書いてたら勝手に長くなったので、区切ることになったのです。
帝国魔導士官学校での生活も残り僅かとなった。来月には最終成績が纏められ、配属先が決まる事だろう。とは言っても、俺の配属先は既に決まっている。後方勤務でも特に待遇が良く給与もいい、みんな憧れの本部勤めだ。食堂は立派だし、宿所は綺麗で快適。なにより前線と違って生命の危険が無い。
しかもそれだけじゃない、オイゲン中佐のパイプを通じて送られる先は、内務監査官であるトーマス・グレルマン大佐が所属する軍の秘密情報部。つまり、軍内部の不正を見張る仕事である。そこの重役がまさか魔導士官学校の校長と手を組んで、女性士官の融通をやっているとは。正に「誰が見張りを見張るのか」というやつだ。肉便器となるのを承知でそんな所に行こうとしている俺も俺だが。
やあ、すっかり雌に堕ちたが、それでも女磨きは怠っていない、サラ・エレオノール・ブリッグス少尉候補生だ。また年が明けて、そろそろ10歳になろうとしている。10歳といえば、もう幼女ではなく少女と言って差し支えないお歳頃だ。しかし身長は伸び悩んでいる。魔法による身体強化でズルはしているが、やはり基礎がなければお話にならないので、身体を鍛えている。しかしそうすると、過剰な筋肉が身体の成長を阻害するのだ。相変わらずターニャちゃんとどっこいどっこいなミニマムボディのサラ・エレオノール・ブリッグスであります。
さて、今日も元気に
「サラ・エレオノール・ブリッグス少尉候補生であります」
「入りたまえ」
「はっ。失礼いたします」
いつもの調子で、いつもの挨拶。今日も逞しいチンポで気持ち良くしてもらえると思うと、ついにっこり笑顔で敬礼してしまう。
が、今日は空気が違った。オイゲン中佐は深刻そうな表情で、実に嫌そうに葉巻を吸っていた。いったいどうしたというのだろうか。
「中佐殿、なにやらお加減がよろしくないように見受けられますが」
「・・・・・・ああ、そうだな。今日はとても気分が悪い」
ガーンだな。もしかしなくても今日のお楽しみはキャンセルか。仕方ない、適当な後輩を捕まえて食べるとしようか。なあに、実は最近、新しい演技を覚えたのでな。調子に乗らせた後輩に犯される逆転プレイもアリなのだ。みんな頑張って腰を振ってくれるから、そこそこ満足できるのだ。
「今日はな、君に謝らねばならんのだ・・・」
うん、やっぱりだ。いやまあ大佐も歳ですしね、そういう日もありますよね。まあ気にしないでください。人間そういう日もありますよ。
「ブリッグス少尉候補生、君には紛争地域の実地研修に行ってもらう事になった」
・・・・・・はあ!? なんですってぇ!?
「選抜幹部候補生として君を引き抜くという、陸軍からの要請書だ。ご丁寧に、参謀本部から作戦参謀次長と人事局人事課長の連名で、指示書を同封してな。まったく、こんな横槍は想定外だ! これが陸軍だけなら、なんとか跳ね除ける事もできたのだが・・・・・・。参謀本部の連中め! 余計な口出しをしおって!!」
怒気のままに、中佐が机を殴りつける。そりゃあ怒るでしょうねえ。手塩に掛けて育てた立派な生徒が、商品として御得意先に差し出すつもりの性奴隷が、よりにもよって軍で一番発言力のある参謀本部の、しかも作戦参謀次長と人事課長からの正式な書面でなんて。そんな物はとうてい改竄できないし、要求を突っぱねたらオイゲン中佐と繋がりのある准将や大佐達でもカバーしきれないだろう。そりゃ怒るわ。
「一応、君も確認したまえ・・・。書類はここにある」
スケベジジイ達の接待をしてまでもぎ取った後方勤務のチケットが、水の泡と消えていく。正直言って、頭は真っ白である。いったいどうしてこんなことに。どうしてこうなった!!
だがまあ、見ない事には始まらない。俺は机に広げられた書類を手に取り、目を通す。
なになに? 『優秀な貴官の研修成績及び士官学校での成績に鑑み、陸軍は貴官を選抜す。選抜幹部候補生として、ただちに任地に赴き、少尉課程を全うせよ。』だと? ん、まあ、陸軍の言うことは分かった。しかしこれは最終的な結果だ。陸軍がこの要請書を出すに至った原因が、参謀本部からの指示書にあるわけだな。
それで指示書のほうが? 『我々帝国軍参謀本部は、ターニャ・デグレチャフ少尉候補生、並びにサラ・エレオノール・ブリッグス少尉候補生の論文の内容を重く受け止めており、憂慮に値するものとしている。また、同論文の有用性を実証するためには、両少尉候補生には実績が無く、参謀本部としても、現状のままでは、議会に提出する事は叶わない。よって、実地における参考資料の作成と、実際の———』、・・・は? な、なんだこれは!? まさか俺のせいだとでも言うのか!? しかもご丁寧に人事局人事課長が念入りに国境線への配備を命じてやがる! 協商連合が度々越境攻撃をしてるってんで、いつ火種が燃え広がってもおかしくない危険地域じゃねぇか!! しかも異動開始日が明日付!?
と、あまりの怒りで目の前が真っ黒になった時。俺はある会話を思い出した。そう、あれは先月の頭だったか。いつものように同期を相手に
『ブリッグス少尉候補生、探したぞ』
そうだ。あの時は珍しく、ターニャちゃんから声を掛けられたのだ。どうせターニャちゃんも俺みたいなドスケベで、いつもキリッとしてるのはむっつりスケベなだけだと思って、「一緒に
『実はな、ある方から打診があってな。上からの命令である以上、私には断れんのだが・・・———まあそれはいい。そこで、貴官にレポートの作成を手伝ってもらいたいのだ。』
『ああ、内容はこうだ。戦場における魔導師の最適・最大運用、というのがひとつ。もうひとつが、多数の仮想敵国を抱えた帝国の軍事的配慮、および政治的最終目標。最後に、現在最も憂慮すべき国境線の被越境攻撃、そして目される協商連合との開戦に際した帝国が取るべき軍事的・政治的行動について。このみっつのレポートを作ってもらいたい。』
『参考となる資料は纏めておいた、使ってくれ。期限は今月中となるが、無理を承知で頼みたい。貴官のような合理的思考と先見性を持ち合わせた者を、私は他に知らない。今は貴官だけが頼りなのだ。どうかお願いだ、私を助けてくれ!』
ああ、そうか、アレか。そういやそんな事もあったっけな。いやー、ターニャちゃんとの関係修復の切っ掛けになると思って、ついつい受けちゃったんだよなー。ターニャちゃんと3Pとか乱交とかしたかったし、これを機にって、ついつい頑張っちゃったんだよなー。そうかー、あの時のレポートがねー。ふーん。
俺のせいじゃないか!!!
いや、違う! ターニャちゃんのせいじゃないか!!!
だってターニャちゃん、「手伝って」って言ったよね。まさか自分が書いたレポートと一緒に、俺が書いたレポートをそのまま提出するなんて。手伝ってと言われたら、そりゃ俺のレポートの中から使えそうなものを抜き出して、自分のレポートに付け加えるとかするものだと思うじゃん。それがなによ、どうして俺が共犯者に仕立て上げられてんのよ。どういうことだよターニャちゃん。
「こういう結果になって、本当に残念に思っている。君の嘆願は極力叶えてやりたいのだが、今回ばかりは、私の手に余る事態となった。本当にすまない・・・・・・」
オイゲン中佐も辛そうだ。9歳とはいえ、身体を売っての交渉に応じたのに、約束を反故にしたようなものだからな。少しでもプライドというものがあれば、心苦しいことこの上ないだろう。
「そんな顔をしないでください、中佐殿。中佐殿の温情と配慮は、小官が一番よく理解しております。こうなってしまった以上は仕方ありません。最後に、ヒューグラー准将以下、お世話になった方々への謝罪のみ、よろしくお願いいたします」
「うむ・・・、それはもちろんだが・・・。しかし、君はいいのかね? 後方に行きたかったのだろう?」
「それはそうですが。参謀本部と人事局からの直々の命令とあっては、小官にはどうすることも出来ません。これまで通り、軍規に忠実に、命令を遂行するだけであります」
中佐はもう一度、疲れきったため息を吐いた。
そうだな、こうなってしまった以上、もうどうにもならん。実際に戦端が開かれるかはまだ分からんが、とにかく危険地域の前線行きだ。ターニャちゃんには恨み言のひとつでも言いたいが、言ってどうにかなるものでもないしな。
いや・・・、待てよ? そうだ、その手があったか!
「では中佐殿。小官からひとつ、
—————
はい、デグレチャフ少尉候補生です。今日も口癖のように「どうしてこうなった!」と叫んでいる。いや、本当にどうしてこうなった。
事の発端は二号生への教育指導だ。無能な二号生達には無理せず自主退校するように言い含めていたのだが、無能には言葉を理解することも出来ないという当たり前の事を忘れていた。仕方なく、体罰によって身体で教えてやる運びとなった。
私の補佐を勤めるブリッグス指導先任が担当する班は、当初からそのほとんどが従順だ。その秘訣を聞くと、身体に教えているからだという。神経操作で傷を残さないように、なんて甘っちょろい事をしていたから、二号生に舐められてしまうのだと、ようやく理解した。なので、私もそれを参考に、直接的体罰を採用する事にした。
しかし、しかしだ、それでも無能は諦めないのだ。軍において最も唾棄すべき害悪、無能な働き者というやつだ。私はその性根を矯正するべく、恐怖と苦痛で屈服させようとした。その場面を、本部から視察に来ていたお偉いさんに見られてしまった。ああ、これは昇進に響くな。だって部下を御しきれていない無能な指揮官そのものだ。そう考えながら、淡々と事実を説明していた。
それから一週間が過ぎた頃。突然、陸軍から選抜幹部候補生としての要請書が届いた。6ヶ月の紛争地域研修というふざけた動員令だ。なぜ9歳の幼女にそこまでさせようとする。
前線行きだけはどうにかして避けたい。しかしどうすればこの動員令を拒絶できるのか。期限はすぐそこまで迫っている。何か方法はないのか。
考えに考え抜いた結果、ひとつの光明を得る。“身代わり”だ。この学校には私と同レベルの成績を持ち、指導先任としても優秀で、魔導適性は私以上という最適な身代わりがいるではないか。そして、先日、本部から視察に来ていたのが、参謀本部人事局人事課長のエーリッヒ・フォン・レルゲン少佐である事を思い出した。私は即座に計画を練った。
・・・が! 私の計画は失敗した。ブリッグス少尉候補生にレポートを書かせ、彼女が有能であること、先見性と合理的判断が私に劣るものではないことを自明させた。そして私がいかに後方向きか、参謀本部にとって得難い人材であるかをアピールするレポートも添えて、レルゲン少佐当てに提出した。それなのに、どういうわけか私も彼女も揃って紛争地域送りとなったのだ。
「なぜだぁぁぁ・・・・・・どうしてなんだぁぁぁぁ・・・・・・」
机にうっぷし、頭を抱える。
いや、どうしてこうなったのかは分かっている。「そこまで言うなら自分で実践してデータを取って来い」、先方の言いたい事はこれだ。そしてそれはあまりにも正論。第一次世界大戦を経験していないこの世界では、私やブリッグスが書いたレポートは先進的すぎる。はっきり言って未来予知みたいなものだ。だからこそ文官として評価されると考えたのだが、魔導師としての適性が高かったために、「両方やれ」と無茶振りされる事になったのだ。
「はぁ・・・。無駄な論文だったな・・・。ブリッグスには悪いことをした」
彼女も後方勤務希望だったろうに、私がその道を閉ざしてしまったようなものだ。謝って許してくれるとは思えないが、少しでも埋め合わせはするべきだろう。そんな事を考えて落ち込んでいると、扉のノックに気がついた。
「どうぞ。鍵はかけていませんよ」
入室したのはシュタイナー教官だった。とりあえず敬礼すると、教官は淡々と要件を伝えた。
「ターニャ・デグレチャフ候補生! オイゲン中佐殿がお呼びだ。直ちに校長室へ向かいたまえ!」
「はっ!」
校長先生のお呼び出しか。紛争地域への人事異動についての、最終通知だろう。なにせ6ヶ月の勤務だからな、魔導士官学校の卒業と被ることも含めて、ブリッグス候補生と一緒に、説明を受ける事になるのだろう。そういえば、ブルクハルト・フォン・ニコラウス・オイゲン中佐は、国境警備隊を3年勤めた経歴があったはずだ。何かアドバイスでももらえるかもしれない。
「ターニャ・デグレチャフ少尉候補生であります!」
「入りたまえ」
「はっ! 失礼いたします!」
校長室の中央まで行き、敬礼。オイゲン中佐は以前に拝見した時と変わらない。禿げ頭は元気にテカっているし、だらしのない腹も肥えたままだ。女性の士官候補生にボディタッチしている時と同じにやけ面なのが気持ち悪いが、ぐっと堪える。
「デグレチャフ候補生。既に聞いているかもしれんが、君と同じく、ブリッグス候補生も北方管区で紛争地域研修を受けることになった。今は情勢が危うく、とても危険な場所だ。いくら陸軍の要請とはいえ、そんな所へ君たちを差し出すのは誠に心苦しい」
「はっ! 小官如きの身を案じていただけるとは、恐縮であります!」
オイゲン中佐は、これ見よがしに葉巻の煙を吐いた。相変わらずのにやけ面なので、はっきり言って気持ち悪い。脂ぎった中年のオッサンがカッコつけて葉巻を吸っても、誰も見やしない。思わず頬が引きつる。
「そこでブリッグス候補生から嘆願があった。『危険な前線へ向かう私達に、願掛けを頂戴したく存じます』、とな。いわゆる景気付けだよ。これが成人男性なら、秘蔵の酒でも開けてやるのだが、生憎と君たちはまだ酒が飲めん。そこで、別の方法を考えた」
葉巻の火を消した中佐が立ち上がり、隣室へと続くのであろう内扉を開けた。
「入りたまえ」
「はっ! 失礼いたします!」
隣室は豪華な休憩室だった。なるほど、校長特権というやつだな。棚には高級そうな酒が並び、磨かれたグラスもある。キングサイズのベッドに、これまた高級そうなソファーまで。部屋の奥にはシャワー室すら見える。なんて贅沢な部屋だ。そしてそんな休憩室の端で、椅子に座っていたブリッグス候補生が、笑顔で手を振っていた。
「待たせたね、ブリッグスくん。さあ、ベッドへ」
「はいっ! 中佐殿!」
笑顔でベッドに腰掛けるブリッグス候補生。私の背を押してベッドへ向かうオイゲン中佐。まて、何をする気だ。
引き攣った顔で見上げると、オイゲン中佐は気持ちの悪い笑みを浮かべて言った。
「古来より、戦場において処女は不吉な存在だった。戦の女神もワルキューレも、清らかな乙女が
な、な、な、なにをいっているんだこいつは。
な、なに? なにがどうだと? ええ?
「と言っても、ブリッグスくんは既に処女ではないから、今回はまずデグレチャフ候補生のサポートになる。彼女の作った干渉式は見事だよ。神経に作用し、痛みを遮断するんだ。それだけじゃなく、快感の増幅まで行える。だから安心したまえ、デグレチャフ候補生。痛くはないぞ」
い、いや、痛いとかどうとかじゃなくてですね、あの、私はですね。
「安心して、ターニャちゃん♡ オイゲン中佐はとっても上手だから、すぐに気持ち良くなっちゃうよ♡ 私なんて何回もイかされちゃうんだから♡」
なるほど。これは復讐というわけか、サラ・エレオノール・ブリッグス。
そうか、分かったよ。確かに、君は私を恨んでいい。恨むだけの理由がある。
甘んじて受け入れるとは言わん。だが、恨みが解消されて、それで戦場で背中を撃たないでくれるようになるのなら。ああ、貞操のひとつやふたつ、くれてやるとも。命には代えられんからな。
すれ違い。勘違い。2人の意思が交差して、今、運命が混ざり合う。
お願い、イかないでデグレチャフ!
貴女が今ここでメス堕ちしたら、後方勤務や軍人年金はどうなっちゃうの?
男だった頃の精神はまだ残ってる。ここを耐えれば、ブリッグスに認められるんだから!
次回、『デグレチャフ絶頂』。種付けスタンバイ!