偶然なのか必然なのか、出逢ってから毎日、命を助けられたと言って、恩返しさせてくれと言いながら私に纏わりついて来たサッチさん。それから私は、逃げるようにアーロンパークへと戻った。
絆されそうで……共に逃げたくなりそうで……怖くなったのだ。だってサッチさんは温かくて、優しかったから。
凍てついた私の心を溶かして、自然と笑えるような相手だったから……縋り付きそうになってしまった。助けてと言って、巻き込んでしまいそうで……。
でも、私にはそんな事を願う資格は無いと知っているから、逃げ出したの。巻き込みたくなくて、でも、助けて欲しいと縋りそうで……。
「ナミちゃん、そんなに1人で抱えないでさ、サッチさんにドーンとその荷物、預けてみなって!……悪いようにはしねェからさ」
「何も、抱えてないわ。それに私はサッチさんを助けてない!ほっといて!」
そんな会話が、多分逃げ出す直前最後のものだった。でも、私は分かっていなかった。
その行動がどんな結果を招くのかなんて事。怒らせてはいけない人がいるんだって事を。
もう少しで私は18歳になる。そうなれば物語は動き出してしまうかも知れない。
早く、解決しなきゃ。早く、倒さなきゃ。
宝を持って島に帰り、いつもの様にそれを埋めて、アーロンの元へ向かう私。でも、妙に魚人達がピリピリしていて、何があったのかと少し警戒する。
そんな私に対してアーロンは妙に不機嫌そうで、私を奥の部屋に連れ込み拘束して来た。流石にこれは黙っていられなくて口を開く。
「アーロン!?何考え……っ!」
「犯されたくなきゃ、黙ってろ」
「っ……!」
「ナミじゃねェのは分かったが、妙な事されても厄介だ。解決したら、ほどきに来てやる」
そう言ってアーロンは私を縛り上げて吊るした後、私を1人残して部屋を出て行った。その行為の意味がわからなくて、アーロンのやりたい事がわからなくて溜息が落ちる。
肘から先をシッカリと固定されてから吊るされて、足は浮いている。その足も片足ずつ床から鎖で閉じられないように固定されていては、自力で逃げ出すのは不可能に近い。
だからと言ってこの程度の事で、今更私をどうにか出来ない事は分かってるでしょうに。そう思った直後、外が騒がしくなる。
アーロンがストレスで暴れてるのかなと特に気にせずにいたら、ドアが突然吹き飛び返り血塗れのサッチさんが姿を見せた。そして私を見て何か納得した様子を見せる。
「ナミちゃんが抱えてたのは、これか」
「サッチさ……ん?……怪我!?怪我してるんですか!?」
「ん?あァ、俺は怪我なんてしてねェよ。魚人の返り血だ。今親父達にも連絡入れたから、すぐに引き取りに来てくれる」
「なら、サッチさん、怪我は無いのね?無事、なのね?」
「甘いなァナミちゃんは。それにしても……良い、格好だな」
「冗談は辞めて。それよりもまさか……もしかして、助けに、来てくれたの?どうして?」
助けて貰える理由は無いし、私の居場所だってどうやって知ったのか分からない。そう思っていたら、簡単な事だと言われる。
「俺は白髭海賊団の中で、1番親父と似ていると言われてる。……頭は、悪くねェつもりだぜ?」
成程ね、知将たる白髭さんと似てるなら私の行動は簡単に予測できる……か。でも、助けて貰える要素が無いわよね。
そう思った時、サッチさんが近付いてきたから解いてくれるのかと思っていたのに、実際は何故か服の中に手を入れ始める。それも明らかに性的な意味合いを持って。
「ちょっ!?サッチさん!?」
「助けて貰えるとは、思ってなかったんだろ?なら、助けに来たんじゃねェって事で……このまま抱いてやるよ」
「やだ!やっ!」
必死で身を捩り抵抗してみても、縛られて吊るされてる状態ではどうにもならない。そんな私にサッチさんは無言で辺りを見渡して、奥から台を持ってくると私をそれに座らせる。
それにより肩とか腕は楽になったから、さっきの言葉は冗談だったのかなと思わされる。でも、それは大いなる間違いでサッチさんは座っている私の服を手際良く脱がせ始めた。
「やだ!サッチさん!なんで!?」
「ナミちゃんが、二度と俺から逃げようとなんて出来なくしてやろうと思ってな……色々考えたんだが、これが手っ取り早いだろ」
「や……だ!やだ、サッチさん辞めて!」
足を閉じる事も出来ず、殴る事も蹴る事も出来ない。動く度にガシャガシャと鳴る鎖があるけど、アーロンが居ない為に強がり続ける事も出来ない。
「いや、いやぁぁァぁ!」
「俺から逃げ出した、ナミちゃんが悪い。諦めろ」
「やだ、こわ、い……」
「……鎖か。今までは敵が傍に居たから強がれたが、今は優しいお兄さんがいるからトラウマとして表面化してるってところか?」
「サッチ、さん……」
「なら、お仕置きには丁度いいな。逃げた事、たっぷり後悔させてやるよ」
そう言って私の状態を確かめる為なのか指を抜き差ししてきて、ヤダヤダと頭を振る度にサッチさんは笑みを深める。そして、耳元に唇を寄せて来た。
「ナミちゃん、初めてか」
「なっ……!」
「魚人に、好きにされてるのかと思ってたが……初めてなら酷い事はしねェよ」
「サッチさん……」
真っ直ぐに私を見てサッチさんは薄く笑った。それにゾクリとしたものを感じて、何故か体が震え始める。
「ナミちゃんは、俺に無理矢理犯されるのと、優しく抱かれるの、どっちがいい?」
「嫌よ!どっちもお断り!」
「そっか……なら、優しく……犯してやるよ」
そう言った後サッチさんは私の体を当然のように舐めまわし、吸い付いて、反応を見て来る。嫌がる私の声は聞こえないとでも言うように、秘部に指を入れて楽しそうに笑う。
それにより意識が遠のきそうになった頃、私としては突然指を引き抜かれた。やっと辞めてくれるのかと期待していた私としては、突然の事で想像もしてなかった形で……中に埋め込まれる灼熱の楔。
「やァ……!や、だ!おねが、やめ……!」
「……辞めないでって、言えるようになったら、辞めてやるよ」
「いやぁぁぁぁ!シャンクス!ベック!助けて!やだぁ!」
「……よりにもよって、その2人か。流石は女神ちゃん……だな」
そんな言葉と共に動き出したサッチさんは床に繋がっていた足の鎖だけ解いてくれて、それにホッとした。けれど次の瞬間、サッチさんは小さく便利な部屋だなと言って足の鎖を天井から降りてるそれに繋ぎ直される。
両足を大きく上に広げた状態で固定されて、中にはサッチさんが埋め込まれて、何が起きているのかもう良く分からない。羞恥で人が死ねるなら、私は既に何回死んでいるだろうか。
「やだ……も、やめて……」
「……逃げ出したりしなけりゃ、優しくしてやったのに。俺は、本気だから……絶対に逃がさねェ」
「も、逃げないから!辞めて、おねが……やァ!」
鎖の音と、肌のぶつかる音、水っぽい音と、荒い呼吸音が部屋に充満するように響く。どんなに頼んでも辞めてくれない事に、何度も繰り返される行為に、時間の感覚も失われて行く。
その時ふと、辞めないでと言えばと言われたのを思い出して、唇を動かす。辞めて貰いたくて……哀願するように。
「サッチさん、おねが、い」
「ん?」
「辞めないで……」
その瞬間、中にいるサッチさんが1気に肥大して私を翻弄し始める。それに悲鳴を上げる私に、わかったと言って行為を続けてきた。
だから私はそれに思わず、辞めないでって、言ったら辞めてくれるって言ってたのに!と必死に伝える。けれど、その言葉は聞き入れて貰えなかった。
「ナミは、素直だな。純粋で……」
「サッチさ、の……うそつきっ!やめてくれ、るって……いっ……やぁァぁ!」
体は勝手に痙攣を繰り返し、私はただ翻弄される。嘘吐きと繰り返す私に、この場合信じる方がどうかしてると溜息混じりに言われてしまう。
熱い吐息が、肌にかかる。こんなの、もういや……。
「ナミ……俺のものだ」
「やァ、だ、サッチさ……んぅ!」
「いいな、その〝サッチさん〟って呼ばれ方。新鮮」
「おねが、も……やめ……」
「ナミになら、呼び捨てにされても構わねェから、好きに呼べよ」
「ぅ……んァ!や、め……!」
終わりの見えないピストン運動と、途中見つけられた弱い所への集中的な攻めで私は吊されたまま犯され続ける。どうして、あんなに優しかったのにと縋るようにサッチさんを見たら1瞬動きを止めたサッチさんが、狡いなナミはなんて呟いた。
でもだからと言って辞めてくれた訳ではなくて、そのまま犯され続ける。私は何度意識を飛ばしたのか、何度辞めてと泣いたのか、何もわからなくなり、暗い水底に沈んでいるような感覚に陥って……。
気が付いた時には知らない場所にいた。揺れているから、船だろうか、それとも、眩暈だろうか。
「起きたか」
「サッチさん……?」
「あァ、ナミの故郷は開放されたし、ナミは〝奴等に乱暴されて〟いた他に〝世界から狙われている〟ので俺が〝保護〟する事になった」
サッチさんの言葉に血の気が引く。何を、言ってるのか分からない。
……いいえ、分かりたくない。だとしたら村の人達は〝私がアーロンに犯されていた〟と認識している事になる。
そんなのは、嫌。真実ではなくても、そう思われる事が嫌!
「どうして!?そんなの嫌!私、アーロンになんて何もされてない!必死で拒んで来たのよ!」
「その方が連れ出しやすかったからな。……そうか、拒んで来たのか」
「何よ?」
「ん?あの魚人はナミに惚れてたんだなと思ってさ。そうでなけりゃ、拒まれても辞めねェよ」
なら、サッチさんは私を嫌っているのかな。だから、嫌がっても辞めてくれなかったのかな?
柔らかな声で、優しく声をかけてくれていたのは……何だったんだろう。怪我の手当てしてたら、手伝ってくれたりしてたのは……どうして?
「ナミは、この部屋にいればいい。俺から逃げようとしなければ、俺に抵抗しなければ、優しくしてやる」
「サッチさん……」
「抵抗するのはまだ、許してやれる。だが……逃げようとしたら……この間よりも激しいお仕置きだ。お仕置きされたいなら、逃げ出してみろ」
そう言って私の頭を撫でたサッチさんは、私が部屋にいる分には本当に優しくしてくれた。無理に毎日抱くでもなく、ただまるで本当の恋人のように優しく。
時には部屋から出してもくれたし、何かあれば逃げて来いと1緒にいられない間も不自由しないように船内を案内もしてくれた。その途中で買出し船を見掛けた私は、その時は特に何も思わなかったけど、だいたいの事は理解出来た。
でも私は、ベルメールさんの所に帰りたくて、ノジコに心配かけたくなくて……。でも何よりも、私の様子を気遣いながら、優しく抱いて来るサッチさんの気持ちが見えなくて……逃げようと決める。
サッチさんがキッチンで仕事をしてる時にドアを開けると、紐がかけられていてそれが揺れる事でサッチさんに筒抜けになる。だから、それに気付いた初回はサッチさんのいるところまで行って、顔を見せた。
サッチさんは働いてるのに、ふっと視線を私に向けて笑ってくれた。かその笑顔が初めて会った時のように優しいから、私は戸惑う。
「働いてる姿をこっそり見ようと思ったのに、バレちゃうし……」
「……安全の為だ。この船には男の方が多いからな」
そんな会話をしていて、分かった事はサッチさんが見張りの時は紐が付けられてない事。ならばと思って、私はサッチさんが見張りのその夜に脱走を実行した。
これ迄だって1人で海賊相手にして来て、何度も捕まりそうになっては逃げ出したりした。敵船から見張りの目を掻い潜って逃げた事は、1度や2度じゃない。
だから、今回もきっとどうにかなる。そう思ってクリマタクトで姿を消して、買い出し船へと向かう。
小舟を下ろしてそれに飛び乗り、そっとモビーを出発した直後……小舟が不自然に揺れた。振り向けばそこにはサッチさんがいて、私の姿は見えてない筈なのに怒りに燃える眼差しで真っ直ぐに私を見て……サッチさんは笑った。
私は微笑みを浮かべたサッチさんに抵抗らしい事は何も出来ないままに囚われ、部屋に連れ戻された。部屋に入るとすぐに服も下着も剥ぎ取られる。
「ナミ……逃げ出したのか?俺から?」
「ちが……わたし、は……」
怖い……。サッチさんの笑顔が怖くて、怒りに燃えるその瞳が怖くて、言葉が上手く紡げない。
「……お仕置き、だな」
「やだ!や!ごめんなさい!家族に、会いたかっただけなの!逃げるつもりなんて……!」
「ナミの家族は、俺だけだ」
そう言ったサッチさんが私をくるりと反転させると器用に後ろ手縛りを施して、そのまま胴体は亀甲縛りをされる。それだけでも嫌なのに、足は当然のようにM字開脚にされてベッドに固定されてしまう。
「サッチさん!おねがい、許して!」
「俺は見張り続けないとだから、玩具入れてってやるよ。……ドアの鍵は開けて行くから、声を抑えとけよ?」
「サッチさん!?ねぇ、嘘でしょ?冗談よね?」
「時間がねェから、前座は無しだ。それでも……ナミならイキ狂えるから安心しろよ」
そう言って宣言通りに押し込まれた道具は、勝手に抜けないように固定されてしまう。更に3点攻めだと言って電流の流れる物を弱い所に設置される。
必死で許しを願う私の口に、口枷を付けて閉じられ無くしてから、サッチさんは残酷に笑った。酷い事をしているのはサッチさんなのに、その瞳が何故か泣いている。
「すべて〝強〟にして行ってやるから、俺が戻るまで、好きなだけイってると良い。途中で見張り抜けたから……帰るのは朝になるだろうが……まァ頑張れよ」
その言葉を最後にサッチさんは私に目隠しをして、本当に〝強〟にして部屋を出て行った。与えられ続ける刺激に、終わらない快楽地獄に私が咽び泣いてもサッチさんは帰る事が無い。
どれ程の時が過ぎたのか、ドアの開く音が聞こえて、でも声を掛けても貰えずにただ見られているのがわかる。ゆっくりと閉められるドアの音を聞いて、上手く動かせない唇から必死でサッチさんを呼べば、漸く動いてくれたのが伝わって来た。
「反省したか?」
言葉に頷くと目隠しを外してくれて、でも、他はそのまま。声を出すのもつらくて、視界は涙で滲んでいる。
「次は、こんなもんじゃ許さねェから、慎重にな。……ナミ、お前は俺のモノだろう?」
ここで頷かない選択肢は無くて、私は何度も頷いて見せる。それにサッチさんは漸く笑って、漸く口枷を外してくれた。
「ナミ……俺を、愛してるな?」
「あいしてる、から、もう、ゆるして」
「……俺に、抱かれたいんだな?」
「ゆる、して……」
「ナミ」
その後、男が求める言葉を女が口に出すまでそれは終わる事なく続けられた。男は女を愛しているつもりで、苦しめている事に気付かない。
女は何故男が強行に及ぶのか理解できない。ただ、女にはもう、逃げ出すだけの気力や胆力は残されては居ない。
それと同時に、男が本当に求めた女の優しい微笑みは失われ、代わりに静かに涙を流し続ける女が残る。いつか、男が間違いに気が付き、女がそれを許すその時まで……。