「お兄ちゃん、おはよ」
耳元の優しい声が俺の意識を覚醒させる。ゆっくりと目を開けると笑顔の小町が視界に入った。小町が背中を支えながら身体を起こす。
「ん、朝か……おはよう、小町」
「そうだよー!今日はなんと土曜日なのです!」
そう言って小町は嬉しそうにカーテンを開ける。朝日で照らされた部屋には性行為用の道具が無造作に置かれている。昨日も俺はあれで犯された。俺が寝ている間に後処理はされているらしく身体は綺麗だし部屋も綺麗だ。こうして見るとただの女子高生の部屋なのに床に落ちている物はこの空間の異常性を示している。だが俺はそれを指摘することは出来ない。小町がやりたいようにやって俺はただ人形にようにそれに応えるだけだ。
「じゃあお兄ちゃん!着替えようね!」
「あ、まて、今は……」
バッと布団をめくられる。すると笑顔だった小町が真顔になって俺の股間を凝視した。
「お兄ちゃん……」
「いや待て小町、これは違う。生理現象だ」
朝勃ちしていたソレを隠そうと思い身体をひねらせる。バランスを崩してベッドに倒れ込み小町に背を向けるように身体を小さく丸める。やだもう本当に恥ずかしい。
「昨日のあれで満足できなかったの?」
「小町、朝勃ちの原理を知っているか。夢を見ているとき特定の神経が刺激され本人の意思とは関係なしにこうなるんだ。断じて俺の意思ではない」
「ふーん、まぁなんでもいいや」
小町はカーテンを閉めて俺を後ろから抱くように寝転がる。
「あの……小町ちゃん?」
「やりたいならそう言えばいいのに」
と言って小町の右手が俺の下着の中に入ってくる。朝だからか少し冷たい小町の手がそれに触れて身体が震える。スイッチが入ったように俺の身体は体温が上がり心臓は動きを早め、脳に染みついた自分の喘ぎ声が何度も繰り返し再生されて嫌悪感が俺を支配していく。いやだ、いやだ、いやだ、いやだ。自分の性器を握っているその手を今すぐ振りほどきたい。こんなことはやめろと言いたい。もう小町の手を汚したくないと思うのに、俺はそれが出来ない。
「お兄ちゃん、さっきより硬くなってるよ」
小町の声が本当に嬉しそうで、俺がいい反応をすればするほど小町が喜ぶからつい甘えてしまう。
小町の小さい手はぎゅっ、と優しく握り、静かにゆっくりと刺激してくる。
「……ぁ……」
「声我慢しなくていいよ。お母さんたち出かけてるし」
「ぐ……、いや……」
「ん?どしたの」
快楽に堕ちた自分の声は嫌いだ。理性なんてどこにもなくて、ただ本能のままに垂れ流された声なんて俺は聞きたくない。ましてや妹に聞かれるなんて極力避けたい。いくら毎晩聞かれているからって慣れないことだ。
我慢していることはそれ以上追求せず、小町は割れ物を触るように丁寧にしごいてくる。どうせなら激しくされた方が割り切りやすいのに、俺の理性をゆっくりと溶かしていく。
「ん……っ、は、」
中途半端に与えられた刺激はその熱を解放するどころか溜めていく一方でもどかしい。やって貰っている身としてはこうして欲しい、とも言えず小町から与えられる優しさを噛みしめるしかない。
「お兄ちゃん顔見せて」
肩を掴まれてぐっと後ろに引っ張られる。不意打ちだったため身体ごと仰向けになり小町が上から俺を見下ろす。
「うーん、いい感じに顔が緩んできたね」
俺は肘から先がなくなった腕で顔を隠そうと試みるがあまり意味はなかった。
「……早くしろ」
「どうしようかなー」
小町は俺がイけなさそうな絶妙な力加減で攻める。流石毎晩やっているだけのことはあって完全にどうすればいいのか熟知している。
「ふぁ……っ!?ぐ、あ、」
甘く溶けた声が漏れる。それを聞いた途端身体の熱がさらに高くなる。いやだ、いやだ、小町を汚したくないのに。小町はそれは許してくれなかった。
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お兄ちゃんがイかないように調整しながら小町はお兄ちゃんの様子を眺める。声を出したくないのか必死に耐えている様子を見て少し意地悪したくなってしまった。もう表情は崩れているし、口も開いたまま息を繰り返している。きっともうすぐ兄の理性は瓦解する。そう思って小町は少し力を込めた。
「あ゛…っ、ぎ、」
声を出さないように我慢していたせいかなんだか変な声が漏れてお兄ちゃんの身体は汗でびっしょりになる。服もじっとりと湿ってきていた。どうせ着替えるんだし、汚してもいいと思う。
「お兄ちゃん」
右手を離して耳元でささやくとお兄ちゃんはびくっとして小町の顔を見る。お兄ちゃんの腐った魚みたいな目は涙で潤んでいて小町はそれがとても愛おしいと思った。
「足りない?」
分かっているけど小町は敢えて聞いた。お兄ちゃんはゆっくりと頷いて肯定する。早く、と言うみたいにお兄ちゃんの腕が小町の顔をつんつんする。
「分かった。小町に任せてね」
小町はお兄ちゃんのパンツの中に手を入れてそれを掴み取る。そしてお兄ちゃん好みの手加減で弄ってあげる。
「こう?」
「ひっ、あ、っは、ぐっ……あ゛」
「もう、声だしていいんだってば」
「い……」
「い?」
「っ…………、……あ、あ゛あ゛あ゛っ…」
ぎゅっと握るとお兄ちゃんは大きな声を出して身体を震わせる。温かい液体が手についてお兄ちゃんの下着の中はべたべたになっていた。
「すっきりした?」
「……あ、あぁ……」
お兄ちゃんは泣いていた。悲しそうな顔をして天井を見つめていた。うん、分かってる。お兄ちゃんがして欲しくないって思っていることは分かってる。小町のわがままなんだって分かってたのに。でも小町は、小町の手でお兄ちゃんを楽しませたい。嫌だって言わないお兄ちゃんに甘えている。優しい兄が小町に依存するようにしたい。小町がいないと生きていけないお兄ちゃんになって欲しい。小町には、それしかないから。
「服、着替える前にお風呂入ろっか」
べたべたになった手を拭いて後片付けをする。まだ放心状態のお兄ちゃんを抱っこした。前より軽くなっている感じがして、すこし寂しくなった。
お風呂に入ってご飯を食べてお兄ちゃんとお喋りをする。お兄ちゃんは色んな知識を持っているから会話は結構続く。ただの雑談だけど、小町はその時間がすごく好き。
「あ、もうこんな時間。寝よっか」
「ああ、そうだな」
電気を消してお兄ちゃんの隣に寝転がるとお兄ちゃんは小町の脇腹を突いてきた。
「ふふふっ、くすぐったいよお兄ちゃん」
「……今日は……」
お兄ちゃんの口からそれ以上言葉は出なかった。いつもなら寝る前にお兄ちゃんを快楽に落としているのに今日はやっていない。
「今日はいいや。小町もう眠いし」
「ああ、そうだな」
「おやすみ、お兄ちゃん」
「おやすみ、小町」
挨拶してしばらくすると、お兄ちゃんから寝息が聞こえてくる。
「寝てるお兄ちゃんもかわいい……」
無防備に寝ている兄の姿は、小町の心を満たしてくれる。兄の服の中に手を入れてその体温を味わう。首元に顔を突っ込んで匂いを味わう。お兄ちゃんは熟睡しているのか全く反応しない。まるで小町だけのお兄ちゃんになった感じがして、とても嬉しかった。
「ずっと一緒だよ、お兄ちゃん」
お兄ちゃんの唇にそっと口づけをして、そのまま眠りについた。
2019/9/15追記
感想や評価ありがとうございました。とても励みになります。続きも面白そうなので書きたいのですが、書きたかったテーマは八幡と小町の歪な関係の部分なのでこれ以上は蛇足と判断し完結します。ありがとうございました。