからというものの、妙な連帯感、結束感が集団の中に生まれてしまっている。
何よりも、ストレス発散のため、俺をサンドバック代わりにしようとするやつらも出てきている。
もちろん、ステータスが底辺値で、スキルを持たない俺は仲間だとあまり思われていないからだろう。
今もこうして、他のクラスメイト達から声を掛けられるようになってしまった。
だが、好意ではなく、何かあった時のスケープゴートに。いじめの対象として。
(・・・・糞が。)
呪われろ、ゴミども。
「・・・・ちょっといいかい、早瀬君?」
「・・・・兵士長?」
訓練場で剣を振るっていたら、兵士長に声を掛けられた。
一体、なんだろうか。
場所を変える必要があるのか、指で場内のほうを指し示され、
そちらに向かって歩いていく彼の後ろについていく。
「・・・・・・・。」
更にその後ろをついてきている影に気が付かずに
◆
『・・・特別演習?』
『ああ。早瀬君だけまだ、ステータスが低く、スキルも開花していないのは周知の事実だ。だから、君だけ比較的安全なダンジョンに私の部下と一緒に行って、
レベルアップしてもらおうかと思ってね。』
『・・・・・・。』
つまるところ、俺が弱すぎて、他のクラスメイト達なら連れていけるような場所に、俺は行けないと。
だから、別の場所でレベルアップをさせようという魂胆。
選択肢に断る、はない。
俺にそんな力も、立場もない以上、従うしかないのだ。
がらがらがら、と車輪が回る音とともに、荷馬車に俺たちは揺られる。
俺と、兵士長の部下たちと。
「・・・・なあ、あんたら・・・。」
「・・・・・。」
どこに行くんだ、と聞こうとするが、何も返事をよこさない。
先ほどからずっとこの状態である。
(・・・・なんだ?いくら何でもおかしいだろ。)
異常事態なのはわかった。
嫌な予感がするのも。
だが、馬車を下りたところでどうするというのか。
金になりそうな貴金属が詰まった袋は、
俺の部屋に隠してあるし、あれがなければ資金もない。
獣道ではない街道をひたすら進んでいたが、業者が手綱を引いたのか、
荷馬車が急に止まった。
「・・・なんだ?どうした?」
「・・・・・・。」
俺の言葉にやはり反応しない。
---次の瞬間、銀色に光るものを右手に構えた兵士が、
体ごとぶつかってきた。
「---うおおっ!!?」
とっさに体を横にずらし、腹をけり上げる。
金属製の鎧に包まれているのでダメージはないが、
後ろにいたほかの兵士たちに向かって押し込むように蹴りあげ、
時間を稼ぐ。
馬車の布を切り裂いて、できたすき間から飛んで脱出する。
(・・・まじか!!マジかよ!!おい!!?
マジで消しに来やがった!!!)
後ろを向けば、剣を構えた兵士たちが追ってきているのが見える。
つかまれば死ぬだろう。
(ふざけんなっ!!死んでたまるかっ!!)
かくして、命がけの鬼ごっこが始まった。