※この作品はR-18です。

狂愛作品   作:夢枕 七変化

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矛盾(海軍)カク

 船の修理を依頼する為に向かったウォーターセブンと言う島には、これ迄に何度も来ている。というか、修理が必要な船を運ぶのは7割方私だったりするのだから当然なんだけど。

 これで外での、海での実務実績にしようというセンゴクさんとガープさんの親馬鹿な考えだったりするのだから、恐ろしい。しかも、おつるさんも何故か止めないし。

 ふぅ……と溜息を落として、修理が終わるまでの間どうやって過ごそうかなと考える。本来ならばその部署に所属している当人達の他は、中将以上のみが知る筈のCP9に関わる情報を私は有している為、どうしてもここに来ると変な緊張をしてしまうのだ。

 そんな私に明るく声を掛けてくるのは、ウソップと似た人……カクさんだ。私に明るい笑顔で寄ってくるから、街の人たちはカクさんが私に惚れてるなんて有り得もしない噂話をしてる。

 でもね、まぁ、海賊に惚れるよりはあるかもねって程度だと思うのよ、私。それに、私はこの人達が……CP9のメンバーが怖い。

 

 「ナミ、どうしたんじゃ?」

 

 突然聞こえた声に驚いて悲鳴を上げそうになる。穏やかに見えても、優しく感じられても、この人は暗殺者……!

 他の海兵達と同じように正義を振り翳していても、1般的な海兵とは違う。この暖かい手は血塗られている。

 それは勿論私だって同じ穴の狢だけど、それでも……私、は……。無意識でその手を振り払い、数歩後退るとカクさんは私の顔を見て言う。

 

 「お化けにでもなった気分じゃな。ナミに、儂は何かしたかのォ?」

 「そんな、何もされてません!」

 

 慌てて首を横に振るけど、1度血の気の引いた顔色と、冷たくなっている指先を元に戻すのは簡単じゃない。……おつるさん、助けて……!

 

 「ごめんなさい。……情けないんだけど、男の人が怖いのよ。慣れた相手なら大丈夫なんだけど……ね。だから、気にしないで」

 

 敬語で話すと嫌な顔されるからと、随分前から敬語を使わないように気を付けてるけど、苦手だからかつい敬語で話してしまう事がある。そんな私の言葉にカクさんは、それは大変じゃったななんて労わるように言ってくれて、それにホッと肩の力を抜く。

 カクさんの方がまだマシで、ルッチさんには完全に怯えてるのが分かるから納得して貰えたのかな。問題はカリファさんにも怯えて、アイスバーグさんとは普通に接してる所くらいかしら?

 そうして1瞬の邂逅は終わり、仕事の話の為にパウリーさんやアイスバーグさんと事務的な話をして、後は完成までホテルにて待機をするだけとなった。なので、帰りがてら少し気になる本を見付けて購入してから、呑気にホテルの部屋に入った。

 お湯を沸かしつつ、私はホテルの部屋にある机に向かい執筆を開始した。お湯が湧いた頃お茶を入れて机の端に置くと、そこからは集中して執筆を開始する。

 欲しかった情報は手に入ったから、これで止まってた所を書き進められる。あ、だとすると先に書いてたところが1部矛盾が出てくるわね、それも直さなきゃ。

 それからどれくらいの時間が過ぎたのか、体は椅子ごと移動させられ壁に押し付けられる。ペンを持つ手はその壁に縫い付けられたかのように押さえられて、唇が誰かに塞がれている状態になった事で、書いていたそれから意識が外れた。

 ……何が、起きてるの?

 ゆっくりと離れた唇に、混乱しながら犯人を見ればそれはカクさんで……。何か、用事?と思い首を傾げる。

 

 「やっと儂を見たな。何度声を掛けたと思っとるんじゃ」

 「えっと、ごめんなさい。集中すると何も聞こえなくなるの」

 「……聞いてはいたんじゃがな、ここ迄とは思わなかった。それで、どうしたんじゃ?」

 「……いや、それは私の台詞……。何か船に異常でもありましたか?それならばすぐに本部へ報告しますので」

 「真面目じゃな」

 

 そう言ったカクさんは、私をヒョイっと持ち上げるとベッドに投げ落とした。何をするのかと睨めば、1瞬でベッドに縫い付けられてしまい体が震えるのが自分で分かる。

 

 「カク、さ……ん?」

 「怖いのは、男じゃ……無かったようじゃな?」

 「どういう、意味で……」

 

 やっぱり気付かれたかと思いつつも、どうにか誤魔化せないかなとも思う。ガープさんとか、おつるさんから情報か筒抜けとか不味いと思うのよ。

 

 「ナミは、儂らの事を誰かに聞いておったんじゃな。上層部と、近しいナミじゃ、なんもおかしくは無い」

 「……聞いてたら、何だってのよ、私は……海兵よ!知られていても不都合は無いでしょ!」

 「儂のものになれ、ナミ。任務に支障をきたしかねん反応をするナミを、始末しろと言われた時、そうでなければ守れないんじゃ」

 

 守ってもらう必要なんて無い。そう言おうとした私に、再び唇が降ってきて、咄嗟に躱すとカクさんが笑った。

 

 「ナミは、可愛いのォ……」

 

 それにより嫌な予感がして抜け出そうとしたけど、六式全て使える彼等に勝とうってのがそも無理に近い。私は剃と月歩、そして覇気で他を誤魔化してるだけだもの……。

 切り裂かれた服は、最早布としても使えないだろうと分かる。それに対して綺麗じゃと呟かれても、少しも嬉しくない。

 

 「カクさん、目的は何!?」

 「目的も何も、ただナミが欲しいだけじゃ」

 「欲しいからって……私は物じゃないし、私は貰われたくない!離して!」

 

 カクさんは暴れる私の肩に噛み付くように跡を残して来て、ギラギラとした眼差しを向けてくる。元々、怖かったけど、それとはまた違う意味で怖くて……でも、そうだ、仮面のような笑顔が消えた今、前からあった恐怖が薄れていると気付く。

 いい人を演じてる部分が、そしてそれが本心でもある所から来る矛盾が私には怖く思えていたのだ。人を殺すから怖いと言うのであれば、大将達に対してと同じ恐怖が無ければいけなかったと今更気付く。

 でも、私はルッチさんもカクさんも、大将達に対するのとは違う恐怖があったんだと気付く。私は今になって、初めてカクさんの素の顔を見ているのだと……気付いたけど、この状態で気付いてもねぇ?

 

 「考え事とは、余裕じゃな」

 

 その声を聞いた直後、突然2本の指が秘部に差し込まれて、その痛みに喘ぐとカクさんが驚いたような顔をした。そして、まさかと呟いたと思ったら、肩を震わせて笑い出す。

 

 「……未経験、とは、思わなかったもんでな。すまんかった。優しくしてやる」

 「っ!……そもそも、私に触らないで!私はCP9の考え方が嫌いなのよ!」

 

 その瞬間伸ばされた手に、慌てて覇気を纏う。もし反応するのが遅ければ、今、私の首は折られていただろう。

 

 「……鉄塊か。戦わない大佐と聞いてはいたが、戦えないのじゃと思っとった。驚いた」

 「私を、長官が殺せとでも言った?そんな事をしたら、元帥や中将達に睨まれるわよ」

 「それは怖いがな、ルッチが……ナミを危険な芽に育てる前に始末しろと言うんじゃ。じゃが……儂の女ならば問題は無い。だから、儂の女になれ」

 「なら、殺してみたら?……ガープさん達を敵に回す覚悟があるのならば」

 「……儂は、ナミを殺す気等ないわい」

 

 苦しそうな顔をされて、私はそれに戸惑う。そんな私の隙をつくようにして、カクさんは私に触れて来てそれに遅れて抵抗したけどそもそもの力に差があり過ぎる。

 舌が、唇が、肌に触れる。それに鳥肌が立つ。

 

 「や……いや!助けて!シャンクス!ベック!」

 

 あの頃から何年経過していても、私がいざと言う時に頼れるのはこの2人なのだと呼んでから気付き、同時に失言だったと気付く。言質を取ったとばかりに笑うカクさんは、その後私を当然のように犯して……意識を無くした私を何処かの部屋に閉じ込めた。

 海賊と関わりがあるとなれば、大佐としては居られずに故郷の家族共々に懸賞金をかける事も出来ると言われれば逆らう事なんて、私には出来なかった。それからどれくらいの期間が過ぎたのか、定期的に姿を見せては私を犯して、意識のない時に点滴で栄養を取らされて、ただ生かされている。

 逃げ出せば手配書がと言われれば、簡易的な鍵だけだと分かってる部屋からさえ、私は出る事が出来ない。もう、怖くはないけれど、興味を持てないの。

 なんだろう、心が……感情が動かなくなって行く。そんな、ただ肉体だけが生かされている私を見て、そうした犯人である筈のカクさんは悲しそうにその瞳を揺らしている。

 

 「ナミ、儂は他にどうしたら良かったんじゃ?ナミを手に入れる為に、儂は、どうしたら……」

 

 壊れて行く私に震えながら問い掛けるそれに、私はなんと答えたら良いのだろうか。やりたい事も、夢も、もう……分からない。

 1般的に家族という存在が弱点になるからと戯れに攻めた為に、古傷を抉り心を凍らせた事に気付けぬ男。それ故にせめて体だけでもと求めた事が悪循環となっている事もまた、男は知らない。

 海賊を嫌い、海軍ならばと縋っていたそれさえも破壊した事に気付かない。奪う事、壊す事にばかり長けてしまった男と、己の脆さを知らぬ女の視線は絡まる事無く時が過ぎる。

 暗く閉ざされた部屋から出す事さえ出来ない男の弱さ。それさえも、人は溺愛と呼ぶのだろう。

 目に見えぬ、形のないものを無理に当てはめようとするから起きる矛盾に、誰も気付けないまま、男は1度として女に素直な告白さえしていない事に気付いていない。いつか2人の心が重なり合う日が来るのかは、この話を目撃した貴方の心次第。




これにて現在掲載されている狂愛は全て移動完了しました。また狂愛作品を書きましたら、こちらにも追加させて頂きます。
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